緋弾のアリア〜黒鉄の拳闘士〜   作:零崎極識

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Scarletは突然に 8

 翌日、アリアは入院したままで学校に来ることは無かった。それどころか急遽イギリスに帰るということで話が変わったらしく明日出発のようだ。もちろん、本人からは何も連絡がなかった。

 

「……ったく、遥姉の情報が無かったら見過ごしてたぜ……」

 

 俺は心の中で遥姉に感謝して見送るためにちょっとしたプレゼントなんかを選ぶために放課後寄り道をして学園島のデパートを見て回っていた。

 

 そう言えば理子は今日、午前中で早退してたからなんかあったんだろうか……心配だな。

 

 理子への差し入れも買ってデパートを後にすると不意に携帯が震えた。かけてきたのは理子だ。

 

「もしもし?」

「ケー君、すぐに女子寮の屋上に来て。話したいことがある」

 

 今日の理子はやけに真面目で少しばかり違和感を覚えたが言う通りに女子寮の屋上に向かった。正面から入ると何を言われるか分からないのでこっそりと非常階段を登っていく。

 

 そしてどうにかして屋上へたどり着くと街並みを憂いた表情で見つめる理子が待っていた。

 

「早かったねケー君」

「……今日はやけに真面目じゃねぇか、いったいどうした?」

 

 自分が感じた違和感を直接聞いてみると理子は何も言わずにワルサーを抜き俺に構えてきたのだった。

 

「ねぇ、私はケー君が欲しい。ケー君……いっしょに来て?」

「行くったって……どこにだよ」

 

 銃を向けられているとはいえ慌てることなく冷静に受け答えをする。

 

「私は……『イ・ウー』の生徒、そこはお互いの能力を学び合う場だよ?いっしょにそこにいこうよ?」

「悪いが断る。それに……そんな悲しそうな理子は見たくない」

 

 俺はきっぱりと断り腰のホルスターからSOCOMを抜き放つ。

 

「銃を向けたからには撃たれる覚悟はあるんだよな?」

 

 チェンバーに弾を込め撃鉄を起こしてしっかりと狙いを付ける。それに呼応して理子も俺の体に狙いを付けた。

 

「そっか……残念だねー」

 

 バンバンッ!

 

 そういうやいなや引き金を引いて発砲してきた。狙いは俺の腕だ。すぐに意識を切り換えて対処し、一瞬にして引き伸ばされた時間の中で、迫り来る弾丸を避けカウンターのようにSOCOMでワルサーを狙い撃つ。

 

 ガウンッ!という音をたてて理子のワルサーが砕けるがお構い無しに間合いを詰めてきた。理子の両手には小太刀が握られており切りかかってくる。

 

「動きが遅いんだよ……!」

 

 ゆっくりと迫る剣を横合いから拳で殴り無理やり軌道を逸らす。

 

「嘘っ!?」

「隙だらけだな……!」

 

 剣を振り下ろした隙をついてそのまま後に回り込み、

理子を抱きしめた。突然の事でフリーズする理子に俺は耳元で語りかけた。

 

「理子……すまない、どうしてもお前のその顔が辛そうでならないんだ……良ければ話を聞かせて欲しい」

「……ケー君……」

 

 すると理子はその場にワルサーを落としそのまましゃがみ込んだ。

 

「ケー君……私を助けて……!私はもう……耐えられないの……!」

「何があったんだ?」

 

 理子はポツポツと自分の置かれている状況を説明してくれた。どうやら、イ・ウーでブラドというやつに監禁させられそうになっているらしく、それを回避するためにはアリアに勝たないとダメだそうだ。

 

「……ケー君……どうしたらいいか私わかんないよ……!」

「そうだな、一番は元凶を倒すのが一番いいんだが……そうも言ってられない以上、アリアに勝つしかないな」

 

 少なくても理子とアリアの実力差がどんなものか知らないため確実なことは言えないが本当にそんな状況に置かれているのから助けたい。

 

「理子、1つ尋ねていいか?」

「……何かな?」

「アリアとはどこで決着をつけるつもりだ?」

「……飛行機のなか」

 

 それを聞いて、脳裏にとある可能性が思い浮かぶ。

 

「理子……()()()()()()()()()?」

「なんでそう思ったの?」

「なに……今可能性のひとつとして思い浮かんでな。理子はアリアを倒すために罠を仕掛けた。アリアのお母さんが無実で捕まった武偵殺しの手口を真似てな」

 

 理子は黙ったまま俺の話に耳を傾けている。

 

「それで……キンジのチャリジャック、バスジャック、そしてアリアにとどめを刺すための()()()()()()。前の時も同じように三回目は直接戦ったんだろ?」

 

 俺は資料で見たキンジのお兄さんの写真がちらつきながら理子に確認を取る。

 

「……そんな観察眼があるのにEランクなんてもったいないよ、あんなところよりもイ・ウーの方がいいよ」

「だが、あいにく俺は本気は出さない主義なんでな、どこに行っても同じさ」

 

 理子と向かい合った俺は肩を竦めながらゆっくりと距離を取って銃を腰のホルスターにしまった。

 

「本来だったら俺は理子に味方して決着をつけるんだろうが……こればっかりは支援はできない。だが近くで決着は見届けるさ」

 

 それだけ言うと女子寮の屋上から立ち去るように非常階段へと進んでいくのであった。

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