特異点の白夜   作:DOS

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『霧の戦いだから体術で攻めよ』

 

 

 

 

霧の守護者の戦い、クローム髑髏VSマーモン。

雨の守護者の戦いがなくなったことにより浮上してきた守護者の戦い。

 

この戦いに置けるフィールドは、なんの仕掛けも無い体育館の中。

 

ボンゴレ霧の守護者の使命とは、無いものを在るものとし、在るものを無いものとすることで敵を惑わしファミリーの実態をつかませない、まやかしの幻影。守護者達はそれぞれ強力な幻術士。何もなくとも、何かを生み出せる。彼らの戦いには、特殊な装置など不要なもの。

 

体育館に現れた犬、千種たちを見てツナ達は驚きをあげたが、さらにそのあとにきた人物に驚いた。

 

この二人が来るのなら、当然やつが来ると思っていた。

 

六道骸。

 

かつてマフィア間抗争を起こそうと考えたが、ツナに倒され牢獄に入れられた男。

だが来たのは、一人の少女だった。

 

黒曜中の女生徒用の制服を身にまとい、少し特徴的な髪型と、見覚えのある三叉槍。そして、髑髏模様のついた右目の眼帯。

 

Ill mio nome e' Chrome(我が名はクローム).Chrome(クローム) 髑髏(ドクロ)

 

優雅に、流麗に、彼女はそう名乗った。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「クローム達は先に行ったし、もう始まってるかな」

「というか、どう説明したんだ?あの二人」

 

あの二人というのは、スクアーロと武。

ツナ側ヴァリアー側と、両陣営は結構な騒ぎ用だった。

 

今夜戦うはずの二人がどこにもいず、連絡も取れないという状況。

どちらも不戦敗かと思ったとき、チェルベッロから伝令が伝えられた。

 

「諸事情により、今夜の戦いを急遽、霧の守護者の戦いに変更します」

 

諸事情というのに気にはなったが、ツナ達もヴァリアー達も、守護者が現時点でいない状況では好都合。あまり深く突っ込むことはせずに、その勝負を了承した。

 

そして現在、光努が拉致したスクアーロと武の両名はそれぞれの家に寝かせてきた。スクアーロの場合はホテルだが、現在ツナ達ヴァリアー達は並中に集まっている為、気づかれることなく返却できた。ホテルにはヴァリアーの部下と思わしき人物が何人かいたが、全員蹴散らしてきて寝かせてある。

 

そして用事も終わり、今現在進行形で霧の守護者の戦いが行われているであろう並中に向かっているのは、光努。

 

柔らかそうな白い髪を揺らしながら、屋根から屋根へと飛んで移動をしている。そしてその頭の上に乗っている小さい影。

 

着流しに羽織を着て下駄を履いた和風な出で立ちに、銀色の髪。そして胸元に付けられた白いおしゃぶり。光努の頭の上に乗っていたのはハクリ。謎の多き赤ん坊、光努と共に世界にやってきてから神出鬼没で消えたりいたりする人物。あまり描写されないが、現在は一応黒道邸に居候しているそうだ。

 

アルコバレーノと同じようなおしゃぶりをつけているが、ハクリの存在を知っているアルコバレーノは現在リボーンのみ。厳密に言えば、ハクリが現れたと同時におしゃぶりに反応があったため、何かあったというのは全アルコバレーノが知っているところだが、正確に何がどうしたということまでわかっているのはリボーンだけ。単に会う機会が他の人物にはなかったり、タイミングの問題だったのだが、ハクリが積極的にアルコバレーノに会いに行かないのも原因の一つである。

 

「いやはや、アルコバレーノが三人もいるなんて、ラッキーだな」

「まあ世界に7人しかいないアルコバレーノの3人がいるってのは確かにラッキーといえばラッキーだな」

「ほらほら急げ。でないと試合が終わるぞ」

「了解。飛ばすぞ!」

 

屋根を踏みしめて、目的の並中へと光努とハクリの二人は向かった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

クローム髑髏とマーモンの戦いは、初っ端から高度な幻覚合戦と化していた。

クロームが槍で地面を着いたとき、体育館の床は崩壊し、せり上がる。

通常ではありえないような崩壊の仕方をした体育館の床。幻覚を使っていると分かっていても、さすがと言わざるを得ないほどの幻術。

 

だが、これくらいは相手も予想の範囲内。

マーモンは自分のフードの中から大量の触手を作り出し、クロームの首を締め上げる。そうすると、さきほどまで体育館全土を崩壊させていた光景は煙のように消えてしまい、思わずツナ達も戸惑ってしまう。よくよくよ見れば、マーモンに締め上げられているクロームの姿が映し出されていた。

 

だがそれもわずか。気がつくと、マーモンが締め上げていたのはバスケットボールの入った籠。クロームはマーモンの後ろに立っていた。

 

「!」

 

ツナも獄寺も良平も、あまりこういった奇想天外な幻覚に慣れていない彼らは、今起こったことも、何がいつの間に起こったのかに理解するのに少し時間がかかった。それでもこの戦いは、戦いのプロであるヴァリアーから見ても見事である。

 

クロームの幻覚を破ったマーモンも見事だが、それを幻覚の囮で防いだクロームも見事。

 

息もつかさぬ騙し合い。滅多に見られない戦いだった。

 

バキン!

 

クロームの実力が弱いものでないと確認したのか、マーモンのマントの下から何か金属が砕けるような音がしたかと思うと、中から短めの鎖が床に落とされた。

そしてマーモンの頭の上に乗っていたカエルが脱皮をするように割れ、中から出てきた動の長い巻き蛙が、自らのしっぽを加えて、まるで天使の輪っかのようにマーモンの頭の上で浮いた。

 

さらには観戦に来ていたリボーンとコロネロのおしゃぶり、そしてマーモンのマントの下から現れたおしゃぶりが、共鳴するように鮮やかに光輝いた。

 

「あの巻きカエルと藍色のおしゃぶり。・・・・・・生きてやがったのかコラ!」

「やはりな。奴の正体はアルコバレーノ、バイパー」

 

青色のおしゃぶりを持つアルコバレーノの一人、コロネロのつぶやきに、確信を突いた声。黄色いおしゃぶりを持つアルコバレーノ、リボーン。

 

ここに、3人のアルコバレーノが揃った。

 

コロネロがマーモンの正体に驚いたのは、アルコバレーノのバイパーは、戦いの中で行方不明、つまり死亡したと聞いていたから。通常、アルコバレーノ同士が近づくと、お互いの持つおしゃぶりが共鳴をして光り輝く。マーモンと最初にあった時には何もおしゃぶりに反応がなかっため、わからなかったが、原因はマーモンが使っていた鎖。

 

素材等は不明だが、あれを巻きつけることによっておしゃぶりの機能を封じていたのは確か。そしてその力を開放するということは、先程までの戦いの力以上の力で戦うことが可能になったということ。わかりやすく言えば錘を外して超スピードで動く悟○のような感じ。

 

おしゃぶりを外したあと、地面から足を離して宙に浮いた。

マーモンこと、アルコバレーノのバイパーは、最強の赤ん坊である(アルコバレーノ)一のサイキック能力を持つ術士。つまり幻術士でもあり超能力者。

今宙に浮いている状態は幻覚でもなんでもない、現実。

正体が現れたマーモンを前に、クロームはひるまなかった。

 

「誰だろうと、負けない」

 

強気に槍を握り締め、マーモンに向かっていた。

ふよふよと浮いているマーモンに向かって槍を振るう。

マーモンはひらりと避けるが、クロームはそこから槍を匠に動かし、マーモンの移動地点を予想して槍を振るった。格闘術に関してはプロとは言い難いマーモンは、飛んできた槍を思わず喰らってしまった。

 

「むむ!」

「まだ」

 

シャッ!

 

「これは、幻覚じゃない?」

 

マーモンに巻き付くように現れたのは、大量の大蛇。

猛毒を持っていそうな危ない外見をした大蛇が浮いているマーモンに何匹も絡みついていた。

畜生道。

骸の持つ六道輪廻の能力の一つ。人を死に至らしめる生物の召喚能力。

だが、そこはさすがアルコバレーノ。すぐに蛇を振り払う。

だがクロームはすぐにさまマーモンに肉薄して追撃を仕掛けた。

 

マーモンはすぐに避けるが、振り下ろした槍が床に触れたとき、床が何箇所も膨れ上がり、そこから煌々と燃え上がる火柱が天井まで立ち上った。

火柱というか、まるで溶岩が吹き荒れたかのような柱。

 

傍から見ているツナ達も、実際にはないはずの暑さをリアルの感じていた。

だが、火柱の中から何事もないかのように出てきたマーモン。

 

「確かに、君の幻覚は一級品だ。一瞬でも火柱にリアリティを感じてしまえば、焼け焦げてしまうように」

 

素直に関心するマーモン。一流の幻術士と言っても過言ではないクロームの幻覚能力。元々クロームの能力ではないのだが、それでもこれほどの練度で使いこなすのは普通では難しい。だがそれでも、まだマーモンには届かなかった。

 

「故に弱点も、幻術」

 

一瞬で、燃え盛る灼熱地獄が、氷の柱へと変化を遂げた極寒地獄と化した。

空中から大量の氷柱が表れ、クロームに襲いかかった。

三叉槍を振るい、全ての氷柱を落とすクローム。ついでにマーモンにも攻撃をするが、途中で止まってしまった。よくよく見てみると、自分の足元が凍りついていた。

 

幻覚を幻覚で返す。

脳の五感を支配する幻術の攻撃を、幻術で返されるということは、自らの知覚のコントロール権を奪われると同義。

 

「ふん」

 

が、クロームは槍の柄で足元の氷を砕いた。

 

「うそ?」

 

マーモンも唖然としている。

足を自由に開放し、マーモンに接近して槍で地面に打ち落とす。

自分の幻覚を全部でないとはいえ、破られたのに驚いた為、一瞬の隙を疲れた。

 

クロームが使ったのは、幻覚能力を集中させて、相手の幻覚の一部を壊すこと。

そして自前の格闘能力を持ってマーモンを打ち落とす。説明にするとあっという間だ、そう簡単にできることでもない。

 

「いたた。だけど甘い。まだまだ僕の幻術の中だよ」

 

マーモンが手を動かしたかと思うと、地面から大量の氷柱が生えていった。

自分のいるところから広がるように、クロームの元へと、逃げ場をなくすように氷柱をはやしていった。

 

クロームは、自分の足元から氷柱が生えると同時に地面を蹴り、宙へと飛び出る。

そして一回転して優雅に氷柱の先端の上に降り立つ。

しかもそのまま氷柱の先端を蹴り、そこから別の氷柱の先端を蹴って一気にマーモンの元へと近づき槍を振るう。

 

か弱そうな少女が氷柱の上を苦もなく移動して攻撃したのに呆気にとられたマーモンだが、気を取り直して空を飛んで槍を躱し、槍が届かないであろう上空で停止する。

 

(だんだん知覚のコントロールが奪い返されている。術士としてはまだ僕には及ばないが、格闘能力と幻覚に対抗する力は高いね)

 

マーモンは、クロームの槍が届かないである上空で待機した。

それによって生じた余裕と、少しの思考がマーモンに隙を作った。

 

パキン。

クロームはその隙を見逃さず、自らの持つ三叉槍の先端を外し、ブーメランのごとくマーモンに投げつける。

くるくると回転した槍の先端は、マーモンに辺り打ち落とすことに成功した。

 

「すごい!相手を押してるよ!」

「幻術というより肉弾戦で押してるのがなんか俺的に尺なんですが・・・」

「ま、いーんじゃねーの?これなら勝てるだろ」

 

事実クロームが押しているように見えてる現在、ツナ達観戦側は喜ぶ。

隼人の言うとおり、術士なのに格闘している点で妙というのもわかるが、一応言っておくとクロームの幻覚能力は一流。観客から見ればか弱そうな女子だったが、幻覚を使うだけでなくマーモンも吃驚の格闘能力を披露するので割と驚くみんな。

犬と千種は当然だというようににやりと笑っている。

落とされたマーモンは、再び浮遊して再び幻覚を発動した。

 

ビュオ!

 

「うわ!寒っ!」

「さすがバイパー。こいつはやべぇかもな」

 

猛吹雪。ブリザード。

吹き荒れる風と雪と氷が体育館を包み込んだ。

 

「はっ!」

 

負けじと、元に戻した槍で地面を突くと、そこから巨大な火柱が飛び出し、マーモンに向かった。マーモンも巨大なブリザードを作り出し、火柱にぶつける。

幻覚と幻覚のぶつかり合い。傍から見たら大規模な炎の渦と雪の嵐がぶつかり合い、自然災害レベルの映像が映し出される。ツナ達やヴァリアー達は、幻覚だということが分かっていても、暑さと寒さに顔を歪ませる。同じ最強の赤ん坊と言われるのコロネロとリボーンでさえ、思わず吐く息が白くなってしまった。

 

その様子を、見ている影が二つ。

 

気配を断つという芸当をしているわけでもないが、なぜか誰も気づいていない。

だが、体育館の上方に位置する小窓から中を除く顔が二つあった。

 

「お、結構前線。さすが地獄巡りをくぐり抜けただけある」

「あの罠地獄か。けどマーモンもまだ全力じゃないぞ」

 

会話しているのは、用事を済ませて並中へとやってきた光努とハクリ。

一体どうやって上にある小窓から覗いているのかとても疑問に思うのだが、そんなことはひとまずどうでもいい。最強の赤ん坊と言われるマーモンことバイパー。

アルコバレーノとしての力を開放して戦っているが、まだ全力というわけでない。

だがそれはクロームも同じこと。この戦い、一体どうなるのやら。

 

「さてと、いつ出るつもりだ?骸」

 

そう言った光努の右目は赤く染まり、中には『六』の文字が記されていた。

 

 

 




地獄巡りによって格闘能力が修羅道を超えたクローム。
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