緋弾のアリア〜黒鉄の拳闘士〜   作:零崎極識

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Scarletは突然に 5

「それで……楽しいことっていったい何なんだ……?」

 

 理子の強調した楽しいことにわずかばかり寒気を感じながらそう尋ねると俺の動揺を感じ取ったのか慌てた様子で弁解してきた。

 

「そんなにビビるほどじゃないよ!?ちょっとばかり買い物に付き合ってもらうだけだよ〜♪」

「……それで本当に楽しめるのか?」

「理子りんにまっかせなさい♪」

 

 そして秋葉原に向けて歩きだした理子の後ろを嘆息しながらついていく。

 

 秋葉原は学園島からはそれほど遠くはなく、電車で1本なためか、武偵校の学生もそれなりにたむろしている。

 

 そんな状況だからこそもちろん知り合いにも出会うわけで……

 

「うおっ!?天童に……理子だとっ!?お前らそんな仲だったのか!?」

 

 驚きを隠せないでいたの車輛科(ロジ)の同級生『武藤 剛毅』だ。

 

「へぇ〜峰さん、天童君と付き合ってたんだね〜」

 

 その隣にはすっかり腐れ縁になった強襲科(アサルト)の『不知火 亮』だ。

 

「ケーくんと私はラブラブカップルなんだよ~♪」

「……こいつの妄想だから無視していいぞ」

「その反応は冷たすぎないかな!」

 

 無いことしか言わない理子の言葉を無視する勢いで突き放した俺にたまらず理子がツッコミを入れてきた。

 

「あー二人の会話をみて察したわ……」

「それもそれで失礼じゃないかな……?」

 

 武藤の言葉に不知火は苦笑いを浮かべていた。

 

「とにかく、俺と理子はそんな関係じゃない」

「えぇ~理子りんと熱い一夜を過ご……」

 

カチッ

 

「ん?何か言ったか?」

 

 流れるような動きで自分のSOCOMの撃鉄を起こすと理子は笑顔を固めたまま首を横に振るという奇妙な動きを見せた。

 

「……まぁ二人とも仲良くやれやー?」

 

武藤と不知火も引いたように言葉を濁すとそそくさと退散したのだった。

 

「やれやれ……早くデートを終わらせるぞ」

「……なんだかなぁ……」

 

 隣に居る理子は少しばかりテンションが下がったみたいだ。そんな理子に俺は少しばかり優しくすることにした。

 

「デートの間だけはもう少し優しくするよ」

 

 すると驚いたように一瞬だけ目を見開くと次の瞬間には、すっかり調子を取り戻して元気になっていたのだった。

 

 秋葉原という街はやはり、オタクの聖地とあってか人が多くあちらこちらにアニメやゲームのグッズといったものが所狭しと並んでいる。

 

「おおっ!これは最新のフィギュアじゃないですかぁ!!」

 

 俺には全くわからない世界だから口出しはできないが……理子の見ているフィギュアはなんと3万もするらしい。

 

「楽しんでいるみたいで何よりだ」

「あれ?ケーくんは楽しくないの?」

「……まぁ分かるものがあんまりないからな……とは言っても、理子の楽しそうな姿を見てるだけでほっこりするというか……まぁいいんじゃないか?」

 

 すると理子は顔を真っ赤にして急にしおらしくなった。

 

「ケーくん……いきなりそんなことを言われると恥ずかしいよ……」

 

 えっ……なんか変なこと言ったか……?

 

 そしてそのあとも理子ははしゃぎはするもののチラチラと俺の方を見るとまた赤くなるという謎の行為を繰り返していた。

 

 そうこうしているうちに日も暮れてあたりはすっかり夜の街へと様変わりしてしまった。

 

「それじゃあ……最後にご飯でも食べて帰ろっ?」

「そうだな……腹も減ったし、依頼結果も聞いてないしな」

 

 そして俺たちは駅の近くにあるすこしおしゃれな喫茶店に入った。どうやら理子の行きつけのお店らしく、店員さんと一言二言交わすと、おすすめの席に通されたのだった。

 

「理子……お前どんだけ人脈あるんだよ」

「ふっふっふっ……ここは私のホームだからね!これくらいは当然ですよっ!」

 

 理子はその大きな胸を張ってドヤ顔でそう言った。俺はその大きな胸をガン見しないようにそっと目を逸らす。

 

「およぉ?ケーくんも男の子ですなー?」

「……やかましいわ」

 

 気をとりなおしてメニューを開くとおしゃれな店ということもあってどれも美味しそうな反面、やはり値段もそれなりというものだった。

 

「おすすめはねーこのグラタンかな?」

 

 理子がそう言って進めてきたのは、ハンバーグとグラタンがセットになったものだった。確かに美味しそうだ。

 

「じゃあ俺はそれにする」

「OK♪それじゃ注文するね?」

 

 そして店員さんを呼ぶと俺の分と理子の分をそれぞれ頼んだ。

 

「それじゃ……ここからは俺の本題に入らせてくれ」

「いいよーそれじゃあ……まずは武偵殺しの手口からだね」

 

 さっきまでのふざけた態度からは打って変わって真面目なトーンで話を始めた。

 

「はいっこの資料を見ながら話を進めていくね」

 

 理子はカバンからA4サイズのファイルを取り出して俺に渡してきた。そこには1通りの資料が揃っていた。

 

「さすが理子……仕事が早いな?」

「それぐらいは公開情報だからね♪お茶の子さいさいですっ」

「それで……手口から話すんだったか?」

「そそ、資料を見てもらったら分かるんだけど……基本的にはその人が乗っている乗り物をジャックして追い詰めるみたいだねー」

 

 資料に目を通すと確かに被害にあった奴らはみんなシージャックやハイジャック……挙句にはチャリジャックにもあっているみたいだ。

 

「……ってチャリジャックにあった奴ってキンジの他にもいたのか……」

「そうみたいだねーでもその人はそれだけで終わってるみたい」

「……まぁチャリに爆弾とかどうあがいても無理だしな……」

 

 そう考えるとキンジは奇跡が起きたのか……

 

「そして……最後に起きたのは2009年12月のシージャックだね」

 

 資料を読み進めると最後に起きた事件の概要が書いてあった。被害にあったのは……

 

「この苗字……まさか被害にあったのは……!」

「そう被害にあったのは『遠山 金一』キーくんのお兄さんだね」

 

 なるほど……それでキンジは武偵をやめたがっているわけか……

 

「これを気に武偵殺しは活動をやめたわけだな?」

「そうだねーまぁ正式にいえば……犯人が逮捕されたんだけどね」

 

 次のページをめくるとそこには逮捕された人物の顔写真と刑期が書いてあったのだが、さらに俺は驚くことになるのだった。

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