緋弾のアリア〜黒鉄の拳闘士〜   作:零崎極識

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師団会戦編
それは出会いのseason? 1


 イ・ウーの戦いを終えた俺たちに待っていたのは地位でも名誉でも無く、夏休みという宿題に追われる地獄だった。だが、キンジはそれよりももっと悲惨で結局単位が足りずに必死になっているようだった。

 

「あいつも馬鹿よねぇ」

「……何をしたらそうなるんだろうな」

 

 俺はアリアと2人で都内のファミレスに昼食を食べに来ていた。しかも珍しくアリアから誘ってくるというおまけつきだ。

 

「とは言ってもこれからについて話そうと思ってね」

「……というと?」

「チーム編成の時期が迫っているのよ。それでどういうチームにするか悩んでいるのよね」

 

 そう言いながらオレンジジュースをちびちびと飲むアリア。まるで小学生みたいだ。

 

「京介風穴」

「何も言ってないんだが……?」

「あんた私のことを小学生みたいって思ったでしょ」

「……お前はエスパーかよ」

 

 いつの間にアリアはESPを習得したんだ。

 

「って話題を逸らすな!どういうチームにしたいか考えなさいって言ってるのよ!」

「とは言っても……まずはメンツをどうするんだよ」

「メンバーは、私、白雪、理子、レキ、キンジ、京介で組みたいと思ってるのよね」

「あー悪いけど俺はパスで」

 

 俺は先手をうって断る。

 

「……理由は?」

「家の都合」

「はぁ?そんなんで納得出来るわけないでしょ?」

「そうは言ってもな……こればっかりは遥姉さんに直談判してもらうしか……」

「えっ、あの先生に……?」

 

 遥姉さんは他の生徒からすると極度のドSのように見られているらしい。俺の前では至極普通なんだが……

 

「まぁ……家の理由じゃあしょうがないわね……」

「すまんな、その代わり助っ人としてならいつでも呼んでくれ。どこにでもいつまでもいるからな」

「……それほとんどチーム契約と一緒なんじゃ……?」

「失礼な、法の抜け穴を使ったと言わせてくれ」

 

 アイスティーを飲みながらアリアに1枚の紙を渡す。

 

「何これ?」

「それを持っていれば俺を助っ人として使える。言わば俺の保険だな」

「……無くすとどうなるの?」

「俺の命が無くなる」

 

 厳密には紙がない状態で俺が助っ人しているのがバレると強制的に連れ戻されるだけなんだが。

 

「ふーん……じゃあ受け取っておくわね」

「ああ、それを持っていて要請してくれればいつでもいくぞ」

 

 そう言って俺はアイスティーを飲み切ってドリンクバーのお金を渡す。

 

「どこにいくのよ?」

「すまん、急用ができた」

 

 さっきの会話の途中に遥姉さんの姿が見えたため追跡するために席を立つ。

 

「はぁ……まぁいいわ、あとでまだ連絡するわ」

 

 何とかアリアに許しを得て店を出る。店を出て少し先に行くと喫茶店に入っていく遥姉さんを確認することが出来た。怪しまれないように何事もなくその店の前を通る時にチラッと中を確認すると、窓際の席でスーツの男とお茶をしてるのが見えた。

 

(あの男は誰だ……?)

 

 横目で見た限りだと目が細く、すこし痩せぎすの印象が残る。何やら深刻そうな話をしているみたいだがあまり近づくとバレてしまいそうだ。

 

 ひとまず近くのベンチに腰掛け鏡越しに喫茶店を監視していると糸目の男との話が終わったようで時間をずらして喫茶店から出てきた。

 

「あ、遥姉さん」

「あら京介、どうしたの?」

「たまたま見かけただけだよ、姉さんこそ何してるの?」

「ちょっと人と会う約束がね」

 

 隠し事をするつもりではないが恐らく学校関連のことで話をしてるのかもしれない。これ以上引き出すのは難しそうだ。

 

「そっか、大変だね」

「まぁね……それよりも京介はちゃんと約束守ってる?」

 

 約束とは誰ともチームを組まないということだろう。

 

「ちゃんと()()()()()()()()()よ」

「そう、それなら良かった」

 

 その後、一言二言話してお互いに別れることになった。その足で俺は自分の部屋へと帰る。部屋に帰るとティナがリビングで勉強をしていた。

 

「ただいまー」

「あっ、おかえりなさいお兄さん」

 

 俺が帰ってきたことに気づいたティナはとててと玄関まで迎えに来てくれる。その様子を微笑ましく思いながら自分の部屋へと向かい着替えをする。

 

「そう言えば私も夏休みに入りました」

「おっ、そうか……そしたらどこかでかけたい場所とかあるか?」

「えっ、いいんですか?」

「もちろんだ、最近あんまり構っていなかったしな」

 

 するとティナはニコニコと楽しそうにしながらテーブルに置いてあったパンフレットを手元に引き寄せる。

 

「ではお兄さん、このプールに行きませんか?」

 

 そこに書いてあったのは都内屈指の巨大プールで隣には遊園地もある所だった。

 

「おお、楽しそうじゃないか」

「そうですよね!ふわぁ……楽しみです……!」

「なら明日にでも行くか」

「やった!行きましょう!」

 

 いかにもルンルンと言った様子で跳ねながら楽しそうにしているティナを見て俺の心もホッコリとする。ひとまず明日に備えて俺はお金を下ろすことにするのだった。

 

 翌日、天気にも恵まれて暑さはあれど如何にも夏という気候の中目的地へと出かけることが出来た。

 

「お兄さん!すごいですね!」

「そうだな、かなり人が多いけどな……」

 

 さすが都内屈指のプールということだけあって人が沢山おり人酔いしそうになった。だが、そんなことはお構いなくティナは、楽しくてうずうずしているようだ。

 

「それじゃあ行くか」

「はいっ!」

 

 ひとまずは水着に着替えるために更衣室を探しなんとか見つけることが出来た。そして先に着替え終わった俺は少し離れた売店の前で待つ。

 

「それにしても……平和だな」

 

 待ちながらそんなことを思ってしまう。確かにこの前までは世界最強と言っても過言ではない相手とドンパチをしていたわけだが、世の中はこうも平和なのだと思うとやはり武偵として誇らしいとは思う。

 

「お兄さん……どうですか?」

 

 そんな思考をしているうちにティナは着替え終わったようで俺と合流することが出来た。ティナはシンプルなワンピース型の水着を着ていてとてもよく似合っていた。

 

「ティナの水着似合ってるな」

「あ、ありがとうございます……」

 

 ティナは視線を逸らしながら顔を赤くしていた。

 

「ま、とりあえず遊ぶか!」

「そうですねっ」

「というわけでまずはどこに行きたい?」

「えっと……ウォータースライダーに乗りたいですっ!」

 

 ティナの指を指すその先にはそこそこ大きなウォータースライダーがあり人もそれなりに並んでいた。

 

「よし、じゃあここから回っていくか」

 

 行列に並び待つこと30分、ついに俺らの番が回ってきてスライダーに飛び込む。俺は久しぶりにすべったということもありそれなりに懐かしさを感じ、ティナは初めてなのかものすごく楽しそうに滑っていた。

 

「お兄さん!これすごいですねっ!」

「なかなか長かったな」

 

 はしゃぐティナの話を聴きながら次は流れるプールへと向かう。流れるプールでもティナはテンションが上がり一緒にいる俺もすごく楽しかった。

 

「よーしそろそろお昼にするかー」

「そうですね、お腹がぺこぺこです……!」

 

 腕時計を見ると既に時間は1時を回っていた。少し遅めだが売店で買うことにした。そして売店に行くと1人の少女が何やら困った様子で立っていた。

 

「すみません、どうしました?」

 

 俺は助け舟を出すつもりで声をかけるとそれに驚いたのかビクッと肩を震わせて振り向いた。

 

「な、なんだい?」

「いや……困っているみたいだったから声をかけたんですが」

「そうだね……実は困ったことになっていてね……ここの売店だとクレジットカードが使えないみたいなんだ」

 

 そう言われて売店を見るとそこには確かに『現金のみ』と書かれていた。そしてその少女から腹の虫が鳴ったのが聞こえてきた。

 

「……なるほど、もし良かったら一緒に食べます?」

「え、いやいやそんな好意には……」

 

 再び鳴る腹の虫。そんな状況にティナがクスリと笑みを浮かべた。

 

「えっと、お姉さん……良かったら一緒に食べませんか?」

「そ、そうだね!せっかくだから甘えようかな!」

 

 そんなこんなで俺とその少女とティナと3人で少し遅めの昼食をとることになるのだった。

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