リリカル世界に魔王さま進出   作:エビノカラアゲんまいはー

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ご都合主義回。(いつも通り)


7話

そんなこんなで。

後にジェイル・スカリエッティ事件、もしくはJS事件と呼称される大規模事件は解決した。

機動六課……スバル、ティアナと、その仲間達が聖王のゆりかごの機能をある程度破壊、中にいた人たちを救出し、脱出。

その後、複数の次元航空戦艦で一斉攻撃、聖王のゆりかごは完全に消滅したそうだ。

ん?俺?

俺は、地上で人に攻撃してるガジェットをひたすら殲滅してたよ。

ま、すぐに全部停止したから、あんまり意味はなかったかもしれないけど。

そして、今は____

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

From:ミッドチルダ西部、エルセア、ランスター家

 

 

Side:ティーダ

 

 

大規模な事件が発生し、解決してから一週間。

今日は、久しぶりにティアナが帰って来ていた。

現場に駆り出されてた為、その顔には若干の疲れを見せていたが……

ティアナが無事で、本当に良かった。

俺も事務方として参戦していたからよくわかる。

あの事件で、ティアナがどれだけ危険な状況にいたのか。

 

「____でね、お兄ちゃん……お兄ちゃん?」

 

車椅子をティアナの元まで押し進めて、抱きしめる。

 

「本当に、無事でよかった……」

「ちょっ!?恥ずかしいってば、もう……」

 

そんな事言いながらも、ティアナは抵抗しない。

自然と、涙が溢れる。

今この手にあるのは、本当に守りたかったものだから……

 

「あー、お邪魔かな?それだったら出直すけど」

 

唐突に、俺たち兄妹以外誰もいない筈の部屋に第三者の声が響く。

俺たちはバッと離れ、声の発生源を確認する。

そこには____

 

「よっ、ティーダ。久しぶりー。ティアナは一週間ぶりだな」

「アンタは……え?リムルさん!?」

「あっ!リムルお姉ちゃん!?あの後また姿を消して……探したんだよ!」

 

「すまんすまん」とか言いながら笑ってるリムルさん。

っていうか!

 

「え!?来てたんですか!?」

「おう、一週間前にな。ちょいとティアナ達を手伝ったんだ」

 

忘れもしない、10年前のあの日。

俺とティアナはこの人に助けられ、そして御守りを貰った。

6年前の捜査で、死にかけた時に無くしてしまったけど……

俺は、あの御守りがあったからまだ生きているんだと思ってる。

だからこそ、俺は……

 

「リムルさん。あなたの事だから、きっと今回も助けてくれたんでしょう?本当に、ありがとうございます」

「よせって。それに、今回は大した事してないよ。ティアナが頑張ったんだ。それに、ティーダも、な」

 

リムルさんは柔らかく微笑んで、俺の頭を撫でる。

はは……この人には、ほんと頭が上がらないな。

 

バシャッ

 

とか思ってたら、いきなり水を掛けられた。

 

「!?一体、何を____!?」

 

怒鳴るよりも先に、自分に起きている変化がわかった。

これは……

 

「足が……治った!?」

「ドッキリ成功ってね。お前達に渡した御守りにも入ってた、俺特製フルポーションだ。よく効くだろ?」

 

言葉が出ない。

6年もの間まったく動かなかった足が、まさか動くようになるなんて____!

恐る恐る、近くのテーブルを支えにして、車椅子からゆっくり立ち上がる。

立ち上がる事が、できた。

 

「た、立った……お兄ちゃんが、立った……!」

 

ティアナが感極まったように声を上げる。

リムルさんがドヤ顔しているが、それも気にならない。

俺はティアナを抱き締めて、声にならない声を上げて泣いた。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

Side:リムル

 

 

うんうん。

兄妹の仲が良いのは良きことかな。

ちょっと良過ぎる気もするけど、そこはまあスルーでいいだろう。

しかし……

昔俺の渡していた御守り(オモチャ)が無くなってるということは、ティーダは本当に死に掛けたようだ。

俺はそっと後悔した。

そんな事になってるとは知らなかったとはいえ、下手したら友達が一人死んでたかもしれないのだ。

俺は決心する。

次に渡す御守りには通信機能を入れようと。

さて、と。

手を叩き、二人の注意をこっちに向ける。

 

「はい二人とも。喜んでるとこ悪いんだけど、これからお出掛けだ。付いてきてくれ」

 

「「はい?」」

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

From:ミッドチルダ、ナカジマ家

 

 

あれから二人を強引に連れ出し、行った先はナカジマ家だ。

ランスター家から意外と近かったし、ティアナはスバルと仲が良い。

紹介しておくに越した事はないと判断したので、顔見せのついでに連れて行こうと思った次第である。

インターホンを鳴らす。

 

ピンポーン

 

『はいはーい、どちら様で……あ!リムルちゃん!』

「ご無沙汰です、クイントさん」

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

「もう、早く顔見せに来なさいよ!スバルに話を聞いてから、いつ来るのかなーって待ってたんだから!」

「あはは……すいません。スバルに会ってから、諸用でまた国に帰ってたんで」

 

クイントさんに怒られるが、これは仕方ない。

俺も、まさか10年も経ってるとは思ってなかったんだし。

 

「アタシ達、結構近所だったのね……」

「ほんとにねー。あ、お母さん、ギン姉。前にも話したけど紹介するね。こっちがあたしとコンビ組んでるティア。あちらは、ティアのお兄さん」

「ティアナ・ランスターです。通話したことはあったけど、直接会うのは初めてですね。よろしくお願いします、クイントさん」

「ティーダ・ランスターです。妹がいつもお世話になってます」

「いえいえ、こちらこそ。ウチのスバルがお世話になってます。ティアナちゃんも、いつもありがとね。スバル、結構やんちゃでしょ?」

「あはは……まぁ……」

「ちょっとお母さん!?ティアも目を逸らさないでよ!」

「コホン……ギンガ・ナカジマです。よろしくお願いします。ティアナさんとは久しぶりですね」

「お久しぶりです、ギンガさん。あの後は大丈夫でしたか?」

「ええ、おかげさまで。あの時は、六課のみなさんに助けられました。ありがとう」

「いえいえ。結局、ギンガさんを助けたのはスバルですし」

 

各人、和やかに自己紹介を終える。

いやはや、スバルとティアナのお陰でティーダやギンガ、クイントさんもすっかり馴染んでるし、連れて来た甲斐あったな。

それにしても、少し気になる事がある。

 

「クイントさん。身体に不調が見られるんですけど、もしかして……」

「ああ、これは8年前にちょっとね。失敗しちゃったの。その時にリムルちゃんに貰ったイヤリングも無くしちゃったんだ……ごめんね」

 

そう言ってクイントさんは目を伏せる。

クイントさんも死にかけたのか……

俺は無言で、魔法陣を展開する事にした。

 

「リムルちゃん……?これは……」

「唐突ですみません。クイントさんを治す為に回復魔法をかけました。前線復帰するかはクイントさん次第ですが、これで昔と同じように動けますよ」

「……!」

 

クイントさんは、ガバッと俺を抱き締める。

 

「ありがとう……本当、感謝してもしきれないわ……」

 

その眦には涙が浮かんでいたように見えるが、そこは何もせず抱き締め返すのが良いだろう。

喜んでる人に水を差すのも、なんだしな。

後ろでティーダが「俺の時は水をぶっかけたのに……」とか言ってるけど無視だ。

イタズラ相手は選ぶのが俺の流儀である。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

場が落ち着いたので、かねてより決めていた事を実行しようと思う。

 

「さて……スバル、ギンガ。俺の渡したペンダント、壊れてるだろ?」

「ぎくっ」

「あ、はい……すみません、壊しちゃって」

「いいよいいよ。壊れたって事は、その役目を果たしたって事なんだろうし。まだ持ってるのなら、ちょっと貸してくれないか?」

 

スバルとギンガの二人はお互いに顔を見合わせると、こちらにペンダントの残骸を渡してくれた。

俺はそれを受け取り、状態を確認する。

ガラス部分が無くなってるのは当然として、金属フレーム部分もちょっと歪んでるな……

懐からフルポーション入りガラス部分を取り出し、ペンダントに嵌める。

歪んだ金属フレーム部分は魔法で修理した。

 

「よし、できた!返すよ」

「わぁ……新品みたいに直ってる!」

「ありがとうございます、リムルさん!」

 

うんうん。

喜んでくれたみたいで何よりだ。

さて、そこで物欲しそうにしてる子たちにも何かしてあげないとな。

 

「クイントさん、ティーダ、ティアナ。君達には、これらを渡しておこうかと思う。皆、好きな物を持って行ってくれ」

 

そう言って取り出したのは、いくつかのアクセサリ。

もちろん、フルポーション入りの御守りである。

みんな怪訝な顔をしながらも受け取ってくれた。

クイントさんとティアナはイヤリング、ティーダは指輪を選んだようだ。

 

「リムルお姉ちゃん、これは?」

「ああ、昔渡した御守り、みんな無くしちゃっただろ?だから、新しいのを渡しておこうと思ってな」

「そういえば、この中にはフルポーション?ってのが入ってるんでしたっけ」

「うん。何かあったときには割れて助けてくれると思う」

 

ティーダはランスター家での俺の言葉を覚えてたらしい。

 

「フルポーション?なんだか、ゲームみたいなお話ね」

 

クイントさんは「フルポーション」という単語に対して疑問を持ったようだ。

 

「我が国特産のフルポーション!名前の通りの回復薬で、飲んでよし、かけてよしの優れものです」

 

ふふんとドヤ顔をする。

得意になっていると、スバルがおずおずと手をあげる。

 

「あの、リム姉?リム姉の出身って第97管理外世界《地球》じゃなかったっけ?この前行った時、そんなの無かった気がするんだけど……魔法が使えるのは、なのはさんやはやて部隊長の事があるからわかるんだけどさ」

 

げっ……スバルは行った事あるのか……

であれば、まぁもっともな疑問である。

正直な事を言ってもいいかもしれないが……

それで嘱託魔道士の資格が剥奪されたりしたら面倒だしな。

 

「地球出身で合ってるよ。ただ、地球にもいろいろあってな。俺の国はあんまり認知されてないんだよ。だから、ポーションの類もあんまり出回ってないって訳」

 

地球と繋がりの強い世界なのは間違ってはないので、ちょっと強引だけどこれで通す事にした。

スバルも「へー、そうなんだ」と納得してくれたようだ。

 

「いやいやいや、地球ってそんな技術あるの!?お兄ちゃんの足を一瞬で治すとか、ミッドにも無いレベルの技術なんですけど!?」

「まあまあ。地球って言っても広いからさ。そう言う事もあるって」

「えぇ……」

 

ティアナは納得できなかったようだが、強引に丸め込んだ。

そんな中、気を取り直すかのようにクイントさんが声を掛ける。

 

「さーて。もういい時間だし、皆ウチで夕飯食べていかない?」

 

お。

これ以上言及されても面倒だったし、その提案はありがたい。

俺も乗るとしようかね。

 

「そう言う事でしたら、俺も料理手伝いますよ」

「えっ!リム姉ごはん作ってくれるの!?やったーーー!」

「リムルさんのご飯……また食べられるなんて、嬉しいなぁ……」

 

俺が作ると言った瞬間、大食い姉妹がはしゃぎ出す。

それに対し、ティアナとティーダは揃って首を傾げている。

 

「リムルお姉ちゃんって、料理できたの?」

「ティア知らないの!?リム姉の作ってくれるご飯、ものすっごく美味しいんだよー!」

「おいおい、ハードル上げるなよ……ま、本当の所は食べてみればわかるさ」

 

シエルさんの作る料理だから、絶対外れないだろうけどな!

 

その後。

 

俺(というかシエルさん)の料理を食べて驚くランスター兄妹と、それに構わずおかわりしまくる大食い3人を相手に料理で忙殺される俺の姿があったとか、なかったとか。

 

「「「おかわりっ!」」」

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

結局、あの後のクイントさんの「折角だし泊まっていきなさい」という一声で、俺とティーダ、ティアナはナカジマ家に泊まる事になった。

今は、ギンガとスバルがランスター兄妹を部屋に案内している最中である。

頃良くクイントさんと二人きりになれたので、今日の目的を果たす事にした。

 

「クイントさん。俺、ゼストの最期に立ち会いました」

「……話には聞いてたよ。……隊長は、何か言ってた……?」

「……「俺やレジアスが守りたかった世界……お前達は、間違えずに進んでくれ」…と」

「そう……フフッ、隊長らしい、な……」

「ええ。俺が最初に会った時と変わらず、自分勝手で、馬鹿みたいに真っ直ぐな……アイツのままでした」

 

そう俺が告げると、クイントさんは数秒間目を閉じ、深呼吸をした。

 

「リムルちゃん」

「はい」

「隊長の死に目を見届けてくれた事、ゼスト隊の生き残りとして……感謝します」

 

そう言って、クイントさんは深々と頭を下げた。

 

「……はい。俺も、アイツの……誇りある騎士の最期に立ち会えた事、光栄に思います」

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

それから暫くは、俺はナカジマ家に泊まる事になった。

以前泊まった時と同じように家事の手伝いをしたり、クイントさんと俺でゼストやゼスト隊の皆さんの墓参りに行ったり。

その間、ティアナとティーダはちょくちょくナカジマ家に訪問している。

ゲンヤさんの「どうせだったらウチに住まないか?」という言葉には、二人とも本気で悩んでるようだったが……

二人がどういう決断をするのか、俺は見守ろうと思う。

さて……他の所用も、さっさと済ませてしまおうかね。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

ある日。

 

 

無人世界にて拘束されていたジェイル・スカリエッティと、一部の戦闘機人が唐突に白髪化、発狂するという事件が発生する。

原因は不明。

カメラには何も映っておらず、これが外部犯なのか、それともスカリエッティの用意した何かの策なのかも定かではない。

本人達はそれ以来何かしらの譫言をずっと呟くようになったが、正気では無いと判断された為放置された。

かねてより懸念されていた戦闘機人達の「スカリエッティ化」も特に発生せず、捜査を担当する局員は頭を悩ませる事になる。

 

「ああ素晴らしい素晴らしいこれが真の美かそして真の恐怖かああ惜しいこれを伝えられない私の糧にできない惜しい惜しい素晴らしい素晴らしいああ美しい素晴らしい____」

 




リムル様の作るご飯、食べたいなぁ……

ティーダとクイントさんは、過去に致命傷を負った時にリムルの渡した御守りが割れてフルポーションを被る→少量だった為完全回復はせず、身体の一部が機能不全になったけど生き残ったという設定です。

かわいそうな目にあってしまった戦闘機人が誰なのかは想像にお任せします。
犯人はもちろんあの____(文章はここで途切れている

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