イベントは関係ありません
※注意
呼符が10枚で来るわけねえだろ!10連の方は最低でも30連だろ!とかの意見があると思いますが、あくまでも召喚による再会がメインですので、ガチャの概念は無いものとして読んでください。
それは一つであったものが二つに分かれた。昼と夜、太陽と月、光と闇、地上と冥界、あらゆるものは表と裏で成り立っている。
はるか古代、地下がまだ冥界と繋がっていたウルクの時代。その中で意思を持った一つの存在。
女神の核となる存在が生まれた時、その核は二つに別れ、地上と冥界へと向かっていった。
一方は光と生の恩恵を受け、美しさと豊穣、戦いの女神と称され金星を司るとも言われる存在になった。
もう一方は闇と死の恩恵を受け、病魔と静寂、深淵の女神と称され死を司ると言われる存在になった。
二つに別れた姉妹の女神は互いに反発し合い、解り合う事もしないまま時は流れていった。
だが、深淵の女神は妹である金星の女神の行動が羨ましかった。煌びやかな光、楽しい宴、笑い合う人々。
閉ざされた冥界においては何一つない、真逆に映るすべてが眩しかったのだ。
冥界において肉体から解き放たれた魂に自我はほとんどないに等しい、持っていたとしてもそれは生前において負の感情が爆発し、それを晴らさねばならないほど汚染されたものだけだ。
そんな中、深淵の女神は神からすれば小さすぎる存在、それでも懸命に照らし続ける一つの光と出会った。
人の身でありながら英霊との交流を持ち、三女神同盟に挑んできた。妹である金星の女神までもが、その人間に力を貸していたというのだから驚きだ。
特異点となったウルクに最大最悪の厄災、人類悪が出現した。その時にあのウルクの王ですらその人間に力を貸していた。
冥界の女神たる自分に出来る事がないかと考えた深淵の女神は、自身が司る冥界において最大の禁忌を破った。
それは光たる人間とその従者たる半英霊に冥界の加護を与えるというものだ。これは己自身が定めた法を己で破るに等しいものであった。
だが、人類悪である原初の母を相手では光は飲み込まれてしまう。それを理解したからこそ深淵の女神は自ら女神の禁忌を破り、光に加護を与えた。
それが己自身の消滅になってしまおうとも・・・・。
◇
人類史修復を完了させ、亜種ともいえる特典を修復している最中、立香はその手にある物を持っていた。
それは呼符と呼ばれ、召喚の補助に使う物である。七日目の業務をこなし、特別報酬として貰えるものだ。
「先輩?召喚システムを使うのですか?」
「うん。ダヴィンチちゃんによると今はウルクとの霊基が繋がりやすくなっているそうだから」
「今回は私も見学させてちょうだい」
マシュの隣へ現れたのはイシュタル、ウルクの女神の一人で戦いの女神とも呼ばれている。今は諸葛孔明の寄り代となっているロード・エルメロイⅡと同じく、性質が最も似ており聖杯戦争に関連した人物を寄り代として現界した擬似サーヴァントである。
「イシュタル?珍しいね」
「英霊の召喚には私も興味深いのよ。あなたの縁は特別なものがあるのかもしれないし」
「それじゃ、始めるね?」
手にしている呼符は10枚、これまでの極小な修復や業務日程等をこなしながら貯めてきたものだ。立香は自分の勘が、今召喚しなければならないと言っているのを感じ、召喚を決意したのだ。
呼符を召喚サークルへ置き、起動させる。呼符は聖晶石とは違い、一枚ずつ使わなければシステムに負荷がかかり正常に機能しないのだ。
「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。 繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」
「―――――Anfang」
「――――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
「なんだか・・・懐かしく思えるわね」
召喚の様子を見ているイシュタルはどこか懐かしく思える感覚が走った。おそらく自分の寄り代となっている人物が懐かしんでいるのだろう。
「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」
「汝三大の言霊を纏う七天、 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
一枚ずつ呼符を消費していくが、出てくるのは概念礼装と召喚されているサーヴァント達ばかり、そして最後の一枚を使用する。
使用した瞬間、三つの光が重なりサーヴァントである事を示す紋章が現れる。それは槍兵を示しておりクラスはランサーだ。
更にはまるで電気が走り始めたかのように、銀色の紋章が金色へと昇華し、その姿が現れた。
「サーヴァント・ランサー。冥界の女主人、エレシュキガル。召喚に応じ参上したわ。一個人に力を貸すのは不本意だけど、呼ばれた以上は助けてあげる。感謝なさい」
「・・・。・・・・・・。・・・・・・・・・。って、なんで黙っているのかしら!?私、立派な女神なんですけど!」
「エ・・・エレシュキガル?」
「その声・・・もしかしてカルデアのマスター!?という事はここはカルデア?」
「あ、会いたかったよぉぉぉぉーー!!」
「きゃあ!?ちょ、ちょっと!いきなり、なんなのだわ!?」
立香に抱きつかれて慌てふためくエレシュキガルを横目にマシュは目元に涙を溜めながら笑っており、イシュタルは複雑な心境だったが声をかけた。
「遅かったじゃない。あまり待たせすぎるのも良くないわよ?」
「イ、イシュタル!?アンタまで此処に呼ばれてたの!?」
「まぁね。私との縁があったのだから、来るんじゃないかと思っていたけど」
「・・・・っ」
ウルクでの決戦終了時、立香はイシュタルの嘘を見抜いていたのだ。禁忌を犯した女神が消滅しないはずがない、それを心のどこかで感じ取っていたのだ。
その時に立香はイシュタルの嘘を気丈に振る舞うためのものとして受け入れていた。いくら反発し合っているとはいえど、自分と同質であり、姉妹でもある存在が居なくなる事は悲しいものだ。
しばらくして立香はエレシュキガルから離れると笑顔でその手をとった。ようやく再会できたという思いを込めているかのように、エレシュキガルにとって立香の手は暖かかった。
「いつもなら皮肉るところなんだけど、マスターも居るからね。やめておくわ」
「それと、エレシュキガルさん。私も先輩も言っておきたい言葉があったんです」
「うん、そうだね!マシュ」
「私もよ」
その言葉にエレシュキガルは一瞬たじろぎながら、聞く覚悟を固めた。
「な、何かしら?」
「お帰りなさい!」
「お帰りなさい、エレシュキガルさん!」
「お帰り、エレシュキガル」
お帰りなさい。この一言にエレシュキガルが涙が溢れそうになった。だが、彼女はそれをこらえ自分に出来る最高の笑顔で応えた。
「ええ!みんな、ただいまなのだわ!」
初の星5はエレシュキガルでした。
本来、イシュタルとエレシュキガルは反目し合っているのですが、此処ではウルクでの決戦時の出来事をイシュタルは記憶している状態にしています。
次回はルートに戻ります。