十二の異常な関係   作:ボルメテウスさん

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こんな小説よりも表現が上手い十二大戦を読んでいる読者なら知っていると思うが、俺こと子の戦士の能力であるねずみさんは100の未来を見れるわけだ。

今回の十二大戦においても、俺が助かるルートは本来の十二大戦以上に多かったが、実際そのどれもがあいつにとっては良いの悪いのか分からない奴ばかりだ。

この話はそのルートの中の一つ、つまりは俺が優勝せず、ある戦士が優勝した場合の話をしよう。

果たして、その先にあるのがあいつの幸せかどうかは分からないけどな


選ばれた1つの道とそれ以外の99の道
鶏の屋敷


十二大戦という一つの戦いが終わりを迎えてから、既に一週間を迎えようとしていた。

 

俺は今は住み慣れているマンションから引っ越された山奥にある屋敷に住んでいる。

 

ここは聞いた話だと鹿児島県に位置するとある山で、この山は他の山に比べて様々な水脈があり、豊富な種類の温泉が湧く事で有名だった山だ。

 

なぜ有名だったかと言うと、十二大戦終了後、その優勝者が願いと共に山を買い取った事により、この山一帯がその所有地になってしまったからだ。

 

「まったく、ほとんど冗談みたいな話だぜ」

 

そう言いながら、俺は現在まで至った状況を思い出す。

 

あの戦いの最中、俺と墨野は逃げようとしたが、待ち構えていた鳥によって分断されてしまい、そのまま背後から何かによって俺の意識は落ちてしまった。

 

その時からの記憶はなく、気づくと既にこの屋敷におり、俺はなぜか学生服ではなく、この屋敷に合わせたと思われる浴衣を着ており、ここにいるもう一人の同居人と一緒に住む事になった。

 

比較的、屋敷の中は自由に歩きまわる事ができ、インターネットも使えて、趣味も充実している為、どちらかと言うとなに不自由のない、どちらかと言うと快適な環境で暮らしている。

 

だけど反対にこの環境が俺にとっては忌まわしい。

 

なぜならば、インターネットで得られるのは世間のニュースや趣味の情報関連は大丈夫だが、十二大戦関連の事は勿論の事ながら、俺の友人であった墨野を始めとした交友関係を持っていた数々の人物について調べようとしたら、自然にネットがつながらなくなる。

 

そして屋敷から出ようと思っても、森の中を走り抜けようとしても自然と屋敷へと帰ってきてしまう為、必然的に脱出不可能な屋敷となっている。

 

「さてっと、まずは状況をを確認する事ができたけど、おそらくは状況を作り出したのはおそらくは大会本部とその優勝者だな」

 

この屋敷に住んでいる同居人は未だにその姿を現さず、その存在が確認できるのは俺が寝静まった夜や昼寝をしている時にふと感じる謎の体温から分かった。

 

体温を感じ、すぐに起き上がったが、既にそこには人影は残っておらず、残っている物といえば何かの液体が口元についていた程度でそれ以上はなにもなかった。

 

だけど、その液体の正体は既に知ってる。

 

「まったく、このままじゃあ、やばいな。

まさか麻薬だとはな」

 

人間の歴史の中で、最も厄介な存在、それは麻薬だ。

 

結構前に津久井さんから教えてもらったのだが、奇妙な味を感じた場合の麻薬の危険性を教えてもらい、それ以降麻薬には徹底的に警戒をしていた。

 

この麻薬はその中でも危険な部類だと感じ、なんとか防ごうとしているが、どれも失敗に終わっている。

 

「早く脱出しないと、脱出する事すらできなくなる」

 

麻薬の恐ろしいのは、その依存性だ。

 

俺にはそこら辺が鈍感なので、効果が遅いのか分からないが、それでも限界が近い事だけは直感で分かる。

 

「逃げ道は果たしてあるのっ!?」

 

ふとそんな事を言い始めると、首元にチクりとした痛みが走った。

 

「ぐっ!!」

 

「駄目じゃないですか、逃げるなんて?

ここはあなたが望む何もかもが揃っているのに」

 

声が聞こえ、振り替えると

 

「丹羽ちゃん」

 

「はい、あなたの愛しい愛しい丹羽ちゃんです」

 

そこにいたのは俺の知り合いの一人であったはずの丹羽ちゃんがいた。

 

だがその恰好は見た事のない水着のような恰好をしている丹羽ちゃんがいたが、俺はそれよりも驚いたのはそこに羽織っている物だ。

 

彼女が羽織っているのは羽毛だけで作られたと思われるマントだが、それらは余す事なく血塗れになっていた。

 

「あぁ、これですか?

これはですね、十二大戦で脱落した人が、この屋敷に入ろうとしたから思わず殺しちゃった時についた血なんですよ

 

「なっなんだって?」

 

丹羽ちゃんはそう言うといつもの明るい口調から出たのは俺にとっては信じられない事だった。

 

「いやぁ、辰巳兄弟はお金をチラつかせたら簡単にこっち側に引け込めましたが、それから大変でしたよ。

子の人は探すのは苦労しましたし、丑も最強だったけどね、そこら辺で捕まえた人を囮にしたら簡単に倒せましたよ。

でも特に大変だったのが寅さん、あの人ってば私の物のはずなのに、泣きながら返せ返せって言うもんですから、思わず潰しちゃいました」

 

「潰したって、何を言っているんだよ」

 

「まぁ終わった事はともかくとして、これからの事を考えましょう!

どうですか、この一週間、実に充実していましたよね!

好きな事を好きな時にできて、寝ている時には夢を見ているような甘い時間。

それらが一生できるなんて、良い場所でしょ」

 

「丹羽ちゃん、そんな、そんな事の為に、皆を殺したのか」

 

「えぇまぁはい。

正直邪魔でしたので」

 

そう、何も支障がないように答えた。

 

「覚えていますか、あなたと最初に出会った時というよりも私の最初の記憶。

あの狭い団地の中で汚い血の中で、必死に助け起こしてくれたあなたの顔、それを見た時から私の人生は全てあなたの物になりました」

 

そこから語りだすようにマントを脱げ捨てて、顔を手でなぞりながら近づき

 

「私が丹羽家に入ったのも、そのお金を使えばあなたと暮らせるから。

鳥さんと友達にもなれたのも、あなたから勇気をもらえたから。

私の全てを作ってくれたあなただからこそ、私はあなたの全てを手に入れたいのです」

 

「がはぁ」

 

「あまりにも人を騙してしまった私ですが、何にもない凡人ようにでいて、純粋でどこまでも深い深い闇のようなあなたに私は依存した。

どこまでもが本当のあなたで、嘘は一切つかない、名前を知られてはいけない愛しいあなた。

そんなあなたに一度殺された」

 

「やっぱり」

 

「あぁ別に恨んでいませんよ。

だって誰も名前を知っただけで、死ぬなんて分かる訳ないじゃないですか。

あの時の私は確かに死にましたが、だからこそ今の私がある。

一度死んだ私だからこそ、あなただけを愛せる」

 

そう、丹羽ちゃんは一度俺の名前を知った。

 

なんの呪いか分からないが、俺の両親、親戚、担当した医師、その他諸々を含めてなんらかの形で死んでしまい、以来名前を名乗らなくなり、戯言ばかり言うようになった俺。

 

そんな中の被害者の一人である丹羽ちゃんは未だにあの時の記憶を思い出さない。

 

いや、もう記憶ごと殺されてしまったあの時の丹羽ちゃんはもうおらず、今目の前にいるのは、それを元に作られたまったく別の丹羽ちゃん。

 

「大丈夫、目を覚めれば、つらい事は何もかも忘れるから。

私はあなただけを愛しています、***さん」

 

それが、俺の最後に残った記憶であった

寝住達が出会った戦士は

  • 失井
  • 妬良
  • 断罪兄弟 兄
  • 断罪兄弟 弟
  • 必爺
  • 庭取
  • 異能肉
  • 迂々真
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