憂城に案内された場所。
そこは、まるで廃墟のような場所で、壁はひび割れ、天井からは所々、鉄骨が落ちている。
そんな場所に一人の男が立っていた。
「よぉ、まさかこんな所で会うとは思わなかったぜ」
「怒突さん!」
ぼくは驚きながらも声をかける。
近くの保育園に勤めている保育士であり、彼の娘に関わる事件に巻き込まれた事をきっかけに知り合いになった。
彼はぼく達に気付くと、ゆっくりとこちらを見る。
「鼠に、猿。
さらには兎までいるとは、予想よりも戦力は整っているようだな」
「いや、別に戦争する気もないですし、何よりも巻き込まれただけですから」
「ふぅーん、まあ、そういう事にしておくか」
そう言って、怒突さんは獰猛な笑みを浮かべる。
「まぁ、こちらとしては生き残りたいからな。
俺単独ではおそらくは生き残る可能性は低いだろ。
だから、俺はお前達を利用する。
それだけだ」
そう言いながらも、怒突さんはぼく達を見つめてくる。
その視線には、どこか品定めするような目つきを感じる。
だが、それは仕方のない事かもしれない。
ここで選択肢を間違えれば、彼は自分の娘と再会する事ができない。
だからこそ
「えぇ、利用してください。
俺も怒突さん達を利用して、最後まで皆で生き残りたいですから」
「まったく、相変わらず、とんでもない事を言う奴だな」
「えぇ、とりあえず、これで4人の戦士がここに集う事ができた」
ぼくの言葉に砂粒さんが同意する。
「そうだね、けど問題はどうやって、生き残るかだよね」
「生き残るも何も、残りの戦士の内に、協力できる奴と合流するのが一番だろ。
中でも一番に合流したいのは牛の戦士だろ」
丑の戦士、確か聞いた話だと失井さんで間違いないだろ。
他の人達のような能力はなく、わけがわからないと喩えられるほど純粋に強い。
だからこそ、怒突さんの意見には賛成だが
「どうやって、この包囲網を抜けるかだな」
そう言いながら、怒突さんは身を隠しながら、窓の外を見る。
未だに飛び続ける全ての鳥は、間違いなく庭取ちゃんが操る鳥で間違いない。
ここまでの間、鳥達の監視の目を逃れながら、なんとか進んできたが、それも限界がある。
このままでは、いつか捕まるだろう。
どうするか?
「俺1人ならば、ある程度無茶な逃げ方はできるが、この人数を同時に行動するのは難しい」
ぼくは怒突さんの言う通りだと思う。
鳥の目を掻い潜って逃げるのにも限度はあるのだ。
それに怒突さんだっていつまでも、この場所に留まる事は出来ないはずだ。
いくら何でも、ずっとここに居たら怪しまれてすぐに見つかるはずなのだ。
「何よりも、お前の命を確実に狙っているだろう断罪兄弟と亥の奴が放っておく訳がない」
「異能肉?
そいつだったら」
その言葉と共に、俺は言葉を止める。
「・・・なぁ、寝住。
あの状況であいつは死んだと思うか?」
「分からないよ。
だけど、確実に死んだ所を見た訳じゃない」
これまで、ビルの中で鳥の軍勢に襲われ、死んでいたと思っていた異能肉。
だけど、もしも、生きていたとしたら?
ぼくは、まだ生きているかもしれないという可能性を捨てきれなかった。
「なるほど、襲われた所は見た訳か。
だけど、お前らも知っていると思うが、「亥」の奴は前回大会の優勝者。
何よりも、奴の弾切れなく機関銃を乱射し続ける能力『湯水のごとく』はこの場の誰もが天敵だ」
そういう意味では確かにパワーバランスははっきり言えばこちらが不利だ。
おそらく、味方になる戦士を含めても、接近戦を得意としている戦士が大半だ。
対して、俺を殺そうと考えている断罪兄弟も異能肉は遠距離攻撃が得意な奴らだ。正直に言って、相性が悪い。
「ならば、この場合、見つける戦士も重要になっていく。
敵に見つかる心配をしなくてはならないけど、同時に味方を見つける必要があるわね。
味方になる候補として、3人」
防御面では誰よりも頼りになる迂々真さん。
火気の扱いに長け、状況判断にも優れている必爺さん。
そして、全体的にスペックの高い失井さん。
全員が揃う事で確実に生き残る可能性が増え、全員の生還も夢ではない。
「その為にはさっさと見つけないといけない。
こちらが見つけるのも問題だが、孤立している状況の3人が敵に見つかれば、終わりだ」
「それじゃ、とにかくなるべく安全なルートと言いたいけど、どこに行けば」
「だったら、あそこは」
そう言った、寝住が指を指したのは、マンホール。
「マンホールの下? 下水道か」
「うん、下水管の中を通って、敵の目が届かない場所まで移動する」
「なるほどな。
確かに下水管の中なら、鳥どもの視界から外れられるな」
「そうだな。私達もそれでいいと思うぞ」
「はい、賛成です」
「えっと、大丈夫ですかな」
「まあ、他に道はない。
とりあえず、行くしかない」
「ああ、分かった。
んじゃ、行こうぜ」
「・・・」
こうして、僕達はマンホールの蓋を開けて、下に潜った。
マンホールの蓋を開けた瞬間、中からは生臭い匂いがした。
正直言って、積極的に入りたい場所ではないが、仕方がない。
寝住達が出会った戦士は
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失井
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妬良
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断罪兄弟 兄
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断罪兄弟 弟
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必爺
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庭取
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異能肉
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迂々真