「終わったな」
「うん」
ツナの炎で浄化され、静かに倒れている骸と、そばにいるオレとツナとリボーンの三人の間で静寂が訪れた。
リボーンの話じゃボンゴレの医療班がきて今は黒曜ランド周辺にいた仲間の治療も終わってそのうちこの場所にも来るらしい。
骸のそばまでいってとりあえず確認。
脈拍は正常。心臓も動いている。呼吸も規則的。
死んでもいないし特に以上も見られない。
人間道のあの黒いオーラから何かリスクでもあるのかと思ったけど特に何もなさそうだな。一応骸は自分の能力を使いこなしてたしな。まあ問題ないならいいし、これで終わりならそれはそれで全然いいしな。
「光努、骸無事か?死んでないよな?」
「ったく、お前は甘いよな」
ツナも自分で最後に叩きのめしといたが心配でこちらに来た。
さっきまでは自身溢れて冷静だったのに、死ぬ気モードが解けたと思ったらオドオ
ドした人物に戻った・・・・。これは面白いな。まるで二重人格だ。
「骸さんに近づくんじゃねえびょん!!マフィアが、骸さんに触んな!!」
「ひいぃ!」
「びびんなツナ、奴らはもう歩く力も残っちゃいねえ」
「犬・・それに千種・・・」
リボーンの言ったとおり、犬も千種も叫んではいるがもう力も残っていない。
二人とも必死に床を這いながら骸に近づこうとしている。
「なんでそこまで骸のために?君たちは、骸に憑依されて利用されていたんだぞ」
確かにな。犬達も憑依されたのに骸に対して怒ったような感情は見られない。あるのは本気で骸を心配し、逆にツナ達を憎むような感情だけ。
ツナというよりマフィアが憎いようだ。骸もマフィアの殲滅と言っていたが、こいつらに一体何が・・・。
「わかった風な口をきくな」
「だいたいこれくらい屁ともねーびょん。あの頃の苦しみに比べたら・・」
「あの頃?」
「俺らは・・・自分のファミリーに、人体実験のモルモットにされていたんだよ」
「「「!!」」」
人体実験・・・・なるほどな。骸や犬の特殊な能力も、おそらくその実験で得た副
産物だな。
「やはりそうか、もしかしてとは思ってはいたが、お前たちは禁弾の憑依弾を作った、エストラーネオファミリーの人間だな」
「禁弾?それはテメーらの都合でつけたんだろーが。おかげで俺らのファミリーは人でなしのレッテルを貼られ、他のマフィアからひっでー迫害をうけた」
***
エストラーネオファミリー。
当時彼らのの開発した憑依弾は、あまりの酷さにマフィア間で使用を禁止し禁断に指定された。それにより、禁断を作ったファミリーの人間は犯罪者のように扱われ、外に出れば他のマフィアに銃弾を浴びせられ、殺されるような毎日を過ごしていた。その有様は、ファミリーの大人たちにによる、憑依弾同様の力を持った特殊兵器の開発に拍車をかけた。
彼らは地に堕ちたファミリーの栄光を、新たな兵器を開発して再び取り戻そうと考えた。だがその開発実験は、当時のファミリーの子供である犬や千種、そして骸たちにとっては地獄のような人体実験ばかりだった。
危険な薬品、爆薬、装置。
子供たちは、どこへ行こうと、どうあがこうと、生き延びる道はなかった。
だがその地獄は、ある日忽然と消えた。
人の悲鳴。ガラスの割る音。何かが倒れる音。
そんな音を聞いて、やってきたのはこれまでの実験になんとか生き残った子供達、犬と千種の二人。
いつもの実験場にいたのはファミリーの大人達。だが皆一様に倒れ伏している。
しかも見たところ、致命傷となる傷をつけられている為絶命している。
周りの機材も全て破壊されt、荒らされた部屋の中央に佇んでいたのは一人の少年。
その手にあったのは、一本の剣。
たった一人で、この地獄を壊した。
大人しく、目立たないタイプだったその少年は、自分の右目に貼り付いていたガーゼをはがし声を発した。
―――クフフ、やはり取るに足らない世の中だ。全部壊してしまおう。
この時生まれて初めて、犬と千種には、
―――二人とも・・・一緒に来ますか?
居場所が出来た。
***
「骸さんは俺達に居場所を作ってくれた。それを、オメーらに壊されてたまっかよ!!」
「犬・・・」
「でも俺だって・・・仲間が傷つくのを見てられない。だって、そこが俺の居場所だから」
「ぐっ!」
「!」
(この感覚・・・まさか!)
ドゴオオォン!!
激しい爆音。
咄嗟に目を向けたツナ、リボーン、犬、千種の四人。
目を向けたのは光努がさっきまでいた場所。その床は爆音とともにクレーターが出来ており、爆風に吹き飛ばされないようにツナはしゃがんで耐える。
だが爆発ではく、今のは光努が足を踏み込んだ音。
弾丸のような速度で光努は、入口まで飛んで行き、そして入口にいた人物を思い切
り殴り飛ばした。
「くたばれぇ!!」
ドゴオォ!!
入口から今度は爆発音と爆風が飛んできた。
「光努!どうしたの!ていうかそこにいたのってもしかして医療班の人じゃないの!?」
「違うぞツナ、あいつらは・・・」
「なんのつもりだ」
そこにいたのは黒いコートに黒いシルクハット、さらに異様なのは顔と腕、皮膚のあるところには包帯が巻かれ何も見えない、その雰囲気はまるで死神のような人物。
拳を振り下ろして床を破壊させた光努の前には3人の死神のような人物が存在した。
(確かに当てたはず。避ける素振りも見せずに、体を透過したような感覚。気づい
たら俺の前にいた。どういうことだ・・・・。というか・・)
「ワリ・・人違いだ。ハクリだと思ったんだが、間違ったよ」
「・・そうか!お前がハクリの連れてきた特異点か」
「何?ハクリを知ってるのか?」
「我々の邪魔はしないでもらおうか」
そう言うと、黒服は手元から先端に首輪のようなものが突いた鎖を取り出し、倒れている骸、犬、千種の首にかけて手元に引き寄せた。
「光努、そいつらは"
「そうか。だが関係ないな。ハクリについて知ってるなら教えてもらおうか」
コオォ。
「!この輝きは!」
「リボーン、それって」
リボーンのおしゃぶりが輝き出した。これは他のアルコバレーノが近くいる証拠。
「俺が教えてやるから、大人しくしててくれよ、光努」
カラン。
銀色の髪に、幼い顔つき。今日は飽きたのか仮面をつけておらず、気に入っているのか、着流しをきて羽織を羽織って下駄をはいた和風の服装。そして胸元にあるのは、リボーンのおしゃぶりと同様に輝く白いおしゃぶりだった。
「!」
「やあ、君は確か・・・リボーン?」