十二の異常な関係   作:ボルメテウスさん

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兎の手は開く

走り続けると、ようやく追っ手を撒く事が出来たようだ。

 

「ここまで来れば、大丈夫そうだね」

 

その言葉と共に砂粒さんは言うと、その場に座り込む。

 

ぼくも同じように座った。

 

「それにしても、相変わらず君は色々な事に巻き込まれているね。

 

よく戦場に会うけど、まさか十二大戦でも会うとはね」

 

「ぼくとしても、結構不本意ですけど」

 

戦場についてに無理矢理巻き込まれたというのが正しく、何故か巻き込まれる事は多い。

 

しかし、今回の件に関しては、ぼくだって巻き込まれるつもりはなかったが、何時の間にか送り込まれていた。

 

「それで、砂粒さんは、この十二大戦のルールに関して知っているんですか?」

 

「まぁね」

 

「良かった」

 

寝住は途中までしか聞いていなかったから、詳細が分からなかったので、不安だったので、良かった。

 

「寝住君は」

 

「あの時は逃げるのが必死だったからな」

 

「あぁ、確かに。

 

それじゃ、私から今回の十二大戦のルールを説明するね」

 

そう言い、砂粒さんはゆっくりと話し始める。

 

「今回の十二大戦に関しては、全て君が中心になっているの。

 

優勝する方法としては複数あるけど、まず一つ目だけど制限時間を越え、生き残った君に優勝者を決めて貰う」

 

「えっ?

 

それって、ぼくが死んだら優勝できないじゃないのでは?」

 

それを考えたら、俺の命を狙っていた異能肉がぼくの命を狙った訳が分からない。

 

「それが二つ目の優勝方法。

 

君を殺した戦士が、制限時間を越えれば優勝できる。

 

そして、反対にその戦士を殺して、制限時間を優勝できる」

 

「あぁ、そういう事か」

 

それを考えれば、恨みを持っているあいつにとっては、まさにうってつけのルールな訳か。

 

「それで、俺としてはこいつを生き残らせたいけど、そっちの平和主義のあんたとしては」

 

「私としても勿論賛成だよ。

 

だけど、問題が私達以外だよね」

 

その言葉にぼくはゆっくりと聞く事にした。

 

「その、他の参加者について分かる事で良いから教えて下さい」

 

それと共に砂粒さんはゆっくりと語り始めた。

 

「そうだね。

 

まずは味方になりそうな戦士だけど、私の予想では『午』『丑』『未』『戌』の4人だと考えているの。

 

結構有名な話だけど、君は色々とあって、背中を任せられている関係だよね」

 

「確かに、もしもぼくが知っている4人だったら、その可能性はあるよ」

 

「うん。

 

だから、なるべくだったら、この4人とはなるべく合流したい所だね。

 

それで残りの6人の内3人、『亥』『辰』『巳』に関しては確実に君と敵対しているから」

 

「まぁうん」

 

それは分かり切っている事実なので、特に何も言わなかった。

 

「そして、私としては特に大きな問題なのは、残りの3人かな」

 

「『酉』のお姉さんはかなりお前に執着持っているからな。

 

本来ならば隠しているはずのこの能力を全開に使っているという事は、たぶんお前に関して無事なのは確定するけど」

 

「他の戦士に関しては分からないな」

 

実際問題、鳥に追いかけられている時にぼくに対してはほとんど攻撃を仕掛けなかったが寝住には容赦なく攻撃を仕掛けていた。

 

その事を考えてもぼくは大丈夫だとしても、他のメンバーが危険だ。

 

「『寅』の戦士も結構未知数だからね。

 

君は何か知っているの?」

 

「休日になると、よくぼくの家に来て、膝枕を要求される」

 

「……」

 

「あと、たまに性的に喰われそうになる」

 

「うん、とりあえずそれは後回しにしましょう」

 

ある意味、これまで表にならなかった問題が出てきた。

 

「最後に『卯』の戦士に関してだけど「ねぇ、それって僕の話?」っ」

 

声が聞こえ、見れば、そこには何時の間にか立っていたのか、彼がいた。

 

ホットパンツとサスペンダー、巨大なウサギの尻尾の飾りとうさ耳カチューシャを付けている異様な存在。

 

「彼が一番分からない戦士である『卯』の戦士憂城だよ」

 

その言葉にある意味、賛同できる。

 

憂城はある意味、全てを戦闘に思考を置くように育てられ、死体としか友達になれないと考えを叩き込まれた。

 

それ故に、ある意味子供のような言動も目立ち、敵に回すと厄介な人物である。

 

「それで、何か説得する方法は」

 

「まぁ、ある意味、運頼みだけど、あるよ」

 

その言葉と共にぼくはゆっくりと出てくる。

 

「やぁ、久し振りだねぇ」

 

ぼくが出てきた事を見てか、憂城は笑みを浮かべる。

 

それはとても狂気に満ちており、同時に純粋無垢ともいえる顔だった。

 

「それで、今回もぼくを友達にしたくて来た訳か」

 

「そうだよ。

 

ぼくとしては、君とはすぐにお友達になりたいけど、君との約束も破りたくないからね」

 

「約束?」

 

憂城の言葉に寝住は疑問に思うが

 

「あぁ、毎回、簡単なゲームで勝敗を決める。

 

ぼくが勝てば憂城は僕の言うことを聞く。

 

反対に憂城が勝てば」

 

「ぼくのお友達になってもらうよぉ!!」

 

それと共に手に持った凶器をこちらに見せつけてくる。

 

憂城の言うお友達は死体の事。

 

つまり、ぼくが殺される事を意味する。

 

「それは、あまりにも危険だよ」

 

「けど、ある意味、これしか機会はないからな」

 

見れば、憂城の武器にはまだ血がついていない。

 

それはまだ誰も殺していない状況が見て分かる。

 

ならば、ここで憂城をこちら側に引き込めば、犠牲者は少なくできる。

 

「それでぇ、ゲームの内容はぁ?」

 

そう言いながら憂城はこちらに尋ねる。

 

ぼくはそれに対する答えを行うように、ポケットに手を入れ

 

「今回のゲームは『ジャンケン』だ」

 

そう告げた。

 

「ジャンケン?」

 

「あぁ、制限時間がある以上、すぐに勝敗をつける事ができるジャンケンが一番良いだろ」

 

「う~ん、確かにぃ」

 

ぼくの提案に対し、憂城は特に否定する事なく納得した様子を見せる。

 

まず、一安心かな。

 

内心でぼくは安堵の息をつく。

 

「それじゃ、行くよ」

 

「うん!」

 

その言葉と共に、ゆっくりと構える。

 

「「最初はグー!」」

 

今、まさに命懸けのじゃんけんが始まろうとしていた。

 

ぼくは思考を止めないように、目の前にいる相手が繰り出すと思われる手を予測していく。

 

じゃんけんの相手である憂城は異常で幼稚な部分が見られるが、その戦闘センスは高い。

 

身体能力も高く、まさに兎を思わせる跳躍力を持つ。

 

だからこそ、このじゃんけんを勝つ事ができれば、味方になるのはありがたい。

 

しかし、負ければ死ぬ事が確定している以上、決して思考を止めてはいけない。

 

憂城が出す手はグー、チョキ、パーの内のどれなのか。それを予測し、対処するしかないのだ。

 

だが、憂城の表情や仕草からは何も読み取れない。

 

未だに狂気染みた笑みをこちらに見せており、その感情すらわからない。

 

だからと言って、直感に頼れば良いのか。

 

それは否である。

 

単純なじゃんけんでも相手は戦士。

 

ぼくの手を見て、一瞬で変える事も可能だ。

 

ならば、ぼくができるとすれば、それを騙す事である。

 

それならば、選ぶべき手は

 

「「じゃんけん」」

 

それと同時に僕と憂城の手は同時に振り下ろされる。

 

そして、振り下ろされる直前まで僕の親指が他の指を抑えつけられていた。

 

それを見た憂城は笑みを浮かべながら、手を広げる。

 

この時点では確かにグーに見える。

 

確かにその形はグーに近いだろう。

 

けど違う。

 

僕はこの時すでに、自分の左手を振り下ろしている。

 

そう、この時点で僕の勝ちが決まった瞬間であった。

 

そして、憂城が出した手は…… ーーーパーだった。

 

それに対して

 

「チョキ」

 

ぼくの手を見た憂城は疑問に思ったように首を傾げる。

 

「そういう事」

 

そのままぼくは何事もなかったように手のチョキを見せつける。

 

「負けちゃったかぁ」

 

そう言いながら、憂城は残念そうに自分のパーを見る。

 

「ぼくの勝ちだね。

 

という事で、言う事、聞いて貰うよ」

 

「わかった」

 

ぼくの言葉に憂城はあっさりと了承する。

 

「それで、今回は何なの?」

 

「ぼく達と一緒に行動してくれないか?

 

あと、今回はお友達作りは禁止」

 

「仕方ないなぁ。

 

はぁ、残念だなぁ」

 

ぼくの頼みに憂城はやや不満げながらも承諾してくれた。

 

「という事で、憂城!

 

2人に自己紹介を!」

 

「分かった!ぼくの名前は憂城です。よろしくお願いします」

 

ぼくの呼びかけに応じ、憂城は元気よく挨拶をする。

 

「あははは、なんというか、結構変わっているとはおもっていたけど、ここまでとはね。

 

とにかくよろしくね、憂城君」

 

そう言い、砂粒さんは握手をするように手を出す。

 

すると、憂城は疑問に思うように首を傾げる。

 

「んっ、握手だよ、握手」

 

「握手」

 

ぼくの説明を聞き、憂城も納得したように手を握り返す。

 

「うん、よろしくね」

 

「よろしく」

 

そして、憂城と砂粒さんの握った手が離れる。

 

「なんだか、少し不思議。

 

お友達じゃないけど、なんだか嬉しい」

 

そう言いながら、憂城は笑みを浮かべていた。

 

「ねぇ、もしかして、だけど」

 

そんな憂城の様子を見て、砂粒さんはぼく話しかける。

 

「あぁ、戦闘の為に異常に育てられた。

 

だから、ある意味、当たり前の関係を築くのは難しい」

 

「なるほど、だったら、この戦いの間だけでも、彼を少し変える事ができれば良いけど」

 

未だに事態は解決していないが、砂粒さんのお節介な部分が出てきた。

 

「それで、次は誰を探すの?

 

このまま闇雲に探しても分からないけど」

 

「そうだね。

 

ねぇ、憂城君は私達以外で誰かに出会った事あるかな?」

 

「んっ、うん、会ったよ!」

 

「本当か!」

 

その言葉にぼく達は思わず詰めかける。

 

「どこに?」

 

「えぇっと、確か」

 

その言葉と共に憂城の案内が始まった。

寝住達が出会った戦士は

  • 失井
  • 妬良
  • 断罪兄弟 兄
  • 断罪兄弟 弟
  • 必爺
  • 庭取
  • 異能肉
  • 迂々真
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