女神†恋姫・転生伝 作:ゴルゴーンゾーラチーズ
プロローグの如き
突然だが、私はしがない転生者である。
どういう理屈か、二次創作界隈にて転生者が増殖し始めて早十年ちょい。
事故にあった私は、最早飽和状態と言っても過言ではない転生者という存在になってしまった。
事故の内容とか転生に至る経緯なんかは割愛する。
だって皆大体予想がつくと思うから。
さて、転生することと相成った私であるが、若干中二の気が入った一般成人男子である。
成人なのに男子とはこれ如何にと自分でも思うが、とにかく何か変化球なチートが欲しかったのだ。
なにせ超飽和状態にある転生者界隈。
確かに型月好きな身分ではあるが、無限の剣製やら幸運EXやら絆MAXサーヴァントなんか貰ったとしてもすぐさま凡百のssの海に消えて無くなること請け合いであった。
いや、別にssを書くわけでもないしテンプレートもそれはそれで悪くないのだが、如何せん中二の病を患った後遺症からか他者と異なる事がしたかった。
と、決めたはいいものの、どのようなチートが良いかと問われると黙り込むしかないのが自分である。
大した文章力、発想力も無いくせに口だけは大きい自称評論家としてしか二次創作に関わってきていない自分にとって、これはかつて類を見ないほどに難解な問題であったと言えよう。
仕方が無いので若干やけくそ気味に願ったチートを持って新たな世界へ生誕。
そうして見目麗しい可憐な少女達が溢れる若干どころでないエロゲ臭のする世界を生きる羽目になったのだが…。
一つ、皆々様が転生する際のため、忠告しておきたい事がございます。
いえ、普通の生を送る皆様が転生者となるケースなど、ほぼ無い。と断言すらできるのですが、それでも万が 一、億が一にも同様のケースに至った場合に備え、半分愚痴の混じった忠告を送らせてください。
考えるのが面倒になったからといって、適当なチートを選んではいけない(戒め)。
「アナ、寝室へ戻るわ。伴をしなさい。」
「畏まりました、華琳様。」
私の名は『アナ』。
『メドゥーサ』『ステンノ』『エウリュアレ』の複合存在として生を受けた、曹孟徳の臣下が1人である。
あとなんか世間的には曹孟徳と北郷一刀の嫁らしい。
なんでさ。
曹孟徳である私にとって、アナという少女は特別な存在であった。
初めて出会ったのは、桂花と会って間もない頃。
黄巾党との戦いにおいて、その戦乱の中にその姿を見た。
黒い外套に身を包み、大鎌を振り回して数百もの賊を斬り飛ばしていく様は、いっそ爽快なものであったと言えよう。
なにより吃驚したのは、その戦姿からは想像もつかぬほどの美貌である。
戦の後、その外套の下から出てきたのは、傾国という言葉すらも霞んで見える美しき少女であったのだ。
私もかなりの美貌を誇っていると自負していたのだが、その少女を見て考えを改めざるを得なくなってしまった。
──嗚呼、嗚呼!美とは、これほどのものであったのか!私は大きな思い違いをしていた!美とは、限界なき物であると思っていた。否!それはここにある!これこそが美だ!男が追い求めて止まぬもの、女が羨んで止まぬもの!その完成形が、ここにある!
現実の物とは思えぬ程の美を私に魅せてくれた目の前の彼女は、感極まった私を前に、こう言った。
「総大将殿とお見受けします。私はアナ、異国より流れてきた、しがない旅人です。厚かましいとは思うのですが、どうか近くの街までで良いので同行させて頂けませんか?」
私は一二もなく快諾した。
その時の私には、他のことなどどうでも良かった。
ただ、如何にして彼女を我が傍へ置くか。それだけを考えていたのだ。
幸い彼女は街まで着いてくるという。
ならば、その間に彼女の落とし方を考えて見せよう。
異国の身であるというのなら、恐らく銭は多く持っていない筈。
であれば。まずは客将に迎え入れて彼女の信頼を得るべきか…。
そう考え、ふと横を見る。
そこには、自分と同じくアナと名乗る少女に見蕩れている北郷一刀の姿。
…そう、貴方もなのね。北郷一刀。
ならば、貴方と私は好敵手。
同じ女を巡って争う敵同士よ──!
なお、当時のアナは迷子で賊に八つ当たりしてた模様。
次回からは萌将伝時間軸でのお話。