特異点の白夜   作:DOS

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『笑わない道化』

 

 

 

 

屋上に飛び出してきたのは、白い影。

屋上のフェンスの上にたった人影は、異様な人物だった。

真っ白いローブにフードを被り、そこから見える顔は素顔でなく仮面。

白い顔部分に、黒い三日月のような口。目の部分には青いダイヤと、赤いハートのマークが記されていた。

 

「はぁ~。外れた。一人くらい、始末できると思ったんだけど」

 

言葉を聞いた瞬間、その場の全員に何かが突き刺さるような感覚があった。

鋭く、それでいて冷たいような感覚、強大な殺気を惜しげもなく周りにぶつけてきた。明らかに、自分らを始末するつもりだと。

 

「来たな、"道化師"ジャンピエロ」

 

「そこにおわすは、沢田家光殿。まさかボンゴレ門外顧問様がこんなところにいるとはな。私はついてる」

 

驚いた風もなく、棒読みに近いような喋り方。明らかに家光もこの場にいることを知っていながら攻撃を仕掛けてきている。

 

「ついてないの間違いじゃねえのか?」

 

そんなジャンピエロに家光は眼光を鋭く光らせ、いつでも対応できるように臨戦態勢をとる。そんな家光を見て、ツナ達も構える。

 

「いやいや、ついてるさ。お前も一緒に始末できるのだから」

 

ぞわっ!

ジャンピエロの瞳が怪しく光ったような気がした。

重い殺気があたりに充満してツナたちは一瞬息が詰まったが、すぐに対応するように標的を睨みつける。、屋上の上はまさに一触即発の雰囲気を発していた。

だが、そんな殺気にはるかに慣れ親しんだ者達には、膠着状態などなかった。

 

「俺ら忘れてんじゃねーよ」

 

ベルが自前の細かな細工を施されたナイフを数本取り出し、ジャンピエロに向かって投げつける。真っ直ぐに目標の顔面に向かって飛んだナイフは、ジャンピエロに届く前に弾かれた。

 

ジャンピエロが軽く手を振って弾いたが、よくよく見てみると弾いたその手の指には、くるくると回る厚みの薄いリング状の金属が引っかかっていた。

雷雲から時々ゴロゴロとなる光に反射して、刃から異様な雰囲気が見える。

 

「ヴァリアーも抹殺対象なんだよね。そんなわけだし、お前ら全員死んでくれない?」

 

ジャンピエロの両手が素早く振るわれる。ツナ陣営とヴァリアー陣営に向かって、先ほどのリングと同じ物が飛んでいった。

 

「ちっ!果てろ!」

 

「はっ!」

 

獄寺がリングに向かってダイナマイトを投げるが、リングに触れた瞬間に切り裂かれた。

 

リングの回転と、刃がついているためにぶつかる物体は全て切り裂かれていく。

それを見た山本が山本のバッドを刀に変形させてリングを弾いた。

 

「おらぁ!」

 

ヴァリアー陣営に飛んだリングは、山本と同じようにスクアーロの剣が弾いた。

 

「弾いたか。ま、それも予想通りだけど・・・ね」

 

そう言ってローブの中から取り出したのは巨大なリング。まるでフラフープのような大きさの厚みの薄いリング。見た感じ、このリングにも刃が全体についているのが分かった。

 

そしてジャンピエロはそのフープを腕に掛けてくるくると回しつつ、唐突に、頭上へと投げつけた。

 

『!』

 

全員、一瞬上空のフープに視線が集まった。

 

そう、一瞬。

 

この一瞬、この場の人間の視界から、ジャンピエロが消えた瞬間だった。

 

「!くっ!」

 

滑るように山本の元へ接近し、両手に握っていたリングで山本に攻撃を仕掛けた。

 

キィンキィンキィン!!

 

とっさには反応できた山本の刀と、ジャンピエロの手に持ったリングがぶつかる。

 

「甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘いよ」

 

刀を振り下ろす山本の刀の上に乗り、リングを山本に向かって振るう。

 

「山本!」

 

「そいつぁ、甘いぜ!」

 

足の裏でコンクリートを踏みしめ、上に切り上げるように刀を振り、ジャンピエロは宙を舞った。

 

そしてそのまま飛んでいったジャンピエロは、ヴァリアー陣営へと飛んでいった。

 

「こっち来たぜ、スクアーロ」

 

「う"お"ぉい!上等だぁ!返り討ちにしてやる!」

 

獰猛な笑みを浮かべ、左手に装着された剣を構えた。

上から降ってきたジャンピエロは、体を回転して態勢を立て直し、直径30センチ程あるリングを取り出した。

 

「おらぁ」

 

ガキィン!

全員目を開いて今映っている光景を見た。

スクアーロがジャンピエロに向かって突き刺した剣に素早くリングを通し、リングの内側に足を引っ掛けて踏みつけ、釣られて剣が引っ張られるようにして地面に突き刺さった。

 

「なにぃ!?」

 

「じゃあな」

 

再びリングを構え、スクアーロに襲いかかった。

だが、スクアーロは突き刺さった剣と腕を軸にして前に回転、そのまま足をジャンピエロへと振り下ろした。ジャンピエロも、腕でガードをして一旦距離を取った。跳び際にリングを複数投げつけて。

 

キキキキキン!

 

剣を引き抜き、素早く振るったかと思うと、スクアーロの剣には合計7本ものリングが掛かっていた。

飛んできたリングを全て、剣に通して止めたのである。

 

「ひゅう。さっすがスクアーロ」

 

「けど、あの"道化師"も中々やるよ。スクアーロと戦いながらも、こちらには一切

隙を見せていない」

 

マーモンの言う通り、現在進行形でスクアーロと戦っているが、ヴァリアー側にも、ツナ側にも、隙らしい隙を見せずに戦い続けている。

 

コオオォ!

 

「「!」」

 

スクアーロとジャンピエロが、同時にその場から飛び退くと、突如光の柱が飛んできて、先程までいた破壊した。

全員が光の飛んできた方向を見ると、屋上の貯水タンクの上にいたのは、

 

「XANXUSか。いないと思ったらそんなところにいたとはね」

 

「う"お"ぉい!てめぇ、今俺も一緒に狙っただろぉ!」

 

「うるせぇよカスザメが。いつまでもやってんじゃねぇよ。それと"道化師"」

 

XANXUSが右の手のひらを上に向けながら"道化師"を睨みつける。

 

「?」

 

「おめぇの言葉は嘘くせぇんだよ」

 

右手からまばゆい光が放たれたと思ったら、頭上に迫ってきたフラフープ大のリングが消し飛んだ。全員の目をそらすために最初に"道化師"が投げたリングは、貯水タンクにいたXANXUSを狙って投げたものでもある。闇と雨にまぎれた銀色の刃物にXANXUSは気づいていた。

 

「お見事だね。ん?」

 

ジャンピエロが不意に上を向く。その行動にツナ達も警戒を続けたまま、上に目線を向ける。雨が降り続ける中、視界に妙な物を捕らえた。

 

「なんか黒い物が・・・」

 

誰かがそう呟く。

雨の中、そこだけ切り抜いたかのように黒い物体が降ってきた。

 

ドゴオォ!

 

上から降ってきたため、コンクリートの屋上に当たり土煙が出る。

 

「一体何が降ってきたんだ?」

 

「黒くてよく見えなかったけど」

 

「ていうかなんか煙多くね?」

 

当たりに立ち込める土煙いや、ただの煙のようなものまで混じって屋上全体を包み込む。だんだんとXANXUSのいた貯水タンクまで侵食して、屋上から下へと流れ出している。明らかに人為的に出しているであろう煙の量。この場の全員が、視界を煙に包まれた。

 

「十代目ー!ご無事ですか!」

 

「俺は無事だ!皆大丈夫か!」

 

「ツナー!こっちは大丈夫だ!」

 

「父さん!」

 

「こっちもだ。ヴァリアー側も大丈夫っぽいぞ」

 

「ボスーーー!!無事かーーー!!」

 

「るせぇよ」

 

バキィ!

 

「ごふっ!」

 

「馬鹿かこいつ。おーいスクアーロ」

 

「う"お"ぉい!どこに話してんだぁ!俺はこっちだぁ!」

 

「僕たちも全員無事みたいだね」

 

「たった今一人負傷したけどな」

 

ボフゥ!

ツナが炎を纏った腕を振るうと、当たりに立ち込めていた煙が全て振り払われた。

その場にいるのは、ツナ達と門外顧問組織と光努、そしてヴァリアー達とチェルベッロの人間のみ。いつの間にかジャンピエロはこの場から消えていた。

 

「う"お"ぉい!あいつはどこだぁ!」

 

「逃げられたみたいだな」

 

怒鳴り散らすスクアーロにベルはやれやれという感じに言う。

 

「さっきの黒いのはアドルフォだな」

 

「!それは本当か、光努」

 

「まず間違いないな」

 

光努は、落ちてくる物体の外見の微妙な特徴からアドルフォと判断した。家光たちがわからなかったのはただ単に見たことないから。そして、見送った光努の高性能な視覚が捕らえた。

 

落ちてきたアドルフォの巻き上げる土煙に紛れて、アドルフォはけむり玉を大量に巻いて、自分の手から大量の煙を噴出して、七輪の上にさんまをのせて団扇で仰いで、小麦粉を地面にぶつけて、煙を大量に増やして屋上を煙だらけにした。

 

(なんか変なの混じってたような。特に後半・・・ま、いいか)

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「なんで邪魔をした。せめて一人くらい潰しても」

 

「いやいや、全然No problemじゃないだろ。All ster勢ぞろいじゃん」

 

「関係ない。私ならできる」

 

暗く染まった夜の道を、二人の人物が歩いていた。

仮面をつけて白いフードを目深にかぶったローブの人物。

隣にいるのは、先がボロボロの黒いマントをはおり、体中には黒いプロテクターつけられていた。顔には黒い帽子とマスク、そして目を覆うゴーグルのレンズが赤く光っていた。

 

対照的な色合いだが不審度はダントツでトップな二人。

"暗殺者"アドルフォと"道化師"ジャンピエロ。

 

見たら職質確実な二人が悠々と、並盛中から離れた道路を歩いていた。

 

「やるならやっぱり個別の方が、Me達も仕事がとってもEasyだし。確実」

 

「まどろっこしいね。一気に纏めての方が、とっても簡単だと思うよ」

 

互の意見は正反対だけど、仲が悪いというわけでもなさそうな雰囲気。

 

「とりあえずStop。ウィーラが来るまでStopと言ったらStopだ」

 

「・・・・・了解だよ。来たら連絡しておくれ」

 

そう言うと、ジャンピエロはローブをはためかせ、その場からすぐにいなくなった。

 

一人に残されたアドルフォは、暗い道路を歩いていた。

 

「"棟梁"ウィーラ。Perhaps、来るのは・・・2日か3日くらいかかるか」

 

気づいた時には、そこには誰もいなく、ただ暗い闇だけが広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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