理子とのデートを終えた翌日、いつものように目を覚まし外をみると天気は崩れ雨が降っていた。
今日はバスに乗っていくことにするか……そう思いながら準備をして出発した。海の方は晴れているから午前中のうちに天気は回復するだろう。
そしてバス停に着くと俺と同じようにバスで登校しようとする生徒で既にごった返していた。
「よお、京介」
「武藤かおはようさん」
「おはようさんだな、やっぱりバスで登校か?」
「当たり前だろ、こんな日に歩いたりチャリでいくやつはよっぽどの意識高い系だろ」
そう言いながらバスを待っていると時間通りにバスが来る。
「よしっバスが来たな!!」
それぞれの生徒がバスに乗っていく中ふと、携帯に着信が入った。どうやら理子からのようだ。
「もしもし?」
「ケー君おはよっ!」
「おはようというか……お前もう学校にいるの?」
「ううん?まだ部屋ー」
「遅刻じゃねぇか!?」
思わず電話越しでツッコミを入れてしまった。周りの生徒が俺に訝しげな目を向けながら次々とバスに載っていく。
「なぁ、俺今からバスに乗るからまだ後でいいか?」
「えー!せっかくだから迎えに行こうか?」
「……この雨の中バイクでダンデムとか言わないよな?」
「えっその通りだけど?」
「付き合いきれねぇよ!!」
そんなアホなやり取りをしているとバスの扉がしまった。それと同時にキンジが滑り込みでバスに乗ろうとしたが武藤に乗車を拒否られていた。
「残念だったな!キンジ!2限で会おう!」
「てめぇ!覚えてろっ!」
あとに残ったのは置いていかれたバカ2人だった。
「……はぁ……遅刻確実だが……歩いて行くか」
「そうだな……」
仕方なく俺とキンジは雨の中2人で歩いて学校に向かう。
「そういや、京介お前昨日理子とデートしてたな?」
「……誰から聞いた?」
「たまたま見かけただけだ」
武藤と不知火に見つかっていた段階で他の人にもバレていると思ったがキンジにもバレているとは……
「……まぁ依頼のうちだからな」
「何の依頼の報酬なんだよ……」
「そこは守秘義務に則って秘密だ」
そんな話をしていると不意にキンジの携帯が震えた。
「すまんな」
そしてキンジが電話に出ると次第に顔色が変わっていった。
「マジかよ、てか
そして二三言話すと電話を切った。
「今からすぐに強襲科の屋上にC装で来いって」
「誰からだ?」
「アリアだ、なんでもバスジャックが起きたらしい!」
どうやら厄介事に巻き込まれたようだ。
すぐさま装備を整えて強襲科の屋上に行くと同じようにC装に身を包んだアリアが待機していた。
「遅いわ2人とも!」
「すまんな、キンジが遅くて」
「なっ!?京介てめぇ……!」
「漫才はいいからブリーフィングするわ!」
そしてアリアが
「いい、私とキンジでバスに乗り込むわ。京介とレキでヘリから射撃支援、これでいい?」
いつの間にかいたレキにもかくにんするように作戦を伝えていた。まさか……
「京介っ!聞いてる!?」
「あぁすまん、それで……2人が突入したあとに援護すればいいんだよな?」
「それで問題ないわあとは……キンジがどこまで使えるか……」
そう言いながらアリアはキンジに話しかける。
「アリア!俺はそんな作戦についていけないんだが!?」
「うっさい!いいからやるの!心配しなくてもいいから!あんたは私が守るから!」
そんな話を聞きながら俺はアリアが狙撃科から借りてきた『PSG-1』の零点規整をした。
「痴話喧嘩は済んだか?」
「「痴話喧嘩じゃない!!」」
「お二人共仲がよろしいことで」
そんなこんなで準備を終えた俺たちはヘリに乗り込みバスへ向けて出発した。しばらく飛ぶと武偵校のバスが見えてきた。その後ろには何台かの車が追跡しているようだった。
「いい?作戦通りに行くわよ!」
アリアはそういうやいなやヘリから飛び出しパラシュート降下でバスの上に乗り移った。キンジもそれに遅れてなんとか着地したようだ。
「さて……俺も仕事をしますか」
揺れるヘリの中でしっかり伏せてPSG-1のスコープを覗き込み追跡車両のタイヤを狙う。息を吐き……止めて引き金を引く。
放たれた弾丸は正確に狙った位置へ着弾し、車は回転してクラッシュした。
「私は一発の弾丸、故に何も考えずにただ目標へ飛ぶのみ」
隣にいるレキはしゃがみ撃ちの体制で追跡車両の銃座だけを正確に吹き飛ばしていた。さすがSランクだ……
「あとはあの二人だが……」
スコープで2人を見ているとどうやらアリアとキンジは2人ともヘルメットを失ったらしくむき出しで外に出てきていた。2人を見るあまり監視がおろそかになったようでバスの後から猛烈な勢いで迫ってきた車の対処に遅れてしまった。
「ちっ……!」
すぐさま対処するために車を狙撃するが、1歩遅かったようでアリアたちに銃撃を許してしまった。アリアから血が飛び出てそれと同時に狙撃した車がクラッシュし、バスに仕掛けられていた爆弾はレキが処理したようだ。
「くそっ……!」
武偵校の生徒を助けることはできたがこの作戦の結果に俺は苦いものを感じずにはいられなかった。
どうにかバスジャックを解決した俺たちだが、アリアは病院に搬送され俺とキンジは午後から授業に参加することになった。授業中はキンジは心ここにあらずのようで見ている俺の方が辛かった。
おまけに理子も登校していないようで妙に静かだった。放課後俺とキンジは真っ直ぐにアリアが入院している病院に向かった。
「アリアっ!」
病室に入ると既にアリアは元気になっているようで少し悲しげな表情をしていた。
「何よ2人して、そんな心配そうな顔をして……」
「運ばれた当初は意識が無かったから心配したが……元気そうで何よりだ」
俺はアリアにそう言いながら花瓶に差し入れの花を差し込んだ。
「ただ……まさかキンジがあそこまで無謀だったとはね……」
ぼそっと呟いたアリアの言葉にキンジが噛み付いた。
「……言っただろ、俺はお前のパートナーにはなれないって、だから……俺とかかわらないでくれ」
「はぁ!?それでも良いって言ったのは私よ?この怪我も私があんたを守るためにおったものだから気にしなくていいのよ?」
アリアは慰めるようにキンジにそういうがキンジはさらに言葉を重ねる。
「だいたい、お前が全部勝手に決めるからこんなことになったんだ!お前は俺を過大評価しすぎなんだよ!!」
「少なくてもあんたにはそれだけの力があるのよ!!それを出せないからって言い訳にしないで!」
だんだんとヒートアップする2人に俺はただ無言で成り行きを見守っていた。
「……もういい私が探していたパートナーはあんたじゃ無かったのね……」
そう言い放ったアリアの顔はひどく悲しそうだった。
「ああそうだ!俺はお前のパートナーにはなれねぇんだよ!!」
そう言うとキンジはそのまま病室を出ていってしまった。あとに残ったのは完全に意気消沈したアリアと俺だけだった。
「……ごめん、京介ももう帰ってくれない……?」
「まぁ……コンビを組んだら喧嘩もあるから何も言わないが……少なくてもお前は1人じゃないからな、何かあったら声をかけてきてもいいからな?」
俺もそれだけ言うと病室から出ていった。
バトルが書きたいのに……書けないジレンマ(´;ω;`)