大将軍のルピナス   作:うどんこ

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ヒャッハー! 2日連続で投稿だー!

文量が少ないだって? き、気のせいじゃないかな?
(キリがいいところで区切ったらこんなに短くなったなんて言えない……)



第2話 お手紙届け!

 

 

 

「何だって?」

 

 帝都警備隊屯所でくつろぐ隻眼の偉丈夫、オーガは少し不機嫌であった。最近、商人達の賄賂が少なくなっているからである。決して彼らが賄賂をケチっているわけではない。賄賂を渡してくれる商人の数が減っていっているのだ。

 時間を割いて会う約束をしたにも関わらず、顔を出さなかった時は腹が立ったがそれは仕方がないことであった。既にこの世にいなかったからである。そういったように次々とオーガに癒着していた商人達が暗殺されていっており、自分の懐へ入る金がどんどん減っているためオーガの不機嫌は続いていた。

 そんな中、部下からの報告を聞いて更に苛立ちを募らせていた。

 

「手紙なんぞ叩き返せ! ここは郵便局じゃねえんだぞ!」

「いえ、それが……宮殿の中の方に届けたいとの話なので……私達では少し判断に困る代物でして……」

 

 数人の警備隊の男達は不機嫌なオーガに怯えながらも自分達では処理出来ない事を伝える。

 煮え切らない態度の部下達にイライラしながらも、その問題の手紙が一体誰に宛ててのものなのかを訊ねた。

 

「で、一体誰宛の手紙だ? くだらない相手だったらブッ飛ばすぞ!」

「それが……ブドー大将軍への手紙です……それも封蝋がされているから大将軍とそれなりの仲がある者からの手紙と思われます」

 

 それを聞いた瞬間、オーガは苦虫を噛み潰したかのような表情になる。なんて面倒なものをもってきやがった──と言いたげである。

 それもそうである。封蝋のされた大将軍の手紙など下手な扱いが出来ないからだ。大将軍にそのまま届けようにも、そんな事をすれば大臣の不満を買い、下手をすれば自分の首が飛ぶかもしれない。だからといって大臣側に渡しても大将軍の怒りを買いかねない。誰が好き好んで帝都最強格の相手から怒りを買いたがるだろうか。この場で握り潰すなんてもっての他だ。その両方を敵に回すなど命がいくつあっても足りない。書かれている内容によっては更に大きな火種になる。そんないつ爆発するか分からない爆弾のような手紙に腹が立ち、それを持ってきたどこの誰だか分からない相手に憤った。

 

「一体どこのどいつだ! こんな手紙を持ってきたのは!」

「それが、帝都にまだ来たばかりの若い女性のようでして……手紙の差出人本人では無いと思われます」

 

 その言葉を聞いた瞬間、オーガがこれから取る方針が決まった。

 

 

──────────

 

 

 いつまで待たされるのであろうか?

宿までへの道を聞いたついでに手紙を宮内の人へ届けたいと伝えてどれ程だったか分からない。すっかり日は落ちており、それ程遠くないと言えども暗い夜道を一人で進まなければいけないとなると気が滅入るものである。

 もしかして手紙の宛先が宛先だから対応に困っているのであろうか。大将軍への手紙はこういった所では本来受け取りをしていないが、そんな手紙の持ち主を無碍に扱うのも憚られているのだろうか。そんな遠からずも近からずな考えをしながらこの屯所の隊長が来るのを待っていた。

 

 そうして奥から現れたのは、大きく厳つい顔でありながらも出来るだけ愛想よくしようと笑みを浮かべた男であった。

 

「帝都警備隊隊長のオーガだ。手紙の件で部下達と話あっていた為に少々待たせてしまった。申し訳ない」

 

 丁寧にそう謝り頭を下げる。厳つい男が丁寧に謝って来るという事は手紙はここでは受け取れないという事なのであろうか。ガーランドがそう考えていると、オーガは手を振りながらその考えを否定した。

 

「いや、大将軍への手紙はこちらが大事に保管して無事に届けるから安心してくれ」

 

 その言葉にガーランドは安心したようにしていたが、オーガはその様子を内心ではほくそ笑んでいた。

 この手紙はオネスト大臣に届ける。オーガが出した最終的な結論はそれであった。大臣と口裏合わせれば、手紙がブドーに届かなかった責任は全てこの女に擦りつけられるだろう。オーガはそう判断したのである。

 

「ただ色々な部署に回された後に届くから、本人に届くには時間がかかるかもしれん」

「そうですか。では返事があればこちらの宿に連絡を下さると助かります」

 

 内心では返事なんて来るわけねぇだろと悪態をつきながらも笑顔で了承する。

 そうして笑顔でガーランドを外まで送り届けると、部下に大至急オネスト大臣への連絡を急がせた。

 

「最初は最悪と思っていたがどうやらツキはまだまだあるみたいだな。手紙の内容によっちゃあかなりの謝礼が貰えるかもしれねぇ」

 

 そしてガーランドが消えていった方向を見て嗤う。

 

「それにしてもあの女は不運だな。大臣と大将軍に関わって無事でいられる訳がねぇ。ただ美人だっただけに勿体ねえな……もし生きて大臣に捕らえられたら報酬として貰ってもいいな」

 

 そんな事を口にしながら、これから物事がどう進むかを考えながら楽しそうに口を歪めていた。

 

 

──────────

 

 

 宿へと向かう途中、ガーランドは嬉しそうに鼻歌を歌っていた。最初は手紙を届けてくれるか不安であったが、どうもあのオーガという隊長は見かけによらず親切なようである。

 あの手紙の内容は実はガーランドは知らない。母からはこれを届ければ絶対に会ってくれるとだけ伝えられており、それ以外の事は何も聞いていなかった。

 ガーランドもそれだけで十分であった。ただ会って姿を見て、短い時間でも会話が出来ればそれでいいのだ。自分との()()を伝えるつもりなど微塵もない。迷惑をかけてしまうかもしれないから。

 ふと自分の左手首につけられている美しい銀色のブレスレットに目をやる。これは母がまだ帝都にいた頃、ブドー大将軍からプレゼントされた大事な宝物らしい。自分が付けてもいいのかと問いただしたが、それを見せれば母の娘だと信じてくれるとの事なので大事にここまで付けて来た。自分もこのブレスレットは気に入っている。派手ではないが美しく、母にとても似合っているからだ。

 そして周りに誰もいないのとそんな事を考えていた結果、ここまで口にしなかった言葉を零した。

 

「……早く会って話したいよ……()()……

 もし、叶うのならば、優しくボクの頭を撫でて欲しいな」

 

 そう言葉を漏らす彼女の顔はどこか物憂げであった。




早速ブドーとの関係をバラしていくスタイル。詳しい話はおいおい出て来るのでお楽しみに。

因みにタイトルのルピナスは花の名前です。
……後は言わなくても分かるな、キバヤシ!
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