ビルドアップファイター勇作   作:PPlaper

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そっと投稿。



前回のあらすじ
トイレで撃たれた。


お前はなんてところでぶった切るんだ

「佐藤先輩!!」

 

バタン!と勢いよく個室のドアを開けるアリス。

 

その目は、血まみれの勇作を…………「あー!死ぬかと思ったァ!」映さなかった。

 

 

まあここで死なれたら困るし。

 

 

「勇作ー、大丈夫ー?」

 

一輝が、生存を確信した口ぶりで問う。

 

「あったりまえだろ!?ったく、畜生殺す気かよ!」

 

傷一つない姿で叫ぶ勇作。

 

その手に握られているのは、ダイヤモンドボトル。

振ることで『自身の身体をとても硬くする』という汎用性の高い能力を持つフルボトルである。

 

「あ〜っくそッ!ボトルの魔力残量がかなり減っちまった!!」

「命に比べれば安いって」

「それは……そうだけども」

 

苛々とした様子を隠せない勇作。

徐にビルドドライバーを取り出すと、それを腰に装着し「待って待って!外で使ったら不味いって!?」

「あー、クソッ!!そうだったな……」

 

勇作はドライバーをしまうと、自分のスマホを耳に当て、あるところに電話を掛ける。

 

「あ、理事長?」

「あ、そーゆーのいいんで霊装の使用許可ください」

「了解っす。はい、はい、わかりましたー」

 

「よし、使用許可出たぞ」

 

「「早っ!?しかも雑!!」」

 

電話を開始してわずか2分。

驚くべき早業である。

そして、勇作はその言葉を発するや否やすぐさま腰にビルドドライバーを装着し、フルボトルを装填する。

 

籠められた色は、紫と黄色。

 

 

《忍者!》

 

《コミック》

 

《ベストマッチ!》

 

ダン♪ダン♪というリズミカルな音に合わせて、スナップビルドライダーが伸びる。

その先に二色のハーフボディが形成されると同時に、音声が鳴る。

 

《Are you ready?》

 

変身(ビルドアップ)!」

 

《ガチャーン!》

《シューーー!》

 

余分な空気が排出され、アンリミテッドスーツが体にフィットする。

 

《忍びのエンターテイナー!!》

 

《ニンニンコミック!》

 

《イェーイ!》

 

「野郎ぶっ殺してやる」

 

軽快な音声とは裏腹に、勇作の声は怒りに満ちていた。

折角の休みを台無しにしやがって、という怒りである。

コイツ自分が行く予定じゃなかった事棚に上げてやがる。

 

「行くぞ!」

 

全く足音を立てずに走り出す勇作。

 

「あ、うん」

 

それに生身で足音を立てずに着いて行く一輝。

 

「え、え、ええ!?アタシ!?アタシが可笑しいの!?」

 

先輩が突然変身したり、一人着いていけないアリスであった。

ちなみにアリスは影に隠れながら着いていった。

 

 

ショッピングモール 1F踊り場

 

「オラァ!」

 

スパン!といい音がして、テロリストの脚が無防備な人質に突き刺さる。

 

「ガハッ!グッ……!」

 

「……あん?何だその反抗的な目はァ!!」

 

「グァッ!!」

 

一度蹴り上げた腹を、何度も何度も繰り返し蹴り続けるテロリスト。

最早息も絶え絶え、というところになるまでひたすら叩きのめした後、彼は他の人質に告ぐ。

 

「反抗的な真似した奴ァコイツみたいにしてやるからなァ……」

 

それは、憂さ晴らしと脅迫を兼ねた、警告の程を成さぬような悪辣な警告であった。

 

こう言った手合いの人間(荒くれ者)は、2種類に分けられる。

すなわち、心の奥底に良心があるかないかである。

 

この男は、前者に属する人間であった。

元々、彼は優秀……とまではいかないまでも、有能な伐刀者だった。

将来を、一般的な伐刀者くらい、嘱望される程度には。

 

しかし、時が経つにつれて彼の霊装と彼自身の才が、食い違って行く。

 

自身は徒手空拳の才があるのに、霊装は指輪型、その上能力の発動が自分から当てた場合は出来ない、という、致命的なまでに噛み合わない組み合わせだったのだ。

 

故に、伐刀者であるのに、霊装を使わない方が強い、という矛盾。

彼は、あまり使わなくなった自身の霊装を見て、いつも寂しそうに呟くのが癖になっていった。

 

ーーーーー「もっと、違う霊装なら良かったのに」

 

と。

 

霊装とは、自身の内から生まれ出ずるもの。

すなわち、自身の分身、とも言える。

彼は、自身の分身が自身の戦闘スタイルと噛み合わないことを嘆いていた。

 

けれど、それでも、無理に霊装を使おうとはしなかった。

使い物にならないと、決めつけていたから。

 

……そこが、分水嶺だったのだろう。

 

それからの彼は、必死に努力した。

伐刀者に与えられる恵体を鍛え上げ、格闘を学び、自身を高めた。

血を吐きながら、涙を流しながら、特訓を重ねた。

 

そう。

 

そうして彼は、とても強くなった。

並みの伐刀者なら相手にならないくらいには。

 

だが、現実は残酷で、過酷だ。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

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文字通り血を吐きながら行った特訓。

しかし、()()()()()なら、全員やっていた。

 

故に、彼は他の伐刀者に完敗を喫する。

次も。

次も。

その次も。

彼は、誰にも負けない自信があったが、それはその場の全員が持っていた感情であり。

 

彼の自信は、何度も繰り返し踏みにじられることとなった。

 

私にに足りなかったのは、霊装と、強い執念だ。

他の誰が何と言おうとも、少なくとも、彼はそう考えていた。

 

ーーーーーーだから、霊装にこだわった。

 

霊装に拘ることで、自身の努力が無駄ではないと思いたかった。

霊装に拘ることで、霊装がない自分が負けるのは仕方ないと思い(諦め)たかった。

霊装に拘ることで、自身の思いが彼らに比べて強くなかったことを正当化しようとした。

 

私には強い霊装がないから……霊装がないから、彼らに負けてしまったのだ。

強い霊装さえあれば。

霊装さえあれば。

霊装さえあれば!!

 

いつしか、努力は憂さ晴らしとなり。

諦めは取り返しのつかない諦念となり。

霊装への憧れと思いは、偏執となった。

 

彼が、解放軍(リベリオン)へと加入するのは、自明の理だったのかもしれない。

彼は、そこで選民思想と、道徳の放棄と、暴力を学んだ。

 

彼はもう、引き返せない。

最も、彼がその事に気付いているかは、甚だ疑問ではあるが。

 

 

「ビショウさん!人質の交換条件の提示終わりました!」

 

「よし、じゃあ、好きにしていいぞ」

 

「ヒャッホウ!さっすがビショウさん!話しがわかるぅ!」

 

 

……そう、それが、伐刀者ランクBの、解放軍(リベリオン)幹部である、ビショウという男。

霊装に拘るあまり、肉体での闘争を捨ててしまった、男である。




Q:主人公は?
A:ははははは

……次回を待て!!
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