敵対する者を、眩しい輝きすらも飲み込む漆黒。
だが、惹かれていたのも確か。その暴力的な力を。
人理継続保障機関フィニス・カルデア、人類の絶滅を回避するためにあらゆる技術を結集して作られた機関である。
人類焼却という前代未聞の出来事とカルデア内部で起こった事故によって最後のマスターとなってしまった藤丸立香。
後輩たるマシュ・キリエライトがデミ・サーヴァントとなり、十字架型の盾を触媒とした召喚円陣を形成した。
その召喚円陣を使うのが立香だ。唯一のマスターであるために必然的に行う事になる。
触媒はたった一つ。出会ってきたサーヴァントとの縁だ。本来ならばマスターと性質が似ている者が召喚に応じるのだが、召喚円陣が宝具であることがあらゆるサーヴァントを呼べる要因になっているのだ。
立香は手にした聖晶石と呼ばれる魔力の満ちた結晶を召喚システムの上に置く。
今回は4つ用意した。4つでシステムが起動するのだ。立香はシステムから光が溢れ、起動を確認すると詠唱を始める。
祭壇となっているのはマシュの盾、聖遺物となる自分の縁を信じて。
この召喚方法にも欠点がある。縁によってサーヴァントを引き寄せるのだが、その過程で概念礼装という因果による現象を固定化した物も引き寄せてしまうのだ。
この欠陥はあらゆる時代へのレイシフトによって起きてしまうもので、故にサーヴァントが呼ばれるという保証はない。
◇
「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。 繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」
「―――――Anfang」
「――――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」
「汝三大の言霊を纏う七天、 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
柱が伸びていくかのように光が溢れ、一つの紋章が出てくる。その紋章に火花が走り、銀色から金色へと変化し再び光の輪を形成した。
その円の中心に一つの人影があった。サーヴァントを呼び寄せることに成功し、紋章に浮き上がっていたのはセイバーの紋様であった。
「・・・・召喚に応じ参上した。貴様が私のマスターとかいう奴か?」
黒いドレスのような鎧、威圧的だが威厳のある態度。顔を隠すように身につけている仮面のようなバイザー。極めつけは漆黒に染まった黒き聖なる剣。
その姿を立香とマシュは覚えていた。初めての特異点である特異点Fにおいて立ちはだかったサーヴァント。
「アーサー王・・・・だね?」
「その声は・・・どうやら貴様とは奇妙な縁があったようだな?カルデアの最後のマスターよ」
「覚えてるの?」
「ああ、座へと還ったはずなのに貴様との記憶だけはな・・・」
黒いアーサー王。セイバーオルタとも呼ばれる彼女は威厳を保ちつつも懐かしいという気持ちを押さえ込んでいた。
「これからは敵ではなく。お前のサーヴァントとして私に頼るといい」
「ありがとう!」
「だが、貴様が膝を屈した時・・・その首を頂こう」
厳しい発言とともに、セイバーオルタは黒い聖剣のきっさきを立香の首元に突きつけた。
抗い、戦い続けるのならば、邪龍にも近くなった漆黒の騎士王は力を貸すと言っている。
だが、敗北を認めた時は自分を食らうと言い放ったのだ。
「うん、わかった」
「いいだろう。契約は成立だ」
「あ、一緒にハンバーガー食べない?美味しいよ!」
「む?良いだろう付き合ってやる」
◇
「もっきゅもっきゅ・・・もっきゅもっきゅ!」
「すごい・・ハンバーガーを一人で20個も」
よほど気に入ったのか、セイバーオルタは立香に目もくれずハンバーガーを食べ続けている。
「あの・・・これ、おかわりね」
「何!?いいのか!・・・・よろしく頼むぞ、マスター」
「うん、改めてね!」
おかわりのハンバーガーを見ながら、顔を赤くして答えるセイバーオルタを笑顔で見つめながら、次の戦いへと赴くことを考える立香であった。
第一弾は黒いアルトリアことセイバーオルタです。
結局は餌付けされるパターン。
次は誰にしようか・・・。
最初ということで今回だけは聖晶石が四つ必要だった頃で書きました。
次回からは3つになります。
では、次回に。