緋弾のアリア〜黒鉄の拳闘士〜   作:零崎極識

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舞い踊るhoney gold 2

 教室に戻りホームルームが終わるとそのまま流れるように授業に入った。今日は珍しく、専門科目での授業に参加することになった。強襲科の科目は『組み手』だ。

 

 組み手とは、四階建てのビルの中で最後まで生き残れば勝ちというシンプルなゲームだが、背中が地面についたらその時点でアウトという決まりがある。使用できるのは全ての武器だが、()()()()()()()()()のは厳禁だ。

 

「それで……俺はなんでアリアと同じグループなんだよ……」

 

 グループ分けの結果に不正があるんじゃないかと言いたくなるぐらいに偏っていた。アリアはもちろんだが、強襲科のエースの不知火も同じグループだった。

 

「ふふっ、京介の実力見せてもらおうかしら!」

「お手柔らかに頼むよ?天童くん」

「……お前ら……」

 

 適当に倒してもらって終わろうとしてたんだが……どうにもうまく行きそうにない、と判断しいい塩梅のところで脱落しようと考えた。

 

 そして、自分たちのグループの番になった。30人が一斉に建物の中に入り5分という短い時間で隠れ場所、あるいはスタート地点を決める。

 

 俺はとりあえず屋上からスタートすることに決めた。

相棒のSOCOMに非殺傷ゴム弾を装填して開始時間を待つ。

 

 そして開始のチャイムが鳴った。その瞬間に、物陰から二人の生徒が俺に襲いかかってきた。

 

 事前にペアを組んでいたようで1人が接近戦を仕掛けてきて、もう1人が後方から射撃援護をしてくる。

 

 俺は接近戦を仕掛けてくる奴の動きをいなして横をすり抜けると、SOCOMを抜いて射撃をしてくる奴の銃を狙い撃ち落とす。

 

「何っ……!?」

 

 わずか数秒の間に武装解除させられた奴の動きが止まり、その隙に接近戦を仕掛けてきた奴の足を払い、地面に倒す。そして、銃を撃ち落とした奴の懐に飛び込むと、腹を1発殴り昏倒させた。

 

「……あまりに呆気なく終わってしまった……」

 

 SOCOMをホルスターにしまい、下のフロアに降りるために階段を探していると不意に寒気が走り咄嗟にしゃがむ。一瞬遅れて銃弾がさっきまで頭のあったところを通り抜けて行った。

 

「武偵法守る気ないよな……」

「あはは……天童くんならよけてくれると信じてたし」

「それどんな信頼の仕方だよ」

 

 振り返るとSOCOMを構えた不知火が笑顔で立っていた。俺も鏡合わせのようにSOCOMを抜いて構える。

 

「1度でいいから本気の手合わせをしてみたかった」

「あいにく……俺はそんな本気を出すわけじゃないぞ?」

「それでもだよ」

 

 そう言うと再び発砲する。今度は俺の銃を狙っていた。視線でそう判断するとSOCOMを少し傾け、ギリギリで銃弾を避けるとお返しと言わんばかりに不知火の銃をを狙う。

 

 俺のは幸いなことに銃に当たり弾き飛ばすことができたが、それを見越していた不知火はSOCOMを捨てて、一気に間合いを詰めてきた。

 

 それに呼応するようにSOCOMをホルスターに仕舞うとカウンターを決めるように右腕を後ろに引き、左腕を前に出す。不知火は間合いを詰める勢いを利用して振りかぶって拳を突き出す。狙いは顔面。

 

「ふっ……!」

 

 狙いが読め、上体を下げパンチをかわす。

 

「天童式戦闘術一の型十五番『雲嶺毘湖鯉鮒』!!」

 

 下からすくい上げるようなアッパーを不知火に食らわせると、不知火の体は綺麗な放物線を描いて地面に落下した。インパクトの瞬間に腕を引いたため、威力はほとんど出なかったが充分だろう。

 

「あぁー負けちゃったかー」

 

 地面に寝転んだ不知火は何故か満面の笑みで俺の方を見ている。

 

「本気で殴ったら五体満足じゃ帰れないからな?」

「それでも……天童式戦闘術を味わえたのは良い経験だよ」

「……よく分からないが、納得しているのなら何も言わないが……」

 

 そう言いながら手を差し伸べて不知火を引っ張りあげる。

 

「ありがとう天童くん」

「いいってことさ」

 

 そして負けた不知火はフロアから出ていき俺は下に降りるために階段を探すのだった。

 

 しばらくして階段を見つけた俺はゆっくりと下に降りる。階段の近くに気配を感じないが……やけに静かすぎるような気がし、ゆっくり階段を降りると1本のワイヤーに気づいた。

 

 そのワイヤーの先にはプラスチック爆弾が繋がっていた。火薬量は人が吹き飛ぶギリギリの大きさだった。

 

 俺はそのワイヤーを切らないようにまたぎ、近くの机に体を隠すとSOCOMを抜き、狙いを定め引き金を引く。放たれた弾丸はワイヤーを切り裂き、プラスチック爆弾が爆発した。

 

 爆発音を聞いたのか、何人かの生徒が黒煙を切り裂いて姿を現す。だが、吹き飛ばされた者の姿が見えないせいか辺りをキョロキョロと見渡していた。その隙を逃すことなく、机から飛び出し、足を払って地面に倒す。

 

「ひとまず4人……」

 

 軽く息を整えて次のフロアへ向かうための階段を探す。その後、次々と色んな手で襲いかかってきたのを軽くいなし、次々と返り討ちにして遂に1階にたどり着いた。

 

「あら遅かったじゃない?」

 

 降りた先には悠然と佇むアリアの姿がそこにあった。どうやら、待ち伏せをしてスコアを稼いでいたようだ。

 

「私は10人倒したわよ」

「……結構無茶苦茶だよなそれ」

 

 半分ぐらい呆れながらSOCOMに新しいマガジンを入れて戦闘態勢に入る。構えはせずに右手に保持し、安全装置(セーフティ)を外す。

 

「それじゃ……行くわよ!!」

 

 アリアの掛け声とともに2丁のガバメントが火を噴く。襲いかかる全ての弾丸が俺の体に迫ってくる。流石に身体さばきだけでは避けきれないと判断し、義眼を発動する。

 

 スローになった世界で弾丸を見切り全てを()()()()()()()()()()()

 

「っ!!これならっ!!」

 

 まさか弾丸を全て避けられると思っていなかったアリアは一瞬だけ動揺したが、すぐにガバメントをしまい小太刀を抜く。俺はそれに合わせてSOCOMを構え小太刀の柄に向けて発砲する。

 

 アリアは持ち前の反射神経で弾丸を避けるが、その動きは大きくなってしまう。それを逃さずに俺はSOCOMを撃ちながら駆け出す。

 

「それならっ!!」

 

 うさぎを思い出させるような俊敏な動きで俺の懐に飛び込もうとする。俺は迎え撃つようにSOCOMをしまい拳を握る。

 

「はぁぁぁ!!!」

「おっと……!」

 

 振るわれる小太刀は全てが速く常に義眼を発動させていないと避けられないものだった。刃を見切り、弾いてどうにか隙を突こうとするが戦闘センスに優れるアリアにそんな隙は見つからなかった。

 

「私の攻撃をここまで避けるのはアンタが初めてよ!」

「これでも結構ギリギリなんだよ……!」

 

 小太刀を捌きながらどうやってアリアを転ばそうかと必至に考える。

 

「戦いながら別の事を考えるなんて!」

 

 アリアは小太刀を1本俺に向けて投擲してきた。勿論、それを弾くが一瞬視界が隠れてしまいその影を縫って1発のゴム弾が俺の頭部に迫る。

 

 これは避けきれないと判断し、義眼を発動させて上体を逸らし弾丸を見送るがその時にはもう片方の手に持った小太刀が俺の喉元に突きつけられていた。

 

「……俺の負けだ」

 

 こうして俺とアリアとの決着がついたのだった。

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