緋弾のアリア〜黒鉄の拳闘士〜   作:零崎極識

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Scarletは突然に 3

「……それで正式な依頼って何さ」

 

 珍しく俺に正式な依頼という形で頼んできた遥姉さんになんとも言えない顔でそう答える。

 

「京介、『武偵殺し』が再び犯行を始めたのは知ってる?」

「まぁ……教務科からのメールで連絡は来たから……って、あれはまだ疑惑じゃなかった?」

 

 アリアとの遭遇のあとに教務科からはメールが届いていたのだが本文には模倣犯の犯行の疑いと書いてあったはずだが。

 

「他の生徒には不確定情報は与えられないでしよ?でも、京介には一応情報提供ってことでね?」

「……つまりは『武偵殺し』を何とかしろってこと?」

「察しが早くて助かるー!」

 

 どうやらこの人は俺に事件の解決を要求してるらしい……

 

「あのさ、俺Eランクなんだけど分かってる?」

「実力を隠したEランクなんかあてになりませんー」

「……仮にも教師だよね?」

 

 教師としてあるまじき発言だが、特に咎められることもないらしくスルーする。

 

「それで……犯人の特徴とかはなにか掴めてるの?」

「んー特にこれといっては無いらしいんだけど……鑑定科(レピア)情報科(インフォルマ)の見立てだと内部犯行らしいわ?」

 

 他の所の先輩方が優秀なのかそういう見立てを立てているらしく操作方針は固められそうだ。

 

「けど、前の武偵殺しは捕まったんだよね?しかも犯行って……証拠とかを残さなかったんじゃないの?」

 

 俺は過去の事件のニュースなどを思い出しながら確認していく。

 

「だから模倣犯扱いされてるのよ」

「あぁ……なるほどね」

 

 だが、そんな風に学生にも痕跡を辿られるようなヘマをする犯人なのだろうか……そんな考えが頭の中にちらつく。

 

「分かった、こっちの方でも調べてみるよ」

 

 そして教務科から出るとそのままとある人物の所に向かう。

 

「おおっー!ケーくんおいっすー!」

 

 向かったのは理子のところだ。今日始業式ということもあって午後からは自由らしく、アポを取ると二つ返事で引き受けてくれた。

 

「ケーくんからの頼みは珍しいからねー!理子りん気合いが入っちゃってるよー!」

 

 理子はそう言いながらフリフリの制服でその場で跳ねたりしながら騒いでいる。

 

「そんな服で飛び跳ねたらスカートの中見えるぞ?」

「およっ?そんなに見たいのかなー?ケーくんも隅におけませんなぁー」

「……あー聞こえねぇな」

 

 ああ言えばこう言う理子に無言でチョップをすると改めて頼み事を話す。

 

「『武偵殺し』について調べてほしい」

「あぅーか弱い乙女にチョップは痛いよー」

「……(スッ」

「ごめんって!嘘泣きやめますー!」

 

 再び手をチョップの形にすると慌てた理子が居住まいを正して本題に入ってくれる。

 

「でもなんで今更武偵殺しなのー?」

「今日の朝、模倣犯にうちの生徒が襲われたのは知ってるだろ?」

「あー確かキーくんだっけ?」

「流石理子、もうそこまで掴んでるのか」

 

 やはり武偵ランクAは伊達じゃない。

 

「それでだ、犯人を捕まえるために情報が欲しくてな」

「なるほどねーでも……ただじゃ受けないよ?」

「そこは安心してくれ、報酬は払う」

 

 そう言うと俺は小切手を取り出しさらさらと金額を書いて理子に見せる。

 

「おおぅ……なかなかの額だけど、私が欲しいのはお金じゃないかな」

「じゃあ……何がいいんだ?」

「ケーくんとデート♪」

「シバキ倒すぞ」

 

 理子から飛び出した言葉につい反射的に暴言を吐いてしまう。

 

「そこまで拒否するかな!?」

「すまんすまん……でも、それでいいならそうするが?」

「やったぁ♪それじゃ約束だからね!!」

 

 そう言うとピューっと凄まじい速さでどこかに行ってしまった。

 

「……まぁ結果オーライか」

 

 一人残された俺はその足で自分の部屋へと帰っていった。部屋に帰り着く頃にはすっかり日も暮れていてきれいな夕焼けが見えていた。

 

 あーこりゃ明日は雨かねー

 

 雨が降るのならバスに乗らないと行くのはしんどそうだ。そう思いながら部屋に戻ると、隣の部屋が何やら騒がしい。

 

「おいおいうるさ……」

 

 バンバンっ!うおっ!?

 

 頬を銃弾が掠め、冷や汗をかきながら部屋に入るとアリアとキンジが取っ組み合いをしている。

 

「お前らやめろ!近所迷惑だろうが!」

 

 怒鳴り声を上げると入ってきたことに今気づいたのか、二人して俺を見ていた。

 

「た、助けてくれ……!」

「私たちの話し合いに邪魔しないで!」

 

 異なる二人の意見に頭が痛くなりながらも仲介するように声を出す。

 

「……もっと穏便に話ができないのかよ……」

「だって、こいつが話を聞かないから!」

「はぁ!?そもそもお前が勝手に入ってきたんだろ!」

 

 再びあーだこーだ言い始めた二人を見て俺は自分のメインウェポンである『H&K Mk-23 SOCOM』を抜いて地面に向けトリガーを引いた。響き渡る銃声に二人は止まる。

 

「次は無いからな♪」

 

 満面の笑みでそう言うと震えながらうなづいたのだった。

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