特異点の白夜   作:DOS

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『動く前に、仕留めるべし』

 

 

 

 

 

「はいよ、落し物」

 

と、光努が地面におろしたのはツナ。死ぬ気モードが解けたのとバジルの攻撃によってノックダウンしたツナであった。

 

「お主は!あの時は助けていただいてかたじけない」

 

「バジルだっけ。怪我大丈夫そうで良かったよ」

 

バジルは光努を思い出してスクアーロに襲われた時の礼を言った。

あの時光努がスクアーロと軽く交戦してなければディーノが間に合わなかったかもしれないからである。

 

「ようリボーン。何?ツナの特訓中?」

 

「ああ。もうすぐヴァリアーが日本に来るからな。それまでビシビシ鍛えてるところだぞ」

 

「はは、そりゃ大変。そちらは?」

 

光努はリボーンのとなりにいる家光に話しかける。

 

「ん?俺は沢田家光。ツナの父親だ。よろしく」

 

「ツナの父親か。俺は白神光努。光努とでも呼んでくれ」

 

「光努・・・・そうか、お前がイリスの二代目だな」

 

家光は、面白いものを見つけたようににやりと笑い光努を見つめた。

 

「あたり、よく知ってるね。さすが門外顧問」

 

「・・・へぇ、よく知ってるじゃねえか」

 

自分の役職がバレているのを知って、家光の眼光が鋭く変わった。

気のいい父親像からは想像もつかないような、数多の危険をくぐり抜けてきた猛者のような顔つきをした。

 

「ああ、灯夜に教えてもらった」

 

「灯夜の野郎、人の職業を簡単に説明しやがって。すまんがあんまり公にしないでくれよな。こう見えて裏じゃ有名なんでな」

 

「人気者って辛いよね。了解」

 

あはははと笑い合う二人。

リボーンも笑い、バジルは家光とタメ口を聞きつつ、役職的には家光に劣らぬどころか上に位置すると思われる光努に驚いていた。

 

「そうだ!光努、お前バジルと戦って見ないか?」

 

「親方様?」

 

「バジルと?ツナの特訓中じゃなかったのか」

 

そう言って未だに気絶中のツナをちらりと見る。

 

「今は休憩中だ。それに、お前の実力が見てみたい」

 

口角をあげ、光努は楽しそうに笑みを浮かべた。

 

「俺はいいぜ。いいか、バジル?」

 

「はい!手合わせ願います」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

ガガガガガ!!

 

「はぁ!」

 

バジルは光努に接近し、拳の連打を繰り出した。

今のバジルは光努に合わせて死ぬ気モードではないが、その身体能力は常人よりはるかに高い。さすが門外顧問組織で家光に鍛えられただけはあるという程。

だが、

 

「ハハハ、まだまだ!」

 

バジルの拳は、全て光努の出す右手の平で受け止められていた。

負けじと拳を引っ込めて回し蹴りを放ったが、光努はその場でしゃがんで頭上にきた足を掴みそのまま力任せに投げ飛ばした。

 

「ほら!」

 

「うわっ!」

 

投げ飛ばされたが、回転してうまく着地する。そのまま飛び出し光努に蹴りや拳を当てにかかる。だがそれも全て光努は受けたり躱したりして今はダメージが一発も通っていない。

 

「へぇ、バジルをこうも軽くあしらうとは」

 

「久しぶりに見たが、相変わらずだな」

 

感心したように二人の戦いを見つめる二人。

同年代で体術でバジルが遅れを取るとは思わなかったのか、吃驚した様子だが家光は少々楽しそうに笑みを浮かべ始める。

 

「バジル、死ぬ気丸を使え」

 

「え!親方様!しかし光努殿は・・」

 

「構わん、許す」

 

「・・・分かりました!」

 

一旦光努と距離を取ったバジルは、懐から錠剤を一粒取り出し飲み込んだ。

 

 

ゾワッ!―――――――ボォウ!!

 

 

瞬間、バジルの額に青い炎が灯った。

 

「死ぬ気モード?さしずめ、今のは死ぬ気弾の錠剤バージョンってところか」

 

「ええ。これは死ぬ気丸。親方様が拙者専用に調合してくださった丸薬でござる」

 

死ぬ気弾はボンゴレに伝わる秘弾。

それを擬似的に人工的に再現するとは。すごいな、沢田家光。

 

「ふぅ、準備完了でござる」

 

「じゃ、ラウンド2。行くぞ!」

 

ダッ!

 

明らかに先ほどより速い速度で光努に詰め寄った。

その拳や動きは、通常状態よりも格段に上がっていた。

 

死ぬ気丸は死ぬ気弾と同じリミッターを外す丸薬。死ぬ気弾と比べたら体にかかる負担も大きく、死ぬ気度も小さいが携帯用に便利で死ぬ気弾に起こるような大きな副作用が無い点が優れている。

複数の服用でさらに大きな力が望めるみたい。

 

「はぁ!」

 

ビュッ!ビュビュッ!

バジルの連撃を、光努は紙一重で躱す。

すかさず蹴りも連撃を浴びせるが、光努は両手を匠に動かして全て否し、ダメージはほぼゼロだった。手刀をなぎ払うように振るうバジルの手を掴み、蹴りをバジルの腹に打ち込んだ。バジルは咄嗟にもう片方の手でガードをしたが、

 

「(くっ!重い!)うわっ!」

 

威力が高かったのか、ガードしたにもかかわらず強引に突き破ってきた。

バジルは蹴り押されたが、そのまま距離をとって再び構えた。

 

「身体能力、動体視力ともに死ぬ気モードを圧倒か。おいおい、どんなスペックしてんだよ」

 

「光努はそういう奴だぞ。まだまだ力は高いみたいだけどな」

 

(勘弁してくれよ灯夜。ホントに何かありそうだ。あの力は、ヴァリアーにも通用しそうだしな)

 

ドガ!ガガ!ビュビュビュ!ドドッ!

 

「正直、ヴァリアーとの戦争もそうだが、イリスとボンゴレのドンパチもできるだけ避けたいんだが」

 

「大丈夫だろ。光努もそんなつもりサラサラなさそうだしな。まあでも、全力で楽しみたいだろうがな」

 

「その全力で何かあったら面倒なんだがな」

 

「うっ!」

 

シュゥゥ。

 

「はぁ・・はぁ・・お見事です、光努殿」

 

「楽しかったよ、バジル。おっ、ツナも起きたみたいだな。じゃ、またな」

 

何が楽しいのか、いつの間にかいなくなっている家光同様に、ツナに見つかる前に退散するつもりらしく、崖から飛び降りた。バジルは崖から下を覗いたが、光努がはるか下の方で軽快に森の中を進むのを見て、感嘆の声を上げた。

 

「拙者もまだまだ精進しなくては」

 

「その前に、ツナの精進が先だけどな」

 

「ん・・・あれ?今父さんいなかった?それに、バジル君誰かと戦ってたような?」

 

「何言ってやがる、とっとと修行再会だぞ」

 

「そんな!もう勘弁してよ!」

 

ツナの叫びが、今日も響いていたのであった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

ドゴォン!

 

「爆発音、火薬の匂い、ダイナマイト。それに・・・紙ヒコーキ?」

 

森の中を移動中、上空を見上げると爆発があった。よく見ると、爆発したそばを紙ヒコーキがふよふよと飛んでいた。

そして近寄ってみると、地面の上で隼人がダイナマイトを握りしめて、少し高い丘の上でシャマルが寝転がって紙ヒコーキを手に持っていた。

そばには空になったビールの缶が落ちていた。

特訓中?

 

「隼人ー、何してるのー?」

 

「んあ?てめっ、こんなところで何してやがる」

 

「それはこっちのセリフだけど、特訓?」

 

「・・・・まあな」

 

そう言うと、再び空を飛んでいる紙ヒコーキにダイナマイトを当てにいく。

しかし飛んでるヒコーキには当たらなく、ふよふよと再び空を漂った。

丘の上の方を見てみると、シャマルが紙ヒコーキを寝転がりながら投げていた。

光努は丘の上まで上がってシャマルの隣にたった。

 

「ようシャマル。何?家庭教師中?シャマルが?」

 

「おう、何か文句あっか?」

 

「だってシャマルって保建の先生でしょ?何教えてるの?応急処置?」

 

「おめーなあ、ヴァリアーが来るのに治し方何て教えてどうするんだよ。それに俺は殺し屋だ。トライデントシャマルって聞いたことねーのかよ」

 

「いや、俺この世界の人間に詳しくないし。全く知らん」

 

「お・・お前なあ・・。さすがにきっぱり言われるとムカつく。そのうちに痛い目見るぞ」

 

「はは、できるものならやってみろ、とっ」

 

そのまま前体を倒し、に飛び降りて隼人のところに向かった。

 

(あいつ、後ろから接近していた三叉矛の蚊(トライデントモスキート)に気がついたのか。それとも偶然か。なんにしても、さすがイリスのボスだけはあるってことか)

 

シャマルの必殺技は、不治の病原菌を持つ666匹の蚊を自在に操り、標的を病死させる三叉矛の蚊(トライデントモスキート)。その効力は様々であり、桜を見るとフラフラになってしまう"桜クラ病"、己の恥をしゃべるドクロのあざを体に増やしながら死んでいく"ドクロ病"など妙だけど恐ろしい病気もたくさん持つ。

こっそりと近づく蚊に気がついてなのかすぐに飛び降りてった光努に思わず少し冷や汗を流してしまった。

 

「隼人ー、貸して貸して。俺もやりたい」

 

「おめっ!遊びじゃねえんだから!邪魔すんじゃねえ」

 

「一回だけだから、な?そんなわけで早速」

 

と言ってダイナマイトを一本構える。

 

「ん?ダイナマイト?あ、いつの間に!」

 

「紙ヒコーキか。どれが100点だ?」

 

「ねーよそんなの!」

 

「どれでも一発で当てたら100点やるぞ~」

 

「てめっ!シャマル!」

 

「よし!」

 

ダイナマイトを構える。さながらやり投げの選手のように。そしてふわふわと漂う紙ヒコーキに向かって、

 

ヒュッ!ドオオォン!!

 

「な!」

 

「ほぅ」

 

「よし!100点!」

 

真っ直ぐに向かったダイナマイトは、紙ヒコーキにぶつかり粉砕した。

 

「おまっ!一体どうやった!」

 

「どうって、普通に投げただけだけど」

 

「んなバカな!」

 

「やめとけ隼人。お前とそいつじゃやり方が根本的に違う」

 

「どういうことだよ」

 

「技術を習得しようとしてるお前と違って、そいつはホントに力任せに投げて紙ヒコーキが動く前に当てたんだよ。真似したって無駄だぞ」

 

「なっ!」

 

「今のはバカみたいな力があって出来る芸当だ。お前はお前のやり方がある、ほら続きだ」

 

そう言ってまたも紙ヒコーキを飛ばす。

釈然としないながらも、渋々とダイナマイトを点火してヒコーキ落としを再開する。光努はそれを見送りながら、再び森の中を疾走するのであった。

 

 

 

 

 

 

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