その後、理子からは色々と質問攻めにあったがそれとなく返答し、結局今日も夜遅くまで部屋にいたのだった。
翌朝、いつものように登校すると校門のところで遥姉さんとばったり会った。
「おはよう、京介」
「おはよう遥姉さん」
「京介、あの依頼そろそろ準備を始めた方がいいんじゃない?」
「あーそう言われるとそうだね……」
ここ最近の出来事につい忘れかけていた。確か、ピラミッドの調査だったか。
「表向きはカジノだから制服では間違いなく近づけないわよ?」
「となると、ディーラーとして潜り込むしかないか」
見た目的にはまだ若いと思われてしまうだろうが致し方あるまい。
「それと、下準備も必要かと思って明後日からシフトを入れたからね?」
「……は?」
そんな話は聞いたこともなく豆鉄砲を食らったかのような顔をしてしまった。
「もちろん初日は私も行くからね?」
「……は?」
あれよあれよと流れが決まっていくことに俺は頭が痛くなってきた。
「……ひとまず忠告ありがとうね」
その話をあとに回してひとまずは教室に行くことにした。今日も今日とて特に変わったこともなくあっという間に放課後になる。
「京介、このあと暇か?」
「ん?珍しいじゃねぇかお前から声をかけてくるなんて」
帰ろうとした時にちょうどキンジから声をかけられた。そして、男二人で向かった先は某有名ファミリーレストランである。
「それでどうかしたのか?」
「あぁ……実はな、俺が単位が足りないのは知ってるだろ?そこで……協力してほしいんだ」
「……依頼を受けろと?」
「有り体にいえばそうなる」
「内容は?」
「カジノの仕事」
遥姉さんが言ってた依頼を受けているやつって言うのはキンジだったのか。
「あー協力したいのは山々なんだが……俺も別口で依頼が入ってるから無理だな」
「ま、マジか……」
キンジはそれを聞くとガックリと肩を落とした。
「この依頼、ある程度人数を集めないといけなくてな……」
「それで人で集めに奔走していると?」
「そういうことなんだよ……」
こいつ、女の子だったらすぐに集められそうなのになと思いながら持ってきた紅茶を飲む。
「あら?キンジに、京介。どうしたの?こんなところで」
「よ、アリア」
そこで声をかけてきたのはキンジのパートナーである、アリアだった。
「むしろ、こんなところでアリアに会う方が珍しいと思うんだが……」
そう言って俺はアリアの後ろを見るとちょうど女子会をしているようで、理子と白雪、そしてレキという不思議なグループがいた。
「……物騒な女子会だな?」
「京介、風穴」
「即決過ぎねぇか?」
ちょっと感想を言っただけでこれである。
「アリア」
「キンジ風穴」
「まだ何も言ってないんだが!?」
キンジへの扱いは輪にかけて雑すぎるような気がする。
「それで2人は何をそんなに悩んでたの?」
「悩んでたというか、
「あっ、あの
「それでメンバーが足りないんだと」
「なーんだ、そんなことなら私は協力するわよ?」
アリアはない胸を張って協力を申し出てきた。
「けど、お前にバニーガールは無理じゃないか?胸無いし」
「はぁぁん?」
キンジがそう言った瞬間、般若の顔に血管を浮かべて睨みつけるアリア。その顔はまるでグラップラー○牙のようだった。
「……今の発言はなかったことにしてただ、よかったじゃないか、協力してくれる人が出てきて」
まずは1人見つけたということで芋づる的に何人かついてくるやつがいるだろう。そういうわけでこの話は解決に向かっていくわけだ。
その後、白雪や理子、そして意外にもレキも協力するということで話が進んでいったのだった。
「ただいま」
ファミレスでの話し合いが終わり部屋に戻ると珍しくティナが居らず、居間のテーブルには書き置きが残されていた。
「なになに……『天童家に呼び出されたので帰ります』?」
何か実家であったのだろうか、追い出された俺にはあまり関係の無い話ではあるもののやはり少しは気になるわけで、俺はティナに電話をかけた。
「あっ、お兄さん。書き置き見てくれました?」
「あぁ見たよ、それで……なんでまた呼び出されたんだ?」
「そうですね……何やら星伽家の方で何かあったらしくそっちの対応に人手を回したいみたいです」
「ということは……白雪も呼び出されるのか……」
たぶん、女子会から帰って速攻で実家の方に戻ったのだろう。それを考えると少しばかり悪いことをしたような気もする。
「また進展があったら連絡しますね」
「分かった、体調とかに気をつけるんだぞ」
「はいっありがとうございます」
電話を切るとひとまずは部屋着に着替えることにした。一人暮らしの時に戻ったような部屋の静かさに少しばかり寂しさを覚えていると、携帯に着信が入った。
「もしもし?」
「やっほーケー君、白雪ちゃんが実家に帰ったの知ってる?」
「ああ、知ってるぞ」
「おおー流石ケー君早いねー」
「それほどでもないさ、それで何か用事か?」
「実はさー7日にお祭りがあるんだけど一緒に行かない?」
「7日……あぁ終業式の日か」
武偵校は普通の公立高校などと違って休みが長く、一学期が今週の7月7日までである。
「まぁ別にいいが?」
「ほんと?やった♪」
理子は電話口でも分かるぐらいに声を弾ませて返事をした。
「それじゃあ祭りの日を楽しみにしてるからね!」
心を弾ませている理子はそれだけ言うと電話を切ってしまった。まぁ何も心配することは無いだろう。
そしていつものように食事を作るのだった。