遊戯王~異世界からの決闘者~   作:鬼柳高原

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続きとなります。


後編

「燐平! 燐平しっかりするんだ!」

 

「う……うん……ここは……」

 

俺は体を起こして辺りを見渡す。

見渡す限り白い空間―――いや、見づらいけど光っているものが見える。

 

「あれは……星?」

 

俺にはそう見える。

周りが黒ければ、はっきりと見えるだろう。

 

「なあ、遊伸。 ここって宇宙っぽくないか?」

 

「確かに……周りが黒ければ」

 

俺にも遊伸にも、周りで光っているのは”夜空に輝いている星”に見える。

つまり、周りが黒ければ完璧に”宇宙空間”に見えるはずなのだ。

 

「それにしても……ここ何所なんだ?」

 

もしやまた”別世界にッ!?”なんてないよな?

 

「その話の前に……これ、”RINPEI”って書いてあるけど、君のかい?」

 

そう言って遊伸が何かを差し出してくる。

俺に差し出されたそれは―――

 

「!? 俺のデッキケース! な、中は……」

 

大丈夫だ、1枚も欠けてない。

正真正銘、俺のデッキだ。

俺も遊伸も、思わず安堵の息を吐く。

 

「……はぁ~~~…よかったぁ~~~…でもどうしてこれを?」

 

「落ちてたんだよ、ここに」

 

「ここに? ……一体どうなってんだ?」

 

「私が答えてやろう」

 

俺達が突然聞こえてきた声の方向に顔を向けると、何時の間にか白い威厳のある服を着た色白の男が立っていた。

 

「な、何だお前!?」

 

「ここは”世界の境界線”である亜空間……私は”神の代行者”にして、”亜空における法の番人”である」

 

な、何かおかしな奴が出てきたぞ。

全身白いし、何だよそれ、保護色か?

 

「第1世界の住民、”九十九 燐平”。 幾度となる法の違反により、神に代わって貴様を抹消する」

 

「はあ!? 俺が法律違反だって!? 何言ってやがる! 俺は何も悪い事してねぇぞ!」

 

濡れ衣だ、冤罪だ。

俺は人生でまだ一度も犯罪を犯した事は無ぇ。

親と親友、そしてそこにいる遊伸に誓えるぜ。

しかも、抹消とかふざけんな。

どんだけ重い罪なんだよ。

やっと帰れそうなとこまで来たって言うのに、消されてたまるか。

 

「それは”世界”での話だ。 ここは”亜空間”、数多に存在する”世界”の境界線。 ここで貴様は3つの罪がある」

 

「何だよ! 言ってみろよ! 俺は悪くないからな!」

 

「まずは一つ、”世界”で生きる者がこの”亜空”を越え、別世界に渡る事は禁じられている。 貴様は複数人で元いた第1世界から第10世界へと渡った。 この時は”神”の妨害が入り、貴様達を捕縛出来なかった。 …まったく、どうして一部の”神々”は亜空の法を蔑ろになさるのだ……何の為に法があるのだと……」

 

何かブツブツ言い始めたぞ。

これが”困った上司に振り回される部下”ってやつなのかね。

苦労人なんだな。

 

「そして二つ目も同じ”亜空越え”だ。 今度は貴様一人で第10世界からこの第39世界へと渡った。そして3つ目、亜空間への”世界物質の不法投棄”、その小さい箱だ」

 

「捨ててねぇよ!!!」

 

この野郎、人の魂のデッキをゴミ呼ばわりしやがって。

それにしても、まさか”世界を移動してる間”に落としちまってたなんてな。

通りで見つからないはずだ。

 

「また”神”の妨害が入ると思ったが……何事もなくここまで来れた。 どうやら”神”にとっても2度目は予想外であったのだろう。 こちらとしては好都合だ。 ……これで解ったであろう。 貴様は重罪を犯した、裁きを受けるがいい」

 

そう言って―――番人でいいか。

番人は分厚い上にでかい本を取り出し、なにやら呪文を唱えている。

まさか俺を消し去る呪文か? 冗談じゃねぇ。

 

「待ってください!」

 

ここで遊伸が番人に向かって声を上げる。

番人は遊伸の声に気付いて詠唱を止めた。

た、助かったのか俺?

 

「燐平は自分の意思でここを越えていた訳ではありません! デッキケースだって落としてしまっただけです! ここでは落し物をしただけで犯罪になるんですか!」

 

おお、強気で切り込むじゃないか遊伸。

 

「それに燐平は貴方の言う”神様”に会ったと言っていました! その神様が燐平達を別の世界へ移動させたと言っていたそうです! なら悪いのは移動させた”神様”じゃないですか!」

 

おいおい、それを言うのはマズイんじゃないか?

怒るぞあいつ。

 

「…」

 

あれ? 黙っちまった。

何か”困った上司に悩む部下”みたいな顔してやがる。

そうだよな、俺は悪くない。

悪いのはお前の上司だよな。

 

「……実際に渡ったのは九十九 燐平だ。 お前の罪が消える事は無い」

 

「何だよ! この解らずや!」

 

それじゃあ遊伸の反論がまったくの無駄じゃねぇか。

お前も神様が悪いと思うんだろ? 上司だからってびびんなよ。

畜生、これが権力ってやつか。

 

「……貴様、”近衛 遊伸”だな?」

 

「え……どうして僕の事を?」

 

今度は遊伸に眼をつけてきやがった。

まさか、遊伸にも罪が、とか言い出すんじゃねぇだろうな?

 

「第39世界の”英雄”……その名は聞いているぞ」

 

”英雄”か―――やっぱり、”DM”の遊戯、”GX”の十代、”5D's”の遊星、”ZEXAL”の遊馬みたいに、遊伸は”この世界の主人公”なんだな。

 

「”大いなる力”……あれは”この空間さえも揺るがしかねない異質な存在”だった。 それを倒した貴様に、私は多少なりとも”畏敬の念”を持っている……そこでだ、”英雄”に免じて九十九 燐平にチャンスをやろう」

 

「え!? 無罪にしてくれるのか!?」

 

「条件がある……はッ!」

 

「!?」

 

マジかよ、奴の本が決闘盤に変わっちまった。

しかも、デッキがセットされてる。

続けて奴が俺を指差すと―――

 

「うわ!?」

 

突然、俺の腕に決闘盤が装着された。

突然なのと、オカルト的な意味で二重に驚いた。

 

「私と戦い、勝利する事だ。 流儀はお前に合わせてやる。 ……私は正しき”力”ある者こそが、”世界”に必要な……法を超えた”正義”だと考えている。 ”近衛 遊伸”の様な”力”がお前にあるのなら私を倒し、生き残って見せよ! ”力”がなければ……そのまま裁きを受け、消滅する事となる」

 

マジかよ、こんな人外に勝てるのか―――いや、決闘なら俺の十八番だ。

勝てる、勝ってみせる。

 

「…おもしれェ! 受けて立つぜ!」

 

俺は決闘盤にデッキをセットし、展開させる。

いいねぇ、一度やってみたかったんだ。

 

「待ってくれ燐平! 僕も一緒に戦う! ”レインボー・ドラゴン”が僕をこの場に連れて来たのは、きっとこうなる事が解っていたからだ! 力を貸すよ燐平! …お願いします! 貴方は手札10枚から始めて構いませんので、僕もこの決闘に加わらせてください!」

 

確かに、遊伸が加わってくれるのは百人力だが、あいつは了承するのか?

一応、”英雄”なんだから、無理って断られるのがオチじゃないのか?

 

「…いいだろう。 貴様の力、噂通りか確かめさせてもらうぞ。 だが近衛 遊伸、九十九 燐平は”罪人”だ。 それを助けるという事は貴様も”同罪”となる。 私に敗北した場合は貴様も”力無き罪人”とみなし、一緒に消えて貰うぞ」

 

あっさりと受けやがった。

それだけ自信があるって事なのか?

 

「望むところです! …燐平」

 

遊伸が自分のカバンから決闘盤を取り出し、腕に装着。

そしてデッキを取り出してセットして展開させると、デッキトップからカードを引き、そのカードを俺に差し出す。

 

「これを…」

 

「……何だこれ? 白紙のカード?」

 

受け取って見てみると、フレームだけ描かれた真っ白なカード。

そういえば、俺達も似たようなカード拾ったっけ?

 

「それは”決闘者の思い”に応えるカード……君が勝利を強く願えば、きっと力を貸してくれるよ」

 

これが遊伸じゃなかったら、俺は鼻で笑って付き返したに違いない。

他ならぬ遊伸が渡してくれたこのカードなら、本当に力となるんじゃないかと、俺は本気で思えた。

 

「…サンキュー! 絶対に勝とうぜ!」

 

白だから、シンクロかな?

俺はエクストラデッキに受け取ったカードを入れると、番人に向かって構える。

 

「行くぜ! 遊伸!」

 

「ああ!」

 

「見せてやろう……神から授かりし”力”を!」

 

 

 

「「「デュエル!!!」」」

 

 

 

よっしゃ、決闘だ。

俺は決闘盤から目の前に投影された情報を確認する。

すげぇ未来的、いいなこれ。

 

ルールは2対1の変則的な”タッグフォースルール”。

先攻は番人、後攻が遊伸で俺と交代しながらか。

 

「私のターン、ドロー!」

 

番人 手札:10→11

 

「モンスターをセット、カードを4枚伏せてターンエンド」

 

LP:8000

手札:6

モンスター

・セット

魔法・罠

・セット

・セット

・セット

・セット

 

そりゃ伏せるよな、手札がそんだけありゃ。

だが、デュエルはカードの数じゃないぜ。

 

「遊伸! やってやれ!」

 

「ああ! 僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:5→6

 

「相手の場のみモンスターが存在する時、このカードのレベルを4にして特殊召喚する事が出来る! 来い! 《レベル・ウォリアー》!」

 

ATK:300

 

遊伸の場に特撮ヒーローみたいなモンスターが出てくる。

シンクロ、エクシーズ、アドバンス、何でもござれの万能素材モンスターだな。

さあ、遊伸は何を見せてくれるんだ?

 

「続けて《X-セイバー ウルズ》を召喚! 行くぞ! レベル4の《レベル・ウォリアー》と《X-セイバー ウルズ》をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」

 

おお、エクシーズか。

ゼアルは少しだけ見てたが、演出まで見事に同じだな。

 

「エクシーズ召喚! 夢と希望、そして”絆”の戦士! 《No.39 希望皇ホープ》!」

 

ATK:2500

 

遊伸が出したのはホープ。

さっきのグールズの話から、こっちの世界ではすげぇレア物扱いでナンバーズが普及してるみてぇだな。

 

「バトル! 希望皇ホープで攻撃! 【ホープ剣・スラッシュ】!」

 

ホープがセットモンスター目掛けて剣を振り下ろす。

さあ、正体を見せやがれ。

 

「セットモンスターは《スケルエンジェル》。 そのリバース効果により、私は1枚ドローする」

 

番人 手札:6→7

 

大したモンスターじゃなかったな。

だけど、そんだけ手札があるのに補充するのかよ。

何か狙いでもあるのかね。

まあ、考えても仕方が無ぇや。

 

「僕は永続魔法《強欲なカケラ》を発動! カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:8000

遊伸 手札:2

燐平 手札:5

モンスター

・No.39 希望皇ホープ

魔法・罠

・強欲なカケラ

・セット

 

「私のターン、ドロー!」

 

番人 手札:7→8

 

「それでは見せてやろう。 墓地のモンスターを全てデッキに戻し……第10世界に眠りし神よ! 今、ここに目覚めん! 《究極封印神エクゾディオス》!」

 

「げぇ!?」

 

あいつの場に現れたエジプトを思わせる様な大男。

ディオスがいるって事は、”パーツ”も入ってるって事か?

ビートダウンって可能性もあるが、もし”パーツ”があったとしたら、あれ相手に初期手札10枚って正直危なかったぜ。

 

「どうしたんだい? 凄い声を上げたけど……あのモンスターに何かあるのかい?」

 

遊伸がこっちに振り向く。

まあ、ある意味ヤバイぜ。

相手のデッキ次第だが。

 

「速攻魔法《手札断殺》を発動! お互いに手札を2枚墓地へ送り、2枚ドロー!」

 

「僕の手札は丁度2枚。 全部墓地に送って2枚ドロー!」

 

番人が送ったカード

暗黒界の番兵 レンジ

ハープの精

 

「究極封印神エクゾディオスの効果! 自分の墓地に存在する通常モンスター1体につき、このカードの攻撃力は1000ポイントアップする! よって現在の攻撃力は―――」

 

ATK:0→2000

 

「攻撃力が跳ね上がった!?」

 

”遊戯王”の住人によくある事だが、やっぱり遊伸はこのカードの事を知らないみたいだ。

もしかしたら、”パーツ”の事も知らないかもな。

 

「バトル! 究極封印神エクゾディオスで攻撃! この瞬間、効果発動! デッキからモンスターを1体墓地に送る!」

 

墓地に送ったカード

封印されし者の左足

 

ATK:2000→3000

 

「!? ホープの効果を発動! オーバーレイ・ユニットを一つ取り除き、攻撃を無効にする! 〈ムーンバリア〉!」

 

「【天上の雷火 エクゾード・ブラスト】ッ!」

 

エクゾディオスが拳から凄まじい業火を放つと、ホープが背中の翼を前に展開してそれを防ぐ。

すげぇ、これがプレイヤーから見るソリッドビジョンのぶつかり合いか。

おっと、感動してる場合じゃねぇぞ俺。

”パーツ”が入ってるじゃねぇか。

 

「ふっふっふ……私は”神の代行者”。 それゆえ、”世界”に存在する神々の”力”をお借りする事が出来る……無論、本物には及ばぬが、貴様達を裁くには十分だ。 モンスターをセットしてターンエンド!」

 

LP:8000

手札:5

モンスター

・究極封印神エクゾディオス

・セット

魔法・罠

・セット

・セット

・セット

・セット

 

「燐平、さっきあの人が墓地に送ったモンスター……あれは”合体モンスター”のパーツじゃないかな?」

 

「……まあ、そんなもんだ。 だけど、気にする程のもんでもないさ」

 

いいや、本当は合体モンスターなんて生易しいもんじゃないさ。

だけど、ここは遊伸に伝えなくてもいいだろう。

よくよく考えれば、ディオスの特殊勝利だなんてそうそう決まるもんじゃない。

伝えると変なプレッシャーを感じさせちまうかもしれないしな。

 

まあ、伝える伝えない以前に、俺がこのターンでディオスを何とかすればいいだけの話だがな。

俺は遊伸と入れ替わって前に出る。

 

「行くぜ! 俺のターン! ドロー!」

 

燐平 手札:5→6

 

いい感触だ、これが決闘盤でのドロー―――気持ちがいいぜ。

俺は必ず勝って、これをずっと続けるんだ。

 

「まずは《強欲なカケラ》にカウンターを乗せ……」

 

強欲カウンター:0→1

 

「次は……遊伸! モンスター借りるぜ!」

 

タッグデュエルになると聞いて咄嗟に入れてみたが、早くも使う事になるとはな。

 

「魔法カード《ジェムナイト・フュージョン》を発動! 手札の《ジェムナイト・アイオーラ》と場の《No.39 希望皇ホープ》を融合!」

 

俺の場の空間に歪みが出来ると、場にいるホープと手札のアイオーラを吸い込む。

その瞬間、場に眩いばかりの光があふれ出す。

 

「輝石と星々の煌きが重なりし時……”世界”に希望がもたらされる! 融合召喚! 現れろ!

《ジェムナイト・セラフィ》!」

 

ATK:2300

 

眩い光から姿を現したのは、光の翼を持つジェムナイトの聖騎士、”ジェムナイト・セラフィ”。

俺のデッキとは相性が悪くて、中々使う機会がなかったこのカード。

きっと遊伸とのタッグデュエルがなきゃ、俺はこいつの姿を見る事はなかったと思う。

へへ、いい思い出が一つ出来たな。

 

「燐平、君のデッキは”ジェムナイト”か!」

 

お、遊伸も”ジェムナイト”は知っているのか。

こりゃ、やりやすくていいや。

 

「でもホープの方が攻撃力が高いみたいだけど……何か作戦があるのかい?」

 

ほう、あの遊伸さんでも、俺の手の内が読めないらしい。

 

「まあ見てな! 俺のデュエルを! 装備魔法《輝石の盾》! そして《フュージョン・ウェポン》を《ジェムナイト・セラフィ》に装備! どっちも融合モンスター専用の装備カードだ! フュージョン・ウェポンの効果で攻撃力を1500ポイントアップ!」

 

ATK:2300→3800

 

俺がセラフィに装備魔法を2枚装備させた事により、セラフィは青と赤のオーラに包まれる。

流石に不似合いだからなのか、 フュージョン・ウェポンがセラフィに直接装備される映像が出る事はなかった。

まあ、ちょっとあれは禍々しいもんな。

流石はソリッドビジョン、空気を読んでくれるぜ。

 

「装備魔法を2枚も……さっきの融合といい、思い切った戦法をとるね」

 

「へっ! 思い切りがなきゃ決闘は出来ないぜ遊伸!」

 

「ハハハ! 覚えておくよ燐平!」

 

さあて、それじゃあ”神”をぶったおすとしますか。

 

「バトル!  ジェムナイト・セラフィでエクゾディオスを攻撃! 【ゾディアック・フォール】!」

 

セラフィが翼を羽ばたかせて上空を舞い、天空に向かって手に持ったレイピアを掲げると、天空から12の光がエクゾディオスに向かって降りかかる。

 

「愚か者め! 私がこうなる事を予測出来ていないとでも思ったか! 罠カード《聖なるバリア-ミラーフォース-》! 貴様の攻撃モンスターを破壊だ!」

 

光の障壁がエクゾディオスを覆うと、迫ってきた光を全てセラフィへとはねかえす。

だが、光の障壁が覆ったのはエクゾディオスだけじゃない。

セラフィも光の障壁に覆われ、はねかえされた光を更にはねかえし、エクゾディオスはその光に貫かれ、消滅する。

 

「な、何!? 何故エクゾディオスが!?」

 

番人 LP:8000→7200

 

「へっ! こっちも言わせて貰うぜ! 俺が”罠を使われる事を予想出来てない”とでも思ったのかよ! 装備魔法《輝石の盾》の効果! 1ターンに一度、このカードを装備したジェムナイト融合モンスターは戦闘及びカード効果では破壊されない! つまり、ミラフォでは破壊されず、戦闘が続行された訳だ! 解ったか、”神の代行者”さんよ!」

 

「…調子に乗るな! 神々の”力”がエクゾディオスだけだと思うな……」

 

「何でもきやがれ! 俺はモンスターをセット、カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:8000

遊伸 手札:2

燐平 手札:0

モンスター

・ジェムナイト・セラフィ

・セット

魔法・罠

・強欲なカケラ

・セット(遊伸)

・輝石の盾

・フュージョン・ウェポン

・セット(燐平)

 

よし、上出来だ。

手札を切らしちまったが、場持ちをよくしたセラフィに、手札とドローソースを残した遊伸がいる。

問題ない。

 

「いい顔だね、燐平」

 

「へ? 何だよ遊伸、唐突に……」

 

「君は紛れもなく”決闘者”って事さ。 その顔をしている時の気持ち、忘れない様にね!」

 

よく解らんが、褒められたみたいだな。

まあ、喜んでおこう。

 

「私のターン、ドロー!」

 

番人 手札:5→6

 

さてと、奴のターンだ。

さっきの言葉が本当なら、ディオス以外にも何かがいるんだよな。

何してくるつもりだ?

 

「カードを伏せる。 ここで《メタモルポット》を反転召喚し、リバース効果を発動! お互いに全ての手札を捨て、5枚ドロー!」

 

はあ? ここで使うか普通。

俺はただ5枚引くだけで、お前は5枚捨てるんだぞ?

よっぽど手札が悪かったのか、墓地肥やしか? 一体何を捨てたんだ?

遊伸が決闘盤で確認が出来ると話してたけど―――あれ? どうやるんだ?

 

「余所見している場合ではないぞ! 伏せていた魔法カード《デビルズ・サンクチュアリ》を2枚発動! 2体の《メタルデビル・トークン》を生成する!」

 

ATK:0

ATK:0

 

弱い低級モンスターを場に並べる―――間違いねぇ、最上級モンスターへの布石だ。

 

「見るがいい! 3体のモンスターをリリース! …第10世界に眠る古の巨神よ! 愚かなる罪人に裁きの鉄槌を! 《オベリスクの巨神兵》!」

 

「!?」

 

奴の場の3体が光になって天へと昇ると、凄まじい落雷と共に”遊戯王”を代表する神の1体が降臨する。

まさか、三幻神が出てくるなんてよ。

予想出来なかったぜ。

 

「な、何て威圧感なんだ…!? このモンスターは一体……」

 

「名も無きファラオが操る最強の神、”三幻神”……その内の1体だ。 貴様等に倒す事が出来るか? …バトル!  オベリスクの巨神兵でジェムナイト・セラフィを攻撃! 【ゴッド・ハンド・クラッシャー】!」

 

天にそびえる程の巨体を持つオベリスクが、セラフィに向かって拳を振り下ろす。

 

「手札から速攻魔法《サイクロン》を発動! 《輝石の盾》を破壊する!」

 

「しまった!? これじゃセラフィが!?」

 

まさかの奇襲、輝石の盾を失ったセラフィは無残にも巨神に叩き潰されてしまった。

 

「うおお…!? すげぇ威力だ…!」

 

遊伸・燐平 LP:8000→7800

 

たった200でこれかよ。

流石は三幻神様ってところか。

 

「ターンエンド!」

 

LP:7200

手札:3

モンスター

・オベリスクの巨神兵

魔法・罠

・セット

 

俺達のターン、俺は後ろに下がって遊伸と交代する。

 

「僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:2→3

 

「この時、《強欲なカケラ》にカウンターを乗せる!」

 

強欲カウンター:1→2

 

「遊伸気をつけろ! オベリスクは効果対象に出来ないからな!」

 

「ああ! …《強欲なカケラ》の効果発動! カウンターが2つ乗ったこのカードを墓地に送り、2枚ドロー!」

 

遊伸 手札:3→5

 

遊伸は引いたカードを確認した後、俺の方を見た。

眼が合った俺は軽く頷いてやる。

 

「《ジェムタートル》を反転召喚! リバース効果は適用しない!」

 

ATK:0

 

もう”ジェムナイト・フュージョン”は十分だ。

好きに使ってくれて構わないぜ。

その代わりきっちりと繋いでくれよ。

 

「チューナーモンスター《復讐の女戦士ローズ》を召喚!」

 

遊伸が出したのは戦士族チューナーのローズ。

さっきのレベル・ウォリアーやホープ、そしてチューナーのローズ―――どうやら、遊伸の”X-セイバー”は戦士族よりの構築みたいだな。

 

「レベル4《ジェムタートル》に、レベル4《復讐の女戦士ローズ》をチューニング!」

 

よし、やっぱりシンクロ召喚だ。

シンクロ召喚、エクシーズ召喚、さっきの決闘では融合もしてたな。

遊伸の奴、中々多芸なデッキを使いこなすじゃないか。

ま、俺のも負けてないがな。

 

「集いし願いが、新たに輝く星となる……光さす道となれ! シンクロ召喚! 飛翔せよ!

《スターダスト・ドラゴン》!」

 

ATK:2500

 

遊伸が出したのは青白く輝く星屑の竜、”スターダスト・ドラゴン”。

便利なカードだが、こいつでオベリスクを倒せるのか?

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

LP:7800

遊伸 手札:2

燐平 手札:5

モンスター

・スターダスト・ドラゴン

魔法・罠

・セット(遊伸)

・セット(燐平)

・セット(遊伸)

・セット(遊伸)

 

「私のターン、ドロー!」

 

番人 手札:3→4

 

「スターダスト・ドラゴン……幾ら英雄の竜とはいえ、巨神兵の前では無力だ! バトル! オベリスクの巨神兵で攻撃! 【ゴッド・ハンド・クラッシャー】!」

 

「罠カード《亜空間物質転送装置》を発動! 《スターダスト・ドラゴン》をエンドフェイズ時までゲームから除外する!」

 

遊伸が発動した罠の効果で、スターダスト・ドラゴンが突然現れた亜空間に繋がる裂け目に入っていく。

あれ? ここも亜空間じゃなかったっけ?

 

「モンスターを逃がすか、だがその代償は大きいぞ!」

 

スタダを守るのはいいけど、このままじゃあいつの言う通り、LPが一気に削られちまう。

4000はちょっとでかいんじゃないか遊伸。

 

「……そのモンスターを対象に出来ないのなら、”そのモンスターが存在する場”を対象にすればいい! 罠カード《ゼロ・フォース》発動! 自分のモンスターが除外された時、場のモンスター全ての攻撃力を0にする!」

 

ATK:4000→0

 

遊伸の場から波紋が広がると、オベリスクが攻撃の為に振り上げていた拳を下ろし、恐ろしい程光っていた赤い眼から光が消える。

幾ら三幻神でも、対象を取らない効果なら有効だ。

やってくれたぜ遊伸。

しかし、罠を2枚使っての弱体化か。

遊伸も思い切った事をするじゃないか。

 

「おおお……”神”が……こんなにも情けない姿を晒すとは…!? …モンスターをセットし、ターンエンド!」

 

LP:7200

手札:3

モンスター

・オベリスクの巨神兵

・セット

魔法・罠

・セット

 

「エンドフェイズに除外されていたスターダスト・ドラゴンが場に戻る! 燐平、後は頼んだよ!」

 

ATK:2500

 

「ああ、任せとけ! 俺のターン! ドロー!」

 

燐平 手札:5→6

 

「行くぜ! 罠カード《輝石融合(アッセンブル・フュージョン)》を発動! 手札の《ジェムナイト・サフィア》、《ジェムナイト・クリスタ》、《ジェムナイト・アンバー》を融合!」

 

さっきと同じ様に現れた空間の歪みに、俺の手札の3体が吸い込まれると、その歪みから七色の光が放たれる。

さあ、いよいよ俺の切り札登場だ。

 

「輝石の騎士の王よ……今ここにその姿を現し、仲間との絆を示せ! 融合召喚! 降臨せよ!

《ジェムナイトマスター・ダイヤ》!」

 

ATK:2900

 

七色の光の中から現れたのは、ジェムナイト達の核石(コア)を埋め込んだダイヤの大剣を振るうジェムの王、”ジェムナイトマスター・ダイヤ”。

逢いたかったぜ、俺の切り札よ。

 

「罠カードで融合するなんて……凄いじゃないか燐平!」

 

凄いのはそれだけじゃないぜ遊伸、ここからさ。

 

「ジェムナイトマスター・ダイヤの効果! このカードの攻撃力は自分の墓地のジェムと名のついた モンスターの数×100ポイントアップする! 俺の墓地にジェムは6体! よって600ポイント攻撃力をアップする!」

 

ATK:2900→3500

 

「バトル! ジェムナイトマスター・ダイヤでオベリスクを攻撃! 【セブンズ・ジェム・フラッシュ】!」

 

ジェムナイトマスター・ダイヤが左手でダイヤの大剣を撫でると、大剣に埋め込まれたそれぞれの核石から光が放たれ、オベリスクを光の中へと消し去る。

 

「うおぉぉぉ!!!」

 

番人 LP:7100→3600

 

「続けてスタダ! セットモンスターに【シューティング・ソニック】!」

 

セットモンスター:封印されしエクゾディア

 

放たれた衝撃波が破壊したのは、さっきのエクゾディオスとよく似た顔面。

どうやら、”パーツ”が邪魔になっているらしいな。

 

さて、追い詰めたはいいが、油断は出来ねぇぞ。

流石に他の三幻神は無いだろうが、まだ別に何かがいるかもしれない。

 

「俺はカードを伏せてターンエンド!」

 

LP:7800

遊伸 手札:2

燐平 手札:2

モンスター

・スターダスト・ドラゴン

・ジェムナイトマスター・ダイヤ

魔法・罠

・セット(遊伸)

・セット(燐平)

 

「エクゾディオスに続き、オベリスクまでも……私のターン、ドロー!」

 

番人 手札:3→4

 

「だがここまでだ。 今までの”神”は、これから呼び出す”神”への布石に過ぎん! 見せてやろう! …第10世界に眠りし終末の神よ! 過ちを除き、世界を正しきものへと修正せよ!

《究極時械神セフィロン》!」

 

ATK:4000

 

番人の場に現れたのは、馬鹿でかい鎧。

その胸の部分は鏡みたいになっていて、そこには厳格そうな爺さんの顔が映っている。

確かこいつ―――”5D's”のラスボスだって誰からか聞いた事があるな。

 

「究極時械神セフィロンは自分の墓地にモンスターが10体以上存在する時、手札から特殊召喚する事が出来る。 そして効果を発動! 1ターンに一度、手札・墓地からレベル8以上の天使族モンスターを1体、効果を無効、攻撃力を4000にして特殊召喚する事が出来る! 墓地から出でよ! 《時械神メタイオン》!」

 

ATK:4000

 

続けて出て来たのは、セフィロンよりは小さいが、それでもでか過ぎる程の鎧。

同じ様に胸の鏡に顔が映っているが―――うわ、こっちはすげぇ顔してやがる。

 

「い、一度に攻撃力4000のモンスターを2体、それもノーコストで出してくるなんて……あの人の行動からして、最初からこれを狙っていたのかもしれないね」

 

遊伸の言う通り、エクゾディオスも、メタモルでの墓地肥やしも、全部これの為だ。

くそ、やられたぜ。

 

「さらに私は墓地の光属性・天使族を3体、闇属性・悪魔族を1体ゲームから除外し……第26世界に存在する混沌の神よ! その姿を現せ! 《天魔神 エンライズ》!」

 

除外したカード

ハープの精

デュナミス・ヴァルキリア

光神機-轟龍

暗黒界の番兵 レンジ

 

ATK:2400

 

エンライズ―――確かソーサラーと同じ様な効果だったよな?

時械神2体でも十分なのに、厄介なモンスター出しやがって。

 

「天魔神 エンライズの効果発動! このターン、自身の攻撃を放棄する事で場のモンスター1体をゲームから除外する! 消え去れ! 《ジェムナイトマスター・ダイヤ》!」

 

エンライズが掌になにやら禍々しい黒いエネルギーの球体を作り出すと、 ジェムナイトマスター・ダイヤに向かってそれを放つと、ジェムナイトマスター・ダイヤは一瞬で場から消え去ってしまう。

 

「俺の切り札が……畜生!」

 

「まだ攻撃が残っているぞ! バトル! 時械神メタイオンでスターダスト・ドラゴンを攻撃!」

 

メタイオンが腹立つ笑みを浮かべながら、スターダスト・ドラゴンに向けて炎を放ち、破壊する。

 

「うわぁぁ…!」

 

遊伸・燐平 LP:7800→6300

 

メタイオンの炎が俺に降りかかった瞬間、俺は言葉に出来ないような恐怖を覚えた。

何だこれ、痛みは無いのに。

 

「燐平!?」

 

「まだ終わらぬぞ! 究極時械神セフィロンで直接攻撃! 【アカシックストーム】!」

 

今度はセフィロンがやたらでかい光線を放つ。

その光線が俺に直撃した瞬間、俺は吹き飛ばされた。

 

「うわぁぁぁーーー!!!」

 

遊伸・燐平 LP:6300→2300

 

「燐平ーーー!!!」

 

俺の体が地面に激突する事はなかった。

後ろにいた遊伸が俺を受け止めてくれたからだ。

 

「す、すまねぇ……」

 

「これ位平気さ。 …それより燐平、大丈夫かい? 震えてるよ」

 

あーあ、かっこ悪いとこ見られちまった。

ソリッドビジョンに何をビビってるんだよ俺。

 

「ターンエンド! …仕方あるまい。 貴様達が相手をしているのは”神”なのだ。 九十九 燐平はそれを理解しただけだ。 近衛 遊伸、貴様も受けてみれば解るぞ」

 

LP:3600

手札:2

モンスター

・究極時械神セフィロン

・時械神メタイオン

・天魔神 エンライズ

魔法・罠

・セット

 

うるせぇ、偉そうにしてんじゃねぇぞ代行の癖に。

 

「ゆ、遊伸……すまねぇ。 必ず俺のターンまでには復活するからよ……それまで頼むぜ」

 

「……ああ! 任せてくれ!」

 

遊伸は俺から離れると、ターンプレイヤーとして前に立つ。

ほら、震えてないで俺も見るんだよ。

遊伸の決闘を。

 

「僕等は貴方に裁かれはしない! 神であろうが何だろうが、僕や燐平の……”決闘者の道”を閉ざす事は出来ない! 僕等はこれからも進み続ける! 僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:2→3

 

「墓地に置かれている《ジェムナイト・フュージョン》の効果発動! 墓地にいるジェムナイト1体を除外して、このカードを手札に戻す事が出来る! 《ジェムナイト・セラフィ》を除外してこのカードを手札に!」

 

遊伸 手札:3→4

 

「燐平が伏せた魔法カード《輝石採掘》を発動! 手札の《ジェムナイト・フュージョン》をデッキに戻し、デッキから2枚ドロー!」

 

遊伸 手札:4→3→5

 

よし、伏せておいて正解だったな。

遊伸ならきっと上手く使ってくれる。

 

「チューナーモンスター《X-セイバー パロムロ》を召喚!」

 

ATK:200

 

「罠カード《ガトムズの緊急指令》を発動! 場にX-セイバーが存在する時、墓地からX-セイバーと名の付くモンスターを2体特殊召喚する! 現れろ! 《X-セイバー エアベルン》、《X-セイバー ウルズ》!」

 

遊伸の場に3体のX-セイバーが並んだ。

ん? エアベルンは―――そうか、”断殺”の時に落としたカードか。

 

「レベル4《X-セイバー ウルズ》に、レベル3《X-セイバー エアベルン》をチューニング!」

 

レベル7のシンクロ―――今の状況なら、ブラロとかがいいな。

一体遊伸は何を出すんだ?

 

「世界の平和を守るため! 勇気と力をドッキング! シンクロ召喚! 来てくれ! 愛と正義の使者! 《パワー・ツール・ドラゴン》!」

 

ATK:2300

 

遊伸の場に現れたのは、機械仕掛けの玩具みたいなドラゴン。

さっきから遊伸には驚かされてばかりだ。

予想できねぇよ、パワー・ツールだなんて。

その前に遊伸のデッキが解らん。

どういうコンセプトなんだ?

 

「パワー・ツール・ドラゴンの効果発動! 1ターンに1度、デッキから装備魔法を3枚選んで相手に見せ、相手はその中からランダムに1枚選ぶ! そして相手が選んだカード1枚を自分の手札に加え、残りのカードをデッキに戻す! 〈パワー・サーチ〉!」

 

成る程、装備で強化して倒すんだな。

なら、”巨大化”辺りが当たるといいんだが。

 

「僕が選んだのはこれだ!」

 

団結の力

シンクロ・ヒーロー

剣の煌き

 

「ええ!?」

 

思わず声を出してしまった。

”巨大化”無いのかよ。

今の状況じゃ一番強い”団結の力”でも4000には届かないぞ。

どうするつもりなんだよ遊伸。

 

「右のカードだ!」

 

番人の奴が裏返ったソリッドビジョンのカードを1枚指定、決闘盤がそのカードをデッキから探し出して抜き出し、遊伸がそれを手札に加える。

加えられたカードは俺にも分からない。

 

遊伸 手札:4→5

 

「レベル7《パワー・ツール・ドラゴン》に、レベル1《X-セイバー パロムロ》をチューニング!」

 

2度目のシンクロ。

遊伸の事だから、俺にはきっと予想出来ないようなのが出てくるんだろうな。

 

「世界の未来を守るため! 勇気と力がレボリューション! シンクロ召喚! 進化せよ! 《ライフ・ストリーム・ドラゴン》!!!」

 

ATK:2900

 

パワー・ツール・ドラゴンの装甲が弾け飛ぶと、中からパワー・ツールによく似た黄土色の竜が現れる。

忘れてた、パワー・ツールの進化形態があるんだった。

アニメのダグナー編でも少し出てた奴。

これが進化形態だって話を聞いた時は驚いたぜ。

やっぱりアニメ見とくんだった。

 

「ライフ・ストリーム・ドラゴンの効果発動! シンクロ召喚に成功した時、自分のLPを4000にする事が出来る!」

 

ライフ・ストリームが発した光が俺達を包み込む。

ああ―――何だか、暖かい気がする。

不思議な事に、さっきまで拭えずに残っていた俺の”恐怖”が徐々に薄れていくのを感じた。

 

遊伸・燐平 LP:2300→4000

 

「LPを回復したか。 だが”神”前では無いも同然の数値だ」

 

「LPは関係ない! 削られる前に僕等が貴方を倒すからだ! 魔法カード《死者蘇生》を発動! 蘇れ! 《スターダスト・ドラゴン》!」

 

遊伸の場にスターダスト・ドラゴンが戻ってくる。

この状況でスタダ―――どうする気だ?

 

「魔法カード《下降潮流》を発動! 自分の場のモンスター1体のレベルを1~3までの任意のレベルとする事が出来る! 《ライフ・ストリーム・ドラゴン》のレベルを2に!」

 

ライフ・ストリーム・ドラゴン レベル8→2

 

「燐平、恐れる事は何も無い! 燐平が繋げてくれたこのカード達で、僕が必ず活路を開く!」

 

間違いねぇ、遊伸がこう言ったら、絶対に何とかしてくれる。

あの時の決闘の様に。

 

「レベル8《スターダスト・ドラゴン》に、レベル2《ライフ・ストリーム・ドラゴン》をチューニング!」

 

「!?」

 

こいつ、シンクロモンスターでチューナーなのか。

そしてこの組み合わせ―――アニメ見てなくても、俺は知ってる。

 

「集いし夢の結晶が、新たな進化の扉を開く! 光さす道となれ! シンクロ召喚! 生来せよ! 《シューティング・スター・ドラゴン》!」

 

ATK:3300

 

遊伸の場に現れたのは、白く輝く”スターダスト・ドラゴン”の進化形態。

有名なカードだ、流行ったりもしてた。

だけど、こんな風に出したのは遊伸が始めてだ。

 

「これは…!? 近衛 遊伸、貴様が創り出した”創造神”の欠片か!」

 

「装備魔法《団結の力》を《シューティング・スター・ドラゴン》に装備! このカードは自分の場のモンスター1体につき、装備モンスターの攻撃力を800ポイントアップさせる!」

 

ATK:3300→4100

 

よし、時械神を上回ったぞ。

後はエンライズを倒せば―――

 

「”神”を上回るとは!? だが貴様達に勝利は無い! 永続罠《ガリトラップ-ピクシーの輪-》を発動! このカードが存在する限り、相手は攻撃力の一番低いモンスターを攻撃対象に選択する事が出来ない!」

 

一番攻撃力の低いモンスター―――つまり、エンライズに攻撃が出来なくなった。

時械神のおまけに見えるが、今の状況で一番厄介なのはあいつだ。

このままじゃ返しのターンでシューティング・スターが除外されちまう。

その後の時械神の直接攻撃で終わりだ。

 

「そんな物は関係ない! 僕達は勝つ!  シューティング・スター・ドラゴン効果発動! 自分のデッキの上からカードを5枚めくる! このターン、このカードはその中のチューナーの数まで 1度のバトルフェイズ中に攻撃する事が出来る!」

 

「そうか!? その手が……でも、3枚か……」

 

普通に考えれば、3枚は厳しい。

そもそも、この効果を本気で使う奴を俺は見たことが無い。

面白半分でやってるやつを結構見るけど、半分は不発、半分は1枚、たまに2枚が出るくらいだ。

3枚なんて本当に珍しい。

引けるはずが無い、前の俺ならそう決め込んだはずだ。

だけど、遊伸にはある。

不可能を可能にしてくれる―――そんな期待を持たせてくれる”何か”が。

 

「貴様の様な”英雄”が、そんな小さな可能性に縋るか」

 

「その小さな可能性を……カードが起こしてくれる”奇跡”を信じてきたからこそ! 僕はここにいる! 行くぞ!」

 

遊伸がデッキトップのカード5枚を一気にめくる。

その結果は―――

 

 

遊伸がめくったカード

X-セイバー アナペレラ

X-セイバー パシウル

デブリ・ドラゴン

貪欲な壺

XX-セイバー フラムナイト

 

「何だと!?」

 

「チューナーの数は3体! よって3回の攻撃が可能となる! バトル!  シューティング・スター・ドラゴンで究極時械神セフィロンを攻撃! 【スターダスト・ミラージュ】!」

 

シューティング・スター・ドラゴンが3つに分裂すると、その内の1体がセフィロンの顔に突っ込み、でかい風穴を開けて爆散させる。

 

「ぬうう!? ”神”が……」

 

番人 LP:3600→3500

 

「時械神メタイオンに攻撃!」

 

続けて2体目、セフィロンと同じ様に顔目掛けて突っ込み、破壊する。

 

「ぐっ…!」

 

番人 LP:3500→3400

 

「これで届く! 天魔神 エンライズに攻撃!」

 

最後の1体がエンライズ目掛けてブレスを放つ。

エンライズは反撃も出来ないまま消し飛ばされた。

 

「うおぉぉぉ!!!」

 

番人 LP:3400→1700

 

「すげぇ……逆転だ!」

 

俺の中の”恐怖”は完全に無くなっていた。

すげぇよ遊伸、俺も―――こんな”決闘者”になってみたいよ。

 

「カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:4000

遊伸 手札:1

燐平 手札:2

モンスター

・シューティング・スター・ドラゴン

魔法・罠

・団結の力

・セット(遊伸)

 

「まさか……エクゾディオス、オベリスクに続き、時械神までも……私のターン、ドロー!」

 

番人 手札:2→3

 

「私は魔法カード《貪欲な壺》を発動! 墓地からモンスターを5体戻し、シャッフル。 2枚ドロー!」

 

番人 手札:2→4

 

デッキに戻したカード

究極時械神セフィロン

時械神メタイオン

封印されし者の左足

封印されし者の左腕

メタモルポット

 

「くっ……手札から儀式魔法《高等儀式術》を発動! デッキからレベル8になるように通常モンスターを墓地に送る」

 

墓地に送ったカード

封印されし者の右腕

封印されし者の左腕

封印されし者の右足

封印されし者の左足

暗黒界の騎士 ズール

 

今度は儀式か。

しかも、邪魔になった”パーツ”を処分した上、墓地肥やしまで。

 

「第13世界に君臨する破滅の女神よ! 今、ここに! 《破滅の女神ルイン》!」

 

DEF:2000

 

現れたのは破滅の女神ルイン。

雄介が愛用している奴だな。

だがこのルイン、攻めにはいいが守りには向かない。

つまり、この状況で出すようなモンスターじゃないって事だ。

守備表示で出してるし、もう手が尽き掛けている証拠だぜ。

 

「カードを伏せてターンエンドだ…!」

 

LP:1800

手札:1

モンスター

・破滅の女神ルイン

魔法・罠

・ガリトラップ-ピクシーの輪-

・セット

 

「よっしゃ! 俺が決めてやる! 俺のターン! ドロー!」

 

燐平 手札:2→3

 

俺の手札に1800を越す攻撃力のモンスターはいない。

だが問題ねぇ。

 

「魔法カード《輝石同調》を発動! 自分の墓地からジェムナイトと名の付いた通常モンスターと、同じくジェムナイトと名の付いたレベル4以下のモンスターを特殊召喚する! ただし、この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃出来ず、融合素材とする事が出来ない。 また、このカードを発動したターン、自分はジェムナイトと名の付いたモンスター以外を特殊召喚する事が出来ない! 来い! 《ジェムナイト・サフィア》、《ジェムナイト・アンバー》!」

 

ジェムナイト・サフィア ATK:0

ジェムナイト・アンバー ATK:1600

 

俺の場に2体のジェムナイトが現れる。

俺のデッキに入った新しい3枚のカード、輝石の盾、輝石採掘、そしてこのカードは”GX”世界のでかいカードショップで補充した物だ。

こんな元の世界でも見た事がないカード、普通は売ってねぇだろうから多分”神様”って奴の仕業だろう。

カード面に関しては役に立つんだよな、あいつ。

 

輝石同調は特殊召喚したジェムナイトのどちらかをチューナーとして扱う事が出来るんだが、俺が今からするのはシンクロじゃない。

そもそもジェムナイトのシンクロモンスターがいないだけなんだけどな。

 

「レベル4の《ジェムナイト・サフィア》と《ジェムナイト・アンバー》をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚! 来い! 《ジェムナイト・パール》!」

 

ATK:2600

シューティング・スター・ドラゴン ATK:4100→4900(団結の力の効果により)

 

俺が出したのは”ジェムナイト・パール”。

何も効果を持たないモンスターだが、その攻撃力はホープを凌ぐ。

決着をつけるには十分なモンスターだ。

 

「バトル! シューティング・スターでルインを攻撃!」

 

「させん! 罠カード《和睦の使者》を発動! このターン、私のモンスターは戦闘で破壊されない!」

 

シューティング・スターがルインにブレスを放つが、ルインはそれを軽々と弾く。

くそ、止めどころかルインも倒せねぇなんて。

 

「…カードを伏せてターンエンド! すまん遊伸! 後は頼む!」

 

LP:4000

遊伸 手札:1

燐平 手札:1

モンスター

・シューティング・スター・ドラゴン

・ジェムナイト・パール

魔法・罠

・団結の力

・セット(遊伸)

・セット(燐平)

 

「……私は”神の代行者”、”亜空の番人”……だのに、この無様な状況は何だ! このまま負ければ、力を貸していただいた”神々”に申し訳が立たん! …こうなれば、あの”神”の”力”をお借りするしかない……私のターン! ドロー!」

 

番人 手札:1→2

 

何だ? 番人がドローする前の瞬間、番人のデッキが光ったような―――

 

「魔法カード《簡易融合(インスタントフュージョン)》を発動! LPを1000ポイント払い、エクストラデッキからレベル5以下の融合モンスター、《雷神の怒り》を特殊召喚する!」

 

ATK:1900

LP:1800→800

 

「……貴様達、今すぐ降参し、捌きを受ける事を勧める」

 

「はあ!? ふざけんな! ここまで来て止められるかよ! それに押されてるのはどっちだと思ってんだ!」

 

「貴様達を思っての事だ。 …今から呼び出す”神”の一撃を受ければ、その恐怖が魂にまで刻み込まれる。 …死して尚、恐怖を背負う事になるのだ」

 

「脅そうったってそうは行かねぇ! お前の言う”神様”を、俺と遊伸は乗り越えてきたんだ! 今更恐いもの何て無ぇよ!」

 

そうさ、何でもきやがれ。

俺には遊伸が、そしてカード達が付いてんだ。

どんな奴が来たって負ける気なんてしないぜ。

 

「……ならば、覚悟しろ! ……第7世界を創りし偉大なる神よ……今ここに、4つの贄が揃った! その姿を現し、全てを無へと帰せ! ……《創星神 sophia(ソピア)》!!!」

 

この瞬間、俺達はとんでもないものを見る。

それは、番人の後ろに現れたメチャクチャでかい祭壇。

オベリスクやセフィロンなんか比べ物にならない程のだ。

その祭壇に、シューティング・スター・ドラゴン、ジェムナイト・パール、そして番人のモンスターが全て光となって吸い込まれる。

いや、モンスターだけじゃない。

俺達のカードが―――手札、墓地、フィールドにある全てのカードがあの祭壇に吸い込まれていく。

何だ、止めろよ、止めてくれ、俺達のカードを持っていくな。

 

やがて、全てを奪い去ると祭壇が崩れ、中から巨大で、神秘的で、この上なく恐ろしい怪物が現れる。

 

ATK:3600

 

「創星神 sophiaは場に存在するシンクロ、融合、エクシーズ、儀式モンスター4体を除外する事で特殊召喚する事が出来る。 そして創星神 sophiaは召喚時に自身以外の手札・場・墓地のカードを全て消し去る」

 

そんな、嘘だ。

俺達のカードが―――

 

「バトル! 創星神 sophiaで直接攻撃!」

 

sophiaが右手に闇の様に黒いエネルギーを溜めると、俺に向かって放つ。

 

「うわぁぁぁーーー!!?」

 

「うあぁぁ…!!!」

 

遊伸・燐平 LP:4000→400

 

そのエネルギーは俺だけでなく、後ろにいる遊伸まで及んだ。

攻撃を受けた俺はその場に倒れる。

体に痛みは無い、意識もある。

だが、俺は決定的な”何か”を砕かれた気がする。

 

「ぐ……燐平…!」

 

何とか堪えたのか、遊伸は倒れず俺の方へと寄って来る。

 

「燐平……しっかりするんだ」

 

「ゆ、遊伸……もう止めよう」

 

「え…!?」

 

俺の言葉に驚く遊伸。

さっき持ち直した俺の”心”は、今の一撃で一気に崩れてしまっていた。

 

「無理だよ……勝てない……もうカードも無い。 あんなのには勝てないよ……」

 

「…やはり、こうなったか。 もはや九十九 燐平が立ち上がる事は無い。 ターンエンド」

 

LP:800

手札:0

モンスター

・創星神 sophia

魔法・罠

・無し

 

「…まだだ! まだカードはあるじゃないか! 君のデッキに! そして効果が及ばなかった僕の手にも! 僕等はまだ戦える! カードを信じるんだ燐平!」

 

「無理だっつってんだろ! お前には出来るかもしれないけど俺には無理だ! 俺は”遊戯王の主人公”じゃないんだぞ! お前みたいに特別じゃないんだ!」

 

「燐平……」

 

悔しいけど、駄目なんだよ。

俺みたいなただの”決闘大好き”の一般人じゃ。

恐いんだ、これ以上戦うのは。

もう勘弁してくれ。

 

「……得意な決闘だ。 最初は勝てると思ったんだ。 だけど……駄目だった。 巻き込んでしまって、本当にごめん……遊伸」

 

「……燐平、僕は特別なんかじゃない。 誰だってなれるんだ……”遊戯王”には」

 

遊伸はそう言って立ち上がると、前に出る。

お前も受けただろ? あの攻撃を。

何で向かっていけるんだよ。

 

「僕が”遊戯王”になろうと思ったのは……仲間やカード達と共に生きていく”世界”を守りたかったからだ。 そして”遊戯王”になれたのは、その仲間とカードが僕を支えてくれたからだ! ……燐平、君にだっているだろう? そんな仲間やカード達が!」

 

俺の―――仲間とカード。

雄介、満さん、龍騎―――ジェムナイト。

 

「燐平! 諦めちゃ駄目だ! 仲間達は君を待っている! 見えなくても、君達は”絆”で繋がっている! 諦めなければ……後はジェムナイト達が”希望”を、”勝利”をもたらしてくれる!」

 

「遊伸……でも……」

 

「なら、僕が君を後ろから押す! 君が再び進めるように! 僕のターン! ドロー!」

 

遊伸 手札:1→2

 

「魔法カード《調和の宝札》を発動! 手札からドラゴン族チューナー《救世竜 セイヴァー・ドラゴン》を捨て、2枚ドロー!」

 

遊伸 手札:1→0→2

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

LP:400

遊伸 手札:0

燐平 手札:0

モンスター

・無し

魔法・罠

・セット

・セット

 

「恐怖で怯える者を無理やり戦わせようというのか? それが”英雄”のする事か?」

 

「僕等は絶対に負けはしない! 僕等は貴方を倒して”道”を行く!」

 

「愚か者め! ならば”神”の一撃、受けるがいい! 私のターン! ドロー!」

 

番人 手札:0→1

 

引いたカード

禁じられた聖衣

 

「バトル! 創星神 sophiaで直接攻撃!」

 

あの攻撃が―――また来る。

俺は情けなくも、その場から逃げようとした。

だけど、あっちの方が早い。

黒いエネルギー体が真っ直ぐに飛んでくる。

俺はその場に屈むが、エネルギー体が襲ってくる事はなかった。

 

「罠カード《スピリット・フォース》を発動! 戦闘ダメージを0に!」

 

「おのれ…! カードを伏せてターンエンド!」

 

LP:800

手札:0

モンスター

・創星神 sophia

魔法・罠

・セット

 

「さあ、これで僕の役目は終わった。 後は君が”勝利”を掴み取るんだ」

 

「でも……」

 

「うーん、じゃあ燐平、考えてみなよ。 君はこれに勝ったら、前の世界に戻るんだろ? そこでは君の仲間が待ってるわけだ」

 

い、いきなりなんだ?

急に雰囲気が軽くなって―――

 

「そしたら、君は仲間達と一緒に決闘する。 一体どんな決闘になるんだろうか? 君の仲間はどんな決闘者なんだろうか? 僕は考えただけでワクワクしてくる、君もそうだろ?」

 

「あ、ああ……そうだな」

 

「ほら、君はこんな状況でもそう言える。 君は決闘が大好きだからだ。 だから頑張ろう。 きっと……楽しい決闘が君を待ってるよ」

 

「!?―――」

 

そうだ、俺がしたい事は何だよ。

俺にとって、何よりも譲れない、そして負けたくないものは何だよ。

決まってる―――

 

「………決闘だぁーーー!!!」

 

「な、何だ!?」

 

俺は思いっきり息を吸い、腹にありったけの力を込めて吼える。

あふれ出す”欲求”を吸い込んで、邪魔な”恐怖”を吐き出す様に。

 

「そうだ! 俺はこれから決闘し放題のバラ色人生を行くんだよ! こんなとこで死んで堪るか! 絶対に負けねぇぞ! 俺は誰にも負けない! 遊伸、勿論お前にもだ!」

 

「ハハハ! それでこそ燐平だ! 僕だって負けないぞ!」

 

「どういう事だ!? まさか……”神”への”恐怖”を克服したというのか!?」

 

どうって事はねぇ。

俺にはもっと恐い事があるんだよ。

決闘が出来なくなる―――これが一番だ。

 

「行くぜ! 俺のターン! ドロー!」

 

燐平 手札:0→1

 

俺が引いたカード、そして遊伸が伏せたカード。

これは―――

 

「燐平! 今こそ渡したあのカードを使う時だ! きっと今の君になら応えてくれる!」

 

俺は急いでエクストラデッキから”白いのカード”を取り出す。

その瞬間、白いカードは紫に変色し、絵柄とテキストが浮かび上がる。

 

「……こいつが、俺達を”勝利”に導く! 罠カード《異次元からの帰還》を発動! LPを半分支払い、除外されている俺達のモンスターを可能な限り特殊召喚する! 来い! シューティング・スター・ドラゴンとジェムナイト達!」

 

遊伸・燐平 LP:400→200

 

「異次元からの帰還だと……!? ”神”よ! どうしたのだ!?」

 

突然、sophiaが苦しみだすと、その額から5つの光が飛び出す。

その光は俺の場に落ち、5体のモンスターとなる。

 

帰還したモンスター

シューティング・スター・ドラゴン

ジェムナイトマスター・ダイヤ

ジェムナイト・セラフィ

ジェムナイト・パール

ジェムナイト・クリスタ

 

「それがどうした! どれも”神”には及ばぬ!」

 

「どうやら、ジェムナイトがどういうモンスターなのか解ってねぇみたいだな! それなら教えてやる! 魔法カード《ジェムナイト・フュージョン》を発動! 俺の場の全てのモンスターを融合!」

 

俺の場に現れた空間の歪みがモンスター5体を吸い込むと、そこから眩い輝きが放たれる。

 

「混ざれ混ざれ混ざれ! これが融合を極めた究極の”ジェムナイト・フュージョン”だ! 融合召喚!」

 

光の中から現れたのは、ジェムナイトマスター・ダイヤによく似たジェムナイト。

違うのは体がダイヤモンドではなく、縞模様の宝石で出来ている事と、持っているのが剣ではなく杖だという事。

その体は常に変色し、七色に輝いている。

縞模様があるから、まるで色が体の中を流れる川みたいだ。

 

「誕生! 《ジェムナイトマスター・アゲッティア》!!!」

 

ATK:3000

 

「だから何だと言うのだ! やはり及ばぬではないか!」

 

「ジェムナイトマスター・アゲッティアの効果! こいつの融合召喚に使用したジェムナイトの数により、モンスター効果を得る事が出来る! 俺が使用したジェムナイトは4体! よって次の効果を得る!」

 

さあ、ジェムナイト、遊伸。

俺に力を貸してくれ。

 

「このモンスターの融合素材としたシンクロモンスターの攻撃力分、このカードの攻撃力をアップする! よってアゲッティアの攻撃力は―――」

 

ATK:3000→6300

 

「ば、馬鹿な!? こんな事が!?」

 

「これで……最後だ! バトル! ジェムナイトマスター・アゲッティアで創星神 sophiaを攻撃! 【インフィニティ・ジェム・フラッシュ】!!!」

 

アゲッティアが杖を振り上げると、全身が白い輝きを放ち始める。

間違いない、これはシューティング・スターの輝きだ。

そう思った瞬間、光が場を包んだ。

 

「うおぉぉぉーーー!!!」

 

番人 LP:800→0

 

光が消えて、見えてきたのは膝をつく番人の姿と、姿を消した創星神 sophiaだった。

俺は無事に”GX”の世界へ帰る事への祈願と、俺をここまで導いてくれた”遊戯王 デュエルモンスターズ”への感謝の為に、ポーズを決めて―――

 

「ガッチャ! ……楽しい決闘だったぜ」

 

一度、やってみたかったんだ。

 

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

 

「……お前達は正しく”英雄”だ。 裁く事は”世界”の損失となる。 見逃してやろう……」

 

「ついでに聞きたいんだけど、”GX”……第10世界だっけ? そこにはどうやったら戻れんの?」

 

「……繋いでやる。 ……あそこの歪みに飛び込め。 そうすれば第10世界に行ける」

 

番人が指差した方を向くと、漫画とかアニメで見る所謂”ワームホール”という奴が現れていた。

無事帰れるんだな、良かったぜ―――でも。

 

「ようやく依頼完了かな。 こんなに大変だった依頼は初めてだったよ」

 

遊伸とも、これで”さよなら”なんだよな。

 

「……」

 

駄目だ、このまま別れたくないぞ。

何か、何か思いつけ燐平。

 

「…ところで僕はどうやって帰ればいいんですか?」

 

「お前には迎えが来ているようだぞ」

 

俺の帰り道であるワームホールとは逆の方角から、ジェムナイトの様な宝石を体に埋めたでかい竜が飛んでくる。

俺達をここに連れて来た”レインボー・ドラゴン”か。

”GX”のとは違うレインボー・ドラゴンなのかな。

 

「……どうやら、お別れのようだね、燐平」

 

「……遊伸! すまねぇ! サインくれ!」

 

「へ?」

 

俺は―――”証”が欲しい。

遊伸と共に決闘したという”証”が。

”絆”は見えなくてもそこにある―――まあ、それは解る。

だけど、俺はどうしても眼に見える”証”が欲しいんだよ。

 

どっかに紙でもないかな―――あ、あれでいいか。

遊伸の名前なら大歓迎だ。

 

「これの裏面の……ここに書いてくれ! あ、ペン持ってる?」

 

「仕事で書類にサインさせられたりするから持ち歩いてるよ。 ここだね……名前でいいの?」

 

「コメントも頼む!」

 

ちょいと小さいスペースだけど、遊伸は上手く、丁寧に書き上げてくれた。

 

「はい、書けたよ。 僕以外は君の仲間かい?」

 

「ああ、そして……お前も俺の仲間さ!」

 

ちょいと恥かしい台詞だったな。

こんな台詞が出てくるって事は、俺も物語の住民になってきたって事かな。

 

「ありがとう燐平……僕達はまた逢えるよ。 お互いが”決闘者の道”を歩み続ければ、きっとね」

 

「ああ! ……そうだ!」

 

遊伸の”証”は貰った。

今度は、ここに”俺がいた証”を残したい。

なら、渡す物は一つ―――

 

「遊伸、これ受け取ってくれよ」

 

「《ジェムナイト・アクアマリナ》……どうしてこれを? 君のデッキのカードじゃないのかい?」

 

「俺はジェムナイトの中でも、そいつが一番のお気に入りなんだ。 だから4枚目をお守りとして持ち歩いてる。 お前にそれをやるよ。 ……アクアマリナの核石、アクアマリンの石言葉は”勇敢”。 俺がお前から一番強く感じたイメージだ。 …俺も何時かお前の様に強くなって、お前以上の決闘者になってみせるからな!」

 

「僕だって負けないよ! …君と決闘出来る日を、楽しみにしているよ!」

 

俺は遊伸と握手を交わす。

色んな思いが詰まった、今までの人生で一番意味のある握手だったと思う。

 

「それじゃ……また逢おうぜ! 遊伸!」

 

「ああ! また逢おう! 燐平!」

 

俺はそれ以降振り返らず、ワームホールへ全力疾走。

あの時と同じ、豪快なヘッドスライディングで飛び込んだ。

あ、またカード落とさないように気をつけ―――

 

 

 

   ・

   ・

   ・

 

 

 

「う……うん…?」

 

俺が眼を覚ますと、そこは真っ暗な公園。

俺は外灯が当たらない遊具の裏にいた。

 

「あ~…何だかフラフラする」

 

そのまま外灯が照らしている場所まで移動すると、誰かが俺を呼ぶ声が聞こえてくる。

聞き覚えがある声だ。

 

「おーい! 燐平!」

 

「あ……満さん」

 

俺の親友の一人、満さんだ。

と言う事は、俺、戻って来れたんだ。

俺は安心と疲れから、盛大な溜息を吐く。

何故だか今、とてつもなく疲れを感じているのだ。

あんな決闘をした後だからなのか、ワームホールのせいなのか、どっちかだろうな。

 

「何時までも帰ってこないから心配したぞ! さあ、他の二人にも連絡して帰るか……ん?」

 

突然、満さんが俺の前で屈む。

何か拾ったようだ。

 

「落としたぞ……お、懐かしいなこれ。 ずっと持ち歩いてるのか。 ”おめでとう”、これは俺が書いたコメント。 ”次は俺が勝つ”、雄介だ。 同じく”おめでとう”、流石は俺の弟、書く事が同じ……ん?」

 

満さんが不思議そうな顔をして拾ったカード―――”ナンバーズ・クラブの会員カード”を俺に見せる。

 

「これ、”近衛 遊伸”って誰だ? ”楽しい決闘を!”って書いてあるぞ」

 

「……ハハハハ!」

 

大丈夫だ、夢じゃない。

今の俺、ちょっとフラフラで寝ぼけた感じがするから、夢だったんじゃないかと疑ったぞ。

やっぱり、”証”を貰っといて正解だったな。

 

「笑ってないで教えてくれよ」

 

「俺の”目標”で……”永遠のライバル”さ」

 

「何だそりゃ……」

 

おりがとう遊伸。

こっちも言わせて貰うぜ。

 

 

「……楽しい決闘を!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               遊戯王~異世界からの決闘者~

                    

                    END

 




どうも、荒巻高原です。
異世界の決闘者を読んで頂き、まことにありがとうございます。

ありがたくも瑞田高光様からお誘い頂き、このコラボ作品を書かせていただきました。
初めてコラボ作品というものを書いたのですが、難しいものですね(汗)
瑞田高光様と話し合いながら設定を決めて執筆に入ったのですが、いざ形にしてみると、何か納得いかなくて設定を変えたり、設定ミスや度忘れが多くて、お互いの作品を何度も見返したり……とにかく、作業量が普段よりもずっと多かったです。

だけど、楽しかったです! 
改めまして、瑞田高光様。
読んでくださった皆様。
本当にありがとうございました!
楽しい決闘を!


下記は瑞田高光様に提供していただいたオリジナルカードの詳細です。

輝石採掘 通常魔法
手札から「ジェムナイト・フュージョン」1枚をデッキに戻して発動できる。
デッキからカードを2枚ドローする。


輝石同調 通常魔法
自分の墓地から「ジェムナイト」と名の付いた通常モンスターと、レベル4以下の「ジェムナイト」と名の付いたモンスターを選択し、特殊召喚する。
この時、特殊召喚したどちらかのモンスターをチューナーとして扱う。
この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃出来ず、融合素材にする事が出来ない。
また、このカードを発動したターン、自分は「ジェムナイト」と名の付いたモンスター以外を特殊召喚することはできない。


輝石の盾 装備魔法
このカードは「ジェムナイト」と名の付く融合モンスターにのみ装備できる。
このカードを装備したモンスターは1ターンに一度、戦闘及び、効果で破壊されない。
このカードが装備されてるモンスターが融合素材になって墓地に送られたとき、自分のライフを500回復する。


ジェムナイトマスター・アゲッティア
★8 地属性 岩石族
ATK3000 DEF2700
レベル8以上のシンクロモンスター+「ジェムナイト」と名の付いたモンスター1体以上
このモンスターは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。
このモンスターの融合召喚に使用した「ジェムナイト」と名の付いたモンスターの数により、以下の効果を得る。
・1体以上
1ターンに1度、戦闘では破壊されない。
・2体以上
1ターンに1度、カード効果では破壊されない。
・3体以上
自分の墓地の「ジェムナイト」と名の付く融合モンスター1体を除外する事で発動できる。
フィールド上のモンスターを1体デッキに戻す。
この効果を使用したターン、このカードは攻撃する事ができない。
・4体以上
融合召喚に成功した時、融合素材となったシンクロモンスターの攻撃力分、このカードの攻撃力をアップする。
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