なぜかベホ○ミではなくザ○リクを使ったように復活を果たしたイリスファミリーの広大な敷地のある本拠地。これは一体どうゆうことなのか?存在自体が不思議な光努も、もちろん不思議に思うことだってあるのだ。
「つってもなぁ、俺も少し前に来てみたらこうだったしよぅ。正直なんで直ってるのかはさっぱりわからん」
(ちっ、使えない)
「あー!お前今使えないとか思わなかったか!!」
「(大丈夫、思ってない思ってない)案外鋭いんだな」
「言ってることと考えてることが逆じゃねーか!」
思っていたよりラッシュの情報が割りと、というか全くなかった。
わかったのはラッシュも知らない間にできていたということらしい。
光努は思案するが、出てくる案はありそうで無い案、突拍子も無い案、とまあ考えてみたけど所詮予測の域を出るわけない。後ろでわーきゃー言ってるラッシュをおいて、光努はスタスタと歩いていくのだったが、ふと思い直したように止まった。
「そういえばお前なんでこんなところにいるんだ?骸の一味だろ」
「今更!?それを今更いうかよ」
そういえばと、割りと遅いが思い出した光努の言葉に突っ込むラッシュ。
光努の記憶しているラッシュという存在は、黒曜ランドで戦った人物=骸の一味とい考えている。が、そういえば別に最初から骸の仲間じゃなかったけなとも思い、じゃあここにいても特に問題ないのか?とも思った。
「ラッシュってフリーじゃなかったのか?」
「それは10年前の話だろ。今はお前と同じイリスファミリーだ」
「へぇ、役職とかあるのか?偉い?」
「『シャガ』、それが俺の所属してる隊の名前だ」
イリスファミリー第二戦闘部隊『シャガ』。
第一戦闘部隊『アヤメ』に次いで数年前に作られたい部隊であり、所属している人数は、『アヤメ』と同じくたった3人。
その内の二人はリルとコル。父を『アヤメ』のリーダーに持つ双子の剣士。
この『シャガ』の部隊のリーダーは姉のリルの方が勤めている。
光努と獄燈籠のメローネ基地襲撃の際に助太刀に行ったリルとコルだが、もうひとり、メローネ基地とは別にこちらの本拠地の方へと来ていた人物。
ラッシュ・ギナ。
彼は『シャガ』に所属する三人目の人物。
嘗て、相棒と二人で軽く傭兵をしていた頃に骸と知り合い、雇われる形で骸一味に一時的に入った。その後、光努に敗北したあとは特に何かすることもないので、黒曜ランドからすぐに離脱。その後の消息は光努も知らなかったのだが、まさか先に10年後の未来で再開をするとは思わなかった。
それも、『シャガ』のメンバーとして。
「そういえば、もうひとり
驚異的な動体視力身体能力を誇る光努に対して、近接担当のラッシュと遠距離担当の考魔の二人の連携により、攻撃を当てた。
一つ一つ効力の違う銃弾を扱った、正確無比な
もちろん、今どこにいるかといえば、当然知っているとおり。
「あいつはボンゴレのヴァリアーに入ってるぞ」
「ヴァリアー!?XANXUSのいるヴァリアーか」
「そうそれ」
10年前のボンゴレリング争奪戦以降、ゴーラモスカが破壊され欠番だった独立暗殺部隊ヴァリアーの雲の守護者。が、そこに入ったのがラッシュの相棒だった
しかしあの時戦った二人がそれぞれ未来でイリスとボンゴレに入るとはなぁ~と感慨深くなる光努。まあ一回戦っただけだが、拳を合わせれば皆盟友だぜ!実際合わせたのはナイフと拳と銃弾だけど。
「それで、今この母屋には誰がいるんだ?」
「さあ?」
「は?」
「俺の役目はここに来る奴らを潰すことだからな。正直お前がここに来たら別にやるこ
とがある。つー分けであとはよろしく。母屋にルイもいるし話聞いとけ」
ラッシュの意外なほどにあっさりとした回答。
元々ラッシュは修繕などの目的でイリスの本拠地に来る予定だったが、予想を上回って治っていたため、一先ず壊れないようにやってくる奴らを撃退していた。
白蘭が10日間の休戦期間を設けたため、ミルフィオーレが静かになったこの期にイリスに攻めるマフィア、もしくは別の組織なども少なからずあった。まあ目的するには十分な物が本拠地には存在するから当然といえば当然だが、せっかく直ったのに壊されたらたまったものではないので、『シャガ』のラッシュを見回りにつけたのであった。
そして、じゃっというふうに手をあげて、さっそうと去っていくラッシュを見て、光努は呆然とするのだった。
***
「ただいまー」
ドォン!
両手を押し出し、イリスの母屋の扉を開く。
装飾の施された木の扉は軽々と開き、中から外へと向かう空気がわずかに光努の頬をかすめる。
視界に広がる広間、絵画の掛けられた壁、細かい装飾の施された柱や天井、2階へと続く階段。
ここに来た時は、この場所はほとんどが崩壊していた。だからこそ、久しぶりに見るこの場所を、懐かしいという感情が光努を突き抜ける。
「さてと、ルイはどこにいるかな」
呟き、光努の足が床の上に乗った。
―――――ストン!
その時、軽い物が落ちた用な音がした。
ふと音のした方に視線を上げると、音がしたのは2階へと続く階段の上段付近。座っている人の影。天井の窓から入る太陽の光に照らされてそこに座っていたのは、まだまだ幼い顔立ちをした、小学生くらいの子供だった。
綺麗なパーティー会場にそのまま出席しても大丈夫なような身なりのよい、白いワイシャツに黒いネクタイとベストにスラックス、茶色い革靴といった服装。
頭に被っていた帽子から溢れる銀白色の髪が、太陽の光を浴びてキラキラと輝き、その下に薄く光る金色の瞳が、玄関の前に立ち止まる光努を見つめていた。
まるで自分を見ているかのような子供の楽しそうな表情に、光努は少し目を見開いた。
俺は、この気配は知っている。
この子供は見たことがないと、光努は断言できる。
だが、この子供から発せられている気配は、知っている。
この時代にはいないが、10年前には確かにいた。
なぜなら、自分と一緒のこの世界へとやってきたのだから。
光努は少し近づいておもむろに口を開き、確認の意を込めて問うた。
「お前、ハクリか?」
その声が耳に入ったとき、クスクスと座っていた子供は少し笑い、次第に声を大きくして楽しそうに笑った。広い部屋に子供の小さな笑い声が響いたが、不快な感じは特にせず、なぜか少し心地良いと光努は感じた。
ひとしきり笑ったあと、目元に少し溜まった雫をぬぐい、楽しげな表情のままで口を開いた。
「やぁ、光努。結構すぐにわかったな」
おかしそうに、何かを企んでいるかのような笑った表情。
ハクリは階段の上で立ち上がり、軽く足で床を踏み鳴らして宙に舞い、一回転して軽やかに光努の前に降り立つ。身のこなしが明らかに身の軽い子供、だけでは説明がつかないが、それもハクリなら当然か、そう光努はすぐに完結する。これくらいなら、なんでもないことだから。
「
存在しているが、存在していない人物。
10年前の時点までは確かにいたはずなのに、その地点からこの10年後の未来に存在が消えた人物。その人物が、光努とハクリの二人。
つまり、この場に存在する少年の姿のハクリは、10年前の時代からやってきた存在ということ。
「当たり。この時代に俺は存在しないし、光努も存在しない。そこらへんは気づいてたんじゃないのか?」
「やっぱりか」
ルイから聞いた話を思い出す光努。
光努が行方不明になったのが、およそ10年前のある時期。
そして失踪日を少し詳しく調べてみたところ、ボンゴレのリング争奪戦の後、より正確には、イリス母屋ルイの私室で10年バズーカを暴発させた日。
この10年後の未来は、光努の消えた日から
「光努にはいくつか話しておこう。ルイの知る、白蘭の事を交えながら」
***
光努、ハクリ、ルイ。
三人がイリス屋敷の一室で広々とした机に向かいながら、目の前に置かれたカップに注がれた紅茶を飲む。
「光努は、パラレルワールドって知ってるか?」
特に脈絡なく唐突に言ったルイの言葉に、光努は少し驚きながらも肯定した。
「同じ世界だけど、待ったく別の可能性の平行世界っていうやつだろ。それは知ってる
けど、急にどうした?」
別の世界、といっても光努達が元いた別の世界とはまた別の世界。
もしもこうだったら、もしもこうしていれば、そういった可能性の先には、いくつも未来が存在するという考え方。一つの次元にはいくつもの世界が存在するという考えた、パラレルワールドという物。
例に挙げてみれば、ツナがリボーンと出会う未来と、もしもリボーンと出会わなかった未来。そのまま進めば将来はマフィアのボスになっていたかもしれないし、落ちこぼれ人生を進んでいたかもしれない。別の可能性の世界が同時に別の次元に存在するというのが、パラレルワールド。
その数は可能性を考えればきりが無く、万とも億とも、さらに多いとも言われる。
「正一から聞いた白蘭の能力。それは、同時刻にいる全パラレルワールドの自分と、知識と思惟を共有できる能力」
「パラレルワールドと?」
可能性を全て検証し、知ることができるとなると、恐ろしい。
人の可能性は無限大と言うが、それだけでなく重要なことは世界の可能性。
軍事技術に発達した世界があれば、医療に発達した世界、もしかしたらどこかのSFのように空飛ぶ車が世間を闊歩する世界なんてものもあるかもしれない。
その時代その世界にいなくては本来知ることのできないパラレルワールドの情報を共有できるとなると、白蘭の持つ情報、技術は膨大。まさに、この時代での不可能な出来事も、他の可能性のパラレルワールドの情報を使えば可能に変えることもできる。
例えば、この世界にある不治の病すら、もしかしたら他のパラレルワールドの一つには、奇跡的に治療方法が確率されて風邪程度の普通の病気となっている世界があるかもしれない、など。
「この世界以外、他のパラレルワールドのボンゴレファミリーは、全部壊滅しているらしい」
「なるほど。それで10年前のツナ達呼んで倒してもらおうとしたってことか。ボンゴレリングを持っている、あのツナ達を」
マーレリングを持つ白蘭を倒すためには、同じ
「それに正一の話だとあのボンゴレ匣は、この世界にのみ奇跡的に作られた匣らしく、他のパラレルワールドには存在しないらしい」
「だから白蘭を倒すにはこの世界しかないって考えたのか。
話を聞いていた光努だが、思ったより驚きは少なかった。元々自分が常識とは外れていたためか、白蘭がパラレルワールドの自分と知識を共有できると言われても、そうそう驚きはしなかった。けどあくまでそうそう、というだけで、少なからず驚いたのは事実である。
「後は、光努の持つフィオーレリング。通称、
「そういえば白蘭も言ってたが、その
「これだよ」
そう言ってハクリが胸元から取り出したのは、チェーンに掛けられたおしゃぶり。透き通るように真っ白なおしゃぶり。不思議な光を宿すそのおしゃぶりを、光努はなんだか久しぶりに見た気がした。
「
「可能性?」
「ツナ達と同じ、白蘭を倒す可能性だ」
他のパラレルワールドには無い、この世界だけの力を手にしたツナ達。それと同様に、光努にも他のパラレルワールドには無い力が備わっていた。それはすなわち、白蘭の支配下に存在しない、可能性。
「可能性、
「ああ、これかい?光努は、
そういえば、と光努はハクリの言葉を聞いて思い出す。
この世界にはミルフィオーレによって待機中に
とにかく、10年前の時代からこの時代に来るまで、ほとんどのアルコバレーノは
今この時代でかろうじて残っているのは、自分をアルコバレーノのなりそこないと言う、ボンゴレ門外顧問所属のラル・ミルチと、10年前から来て大人しく
ラル・ミルチは、アルコバレーノとして受けた呪いの量がリボーン達と比べて少なかったため、10年前の時点ではリボーン達と同じ赤ん坊であったにもかかわらず、この時代では普通の大人の女性に成長している。
アルコバレーノにしか効かないというのであれば、アルコバレーノに近いラルには少なからず効果のあるということ。だからこそ赤ん坊のままでなく、成長することができたのだが、徐々に命を蝕んでいく。しかしそうなると疑問が湧き出てくる。
「ハクリ、お前
白いおしゃぶりを持つ、アルコバレーノ。
呪い、ハクリにとっては正確には強力な制約だが、それでもおしゃぶりを持ったアルコバレーノであることには変わりない。
にもかかわらず、この場のハクリは平然としている。
確かに今の技術力なら
だが、光努が見たところ、このイリスの屋敷にはそう言った装置が付けられている気配がない。そもそも機械的に出入り口が管理されているわけでもない普通の扉だったし、まさかこの広大なイリスファミリーの敷地全体をシャットアウト、なんてことは今の技術力をもってしてもおそらく不可能。できるのはせいぜい密閉された空間の出入り口でシャットアウトするくらい。
なら、今この場にいるハクリは一体。
「呪いが少なく成長したラルだが、俺はそれと似ている。ある程度元に戻ることで、自分にとって有害な
にぃ、と目を細めて笑うハクリに、光努は懐かしさを感じる。かなりむちゃくちゃな説明だが、どこか納得してしまう。
何をするにも抜かりなく、問題を潰し、頼もしさを背負う。
「しかし、光努もなんとなくわかってたんじゃないのか、
そう言って楽しげに笑い、自分の差し出す手のひらに乗せた物を見せると、光努とルイも、少し驚いたが理解したのか、笑って肯定した。
キイイィン!!
その時、空気を切り裂く音、鳥の鳴き声のような高いエンジンの音。
窓の外を見てみると、視界に見えるは、屋敷の前に降り立つ飛行物体。
歪な形状と翼を持つ、全身が真っ黒に染められており、所々に白いラインが入った機体。
「お、リル達も着いたみたいだな」
少し時間がかかったが、思ったよりも早かった到着。
光努がこちらに来る前には既に日本へと向けて出発をしていたらしく、光努出発後に割と早く到着。さすがに
「さてと、灯夜達が帰ってきたことだし、作戦会議でも始めようか。チョイスを制す、作戦会議。それと、まだ話してない情報を出すか」
全てを話し終えていない。チョイスに参加する彼ら彼女らが帰ってきたのだから、話はここからが本題。秘密を解き明かす。
ハクリは、その小さな見た目に反してなかなかに頼もしそうに、そして楽しそうに笑うのだった。
***
太陽がまだ昇には少し速い、薄暗い時間帯。
広大な敷地を誇るイリスファミリーの母屋の上空あたりを、不思議と雲が風とは別の方向へと流れ、まるで台風の目でも作り出しているかのように黒い雲の渦を作り出していた。
まるで天変地異の前触れか、だがそんな渦の中央から出てきたのは、巨大な人の顔。ところどころはねているような白髪と、左目のしたの三爪のマークの青年。まぎれもなく現れたのは、ミルフィオーレファミリーのボス、白蘭の顔そのもの。
そこから光の柱を照射して地上を照らすと、遠くにいる白蘭本体と表情がリンクしているのか、口角をあげて笑い、照らした先にいる人物たちを見つけてその巨大な口を開いた。
『やぁ、待っていたよ、イリス諸君。さぁ、チョイスの会場へ招待しよう!』
上空の雲が渦を巻き、中央から覗かせた白蘭の顔だが、実際はホログラムとして投影されており、宙に浮かぶその本体は、メローネ基地全てを別の場所へと一瞬で瞬間移動させた、超長距離移動装置、超炎リング転送装置。ホログラムに隠れて見えないが、その実態はリング状の歯車がいくつも連なった形を持つ巨大な装置。
この装置が、今回のチョイス会場までの乗り物。
白蘭の視線の先、地上に向かって照らすように照射されている光の柱の中には、一つの建物、そして数人の人物達がいた。
その先頭に立って装置を見上げているのは、まだ中学生程にしか見えない少年。
風に吹かれて揺れる、柔らかな白い髪。楽しげに笑った表情の少年の姿。白を基調とした半袖の上着。手首と肘の中間ほどまである白いグローブには、基本的に己の身一つで戦い抜く少年にしては珍しく、防御に使用するような手甲のような防具が備わっている。
腰からぶら下がるチェーンに取り付けられた、月と太陽を虹で結んだ円を描くような紋章の刻まれた純白の匣。そしてその右手の指には、これまでの戦いの中で付ける事のなかった、白く透き通るような石がはめ込まれて装飾の施された、見るもの目を引く輝くような指輪が嵌められていた。
見た目は中学生でも、その待とう雰囲気は数々の修羅場をくぐり抜け、さながら無人の野をゆくがごとく超えてきた少年。一つの組織をその背に背負い、大胆不敵に戦い抜いてきた少年の瞳はまっすぐに、投影された白蘭を見つめていた。
「さて、はじめるか。チョイスを」
少年、白神光努は、楽しそうに笑った。
俺たちの戦いは、これからだ!
『完!!』
・・・もちろん打ち切りとかは無いのであしからず。
やっと戦間期終了!次からチョイスが始まります!!