骸side
犬が連れてきたのは同じ黒曜の制服をきた少年。白い髪をした少年と楽しそうに二人で入ってきたときは何事かと思いましたよ。
よもや犬が他の黒曜生と仲良くなるとは思いませんでしたしね。黒曜中はすでに制圧し、不良たちは部下として黒曜ランドに配置して置きましたがまさかその中で仲良くなるものがいるとは僕も想定外ですね。
それにしても黒曜中じゃ見かけなかった顔ですね。
「白神光努君でしたね。君はもしかして転入生でしょうか?」
「正解。今日転校してきたんだ」
なるほど。転入生なら僕達を知らないのも無理はない。でもなぜここに来たのでしょうか?自ら不良のたまり場へと来るとは普通なら考えられないのだが。
「白神君、君はどうしてここに来たのですか?」
「ここ?六道骸という帰国子女が黒曜中を制圧して学級閉鎖っぽい状態だから不良の集まってるここに来て骸に会おうと思ってな」
「・・・・・・・」
随分と変わった人ですね。学校が制圧されたのに制圧した者の元へすぐさま来るとは。
「それで、僕にあってどうするつもりですか?」
「ん~、そうだな。骸、お前の力がみたいな」
にやり、という笑みを浮かべた。
ゾクリ。一瞬、何か強大な力に抑えられたような気がした。目の前の少年は何もしてない。ただ笑っただけだがその笑みは考えが読めず、面白いおもちゃを見つけた無邪気な子供のようでもある。
「クフフフ、僕の力がみたいですか。いいですよ」
「骸様」
「千種、大丈夫ですよ。すぐに、終わらせますから」
第一の道、地獄道。
この身が前世で体験した六道輪廻の記憶。
第一の道、地獄道は永遠の悪夢を相手に見せ、精神を崩壊させる技。
つまり、幻覚による精神破壊。
右目の数字が『一』を刻んだとき、白神光努の足元が膨れ上がり、巨大な火柱が出現した。
「わぉ!さっすが骸さん!」
巨大な火柱は煌々と燃え上がり周りごと燃やしていく。
これが地獄道の悪夢。幻覚により直にくらったものはありもしない火柱に身を焼かれ簡単に崩壊する。
僕がさっき感じた力の感覚は気のせいだったみたいですね。
この程度でやられてしまう者など、
「面白い技だな。こんなの初めて見たよ」
何?彼の声が聞こえたと思うと、火柱の中から悠々と現れたのは白神光努。まるで動じず、そこには何もないかのように火柱をくぐり抜けてきた。
「ほぅ、僕の幻覚を見破りますか。思ったより君は面白い人間のようですね」
「そいつはどうも。ところでその目の数字が変わってこの技を出したってことは他
にも技があるのか?」
僕の技に興味があるのですか。まあ見せても困ることではないですしいいでしょう。彼の身の保証はしませんがね。
「いいでしょう、見せてあげますよ」
右目の数字が『一』から『三』へと変化したとき、光努の足元には大量の蛇が現れた。
「蛇?」
「これが第三の道、畜生道。人をしに至らしめる生物の召喚ですよ」
「畜生道・・・六道!天界・・人間・・・なるほど。というと、さっきのはもしかして地獄道・・・・とか?」
ほぅ、まさかそこまでわかるとは。意外と頭もキれるみたいですね。
「正解ですよ。僕の体には、前世に六つの冥界を体験した記憶が刻まれてましてね。六つの冥界から六つの戦闘能力を授かったのですよ」
「なるほどね、幻覚能力の地獄道に召喚能力の畜生道か。面白い身体してるんだな」
「クフフフ、その蛇も正真正銘毒蛇ですよ。早く対処したほうがいいのではないですか?」
畜生道により召喚された毒蛇が彼の足元に迫ってる。このまま何もしなけでば噛まれ、毒に侵されて終わりですね。
「対処?なんでそんなことする必要がある?」
***
・・・・・・・・。
さすがの僕も目の前の光景には少し驚いてしまいましたよ。
人を死に至らしめる生物を召喚する畜生道は毒蛇以外にも多くの生物を召喚できる。もちろんそのどれもが危険極まりない生物。凶暴性の高い者や猛毒を持つ者も多い。
対処を間違えばその場で死ぬことになるというのに、この男・・・・・。
毒蛇を手懐けてますね。
「おーよしよし、お前らどこから来たんだ?」
片膝を突いてしゃがみこんでる光努の足元および体に蛇がすりより見た感じとても仲良し、というよりほんとに仲良くなってるようだ。
僕もこの能力で数多くの生物を召喚しては多くのマフィアを葬ってきましたが、まさか召喚した生物が手懐けられたのは初めてですよ。もしかして動物などに懐かれやすいのでしょうか?・・・・・・犬の例もありますし。
「さて、じゃあ残りの二番と四番と五番を見せてくれ」
蛇とのじゃれあいを終え、こちらに再び向き直る光努。
どうしましょうか・・・・・。
わざわざ手の内を晒すような真似はあまりしたくはないのですが。
人間道は論外。修羅道による武力制裁でもいいのですが、彼の遊びに乗る必要もありませんし。
「・・・・千種」
「はい、骸さま」
ポケットに入れていた手を動かしつつ態勢を変える。どうやら僕の言わんとしてることをわかってくれたみたいですね。光努には悪いですがそろそろこの場から退場してもらいましょうか。我々はこれからやることがあるのですから。
「ん?骸は終わりで次はお前か。確か名前は・・・・柿ピー」
「違う・・・柿本千種。めんどいしすぐ終わらせる」
骸side out
ヒュッ!!
柿本千種と光努の距離は約5メートル程。一見して何も持っていない千種がポケットのから手を出して腕を振るったと同時に光努はその場でしゃがみこむ。しゃがみこんだ光努の上を、ボロボロの窓から入ってくる太陽の光に反射しながら何かが通り過ぎた。
光努は後ろを見ると壁には無数の針が刺さっていた。
「針か。今投げたのか?そんな感じはしなかったけどな」
「めんどい」
ヒュヒュッ!!
(ヨーヨー?予想以上に面白い武器!)
千種は両手からヨーヨーを放ち、左右から光努の頭上を挟むように操作する。
ビビビビビ!!
そしてヨーヨーから先ほど光努が避けたものと同じ無数の針が飛び出てきた。
全方位から針が出せるようにヨーヨーには無数の穴が開けられており、そこから飛び出してきた針は光努を挟み込むように地面に降り注ぐ。千種の素早いヨーヨー裁きに避けることは難しいが、光努は・・・・。
「針は危険だけど攻撃力は低いんじゃね?」
「な!?」
一歩。5メートル程の距離は、立った一歩踏み込むだけでなくなり、光努は千種の目の前に移動した。千種も予想外の光努の速度に思わず声を出す。今の千種は両手を広げるようにしてヨーヨーを操作している状態。つまり、懐ががら空き。
「つーわけで、ばいばい」
ドゴオォ!!
千種は鳩尾を殴られ吹っ飛んだ。それはもうすがすがいしくらいに綺麗にくの字型に折れ曲がり壁を破壊して外まで飛んでいった。
「大丈夫、怪我のないようにしたから。しばらく痛みとか痛みとか痛みとかで動けないけど明日になれば治るんじゃね。多分」
「クフフフ。これは驚きました。千種をこうもあっさりと」
避ける暇を与えない攻撃を繰り出すとはね。
「柿ピーだっせー、瞬殺じゃん」
「犬、次どうですか」
「いいれすよ。つー分けで光努。次俺な」
「おおいいぜ。動物の躾は割と得意だぜ」
「俺は動物じゃねー!」
「え!?」
「なんらびょん!その本気で驚いてる表情は!?」
「だって・・・ねー?」
「いや、僕に振られても返答に困るのですが・・・・・」
「ちょっと痛い目見てもらうぜー」
カチリ。そう言って犬はつながった歯を取り出して自分の口にはめ込んだ。
「チーターチャンネル。俺も瞬殺してやるびょん」
「何それイメチェン?どういう原理」
「犬の能力ですよ」
城島犬はカートリッジ状の動物の歯を自らに付けることにより、その動物の能力を使うことができる。それは視覚、聴覚、嗅覚と言った感覚はもちろん、肉体すらも動物同じような体格となりそれに合わせた筋力、瞬発力、反射神経を発動させることができる。
チーターの歯をつけた今の犬はチーターの能力を使える。
チーターは走行してからわずか2秒で時速を70キロを超える。最高時速100キロを超えると言われるチーターは短距離なら地球上最も速い動物。
通常、人には出すことのできない速度で犬はすぐさま特攻をかけ、光努の喉元めがけて歯をむきだした。
が、しかし!!
「直線的すぎ、甘い」
光努は犬を横に交わして足を引っ掛ける。当然足元で勢いが止まったのだから重力に従って犬の顔は下に落ちていく。
ドッ!!
追撃。下に落ちていく犬の首に正確に手刀を当てる。
あっけなく、犬は床に崩れ落ちてピクリとも動かなくなった。