「……なぜ貴様がその携帯を持っている……!」
「くっくっくっ……当然じゃないか、この子を私が預かったからに決まっている」
「ふざけるな……!絶対に取り返すからな……!」
「では……楽しみにしているよ?」
そう言うと電話は切れてしまった。俺の中には烈火のような怒りが渦巻いていたがそれ以前に敵の位置が掴めないことに気づいた。
「……ちっ……ダメ元でかけてみるか……」
俺は携帯で違うやつに電話をかけた。その人物はワンコールで電話に出た。
「どうかしたー?ケー君」
「理子……さっきはすまなかった」
電話をかけたのは理子へだ。もちろん、協力を要請するためなのだが、謝ることができていなかったのでしっかりと謝る。
「ううん、大丈夫だよ?それよりもどうしたの、急にかけてきて」
「実は頼みたいことがあってな」
俺は理子に大まかな状況を説明する。最初は理子も驚いていたが、ちゃんと対策を考えてくれているらしく俺にアドバイスをくれた。
「とりあえず私の友達にそういうのが強い子がいるから頼んでみるね?こっちもキンジとアリアが作戦を開始したからかかりっきりにはなれないけど……」
「問題ない、そういう伝手をあたってくれるだけでも十分さ」
素直に理子に感謝すると理子も照れたのか何も言わなくなってしまった。
「とにかく、事態が進展するのは明日以降だから今日は休んでね?」
理子に釘を刺され、俺は部屋に戻ることにした。寝る前にもう一度自分の武器をしっかりと整備をして就寝することにした。
翌朝、今日は土曜日ということもあって世間の学生は休みだが、俺は気が気ではなかった。とりあえずいつも通りに起きるとすぐに武装を整え、背中には刀を背負う。
しっかりと準備を終えたところで携帯が震える。飛びつくように電話に出ると相手は理子だった。
「ケー君、調子はどう?」
「……最悪な目醒めだよ」
「そんなケー君に朗報だよ、居場所がわかった」
「っ!!それは本当か!?」
「うん……場所は……」
場所を聞いた俺は飛び出すように家を出た。たどり着いたのは、学園島の端にある廃工場だ。最近の事業仕分けとやらで予算が削られてやむなく廃業に追い込まれたようで、機材や設備がまだ真新しい。
警戒するようにSOCOMを構えながら中へ入っていく。工場というだけあって中は巨大な空間が広がっており、その間には大きな工業用機械が並んでいて、戦闘をする上では少しばかり視界が悪い。
「やぁ、待ちかねたよ?天童くん」
「……蛭子影胤……!!」
突然後ろから声が聞こえ振り向くとそこにはこの前出会った時のようにシルクハットに燕尾服、そして趣味の悪い仮面を付けた影胤が立っていた。
「やれやれ……やっと来てくれたのかい?」
「……一体どういうつもりだ」
SOCOMを向けいつでも撃てるように引き金に指をかけるが、影胤は全く意に介せず自信満々に立っていた。
「どうも何も、君の妹君を預かったのだよ」
「……貴様……!」
影胤と話すとどうしようもなく頭に血が上ってしまうが、落ち着かせるように深呼吸をして本題に入る。
「それで、ティナはどこに?」
「君を狙っている……としたらどうする?」
「……なに?」
その次の瞬間、俺の手からSOCOMが
「ほう……初弾から当てに行くとはね」
「この狙撃……嘘だろ……?」
こんな正確無比な狙撃をするやつは2人しか知らない。1人は、武偵校屈指の
「……なんでそっち側についてるんだよ……!ティナ!」
家出して捕まったはずのティナ・スプラウトだ。そして遅れて銃声が聞こえてきたことからかなり距離が離れてるのもわかった。
「くっくっくっ……!さぁ、愛しい家族との殺し合いだっ!これ以上楽しいことは無いよ!!」
「ほざけよ……!これ以上好きにさせるかよ!」
遮蔽物から飛び出してまずは影胤に迫ろうとするがそれよりも先にティナの狙撃が見えた。迫る途中に義眼を解放して体スレスレで銃弾を避け、距離を詰める。
「ははは!!まずは私からかっ!イマジナリーギミックッ!!」
「ぶち抜いてやるッ!!」
影胤の斥力フィールドを吹き飛ばすために右腕の義手からカートリッジを撃発させ神速の突きを繰り出す。だが、それでも足りずに受け止められてしまう。
「1発がダメならッ!もう1発!」
そのままの状態で押し込むようにカートリッジを撃発。すると先程まで受け止めていたフィールドに歪みが生じたように見えた。
「けど、この私が許すとでもッ!『マキシマムペイン』ッ!!」
展開したフィールドに押しのけられるようにフィールドが大きくなっていき拳の勢いが消されていく。
「天童式戦闘術一の型三番『轆轤鹿伏鬼』ッ!!」
押し返されるわけにもいかず、カートリッジを撃発させながら拳を繰り出すと先程よりも弱く感じ押し切れそうな手応えを感じた。
それに驚いた影胤が少しだけ驚愕したのか動きが遅くなった。そこを見逃さずに再度撃発し、ついにフィールドを破るのだった。破った衝撃のままに影胤の体に拳がめり込み、そのまま吹き飛んでいった。
「やったのか……!?」
そして一息つこうとした時に強烈な殺意を感じて飛び退く。その一瞬後に狙撃が狙ってくる。すぐに飛びずさって遮蔽物に隠れる。
「影胤の状態がわからないが……ティナとの決着もつけないとな……」
だがその時、吹き飛んだ影胤が瓦礫を吹き飛ばして舞い戻ってきた。
「私は痛い!!私は生きている!!素晴らしきかな人生!!ハレルゥウウウヤァ!!」
「こいつ……気でも狂ってんのか……!?」
再び駆け出して影胤を殴ろうとするが、横合いからティナの狙撃が飛んでくる。それをかわし、接近すると影胤はイマジナリーギミックを発動させる。
「なんど同じ手を使おうとも……!」
再びカートリッジを撃発するが、その拳にティナの狙撃が命中する。
「ぐぁぁぁ!!」
あらぬ方向にカートリッジが撃発し大きく体勢を崩してしまう。
「しまっ……!?」
「終わりだ!エンドレススクリームッ!」
斥力の槍がゆっくりと迫ってくるのが目に入った。