特異点の白夜   作:DOS

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ツナ修行中。
まずは崖を上れ!


『過保護?』

 

 

 

 

ボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアー。

 

ボンゴレファミリー最強と謳われる部隊。人間わざでは到底クリアできないようなミッションをいかなる状況でも完璧に遂行する悪魔のような能力の高さを持つ集団であり、周りからは畏怖を込めて「ヴァリアー・クオリティ」と呼ばれているそうだ。

 

今現在、ツナ達が置かれている状況は、後数日したらこのヴァリアーがせめて来るという状態。そのため、ツナとその仲間たちはヴァリアーを迎え撃つために強くなろうとしているところだった。

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「広大な草原。気持ちのいいところだな」

 

俺が立っていたのは一面見渡す限りの草原。

周りをぐるりと見てみると、緑の葉が茂っている木が所々に生えている。

遠くから吹いてくる風が足元の草や葉をさわさわと揺らす音は、静かなこの場所ではとても心地よかった。

 

さく。

 

足音がする。

自身は動いていないのにする足音。

後ろの木の影から人の気配を感じながら、懐かしい人物に語りかけた。

 

「久しぶりだな、骸」

 

木の影から姿を現したのは、一人の少年。

特徴的な髪型をした黒髪、真っ白なワイシャツと黒いスラックスの簡素な格好。そしてその右目は赤く、瞳の中には「六」の文字が刻まれていた。

 

「久しぶりですね、光努」

 

六道骸。

 

かつて骸一味とツナ達は死闘を繰り広げ、最後はツナの死ぬ気の炎によって浄化された男。今はマファイアの収監された牢獄を脱獄し、ツナ達に倒されたことにより復讐者(ヴィンディチェ)の牢獄の最下層に収監されている。ならば今の状態はどういうことなのかというが、ここは精神世界。人の精神のみが入り込める世界。

 

通常、この世界には骸と波長の合う人間のみ入ることができるのだが、俺はどういうわけかこの世界にすんなり入って骸と会話ができるみたいだ。

 

もっとも、骸の方から話しかけてくる分にはすんなりとここに入れるのだけれど、自分から精神世界に入るなんて能力はあいにくと持ち合わせていないのだ。

 

まあやればできないこともないかもしれないけどな。

 

「現在進行形で拘束されてる奴にいうのもあれだが元気か?」

 

「クフフ、まあ元気ですかね。そういう君に元気そうじゃないですか」

 

「まあな」

 

いつの間にか白い丸テーブルと椅子が草原の上に置かれており、俺たち二人はその机に対面になるように座った。

 

「なあ骸」

 

「どうしました?」

 

「お前、何するつもりだ?」

 

「・・・何、とはどういうことですか?」

 

一瞬先ほどの言葉に反応した骸を見逃さず、会話を進める。

 

「実はそろそろヴァリアーが来るらしいんだ」

 

「ほう」

 

「それでツナ達が迎え撃つらしいんだよ」

 

「それは沢田綱吉も大変なことに巻き込まれましたね」

 

「・・・・・お前知ってただろ」

 

「おや?どうしてそう思いますか?」

 

にやり、という笑みを浮かべながら骸はからかうような笑みを浮かべる。

 

「その笑いムカつくな。まあお前が知ってそうなのはなんとなくだけどな」

 

タイミンが絶妙すぎるというのが一番の理由。

 

ヴァリアーの一人、スクアーロがやってきて間もないこの時間。そんな時に骸が話

しかけてきたというタイミング。

 

言ってしまえば全て想像と、なんとなくと、かなんか引っかかるな~、みたいなものでつまり勘とかなのだが、

 

「恐ろしい勘ですね。まあ正解なのですが」

 

「正解なのかよ。で、何?お前牢獄に囚われたままじゃん。どうするんだ?誰か操るのか?」

 

「僕の状態を知ってて言ってるのでしたら驚きですよ。まあそれに近い感じですかね」

 

「近い?」

 

「実はそのことで君に話をしにきたのですよ」

 

?骸の話は見えてこないが、まあ聞かないという選択肢は無視して、話を聞こうじゃないか。わざわざ俺のところに来るくらいだから何かあるのだろう。

 

「それで、どうしたんだ?」

 

「じつは――――」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

ダン!

 

地面が沈む程踏み込んで、高く高く飛び上がった。

そのまま山なりの大地の上の方に着地、そのまま再び上に向かって飛び上がった。

 

「高ーい!」

 

「おお!」

 

「二人とも、しっかり捕まってろよ!」

 

風を切り、強大な脚力は驚くようなスピードを発揮し、山のような場所を突き進んでいた。地を蹴り、木を蹴り、古い廃墟のような建物を蹴って、頂上付近を目指すように進み、そして目的の場所で勢いのあるスピードにブレーキを駆けた。

 

「やった!アスレチックだ!」

 

「随分と趣のある建物。まるで廃墟みたい」

 

「まあ廃墟なんだけどな。けど懐かしいな」

 

黒曜ランド。

 

牢屋から脱獄した骸一味が潜伏していた、すでに廃墟となった総合レジャー施設。

ツナ達と骸達が戦った場所。俺も戦った場所。ほぼ圧勝したけどな。

 

けど相変わらずボロボロだ。いつか崩れるんじゃねえか?というか一回土砂ぐずれしたみたいだしな。まあそれで施設はほぼ土の中。その上にいる分には全然問題なさそうだ。

 

「よっし!リアルバイオハザード!行くぞー!」

 

「よっしゃぁ!」

 

「待て待て。そんな戦争ごっこしに来たんじゃないぞ。武器はしまえ」

 

俺から降りたリルとコルは二人ともどこからか小太刀を取り出す。

廃墟の雰囲気が子供的には面白いみたいで、楽しそうに武器を構えたけど別にゾンビを倒しに来たわけじゃないからな。言うと少しつまらなさそうに武器をしまう。

だがすぐに気を取り直す。

 

「よし、行くか」

 

リルとコルを引き連れて、黒曜ランドの中央地帯にある施設、前に黒曜ランド内で

骸が基本的に住んでいた建物に入っていった。

 

崩れている廊下を突き進み、壊れた階段を駆け上がり、人の気配がした一室に入るとそこにいたのは一人の人間。

 

「・・・・だれ?」

 

「骸の友達だけど、聞いてるか?」

 

「・・・・白神・・・光努?」

 

およそ中学生くらいの少女。

真ん中から分け、後ろを縛って逆立たせている特徴的な髪型(つまり骸と同じ髪型)、黒曜中学の女子制服。すぐとなりには黒曜中の鞄。そしてその右目には、髑髏の模様がついた黒い眼帯がしてあった。

 

少女の名はクローム髑髏。

 

俺が骸から引き受けた頼まれごとの正体。

骸の器となる少女。彼女の存在は骸によって成り立ち、骸は彼女を介して牢獄から出ることができると言っていた。

なんとなくしか意味がわからないが、骸は微妙な表情で頼み事をしてきた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「実は今クロームは黒曜ランドに住んでいるのですけれど」

 

「けれど?」

 

「あの通り廃墟でまあ環境がいいとは言えません。そんなわけでなんとかしてくれませんかね」

 

「犬と千種も一緒じゃないのか?」

 

「犬は清潔とは無縁ですし、千種もクロームには興味なさそうですからね。自ら生活を改善しようとする気はあの3人にはなさそうなんですよね」

 

「クロームも?」

 

「まあ命があって感謝というところでしょうか。素直なのはいいのですけれど。そんなわけで第三者に直してもらおうというわけですよ。少し面倒見てやってくれませんか」

 

「お前はクロームのお父さんか何かか?」

 

「・・・・・・とにかく頼みましたよ」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「リル」

 

「うん!」

 

リルに声をかけると、背負っていたバッグを降ろし、中身をいそいそと取り出した。

 

「それは、何?」

 

「ん?弁当。ま、まずは腹越しらえでもしよーか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





苦労の絶えない骸パパ。
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