緋弾のアリア〜黒鉄の拳闘士〜   作:零崎極識

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新たな力のawaking 7

 カジノに戻るとさっき遭遇したアヌビスのような奴が暴れていた。

 

「アリア!どこにいる!!」

 

 俺はカジノの中を駆け抜けながらアリアを探す。ひとまずは戦力の合流を優先すべきだ。そう思いながら駆け抜けているとキンジとレキを見つけた。

 

「京介!これは一体どういう状況だ!?」

「俺にもよく分からんがここは逃げた方が良さそうだな」

「いえ……これは……風が泣いています」

 

 レキが突然風がどうとかを言い始めた。俺はそれに会議的な目を向けるが俺よりも付き合いの長いキンジはここから逃げるという選択肢はないらしい。

 

「分かったよ……!だが危なくなったら逃げるからな!?」

 

 俺はやけになって叫びながらカジノを駆け抜ける。その間にもアヌビス兵の増援は減るどころか増えているような気がする。

 

「これじゃキリがない……親玉を潰した方がいいんじゃないのか……!」

「だがどこにいるか皆目検討がつかない……」

「……おそらくはあそこに……」

 

 アヌビス兵を切り抜けて外に出るといつの間にか巨大なピラミッドが海面に浮かび上がっていた。

 

「なっ……!いつの間に……」

「おそらく……あの中に……」

 

 とその時1台の水上バイクが近づいてきた。

 

「バカキンジと京介じゃない!ちょうどいい所にいた!今すぐこの騒ぎの元凶を逮捕しにいくわよ!」

 

 突然の出来事で思考が追いつかないまま何故か水上バイクに乗せられるキンジ。そして俺はその後ろにロープを結ばれた。

 

「……えっ、まさか引きずる気?」

「つべこべ言わないの!ほらいくわよ!!」

「ちょっ!おまっ……!!」

 

 抵抗する間もなく最初からフルスロットルでボートを走らせるアリア。波に攫われないように必死でしがみつく俺。そんな理不尽な状況の中でさらに追い打ちをかけるように後ろからアヌビス兵が追いかけてくる。

 

「おい!!俺今完全に丸腰なんだが!?」

 

 さっきの出来事で自分の装備を回収する間もなくボートに乗せられたためほとんど素手で犯人を捕まえようとしている始末である。

 

「心配しなくていいわよ、装備の回収は理子に任せたから!」

「そっちの心配じゃねぇよ!!!」

 

 そんな会話をしながらもアヌビス兵はこちらへ銃撃をしてくる。揺れる海面で銃を撃つだけでも相当難しいのにそれを当てようとしてくるからとても厄介だ。

 

「ちっ……!急げ!モタモタしてると追いつかれるぞ!」

 

 俺は必死にしがみつきながら怒鳴る。するとアリアの後ろでしがみついていたキンジがベレッタで正確に相手のエンジンを撃ち抜く芸当をやって見せた。こいつ……なりやがった。

 

「急いだ方がいいよアリア。僕らを嫉妬した犯人がもっと追っ手をけしかけてきそうだ」

「う、うるさいわね!!」

 

 何やら上でイチャイチャしているようだが急にボートの推力が落ちた。

 

「えっな、なんでこんなタイミングで……!?」

「おい、この状況はまずいぜ……相手から丸見えじゃないか……」

 

 その瞬間視界の端でキラっと光が見えた。脊髄反射で体を伏せるが狙われたのは俺ではなくアリアだった。体を撃ち抜かれその反動でボートから落ちていくアリア。 

 そして、それをかき消すかのように目の前に巨大な船体が浮上してきたのだった。

 

「キンジ……まさかお前がここまで来るとはな」

「兄さん……!!」

 

 そこに居たのは無骨な格好をしたキンジのお兄さんだった。そしてその横には意識を失ったアリアが転がっていた。

 

「大人しくアリアを諦めろ、そうするだけでいいんだ」

「……そんなこと出来るかよ!俺は……俺はアリアのパートナーだ、だからパートナーを渡す訳にはいかない!」

 

 正面を切って啖呵を切ったキンジを援護するために俺はボートによじ登る。

 

「遠山金一武偵ッ!お前を未成年者略取で制圧する!」

「行くぞ、一直線にな……!」

 

 俺は背中にキンジを載せると脚部のスラスターで巨大な船『アンベリール号』へと飛び移った。その奇想天外な方法に驚くことも無く1発の銃弾が俺に向かって飛来する。

 

「ちっ……!」

 

 義眼を解放した状態でも銃を抜く動作が見えずに迫り来る銃弾だけを視てどうにか着弾を回避するために無理やり体を捻る。体勢を崩されたために着地が上手くいかなかったものの、キンジはスマートに着地してくれた。

 

「……金一さん、あなたが立ち塞がるなら容赦はしませんよ」

「うるさいぞ京介ッ!これは兄と弟の戦いだ、邪魔をするな!」

「俺は兄さんにアリアの可能性を見せる……!」

 

 その時船体で大きい爆発音が響いた。

 

「ふっ……キンジ、今から40秒だ。40秒で俺を超えて見せろ」

「言われなくてもそうするさ……!」

 

 そしてキンジはベレッタを抜きトリガーを引く。すると金一さんの目の前で火花が飛び散った。どうやら銃弾を銃弾で弾いているようだ。

 

「ふん……その程度か?」

 

 1発の銃弾がキンジの肩に命中した。

 

「……見切ったぞ、兄さんの技術……!」

 

 残り20秒という短い時間で周囲には砂煙が舞い上がり黒煙と混じって視界が酷く悪い。だが、2人にはそんなことは関係なく3発の銃声が鳴り響いた。そしてどちらかが崩れ落ちる音が聞こえると同時にひときわ大きく船体が揺れる。

 

「キンジ……っ!!」

 

 煙の隙間から見えたのはキンジが船から落ちるところだった。慌てて助けに行こうとするも足元に銃弾が飛んできて足止めされた。

 

「京介、お前はここでお留守番だ」

 

 金一さんのその言葉に俺は睨みつけるような視線を返す。

 

「そう睨むなよ、お前に会わせたい人がいるんだよ」

「……分かりました」

 

 俺は金一さんに連れられて沈みゆく船の先端に誘導される。次の瞬間、海面に巨大な船が浮上してきた。その横に書いてある文字を見て信じられないような表情を浮かべていただろう。

 

「……ははっ潜水艦だったってわけか……!」

「あれに乗ってもらうぞ」

 

 次の瞬間、首筋に手刀を貰い抵抗するまもなく意識を失うのだった。

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