特異点の白夜   作:DOS

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『少しマジになる』

 

 

光努は犬と千種の二人と一対一で戦った。

だが二人とも瞬殺された。別に彼らが弱かったわけではない。そこらへんの不良にも負けず、殺し屋にも引けを取らない彼らだが相手が悪かった。

白神光努という人物は、あまりにも実力が違いすぎた。

 

(犬には人を超える野生動物特有の反射神経も宿ってるはずですが、それすらも置き去りにして攻撃を当てるとは。予想以上に厄介。この男、やはり一般人ではありませんね)

 

「まあ、まずまず。不良にしては強いな二人とも。明日から立派に始末屋にでもなれそうだね」

 

「やれやれ、二人ともやられてしまっては、僕が出ないわけには行きませんね」

 

そう言って立ち上がったのは先程までソファに座って観戦していた六道骸。

その手には先端が三つに分かれている槍、三叉槍。

 

「やるのか?骸」

 

「ええ。それに、君に聞きたいことができました」

 

そう言った骸の右目には『四』の文字が、そしてその右目から炎が灯った。

 

「聞きたいこと?」

 

「ああ、光努・・・君はマフィア関係者ではないのですか?」

 

 

「!」

(骸から、まさかマフィアの話が出るとは思わなかった。灯夜からあまりマフィアのボスだと言いふらすなと言われてるし・・・・)

 

まだ日は浅いとは言え光努もまがりなりにも一マフィアのボス。つまりトップ。

 

マフィアをやってる以上恨みを買うこともあるので灯夜としてもあまりボスだと言いふらして他の組織から狙われるのは面倒だと考えたのだろう。

そんなわけで光努の答えとしては、

 

「そうだけど?」

 

「(ガクリ)・・・・・まさかこうも正直に話すとは思いませんでしたよ」

 

「こっちとしてはそっちからマフィアの話題が出たのに吃驚。不良じゃなかったん

だな。お前もマフィア?」

 

「クフフ、面白くない冗談ですね。あんな奴らと一緒にしないでもらいたいです・・・・・・ね!」

 

ヒュッ!!

 

「うぉっと!」

 

骸の繰り出す突きを避ける光努。

そのまま鋭い連撃を繰り出すが光努も避ける。

 

「その目、今回は格闘能力なのか?」

 

「正解ですよ。これは第四の道、修羅道で得た格闘能力です、よ!」

 

ヒュヒュヒュ!!

 

骸の得た修羅道の格闘能力は凄まじい。ここに来てから避け続けていた光努の服が少し切れる。わずかに血がにじむ。ベルのワイヤーに引っかかって以来の切り傷だ。しかも今回は肌が少し切れた。

 

「傷・・・・か。・・・」

 

(?動きが止まった?)

 

だがそれも勝負の間ではお構いなし。骸の鋭い槍が光努を貫く・・・・。

 

ガシ!

 

「なに!」

 

「ハハ、ハハハ!!そうか、そうだな」

 

(雰囲気が変わった!これは一体)

 

骸の前には槍を掴む光努。先ほどと変わらぬ景色だが、何かが違う。

 

光努からにじみ出ていた楽しげな雰囲気が・・・・・・・・さらに濃くなった。

 

それと同時に、計り知れない威圧感が現れてきた。

 

「ここで俺の体に傷をつけたのは骸、お前が初めてだぜ」

 

「クフフフ、それはどうも」

 

「マジ楽しい、そんなわけで」

 

―――――――――――少しマジになる。

 

「な!」

 

瞬間、骸は中に浮いていた。

 

なぜ、という疑問を持ったがすぐにわかった。シンプルな答え。

ただ光努は骸の槍を掴み、掴んだ槍をを持ち上げて手を離しただけ。それだけで骸は中に浮くことになった。

 

いくら修羅道による格闘能力に優れた骸であろうと、空中では身動きをとることができない。故に、

 

「よけられない」

 

「ガッ!!」

 

ドゴオォン!!

 

跳躍した光努の拳を槍の柄でガードしたにもかかわらず押し上げられ、天井に衝突した。

 

(くっ!!予想以上に強い力!この男!・・・!!)

 

骸のすぐ横には光努がいた。背中から天井に激突したすぐ横の天井、そこに足をつけてしゃがみこんでる光努。たったいま、跳躍して体を逆にしながら天井に足をつけた。そして拳を振り下ろし骸を追撃する。

 

「これでジ・エンド・・・とかな♪」

 

ドオォン!!

 

そのまま骸は天井を突き破って上階に吹っ飛ぶ。

が、光努は天井を蹴って上には行かず下に向かう。

そして地上に立ち、何もない空間をなぎ払うように蹴る。

 

ガッ!

 

光努の足は何かに当たり、空中で止まる。空間がぼやけたと思ったら光努の足が止まった先には先ほど天井にいた骸が槍で蹴りをガードした状態で現れた。

 

「ぐぁ!」

 

蹴り抜かれた骸はガードした状態のまま壁まで吹っ飛ばされた。

 

(く・・・幻覚が簡単に見破られている!それに速く重い!)

 

骸は光努に天井まで押し上げられた後、すぐに自分の幻覚を残して地上に降り立った。しかし、光努はそれを察知して上にはいかず、下に戻り幻覚で姿を消した骸を正確に蹴り抜いた。

 

自分に避ける暇を与えない速度に、苦もなく吹っ飛ばす力、そして何より作り出した幻覚に全く惑わされない。

 

「クフ・・・・フ。予想以上に・・・怪物でしたね・・」

 

「さあ、次はどうする、骸」

 

(こうなったら・・・)

 

骸が手を右目にかざしたとき、

 

 

♪~~♪~~♪~~。

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

♪~~♪~~♪~~。

 

 

「ワリ、ちょっとタンマ」

 

「・・・・・いいでしょう」

 

ピッ!

 

「もしもし?」

 

『よう、光努。今どこだ?』

 

「確か黒曜ランドってとこ」

 

『ああそうか、黒曜中って今学校閉鎖状態だったろ』

 

「確かにそうだけど」

 

『つー分けで中学校変えたから」

 

「は?」

 

『ほら、転入早々休みってどうよって感じだろ?そんな分けで別の中学にしたから』

 

「ちょ!そんなの初耳だぞ!」

 

『まだ学校に通ってないから問題ない。そんなわけで学校がないなら家に戻れ』

 

「え、なんで?」

 

『ボスだろ、仕事ができた。わかったな』

 

「はぁ・・・・了解」

 

 

プツン。

 

 

「・・・どうしましたか」

 

「急用ができたから帰る」

 

「は?」

 

「じゃ!犬と千種によろしく。面白かったよ!またな」

 

「あ、ちょっ!」

 

光努は瞬く間に風のように去っていったのであった。

呆然としている骸を残して。

 

 

 

 

 

 

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