――ツナったら、また散らかしたまま出掛けて
自分のことは自分でしなさいって言ってるのに――
――日直日誌に沢田のテスト紛れてんじゃん。しかも・・・・・・2点
京子モノにしたいんならもっちょっとしっかりしろよ――
小言弾。
撃たれた本人は、リアルタイムで自分に届く小言を感じることが出来る。
生徒のピンチに繭になったレオンから生まれたアイテム。
ちなみにもう一つは「27」というマークの入った手袋。
骸は特殊弾のツナへの着弾を阻止しようとしたが、リボーンの早打ちは骸の攻撃が当たる前にツナに特殊弾を当てた。
今ツナには、家族、友達から来る小言が頭の中に響いていた。
(なんでこんなとこで小言聞かされなきゃいけないんだ・・・・)
――ツナ達は・・・音からしてこっちか。大丈夫かな~――
(あ、光努。無事だったんだ。よかった)
――はひー、何やってるんですか!?
犯人のアジトに乗り込むなんて正気じゃありません!――
(ゲ、ハルだ・・・・)
今の小言は、ひょんなことからツナに思いを寄せる少女、三浦ハル。
少々天然ボケの入った行動力のあるバイオレンスな少女である。
――ガハハ、ハル泣いてるんだもんね――
――な・・泣いてません!ハルはマフィアのボスの妻になるんですこんなところで泣きません――
ツナの頭の中には、公園で話をするハルたちが浮かんでくる。
――ツナさん、頑張ってください!――
「!」
――落ち着け、京子――
――だって・・・シャマル先生がツナ君達が乗り込んだって――
病院のベッドで体を起こす怪我をした少年と、そばに立つ少女の光景が映る。
少年は笹川了平。ツナの中学の先輩で熱血少年。犬にやられてしまった被害者の一人。少女はその妹、笹川京子。
ツナのクラスメートでツナが思いを寄せる少女。
――心配するな――
――・・・でも――
――あいつはオレが手を合わせた中で最も強い男だ負けて帰ってきたらオレが許さん――
――そうだよね・・・・大丈夫だよね・・・ツナ君、元気で帰ってきてね――
「・・・・・・・・」
――オレと同じ過ちを繰り返すな、仲間を守れ。お前がその手で、ファミリーを守るんだ――
ランチア。骸の影武者として、憑依弾の効力により己のファミリーに残虐の限りを尽くさせられたが、壊れかけた優しさをツナによって取り戻してもらった男。
「俺の小言は言うまでもねーな」
ツナの瞳には、紛れもない強い意思が漲っていた。
「ほう、この期に及んでそんな目をしますか。ですがもう幕引きにしましょう。
このまま死なれても困りますからね!」
非情にも、千種(骸)は剣を床に伏せるツナに向かって振り下ろした。
ガッ!!
「な!!」
先程まで攻撃を喰らっていたツナは手袋を付けたままの手で振り下ろされた剣を掴んで止めた。
ツナの手が光輝き、光がやんだ時にツナの両の手にハメられていたのは黒いグローブ。その手の甲にはローマ数字で10を表す「X」のエンブレムが。
バキ!
そのまま掴んだ三叉剣の一部を折る。
千種(骸)は思わず後ろに下がる。
「・・・・・!!」
「骸、お前を倒さなければ・・・・・死んでも死にきれねえ!!」
額に炎を灯し、ツナは立ち上がった。
***
「その頭部のオーラ、なるほど・・・・特殊弾が命中していたようですね」
額に炎を灯しているのは同じだが、前のツナの場合だともっと荒々しかった。
今のツナは静かに佇んでいる。
死ぬ気弾と小言弾。
二つの特殊弾は同じようにツナを死ぬ気モードへと変化させたが少し違う。
ツナの死ぬ気モードとは、簡単に言ってしまえばリミッターを外し普段以上の力を出すこと。その際、死ぬ気弾の場合は外側から危機によるプレッシャーで無理やりリミッターをはずのに対して小言弾は内側から自分の秘めたる力、潜在能力を解放する弾。
それにより、今のツナは普段の死ぬ気モードよりもはるか上の力、言うなれば
そして同時に、内面にある感覚のリミッターも解除された。
ツナの場合、それにより解除された感覚はボンゴレの血統特有の"見透かす力"。
超直感!
それにより、仕掛けてきた犬(骸)と千種(骸)の攻撃を止め、否し、さらには地獄道の幻覚をも見破り、すぐさまに二人を戦闘不能にした。
「バカな・・・奴は地獄道の幻覚を見破れなかったはず・・・・・・」
「これこそ、小言弾の効果だぞ。まだグローブの使い方がなっちゃいねーがな」
ツナが一歩踏み出す。
「おっと、忘れてしまったわけじゃないですよね。これはお仲間の体ですよ。手を挙げられるんですか?」
ガッ!
獄寺(骸)はツナに攻撃を繰り出す。
「できるんですか?」
ドス!
ビアンキ(骸)はツナに攻撃を繰り出す。
「クフフ、やはり手も足も出ませんか」
「ちげーぞ。これほどの攻撃力だ、ガードしても避けても、ビアンキ達の体に負担
がかかっちまう。ツナは今、自分の体で攻撃をいなし、2人の体を守ってるんだ」
獄寺とビアンキの体には、重傷とも呼べる傷があるため、本来は立つのも傷に響く。これほどに動かすのなら、攻撃の衝撃で自分自身にダメージを与えることになる。ツナをそれを防ぐため、二人の体には最小限のダメージしか行かないように攻撃をわざと喰らっていた。
タン!
獄寺(骸)の攻撃を躱し、後ろから首を肘で打った。
「ク・・・体が!」
「打撃で神経を麻痺させる戦い方を直感したな」
「直感しただと?ふざけたことを!」
ビアンキ(骸)の拳を柔らかく押さえ込み、獄寺と同じように首の後ろを手刀で打った。
「くそ・・・」
結果、二人は体の自由を失いツナはそれを優しく受け止めた。
神経を麻痺させられたことにより体を使えなくなり、骸からの憑依は解かれたのだ。
「またせてごめん・・・・」
ツナは二人を床にそっと寝かした。
「「!」」
リボーンとツナは感じた、人の気配を。
(バカな、この気配・・・・骸!)
ツナは驚愕する。ツナには骸の気配を感じ取ることが出来る。
超直感により、骸がまだ死亡していないと感じていたが今の驚愕はそのことではない。骸の気配は
「あいつが来たみてーだな」
「違う」
「?」
「出てこいよ、骸」
入口に向かって問いかけると、
「クフフ、ナイスタイミングでしたね」
現れたのは少年。
柔らかそうな白い髪、所々焦げた黒曜中の制服。
笑みを浮かべたその右の瞳には「六」の文字が映る赤い瞳が。