特異点の白夜   作:DOS

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『ホワイトロードチェンジ』

 

 

 

 

「光努、お前にこれ貸してやる」

 

そういって、黒道灯夜は、縄で縛られた巻物を渡した。

 

「今時巻物って、ていうかこれ何?」

 

さすがに光努も巻物は珍しいらしく、灯夜から受け取った物をまじまじと見つめる。芯に包まる紙は、手触りからなかなか高級そうな和紙。割と昔のものらしいが、それにしては劣化が少ないのでやはり良いものなのだろう。さて、ではこの中に一体何が書かれているのか?

 

「この中には俺の使う『黒道流』について記されている」

 

黒道流。

名前からもわかる通り、黒道灯夜の使用する武術。

 

嘗て灯夜のご先祖様が、さまざまな困難な状況に立ち向かう為に編み出した技やら修行法やらを書き足したと記される幻の巻物。この流派の特徴的な例としては、別別の人間が同じ事を同じ学び方をしても、最終的に会得する物が人によって変わるという。

 

嘗てのご先祖は、自分で出来る修行法、自分では出来ないが、こんな人間なら出来るといった、机上の空論のような修行法や技などを記し、ある種のカードゲームのように多くの技からいくらかを収めて、免許皆伝者は自分の流派を名乗るという。

もともとは別の名前の流派であったそうだが、灯夜は自身が取得可能な技を覚え昇華させ、一つの『黒道流』として体得した。

 

この巻物のご先祖の作った流派の元々は、『無道流』ともいわれているらしい。

 

進む道無く、自身が道を作るという。

 

「そういえば、前にスクアーロに一個使ったことあったな」

 

黒道、空破打波。

ボンゴレリング争奪戦の最中、雨の守護者の戦いが行われる日に光努とスクアーロが戦闘を開始して、結果光努が勝ったのだが、そのときに使用したのが灯夜に教わった技の一つ。その頃はただの興味本位で一つだけ教わっただけで、何かしようというわけではなかった。

 

しかし今回はチョイスという、マフィア間の戦争のようなことが起こる為、準備を整えて損はない。

 

「考えてみれば、灯夜の本気って見たこと無いな」

 

楽しげに笑う光努。だが確かに興味はある。

29歳という若さで、一強大なマフィアのボスの代理をこれまで行ってきた黒道灯夜。

事務能力は確実に高いだろうが、それと同様に、その身に詰め込まれた力は想像を超えるだろう。楽しげに笑う光努を見て、灯夜もふと微かに笑みを浮かべる。

 

「なんなら、組み手をしてやろうか?その巻物を体得するまで、倒れるまで付き合ってやるぞ?」

 

こきりと手を鳴らす灯夜に、光努は口角を上げる。

 

「へぇ、面白そうじゃん。いいぜ、この『無道流』、チョイスまでに俺の物にしてやるよ!」

 

不適に笑う光努は、結び目を解き、巻物の中を開いた。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

一直線に、地を蹴り特攻を仕掛ける少年、白神光努。

 

その瞳に映るのは絶望でも悲壮でもない。好奇の色。楽しげな表情を浮かべる少年に、真正面から対峙する捧日は、背筋にぞくりとした悪寒のような感覚を受けた。

 

(この小僧!)

 

だが、獰猛に口角を上げて、捧日は右目でもってギロリと光努を見つめる。自分に対して真正面から挑むことに、少々疑問抱く、妙な違和感を覚える、だが、それはそれでこちらとしても好都合。自分の力をもっとも発揮できるのは近接戦闘であると、捧日は理解しているから。

 

注意深く光努を見つめる。光努の一挙手一投足を見逃さんと、見つめる捧日の瞳に、光努の次の移動が映った。

 

大地を蹴り、跳躍することで上空へと躍り出る。すかさず、寸分の狂いも無く、ちょうど光努が自身の真上に来るタイミングでもって、手に持つ嵐の炎が纏われた青龍偃月刀を天空へと突き上げた。だが―――

 

(これは、加速した!?なんだ、あの板は!?)

 

光努の動きは見慣れたので驚きはしないが、移動手段の無い空中でもう一度加速したことに驚いた。

 

もう一つ驚いたのは、加速して光努がいなくなった場所に、小さな、ほんの小さな白い、板の破片のようなものが見えた。すぐに霧散してしまったが、捧日はすぐに光努の移動場所へと体をひねる。

 

一度目の跳躍で捧日の上へとやってきた光努は、二回目の跳躍でもって、捧日の後ろを取った。

 

いくらスローモーションのように捧日が見えていようとも、虚を突かれ、ありえないと思っていた移動方法を行った光努の方が、先手を取った。すぐに振り向くが、光努はすでに拳を握って構えに入っている。

 

(くっ、この状態から防御に間に合うか……いや、間に合わせる!)

 

とっさに上へと突き出していた偃月刀を手放して、軽くなった身体でもって体をひねった。

 

光努の拳はすでに放たれている。捧日は自身の右目の捕らえる世界の中で、光努と自身の体の間に、己の両手の平を滑り込ませることに成功した。ここで防御をすれば、もう虚を突かれることは無い。もう一度偃月刀を手に取り、仕留めるのみ。

 

(よし!)

 

口角を上げ、己の勝利を確信した捧日は、微かに呟かれた言葉を拾った。

 

「成功したと、思ったか?」

 

 

――――トン!

 

 

拳を振るい、受け止めた二人の攻防。だがその様子を観戦していた者達は、その光景に違和感を覚える。ぎりぎりのように見える攻防の中で、割とすぐに違和感を発見する。

 

音が小さい。

 

腕力に定評のある二人の人間がぶつかり合ったにしては、拳の触れた音があまりにもか細すぎた。その理由は、受け止めた捧日には理解できたが、同時に驚愕する。

 

(なっ!こやつ、力を込めてない!?)

 

己の手のひらに触れる光努の拳。だがそこには一切の力も込められて折らず、本当にただ触れているだけ。若干、捧日の方が、防御する為相手の力に対応する為に、力を光努の方へと向けているくらい。光努と実際に戦いここまで来たために、力のこもらぬ拳に、捧日は二度目の虚を突かれた。

 

白道(はくどう)幻無白打(げんむはくだ)!」

 

いくら見えていようと、ゼロ距離からの攻撃は、避けようがない。

 

 

ドオオォオン!!

 

 

触れる光努の拳が捧日を打ち抜き、硬化されたビルの壁面へとその身をぶつけた。蜘蛛の巣のようにコンクリートに罅を散らし、破片を撒き散らす。

 

(ははっ、この小僧!やってくれたな!最後まで手の内は全てさらせずだが、後は残りの奴らに任せるか!!)

 

いっそすがすがしいほどに、笑いながら意識を沈めていく捧日は、光努の全力を引き出せてなかったことに残念に思ったが、結果として満足していた。マフィアの用心棒として渡り歩き、さまざまな人物と戦ってきたが、己の肉体のみでここまで戦える者は数えるほどしかいなかった。それも、年端も行かぬ少年ならなおさらだ。

後は自分のチームメイトに任せて、静かに意識を沈める。

 

(唯一気になるのが、あやつのみか。光努、お前ならあるいは………)

 

捧日は自分のチームの大将である少年のことを少し心配そうに思い出しながら、倒れ伏すのだった。

 

 

ミルフィオーレガロファーノ隊、『通称龍』秦捧日。

チョイスリタイア。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「びゃくらーん!やられちゃったじゃないのー」

 

海を思わせる水色の長い髪を揺らし、ソファに座っていたブルーベルは白蘭に抗議の声を上げる。中にはもちろん、自分がチョイスに参加出来なかった不満も入っているのは言うまでも無い。

 

「あはは、さすがに光努君相手じゃA級は分が悪かったみたいだね。弱くはないんだけどなぁ~」

 

自分のチームが一人脱落したというのに、まったく残念と思っていないかのように笑う白蘭。本当に残念と思っていないのだろう。

 

一人二人減ろうとも、自身の勝ちは揺らがないという圧倒的な自身。同様に、一人二人減ろうと関係ないという、冷徹な一面が見え隠れしていた。

 

「メローネ基地の戦いである程度知ってたけど、今回は匣は使わなかったみたいだねー。まあメローネ基地でも試しに使っただけで戦いに組み込んでなかったしね。代わりに、面白い兵器は使ったけど」

 

光努がメローネ基地で使ったのは、全てルイの作った試作品の匣兵器。しかも、戦いがある程度進んでから試しに使ったくらいの感覚。つまり、戦いにおいて別に使っても使わなくても問題なかったという。

 

(パワータイプかと思いきや、思ったより技術(テクニック)も持ってるね。それに、なにやらチョイスに備えていろいろ仕込んできたみたいだし、楽しみだね♪)

 

メローネ基地の戦いを見ていた白蘭は、今回の光努の戦いを見て、どこか動き方が少し変わったような気がした。無論、それでもでたらめな動き、パワーなのは相変わらずだが。

 

「ねぇびゃくらん。あっちは大丈夫なの?」

「ん?ああ、彼らね。う~ん、ある程度予想はつくけど、どうなるかわからないからね~。ま、楽しんでみようよ」

 

別のモニターで別の場所にて戦う者達を見て、白蘭は笑みを浮かべる。

 

その笑みは、楽しげに笑う子供のような笑みなのか、それとも、何かを企みほくそ笑む、悪魔のような笑み。それを知るのは、本人以外、知る由も無かった。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

光努と捧日の決着がつく頃に、戦う人影が増えるチョイスフィールド内。

山本武と死神の邂逅と同時に戦闘を開始する二人だが、その前に戦う人影があった。

 

ビルとビルの間を飛び回り、広範囲に渡り己の力を誇示して攻撃する手を休めぬ人物。それに相対し、攻撃を受けて防ぎ、自らも攻防を繰り返す。

 

ビルとビルの間を移動していたのは、一人の少女。

 

後頭部でまとめた柔らかな黒髪を揺らし、その手に持つは一本の洋剣。

白銀の刃に太陽の光を反射させるシンプルな洋剣を持っているのは、イリスファミリーのリル。腰には鞘に納められた刀を挿し、ブーツの上から脛と足の甲を覆う様にプレートアーマーを纏い、その足が踏みしめるは、緑色に閃光弾ける雷の炎を纏った空を飛ぶ洋剣だった。まるでスケボーのごとく器用に乗り回し、華麗に飛び回っていた。

 

4本のグラジオラス(グラディーオロ・クアットロ)

 

リルの持つ、自立飛行機能の搭載された4本の洋剣を呼び出す匣兵器。イリスの独自開発したこの匣兵器は、自立飛行のオートモードと、自身が操作するマニュアルモードの二種類のモード変換機能が備わっており、マニュアル機能にすればバランス感覚の良い物なら上に乗って空中移動を行うこともできるというすぐれものである。

 

四本で一組のこの匣兵器を、リルは一本を移動手段に、もう3本を自身の周りに滞空させていた。うろうろと不自然に動き回る剣は、急に方向を転換しながら、リルの斜め後ろへと移動して滞空した。

 

ドオォン!!

 

瞬間、滞空していた剣が爆発した。

否、剣が爆発したわけでなく、剣に爆発する何かがぶつかった、というのが正しい表現。しかしそれらしい爆発物質は目に見えないため、その表現も正しいかどうか定かではない。

 

しかしリルはさほど気にした様子も無く、楽しげに飛び回っていた。

 

「まったく、危ないよね~」

 

突如、ビルの外壁を突き破り、うねうねとうごめく巨大な樹の根が生えてきた。きたかと思えば、爆発する剣を抜けて、リルの元へと根を伸ばす。

 

「おっと」

 

割と余裕そうに、剣を蹴って跳躍し、根をかわす。さらには根の上に立ち、そこから加速し、ビルの壁面を走る。そのまま壁面から何本もの樹の根が串刺すようにしてリルを攻撃するが、驚異的な速さで疾走するリルを捕らえることは出来ず、走り去った後ろの方で樹の根がうごめいていた。

 

ズン!

 

「!」

 

リルが走る前方、壁面を再び突き破り、大樹が生えてきた。さながら世界樹、というのは言いすぎだが幾本もの樹が絡み合ったような大樹がうねり、今度はリルは回避せずに、手に持った剣に雷の炎を纏わせ、振りぬいた。

 

キィイイン!!

 

甲高く響く金属音。

同時に、藍と緑の閃光が辺りに煌く。

 

純度が高く鋭い雷の死ぬ気の炎を纏うリルの剣と相対するのは、少し幅広の大剣。持ち手は全身に霧の炎を纏う堅牢な鎧を身に纏い、その威圧感はまるで一つの要塞のようでもあった。

 

鎧と鎧の間から見える、体中に傷跡のある男は、鋭い眼光で持って自身の前にいるリルを睨みつけている。

 

「思ったよりすごい幻術だね、幻騎士」

 

 

キイィイン!キイィン!キン!!

 

 

互いに剣を振るい、一瞬の間に数度切り結ぶ。ひときわ強く打ち付けたと同時に距離をとり、空中を漂う剣の上に足を置いて、壁からはやした樹と同化する幻騎士と対峙した。

 

「減らず口を。お前はまだ、自分の剣を見せてないだろう」

 

冷徹に相手を睨みつける眼。

顔に傷跡が浮かぶ男、幻騎士は、幻術の中から抜け出てきた。

 

「なっ!あの男は、幻騎士!」

「とんでもねーのがまぎれてやがったな」

 

観覧席で驚愕するバジル。

 

リルの目の前にいるのは、メローネ基地で山本が戦い敗北した、おそらく名実共にミルフィオーレ一と名高い剣士、元ジッリョネロファミリーの幻騎士。

 

その後、入江の研究室前の最終防衛システムとしてツナの前に現れ、苦戦の末にツナのイクスバーナーによって倒されたはず。その証拠に、鎧と鎧の間に見える肌には、大怪我の後らしき縫い目が見えていた。

 

だがまさか、チョイス戦いの霧のプレイヤー『猿』として参加しているとは、誰も夢にも思わなかった。

 

「確か、あいつ綱吉の炎をもろに食らったはずだが、復活早いな」

 

モニターを見ていたルイも少々驚いている様子。メローネ基地の三ブロックを一瞬で消滅させたツナの大技を食らったのだから、当然といえば当然。それですぐにチョイスに参戦できるとは、幻騎士の生命力がすごいのか、ミルフィオーレの医療技術がすごいのか微妙である。

 

「イリスファミリーが誇る剣士リル。どんなもんかと思いきや、己の剣も見せずに何のつもりだ」

「何のつもりも何も、このチョイスのルールは標的を倒すことだよ。だったら、その他の人と戦ってもしょうがないと思うけど」

「早計だな。お前に戦う気が無くても、見える敵は全て切り裂く」

 

幻騎士の瞳が光ったような気がした。

その瞬間、リルの周りに浮いていた剣が空中を飛び交い、リルの周りでいくつも爆発が起こった。

 

「あの剣、またお前が作った新兵器か、ルイ」

「ああ。死ぬ気の炎はもちろん、自身の周りからの攻撃を感知してオートで防御するシールドモード。目に見えない幻騎士の幻海牛(スペットロ・ヌディブランキ)すらも防御する。ま、100%というわけではないが、せいぜいガ85%ってところか。あとはリル次第だな」

 

それでも十分驚異的。

炎レーダー、熱源、軌道、音、空間、その他、様々なレーダーとセンサーが搭載されいた剣。幻騎士の匣兵器である幻海牛(スペットロ・ヌディブランキ)は、幻覚を構築するだけでなく、海牛単体が攻撃力を持った爆発兵器。

 

幻騎士の常套手段として、幻覚により姿を隠して相手に爆発海牛を打ち込むという戦法をよく使う。だが、機器をも翻弄する幻騎士の幻覚に対抗して、機器の性能を向上させたルイのセンサーは、通常回避が難しい海牛を防御することに成功していた。

 

「ふん。幻海牛(スペットロ・ヌディブランキ)を防いだ位では、俺には勝てない!」

 

ふっと、幻騎士は言葉を残してその姿を分裂させる。霧の炎を全身に纏い、一度に4人に分裂した幻騎士は、前後左右からリルを取り囲み、一斉に剣を振り下ろした。

 

トンッ!

 

剣が振り下ろされる直前、リルは跳躍して躱し腕を振るうと、滞空していたリルの剣が一斉に4人の幻騎士を貫いた。

 

(一斉に切りかかってきたから軌道は読みやすかったけど、あの様子じゃ全部幻)

 

再び剣の上に載って上から見下ろしリルの予想通り、あまりにもあっけなく剣に貫かれた4人の幻騎士は、サラサラと砂が崩れるようにその形を崩す。

 

(幻覚の中に身を隠したみたい…………いた!)

 

周りの木々は質感も、幻海牛(スペットロ・ヌディブランキ)を使用して構築している為ほぼ本物に近い。にもかかわらずリルは、自身から離れた場所へと一直線に向かい、その手に持った剣に硬化の閃光のような雷の炎を纏い、音速の剣をふるった。

 

キイィイン!

 

幻覚の木々の中から姿を現した幻騎士は自身の持つ、匣製作者、ケーニッヒの最高傑作と言われる霧属性最強の剣、幻剣(スペットロ・スパダ)を振るい、リルの剣を受け止めた。

 

「ふん!」

 

ギイィイイイン!ドオォオン!!

 

「おっ?」

 

幻騎士の剣劇と、同時に起こる幻海牛(スペットロ・ヌディブランキ)の爆発。

リルは弾かれるようにして後ろへと飛び出し、ビルの壁面を蹴って道路へと降り立つ。爆発直前に後ろへと飛んだのでリル本人には怪我は見当たらないが、短く息を吐き、右手に持った剣を見て、少々驚いたように目を見開いた。

 

視線の先には、真ん中程から綺麗に折れた剣が見えた。

 

(幻騎士のあの剣、思ったよりも強い。さすがケーニッヒの名剣。やっぱり普通の剣じゃ炎があっても強度がたりなかったみたい………)

 

天才的な匣職人ケーニッヒは、イノチェンティ、ヴェルデの二人と比べ、武具の作成に力を入れたとされ、幻騎士の現在身に着ける装備も彼が手掛けた作品。近接格闘用の鎧は堅牢だが軽量で動きやすく、その手にある剣は幾重にも斬撃を分裂させることができるといわれるケーニッヒ傑作の名剣。そんじょそこらの剣とは比べ物にならない力を誇る。

 

(スクアーロも武も剣自体にはあんまり興味なかったしな~、私は結構あの剣もいいと思うけど)

 

同じ剣士なれど、スクアーロは相手の技術や強さ戦闘に興味があり、刀剣自体にはそこ

まで興味はない。そして山本は自身のもつ時雨金時が一番と考えているので、やはりあまりほかの刀剣自体にも興味ない。

 

ただこの時代においては失われたボンゴレリング以外の雨系リングと時雨金時の相性が悪かったので、そこそこ強めの日本刀を多少は探していたが。

 

「ま、しょうがないか」

 

そういって楽し気に笑うリルは、自身の腰にささる刀に手をかける。左手で鞘を抑え、右手で柄に手をかける。夜の闇を塗り付けたような黒い鞘に納められた、真紅の柄糸が巻き付けられた一本の刀。

 

(あの刀。戦いの最初から腰に挿していたが。わざわざ匣兵器の刀とは別に持っているとは、一体………)

 

リルが刀に手をかけたことで、幻騎士はわずかに瞳を鋭くして警戒する。

 

この時代、皆匣に己の武具を収納するのがほとんどだが、それでもなお匣に収納していない武具を所持するものもそこそこいる。そういった物は決まって、匣開発以前の、自身に愛着のある武器を使う物、もしくは、特殊な武器を使用するもの。山本の時雨金時もその一つ。時雨蒼燕流専用に作られ代々受け継がれた刀。

 

そしてリルの持つ刀は、遥か千年以上昔に作られたまぎれもない名刀。

 

「やっぱりここは真打登場、みたいな?刀だけに」

「………面白くない」

 

冷静に感想を述べる幻騎士の声は、誰に聞かせるなく風に乗って消えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 





リルVS幻騎士
山本VS死神

移動中
桔梗、光努、ツナ

標的
デイジー、光努、緑鬼、入江

待機
獄寺(基地防衛迎撃担当)
入江(基地にて指示)
スパナ(基地にて入江サポート)


リタイア
龍(捧日)

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