激しいブリザードの吹き荒れる中、立ち上がったスクアーロと光努は対峙していた。
「ちっ、マーモンの奴何してやがる!視界も悪いし。てめーは平気そうだなぁ!」
平然と立ち尽くす光努に向かって叫ぶスクアーロ。
幻覚は、見破ることのできる人物もいるが、見えている以上何らか視界の邪魔にだってなるし感覚に多少なりとも影響が出る。それは百戦錬磨のヴァリアーだって例外ではない。
しかも今回は戦ってる最中、突如マーモンが幻覚を発生させたために、不意打ち気味にスクアーロも参っている。術師と戦い幻覚に備えた戦い方などしていれば、多少の幻覚にも耐えられるし効かない。が、今回はそこまで余裕がなかったというのが事実。
ボンゴレ最強の剣士(?)のスクアーロだって幻覚が全く効かないわけでないのだから当然の結果。だからこそ、スクアーロも疑問に思う。自分にはある、幻覚によってわずかに乱れた動きのズレが光努には見当たらない。
「てめぇ、なんで普通に動ける!」
「子供は風の子という言葉が」
「ねぇよ!あるけど全く関係ねぇよ!!」
「俺にはこの幻覚は、出来の悪い飛び出す3D画面程度にしか見えない」
「・・・・・」
冗談だろ?
つまりちょっとすごいなーという程度で、本物のようなリアリティを感じず、ほとんど幻覚に対して効果がない。先日のベルと隼人の戦いではないが、動きの悪くなったスクアーロと普段と変わらず動ける光努。しかも元の身体能力や耐久力等差が出ている。
「それにしてもこの吹雪、マーモンの幻覚か。何やってんだか」
呆れたようにため息をついた光努だが、それでも関係ないとばかりにスクアーロに向き直る。
「じゃあ面倒だし・・・・・・・・・・・・・必殺技を使うか」
「必殺技だと!今さら!?」
「実は昔知り合いに教わった必殺技があったりなかったり」
「おまえ設定作ってないか!?」
「必殺技ってのは嘘。興味本位で一個教えてもらったのは本当だ」
「そんな近所の親父だが仙人だがに教えてもらった物が使えるか!」
「まあなんにしても次で仕留めるけどな」
「!」
腰を落とし、右足を前に置き、左足を後ろに引くような態勢を取る。
拳をを前に突き出し、反対の手を、親指のみを曲げ、他の指を伸ばした状態の貫手を作り引いた状態を保つ。一定のリズムで吸われて吐いた息を、再び深く吸い込み、体をひねり、大地を踏みつける。
「
***
「雪だるま雪だるま」
「雪うっさぎ~」
「・・・・・・」
目の前で文字通り雪だるまと雪うさぎを作っているリルとコル。
そんな姿を見つつ言葉が出てこないベル。
(あれ?幻覚の雪でこんなん作れたっけ?普通無理じゃね?)
マーモンの幻覚が作り出したツンドラ地帯のごとき吹雪の中、楽しそうに雪遊びをしているリルとコルを見つつ、自分も寒く感じてきたのかそろそろ自室に戻ろうかと思っている時だった。
ドゴオオオオォォ!!
一際大きな音が室内に響く。
周りは吹雪で視界が悪い中、その音は確かに響いた。そして自分の目の前に何かが横切ったような気がしたと思ったら、すぐそばの壁が崩壊した。
よくよく見ると、崩壊した壁の中に刃が半分になった両刃の剣が見えた。
そしてさらによくよくと見れば、中に埋まっていたのは、先程まで戦っていたヴァリアーの作戦隊長であるスクアーロだった。
「まじ?」
明らかに気を失っている様子。
しかも左腕につけられていた剣は中程からポッキリと折れている状態。
不意に、先程まで吹き荒れていた雪嵐が止み、元の部屋の様子が戻ってきた。
元のというのは少々語弊があるが、実際は戦いの中で床や壁が崩壊し切り傷が生まれたりと若干原型が歪んでいた。
視界が晴れると、いつの間にかマーモンはいなくなっており、リルとコルもいなく、さらにまたよくよくと見れば、瓦礫に埋まっていたスクアーロもいなくなっていた。
つまり、ベルは一人で壊れた部屋の中に立っていた。
「つーか・・・・・今日のバトル、どうしよ」
***
タッタッタッタ!
あっという間に太陽も隠れ、月が綺麗に見える時間帯の道路はもはや暗い夜道と化していた。そんな道路を走っている影が三つ。
光努とリルとコルの3人だった。
少し妙なのは、光努が大きめの袋を2つ担いでいるということ。人が一人入れそうな袋を担いで歩いていると、シルエットだけならサンタクロースにも泥棒にも見える。
そしてそのまま黒道邸に帰ってきた。
「たっだいまー」
「あらお帰りなさい。今日は早いのね」
「「ただいまー」」
リルとコルがバタバタと廊下を歩いてい手を洗いに行く。
奥からでて来た朝菜はすでに寝巻きに着替えている。
夕輝は幼稚園児なため、この時間まで起きているのは辛くもう眠っている。
そしてルイと灯夜は現在いない。
部屋に戻ってどっこいしょというように持っていた袋を二つ畳の上に降ろして一息つく。そして近くに設置されていたモニターのスイッチをいれると、画面が映り、そこには灯夜が写っていた。
「やっほ、元気?」
『お前は元気そうだな。こっちは今面白いことになってるぞ』
「面白いこと?」
正直光努は灯夜とルイがどこにいるかは知らないが、わかっているのは国外にいるということと、リング争奪戦の襲撃者を探っているということ。他にも用事はあるのかもしれないが、光努が知っているのは大まかにはこんな感じ。
『ボンゴレのアジトが何やら危ない感じなんだ』
「ボンゴレが?」
ヴァリアーがいないから狙われたとか?
でも独立暗殺部隊って用心棒ってわけでもないからこれくらいじゃ狙われない、というかやられないと思うが。
『家光がイタリアのボンゴレ本部に来てるんだが、9代目が何やら危ない状態らしい』
「9代目が?でも本部だろ?」
家光は、雷のリング戦が終わった辺りからイタリアへと渡った。さり際にXANXUSがさらりと言った言葉と、ヴァリアーの勝手すぎる行動を容認している9代目。何かあったと疑うのは至極当然のこと。だがその小さな懸念は、XANXUSの言葉によって大きな疑惑に変わる。一体9代目に何があったのか確かめる為、家光はイタリアにあるボンゴレの本部へと乗り込んでいった。
『というわけで、そっちの方は任せた』
「と言われてもな」
『そういえば今日の対決は誰だ?』
「ああ、雨の守護者の戦い。スクアーロと武だ」
『スクアーロ、剣帝を倒したヴァリアーか』
「知ってるのか?」
『まあな。ボンゴレのヴァリアーはどこのマフィアも驚異にしている奴らだしな』
「そうなのか」
『しかしスクアーロと戦うというのも災難。その武は知らないが、せいぜい今日は頑張るといい』
「いやー、それなんだけどさ」
『?』
と言って光努は2つの袋を開けて中を見せる。
中に入っていたのは、銀色の長髪に黒ずくめの服を着た男と、黒い短髪に並盛中学の制服を着た男。つまりスクアーロと武の二人。
「ここに二人いるんだよね」
『・・・・・・・・・・・』
今日の夜には雨の守護者の戦い。
対戦者はスクアーロと武の二人の戦い。
そしてその二人は今さっき光努の持ってきた袋の中に入っていた。
「ちょっといろいろあって拉致ってきた」
『・・・・・・』
無言だが、灯夜のめちゃくちゃ疲れたような表情と、「ついにやっちゃったか」というような表情を見るに、さすがの灯夜もどうしようかと真剣に考えている。
ちなみに、なぜ光努が二人を拉致したのか。
先ほどの戦いでスクアーロの剣をへし折って気絶させた。が、その夜には雨の守護者の戦いが控えているためこのままではまずい。無理やり起こすというのもいいのだが、光努的にはフェアでは無くなるということからまずスクアーロをばれずに持って帰る。
そしてそのあと武の家により、一人のところをこっそりと気絶させて一緒に持って帰る。さらに並中でステージを作っていた奴らを全てのしてさらにステージを半壊させる。
対戦フィールドを壊したのは、チェルベッロが二人とも現れなかったのでこの勝負は引き分けにしますという言葉を言わせないため。現にチェルベッロの二人は、ツナ側ヴァリアー側の二つに、フィールド調整の為に雨の守護者の戦いの延期を通達した。対戦日は明日の夜。そして現在、光努の前には気絶している二人がいた。
「いやさ、やっぱり戦うのはフェアの方がいいしさ、正直チェルベッロがなんとかしてくれて助かったし」
『そういう問題じゃないだろ。しょうがないやつだ・・・・」
「ま、こういうこともあるってこと。さてと、俺はこいつら返してこないとな」
『もう少し大人しくしてくれ・・・』
「それで灯夜は今何してるの?」
『ああ、そういえば襲撃者の情報がわかってきた』
「本当か?」
『ああ。犯人は、プレギエーラファミリーの連中だな』
「プレギエーラファミリー?」
光努の聞いたことない名前。
イリスのマフィアのボスに就任して結構な日数の断つ光努だが、今のところこの世界のことはイリスの企業関連の事中心で覚え始めているため、マフィア界のことについてはあまり多く知らない。この名前もまだ聞いたことのないマフィアの一つである。
『プレギエーラのボスは9代目の知人でな、隙を狙ってボンゴレを奪おうとするようなやつじゃないんだが』
「今まさに狙ってると」
『そこのところも、一度プレギエーラのアジトに行って調べてくるか』
「そっちも気をつけなよ。昨日はいなかったがまた墓造会の奴らが来るかもしれないしな」
『そうだな』
「というかそのプレギエーラが墓造会っての雇ってるのか?」
『そうだとしたらやはりかなり妙だ。プレギエーラのボスは穏便な方だからな。戦いはあまり好まないたちなんだ。しかもボンゴレと同盟を組んでる』
「うわ、明らかに怪しすぎ。まあそこらへんも考えて調査よろしく」
『そっちも気をつけろよ』
「そうだな。こいつら返してきたら俺は出かけてくるよ」
と言いつつ光努はスクアーロと武の顔に眠り薬を嗅がせる。超強力、ティラノサウルスでも1日眠ると言われる程の秘薬。どこから手に入れてきたのかはわからないが、とりあえず使って見る分にかなり効いているようだ。元々鮫は匂いに敏感(特に血の匂い)だっていうしな(ここではあまり関係ないけど)
『?こんな時間にどこ行くんだ?』
「え?どこって・・・・・あ、そうか。灯夜何か勘違いしてない?」
『勘違い?』
「雨の守護者の戦いは延期になったが、代わりに別の守護者の戦いはあるんだ」
正直に灯夜も光努の言い回しから今日は守護者の戦いが無いと思っていた。
が、そこまで驚くこともなく続けて会話をする。
『別の守護者というと』
「今日の戦いは、霧の守護者の戦いだ」
話を書いてたら、なぜか対戦日がチェンジしちゃった。