『ツナ側襲撃ダイジェスト』
ボンゴレ基地への襲撃と、メローネ基地への襲撃。
ミルフィオーレが発信機を頼りに襲った場所は、ボンゴレの地下基地より2キロ程離れた倉庫建設予定地。誘い込まれたミルフィオーレの部隊は、待ち伏せていた雲雀がたった一人で相対していた。
そしてそれと同時刻、ツナ、獄寺、山本、了平、ラルの五人は、ミルフィオーレの地下基地へと侵入を開始していた。
メローネ基地は、並盛町のショッピングモールの地下に作られており、そこに通じる地上へのダクトの一つより、中へと侵入する。入江は多くの兵隊をボンゴレ襲撃に送り込んだため、今のメローネ基地は通常状態よりもかなり手薄。この機会を逃せばチャンスはもうないだろう。
今回メローネ基地へと侵入経路を得られたのは、とある情報のため。
どこからか雲雀のアジトのサーバーに送られてきた情報とは、メローネ基地の図面。
そしてもう一つ、特殊施設のデータ。
白くて丸い、なんの装置かもわからない謎の装置。
まったくもって不明の装置だったが、意外なところから出た言葉でこの施設の重要度が増した。
ツナが、夢でこの装置を見たと言った。
白く丸い装置の前に立つ入江正一。それが、ツナが見た夢の内容。
ただの夢だ、といってラルは切り捨てたが、案外それが一番重要な事かもしれない。入江正一と全ての謎を解く手がかりになるかもしれないとリボーンは考えた。
考え事をしていたからなのか、修行のせいなのか、人は神経が研ぎ澄まされているとき、希に不思議なことがあるという。リボーンの想像では、今回のツナの予知夢じみた出来事も、その不思議なこと、何かを感じ取ったのかもしれない。
敵の重要施設に間違いがないため、ターゲットにも組み込まれた。
ツナ達の襲撃により、目標はまずメローネ基地の警備システムの破壊。
それによりリングの探知やシステムがダウンし、基地系統が混乱したのに乗じて、主要な施設をいくつか破壊するのが目的。そして入江正一の元へと襲撃するのも目的。
ボンゴレ全体的な襲撃目的としては主要施設の破壊が目的だが、ツナ達にとっては過去へと帰ることが目標。つまり入江正一と白くて丸い装置の元へと行くのが目的。
果たしてツナ達は、過去へと帰ることができるのだろうか。
***
ダクトを進みながらツナ達は移動していたが、武器倉庫にて敵と交戦した。
ミルフィオーレ〝
巨漢の男で、身の丈にあったランスを取り出してツナ達を攻撃した。
雷の炎の特性である〝硬化〟により貫通力の高められたランスと、その巨漢と力を生かした必殺の一突き。本来なら敵はなすすべなく突き崩されるのだが、そうは問屋がおろさなかった。
死ぬ気状態のツナのグローブの炎熱、そして自分の後ろに放出した目視すら難しい炎により、デンドロの槍を片手で正面から受け止めた。デンドロは押すことも引くこともできなかったため、槍を捨てて匣兵器を取り出した。
ツナとしては、この程度の相手に正面から勝てないようじゃ、入江正一の元へとたどり着けない。そう考え、相手の匣兵器が出るのをわざわざ待つということをした。
そして出てきたのが、
雷の炎を纏った猪の突破力は、デンドロの約5倍。
正面から跳んで来た猪のツノを掴んで受け止めようとしたツナだが、さすがに両手で掴んでは、足の踏ん張りだけで止めるのは無理だった。だが、片手で掴み、片手で後ろに炎を噴出することで、
そのまま猪の腹に膝を打ち込んでデンドロと共に転倒させ、ツナは構えた。
ツナのグローブには、2種類の炎が存在する。
最初のツナの得たノーマルグローブは、ツナの意思によって炎の出力を上げ、細かな制御が可能となっている、いわば『柔の炎』。
柔の炎で後ろに向けて炎を放出し固定し、剛の炎を敵前方に向かって打ち出す。
グローブに纏った炎を、XANXUSのように打ち出せないかと思案したツナが、自分が誰かに支えられているということを実感し、そこから編み出した技。
打ち出された純度の高い剛の炎は、一瞬でデンドロ本人と雷猪の二人を倒すことに成功させた。
次に戦った相手は、〝
弾丸のごとく打ち込まれたクモの卵。ラルは掠るだけですんだが、その時打ち込まれた超微粒の卵は、ジンジャーの合図により、成虫となって肉体を突き破り飛び出す。
晴れの炎の特性は〝活性〟!
それにより、卵だったクモは一斉に活性化して、成虫まで成長した。
なすすべなくやられるかと思われたが、ラルはまだ終わってなかった。
自らの持つアルコバレーノの呪いを強め、寿命を削ることと引き換えに、自身の持つ黒い渦の見える灰色のおしゃぶりが、突如青い輝きを見せた。
まばゆいばかりのおしゃぶりの輝きとともに、ジンジャーの晴クモの卵を無効化した。
アルコバレーノとなったとき、肉体の構造が狂い、流れる波動が元々のものと変化して霧と雲の属性となったラル。
コロネロはラルの身代わりとなってアルコバレーノになったため、青いおしゃぶりを手に入れたが、本来ラルが受け取るはずだったその青いおしゃぶりの属性は雨。
全身に雨の炎を纏うという、通常なら考えられない荒業をしたラル。
雨の属性の炎の特性は、〝鎮静〟。晴クモの卵を鎮静させ、活性を抑えた。
そしてラルの炎の鎮静力と特攻、匣兵器の
だが、倒したと思われたジンジャーは彼の操っていた人形。誰も本当の姿を見たことなく、殺したことのないジンジャー。ひとまず退けることに成功したが、ジンジャーは置き土産に警報を鳴らし、ツナ達が基地へと侵入したことを入江正一へと報告した。
だがそれでも立ち止まらない。警備システムを破壊したツナ達。
当初予想していたパターンとして行われた、メイン通路の封鎖。入江正一の指示によって行われた封鎖により、移動パターンの変更があったが、そのためには囮役が敵をひきつける必要があった。これを買って出たのが、ツナ。
元々はラルがその役目だったのだが、ジンジャーとの戦いで命を縮める程の力を使った為、すでにラルは戦いに参加できないほどに疲弊していた。
機動力の必要とする囮役として、ツナは一人残ったのだった。
***
「なぜここにこいつらが、ボンゴレがいるんだ!!」
通信司令室にて、入江正一は目の前の現状に対して叫んだ。
ジンジャーからの通報により、ツナたちが進入したことをしった入江だが、ミルフィオーレ側の現在状況はなかなかに芳しくなかった。
ツナたちは、通った部屋の監視カメラに、ジャンニーニの開発した疑景フィルター、ようは監視カメラの映像を通常通りに見せるフィルターを取り付けて自分達が来たという痕跡を隠していた。そのためカメラ映像を確認している入江は、まんまと出し抜かれて侵入されてしまった。
何とか近くにいる部下を向かわせようとしたが、C級以上の兵隊はほとんどがボンゴレ襲撃にまわしたため、近場にいる兵隊が少なかったが、幸いなことに一人いたことが確認された。
ブラックスペルB級のスパナ。
入江と同じ機械系に強い技術者であり、彼のチューンしたミルフィオーレの人型兵器であるストゥラオモスカは通常のモスカと比べて入江曰く、一般車両とフォーミュラマシン程の差があると言われる。
B級とされるだけあり、その戦闘能力は、本人が高いわけでないが、モスカを製作して戦わせるという点において、高い戦闘能力を保有していた。
そのため、ボンゴレ迎撃に入江は、スパナを向かわせたのだった。
「ん?」
そのとき、監視カメラの映像をいじっていた入江は、一つカメラに止まった。
ツナたちとは別の場所にあるカメラ。そのカメラには、倒れている部下が見える。
そしてそこに入ってくるように映し出された人物を見て、驚愕に目を見開いた。
そこにいたのは、少年。白い髪に楽しそうな笑みを浮かべた少年。
「なぜ、こいつもここにいるんだ!白神光努!!」
***
「とまあ、ここまで簡単にダイジェストを聞いたけど、実際ツナが一人で囮、ラルは戦闘不能。隼人、武、了平の三人は敵の施設破壊に勤しんでいると」
「ボンゴレ基地にいるリボーンに聞いた話じゃと、そのようじゃな」
「じゃあ俺らはどうしようか」
「ひとまずその入江とやらの所に行くのがベストじゃろ。基本的な目標としては」
「それもそうだな。あっちの目的はそのうち達成するとして、先に正一の方に向かうか」
「まあ後は適当に施設とか破壊すればいいしのぅ」
「よし、地図もないから適当に進むか」
「行き当たりばったりじゃのぅ」
二人の人物が、ミルフィオーレの兵隊ごと、扉を吹き飛ばして中の施設へと入る。
中へと入ってきたのは、白くやわらかそうな髪を揺らした少年。その表情は楽しげに笑っており、その顔の無邪気さと反対に、無造作に振りぬいた拳が扉と兵隊を吹き飛ばした。
隣にいたのは、白髪にバンダナ。顔にしわの刻まれた老齢の男。
軍服のような服を着用し、ライターを取り出してタバコに火をつけ、一服していた。
「警報が鳴ったし、ツナたちのほうはバレた見たいだな。俺らもカメラに映ってるだろうけどな。なあ籠」
「その割りに楽しそうじゃな、光努」
白神光努と獄燈篭。
イリスファミリーも、メローネ基地へと襲撃をはじめた。