どうもお久しぶりです。
すごく書きたくなったので再び書きます。当時から先の内容はそこそこ考えているけど形にしていなかったので、最近もう少し具体的に考えている今日この頃です。
と言うわけで未来編の補足とその後を含めた繋ぎの日常編です。
だいたい数話で次の章にいきたいです。
『何気ない日常の幸せ・前編』
「10代目!おはようございます!」
「よ!ツナ!はよー!」
「あ、山本に獄寺君おはよう」
何の変哲もない日常の中で、並盛中学への通学路を歩くツナの後ろから声をかけてきたのは、獄寺隼人と山本武の2人。別段仲が良いわけでは無いこの2人が(獄寺が一方的に山本を睨んでるだけだが)なぜ一緒に登校しているのか。
まあ言ってしまえば、偶々そこで会っただけである。同じ学校の同じクラスに通っているのであるならば、同じ通学路で出会ってもおかしくない。そして前方にツナを見つけたので2人して声をかけたという事である。
「学校なんかすげー久しぶりな気がするな」
「あ、うん。確かに、未来に行ってたからね」
第三者が聞けば「大丈夫かしらこの子?」と言いたげなツナの発言だが、事実なのでしょうがない。
ツナ達が未来にいた期間はおよそ1ヶ月程。
しかし十年バズーカと入江の装置の機能上ツナ達が10年後の未来で長い時間を過ごしたとしても最終的に戻ってきた時間はたったの5分後。その為、何も変わらない日常のまま、中学生のツナ達は今日も元気に登校する。
何気ない日常が、この上なく幸せに感じる。
一応言っておくと、白蘭を倒した後から帰るまでにしっかりと休養はとったので、別段戦い終わってすぐに学校、というスパルタスケジュールにはなっていない。流石の鬼の家庭教師であるリボーンも、その辺りは弁えている。
「あ、そういえば10代目!聞きましたか!」
「どうしたの?なんだか………すごく嬉しそうだね」
実にいい笑顔の獄寺の報告だが、ツナは何となく表情通りの内容とは思えない。ツナ達の中で最もツナをボンゴレ10代目として慕い最もマフィアと関りを持つが故に、その情報は時々ツナの望む日常からかけ離れたとんでもない事を言いだしたりする。仮にこの後のセリフで「ちょっと他のマフィアぶっ潰してきましたよ!」とか言われたらツナとしてはもうどうしたらいいのかわからない。
ちなみに、戦闘能力が未来で劇的に向上した事もあり、ボンゴレ内の戦力状況でツナ達は確実にトップクラスに入っている為、不可能ではない事も知っている。主に未来の知識、戦いの経験、そして未来の技術による物が、多大なアドバンテージとなっている。
その証拠として、彼らの指に嵌まったり、もしくは首から下げたチェーンにかけられたりで身に着けている、肌身離さずと言われているボンゴレリングと、彼らに対応して作られたもう1つのリング。
それが、過去に帰るツナ達への贈り物として造られた『アニマルリング』。
復活したアルコバレーノの一角、緑のおしゃぶりのアルコバレーノである随一の天才科学者ヴェルデによって、ボンゴレ匣を指輪型へと改良してツナたちにプレゼントしてくれたという。
小型化する事による携帯性と、リング状の為に両手を使わずとも開匣できる機能性(匣型ではなくなったので開匣という言い方もおかしいが)未来で共に戦ったボックスアニマル達も嬉しそうにツナ達を見守っている。
ちなみに、その作業において、嘗て匣制作に携わっていたヴェルデ達の手伝いをしていたイリスのルイも、今回強制的に手伝わされて割と疲弊したりしたのは余談である
閑話休題
ともあれ、獄寺の言葉をなんとか予想しようとしたツナの横で、底抜けに明るい山本の声が聞こえる。
「ああ、それってあれだろ?今度集団転校生が来るって話だろ!」
「集団転校生?」
「ああ。確か前に起きた地震のせいで危なそうな地域の学校の奴らが、並中に何人か転校してくるんだってよ。並盛って地震が起きにくい地域らしいって。楽しみだよな」
「その地震ってもしかして………」
ツナには、その地震の心当たりが―――ある。
それは未来から帰る時の話。
未来で白蘭を倒した事により平和な未来となったが、
本来、白蘭が持つ並行世界を覘く能力、厨二風に名づけるならば『
つまる所、マーレリングに適合する者は再び現れるかもしれない。それこそ、第二第三の白蘭が現れて再び未来世界の危機に陥る可能性もある。
その為の対処手段が、この時代のマーレリングの封印。
現在は大空のアルコバレーノが率いるジッリョネロファミリーが所有するマーレリングだが、ユニの生み出した命の炎を、アルコバレーノそれぞれの最大奥義によって永久発火させる事で、
そして復活したアルコバレーノ達によってその目論見は成功し、無事に世界の平和が保たれた。
ここで問題、というか少しだけ起きた出来事を補足するならば、その最大奥義の影響で少しだけ地殻に影響を与えたという所。
つまり、先程話題にした地震の原因が、それである。
「オレ達が未来に行ったから起きた事だし、なんとなく申し訳ない気がするな」
「つっても、別にそれで災害起きたとかってわけじゃねーしよ、気にしてもしょうがねーって。今は、どんな奴らが転校して来るか楽しもーぜ」
「流石山本。………うん、そうだね!」
能天気とも言える底抜けの明るさが、山本の美徳。
裏表の無いその笑顔に、ツナも表情を明るくした。
「―――て、そうじゃねぇ!転校生なんか知るか!」
「ん?違ったか?」
「全然違ぇよ!そんな訳の分からない奴らと10代目に何の関係あるんだよ!」
「ええ!?違うの!?」
意外と、というか通常運転で顔も知らな転校生など知らんとばかりに山本に突っかかる獄寺。そして獄寺の内容が全く違う事に驚くツナ。
しかし冷静に考えてみれば、転校生が来るという内容で喜ぶはずも無いだろう。なら彼は一体何に対して嬉しそうにしていたのか。
「それで、結局どうしたの?獄寺君」
「はい10代目!実はシャマルの奴が並中クビになるらしいですよ!」
(ええぇ!?それがいい事!?でもめちゃくちゃ嬉しそうだ!ていうか獄寺君すっげーいい笑顔なんですけど!?)
ヴァリアーとの戦いでは獄寺に修行をつけて鍛えてくれたが、基本女しか診察しないと堂々と公言する程のナンパ野郎であり、某国の妃に手を出して国際指名手配をされて日本に逃げてきたという噂を持つ男。
まあ色々と肩書はあるが、結局ツナ達からみればダメな大人の見本である。
とはいえ、獄寺の言葉は色々と省略し過ぎで自分の願望も入っている為真実ではない。
「あ、皆おはよう」
「あんたら、相変わらず仲いいね」
「京子ちゃん、黒川!おはよう」
いつの間にか教室に着いたツナ達に声をかけたのは、同級生の笹川京子と黒川花。
急に2人に、特に秘かな思いを寄せる京子に声をかけられた事に思わずどぎまぎしてしまうツナだが、未来での出来事を共に経験した京子が、今柔らかく笑っている事に、内心では安堵していた。
「獄寺君と山本君もおはよう。何の話をしてたの?」
「おう笹川。実はシャマル先生が並中やめるじゃねーかって獄寺がさ」
「え?私しばらく長期出張するって聞いたけど」
「そうなのか?」
「あー、私もその話聞いたね。それで代わりの先生が来てるらしいわよ」
京子と黒川の情報に間違いが無ければ、別にシャマルはクビになるわけでは無いらしい。
ただの仕事の関係でしばらく並盛から離れる、という事らしい。
どうやら獄寺は新しい養護教諭が来るという情報のみで先の判断を下したらしい。まあ通常養護教諭を何人も雇う事も無いと思うので、しょうがないと言えばしょうがないが。
ついでに言えばシャマルの勤務態度もまともと言い難いので、当然と言えば当然か。
とはいえ、マフィア関係者がそこそこ跋扈する並中な為、マフィア関係者であるシャマルは適任と言えば適任。実際過去、柿本千種と獄寺隼人の戦いでは毒を喰らった獄寺の治療に貢献(シャマル曰く今回だけの例外で基本男性は診ない)した。逆に言えば学校内でマフィア関連の事件が勃発した時に、ただの養護教諭で果たして対応できるかどうか。
「それで、新しい保険の先生ってどんな人だ?」
「私はまだ見た事無いけど、花ちゃんは?」
「あ、私は見た事ある。女の人でなかなか美人の先生だったね」
キーンコーンカーンコーン。
予鈴が鳴った為、担任が教室に入りツナ達は席に戻る。
頬杖を突きつつ、ツナは窓の外に広がる青い大空を、ぼんやりと眺める。
いつもの日常、つい数日前まで未来の並盛で激闘を繰り広げていたのが嘘の様に、目の前に広がるこの光景は紛れもないいつもの日常。
しかし、まだ元の日常に少しだけ足りないピースが存在する事をツナは知っている。それは今は話題にしていないだけで、獄寺や山本や京子も同様だった。絶対に大丈夫、という信頼できる言葉はもらっているが、それはそれとして心配な物は心配だった。
ちらりと視線を向かわせたのは、教室の中で唯一誰も座る者がいない空白の机。
形式上学校には、家の用事の為海外に行っているとされている人物。
自分達と同じように、共に未来で戦ったクラスメートの事を考えながら、ツナは再び空を見上げる。
(光努………いつ頃帰ってくるかなぁ)
***
「んで、こいつぁ一体どういう事だよ。なんで、中華圏が行動範囲のオメーがこんな所にいやがんだよ。俺は今からかわいこちゃん探すのに忙しいんだよ。とっととどきな」
「はっはっは!相も変わらず節操の無い奴だな。そう邪険にするな、シャマルよ。儂も無駄話をしに来たのではない。お主に用があるからわざわざここへと来たんだ」
北アメリカのとある街で、男が2人会話を交わしていた。
しかし片や不機嫌そうに、片や豪快に笑いご機嫌に。正反対に会話する二人の距離は、およそ3メートル程。互いに仕掛けるには微妙な距離感だが、不機嫌そうな男性シャマルは白衣のポケットに手を突っ込んだまま、憮然と溜息を吐く。
「やだねー。これだから人気者は辛いぜ。つーか、お前今回はどこに雇われて来たんだよ。いい加減俺狙うのは諦めろって」
「むむぅ?シャマルよ、お主何か勘違いしておらんか?今回の儂は、ただの代理人として来ただけだ」
「何?」
心外だ、とばかりに大げさに肩を竦める人物は、おおよそ一般人とは言い難い風体をしていた。
2メートルはあろう巨漢に加え、ライオンの様な逆立つ黒髪と顎髭に猛獣の様な鋭い瞳。しかしその右目は黒い眼帯に覆われている。さらにアメリカでは珍しい漢服は少々大きめらしくダボっとしているが、それでも筋骨隆々としたその身は傍目にも分かり、通常の倍以上にその人物を大きく見せている。
男の名は、
中国マフィアの間を用心棒として渡り歩く大男であり、実は過去に中華圏に入ったシャマルを何度か狙った事もあったりする。だいたいがシャマルに恨みのあるマフィアだったり女がらみだったりどこかからの依頼で、捧日《ホウジツ》本人には全くシャマル自身に恨みは無いが。
そんな男が、わざわざ遠いアメリカの地にてシャマルを待ち構えて、さらには代理人ときた。一体何事かと疑るのは当然とも言えるだろう。
「まあこんな所で立ち話もなんだ。適当な店で茶にでもするか?儂が奢るぞ」
「野郎と連れ立ってカフェなんて、おぞましい事言うな~。話をするならその辺りの公園で充分だ、おら行くぞ。後ろのオメーも来るんだろ」
「ああ、やはり気がついていましたか。これは、ご挨拶もせずに失礼」
シャマルの言葉に、捧日の背後からゆらりと現れたのは、痩躯の男。
見た目上は特に不自然な点の見当たらない清潔な恰好であり、丸眼鏡とその奥の細い瞳が印象的だが、それ以外に全く気配を出していない。革の手袋を嵌めた手をぶらぶらとさせているが、何かあればすぐに対処する術を隠し持っている事だろう。
男の名は、アラン・バロー。
フランスのジュールファミリーに属しており、『死神アラン』の異名を持つ暗殺者でもある。主武器は、その身のあちこちに仕込んだナイフを中心とした暗器の数々と、そこらの暗殺者より抜きんでた気配遮断の能力。
今回は戦闘目的でない為大して気配を隠したわけでは無いが、それでも一般人やその辺りのマフィア程度では一切気づく事ができない技術。故に、あっさりと気づいてきたシャマルに内心称賛していた。
「ジュールの『死神』か。捧日といい………珍しい組み合わせだな。一体、俺に何の用だってんだ?」
フランスのマフィアの暗殺者と、中国の用心棒。全く違う国の2人が、太平洋と大西洋を横断してこのアメリカの地にて偶然出会う………なんて事があるわけがない。
アランも同様に、シャマルに用事があって来たのはもはや分かりきっていた。
その為単刀直入にとばかりに、アランは懐から取り出した物をシャマルに見せる。
「シャマルさんにお願いしたいのは、治療です。この女性の病を是非治して下さい」
1人の女性の写真を取り出して、アランはそう切り出した
シャマルってヴァリアー編以降全く姿見かけないけどどこ行ったんでしょうかね。旅立ったとしか説明されてないみたいでしたし。
そんなシャマルの話は後編に続きます。