女神†恋姫・転生伝   作:ゴルゴーンゾーラチーズ

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クリスマスだと気付いたので、特別編っぽいやつ(ボッチ勢)

1、2時間の急ピッチ執筆であるので、まともに文を纏められてもいないし勘違い要素も出せてない。
中途半端に良い話っぽいの入れてなんとか形にしました。

それでもよければ。
お気に入り解除するなら今のうちですよ(小声)

キャラが分かりにくいと思うので、後書きに簡単なキャラ設定があります。


特別篇
それはまさしく、祭りの如き


「クリスマス…ですか?」

 

 俺の言葉に、可愛らしくこてん、と首を傾げるアナ。

 変化は少ないながらも不思議そうなその表情は、まるで穢れを知らない無垢な少女の様だ。可愛い。

 

 目前の天使の様な少女が自分の伴侶である、という現代では有り得なかっただろう幸福を独り噛みしめていると、食事の席を共にしていたもう一人の伴侶が疑問を隠さずに問いかけてくる。

 

「何かの祭日かしら…、つまり一刀は、天の国の祭日をこっちでも行いたいというのね?」

 

「まぁ、そうなる」

 

 俺達のやりとりを聞いて合点がいったらしいアナは、考えるように右斜め上を見上げて黙考し始めた。

 頭の中ではきっと、想像上の天の国で華やかな祭りが開かれているのだろう。その口元は次第に上がっていく。可愛い。

 

 対して華琳は、むむむ、と呻いて考えこんでいる。

 おおかた、話に聞かせた現代の進んだ文化から成される祭りを想像して、その再現の難題さに頭の中でも頭を抱えているのだろう。

 やがて、不可能という結論へ至ったらしく、珍しく申し訳なさそうな表情で俺へと答を返す。

 

「ごめんなさい一刀。あなたの故郷の祭りを再現させてあげたいけれど、さすがにここの技術力じゃ──」

 

「──え」

 

「やるわ!」

 

 悲しそうなアナの表情を察知した華琳。すぐさま結論を覆し祭りの開催を決定した。

 相も変わらずアナの事になると即座に掌返しを始める奴である。きっとその掌はドリルで出来ているに違いない。

 そのせいで余計な厄介を背負い込むこともあるというのに、アナにとことん弱いのは変えられぬらしい。

 

 今度からは華琳に頼みごとをする時はアナを介してみようか、と我ながらセコい事を考えてみる。

 が、当然の様に見抜かれて折檻されるのは目に見えていたのでこの案は没と相成った。

 

「任せなさい、アナ!この華琳の名に懸けて、何が何でも天の祭をこの地に写しだしてみせるわ!」

 

 無駄に大きい啖呵を斬って、俺の腕をつかむ華琳。

 

 えっ。

 

「ちょ、おまっ!」

 

「来なさい一刀!くりすますとやら、一から十まで一句余さず聞かせてもらうわよ!」

 

「お、おちつけ華琳!そもそもクリスマスってのは──」

 

 抗議してみるが、本人は最早俺の言など聞く耳持たぬ模様。

 ああ、結局こうなるのか。こんなことなら言わなきゃ良かったかも。

 なんて過ぎた事を考えながら、ぽかん、と口を開けるアナを遠くに、華琳に引きずられた俺はクリスマスの準備に赴くはめになった。

 

 

 

 

 

 

 

「一刀、あなた…」

 

「言うな、桂花。自分でも愚かだったと後悔してるよ。」

 

「あなた、”后悔没有特效药”よ。」

 

「なんだって?」

 

「”後悔に特効薬はない”」

 

「後悔先に立たずってか…」

 

 春蘭や華侖達に意気揚々と指示を出しながら小物を作っている華琳を遠目に、遠い目をした俺と、呆れた顔を隠そうともしない桂花は駄弁っていた。

 

 当初は俺に対して事あるごとに罵声を飛ばしていた桂花は最早見る影もなく、いまでは立派な苦労人。

 しょっちゅう居酒屋に繰り出しては、共に愚痴をこぼし合う仲である。

 

 実はアナとは親友レベルで仲が良いらしい桂花、アナと共に行動することも多い彼女は、俺を除けばアナ関連の華琳の無茶ぶりに最も巻き込まれた人物だ。

 無論尊敬の念や好意は衰えていないが、アナと一緒に居る華琳からは距離を取ったりしているくらいにまいっているらしい。

 

「で、何よその、くりすますってのは」

 

「簡潔に言えば、恋人や家族、仲の良い友人で集まって華やかなパーティーをする祭って認識かな」

 

「そんなの知ったらアナ大好きな華琳様が黙っているわけないじゃない…」

 

「ま、だろうなぁ」

 

「だろうな、ってあなた…」

 

 馬鹿を見るような目でこちらを見る桂花に、苦笑いを零す。

 確かに苦労も無茶振りもあるだろう事は分かってたけど、それでも何だかんだで楽しいから。

 確かにアナ関係では暴走の気がある華琳ではあるが、全部が全部アナのためってわけじゃない。

 

 どんなに面白おかしい姿に見えても、どんなに可憐な少女に見えても、あれは曹孟徳である。

 民の為に生き、友の為に戦い、愛の為に命を懸けた、誰よりも愛すべき少女だ。

 ならばその所業は全て、民の為、友の為、愛の為に他ならない。

 まぁ少しは加減を憶えて欲しいところはあるけど、それでもその生き方に間違いなんてない。

 

 そして運命すら覆して見せた彼女は、もう民のために生きる覇王ではなくなった。

 ただ愛のために生きる、一人の少女である。

 ならば、あの忙しなく騒がしい姿は、王である彼女の”人”なのであろう。

 

 以前から度々見られてはいたが、あの『楽しい事が大好きで、どうしようもなく他人想いな少女』こそが、華琳なのである。

 なら、華琳の伴侶である俺の役目は、可能な限り華琳のわがままに付き合う事だ。

 

 なんて、ちょっとかっこつけて言ってみる。

 そんな大きな事を言っても、できる事なんか殆どないんだけどな。

 

 

「…」

 

「ん?どうした桂花?」

 

「別に、相変わらず馬鹿な男ね。自分から厄介事に巻き込まれに行くなんて。」

 

「これは手厳しいな、これでもけっこう頑張ってるんだぞ?」

 

「それなら、せめて認められるくらいに成果を挙げなさいな。結果がなければ何の意味もないわ」

 

「そりゃそうだ」

 

 と桂花が無造作に何かをぽいっと投げてくる。

 …袋詰めのジンジャークッキー?

 

「なんだこれ、ジンジャークッキー?」

 

「華琳様に命じられて作ったのよ。余ったからあげるわ」

 

「おう、サンキューな」

 

「それで精でもつけて、精々頑張りなさいな。私はアナを呼んでくるから」

 

 ヒラヒラと手を振りながら大部屋を出ていく桂花。

 その姿を見送って、ふとジンジャークッキーに目を落とす。

 

「華琳に、俺に、アナ、桂花。…随分器用なことするなあいつ」

 

 袋には、大きめのジンジャークッキーが四枚入っていた。

 …これは、パーティーの後で食べるとするか。

 

 俺はその袋を服のポケットにしまい込んで、何故か喧嘩を始めた春蘭と恋の仲裁に入るべく歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アナ、入るわよ」

 

「あ、桂花さん」

 

 クリスマスの話になり、華琳に連行された一刀。

 故郷の祭事の一つでもあるクリスマスがここでも楽しめると思い、華琳の言葉に少し残念に思っていた私は、瞬く間に姿を消した二人に驚きしばらくフリーズしていた。

 

 気を取り戻して、とりあえず二人の仕事を処理しておかなければと思った私は、姉二人を押さえつけて作業に取り掛かる。

 そうして数刻が経過、少し休みを入れなければと思った織、桂花が部屋へやってきたのだ。

 

「まったく、一人で一刀と華琳様の二人分こなそうだなんて、無茶するんじゃないわよ」

 

 机に噛り付いていた私を察してか、ため息を吐きながら隣の席へ座る桂花。

 どうやら手伝ってくれるらしい。悪いとは思うのだが、どうにも一人では片づけきれないだろうから有難い。

 

「ところで桂花さん。なにやら菓子のいい匂いがするのですが?」

 

「はいはい、貴女にもあげるわよ。そういうところは本当に子どもみたいね」

 

 クスクスと笑う桂花。

 

 違うんです。魂の四分の一、というか意識の半分ぐらいがメデューサが故なのです。その部分がつい反応しちゃうんです。私は悪くありません。

 あと両姉様はお黙りください。碌でもないことしかしない貴女方に私を笑う資格はありません。

 

「はい、じんじゃーくっきーって言うらしいわ。いい香りがして美味しいわよ?」

 

 おお、映画とか店先で見たことあるアレだ。実は一度も食した事がないので楽しみである。

 しかし、華琳や一刀の形をしたクッキーとは随分と凝っている。どうやって作ったのか興味が尽きない。

 

「ところで、一刀さんと華琳様は?」

 

「くりすますの準備をしてるわ。かなり騒がしかったから、準備が終わったころに行きましょう」

 

 そう言って筆を執り、竹簡に文字を書き込んでいく桂花。

 その表情は、普段むすっとして仕事をしている彼女には珍しく穏やかな表情であった。

 

 彼女すらもがこの調子であるならば、きっと他の者も笑顔でクリスマスを迎えられるだろう。

 やはり祭とは良い物だ、ただ祭りというだけで心を楽しませてくれる。

 

 問題は両姉様方が暴れ始めないかどうかだが、きっとそれもアクセントになるだろう。

 

 今年は、良いクリスマスになりそうだ。

 




アナ:転生者のやべーやつ。
   一般転生者を核に、メデューサ(ランサー)と両姉様の魂を詰め込んだメデューサモドキ。
   行動権利は転生者にあるが、3柱の女神の魂に一般人が耐えられるはずもなく無事汚染。感情が昂るとメデューサが出てきて、面白そうな事があると両姉様がちょっかいかけてくる。
   最終決戦において3柱の力で一刀を世界に繋ぎ止め、女神の力を束ねて『転生者=死から蘇った=根源から帰ってきた=根源接続者』という無理矢理な理論で強引に根源へ接続、並行世界から魔力をかき集めてそのまま管理者に叩きつけるという荒業をしでかした。これをくらった于吉と左慈の心境や如何に。
   単純な戦闘力では関羽ちょい下程度。なお魅力チートで見惚れさせて強制的に相手の隙を生み出すという最悪に厄介な戦法を取る模様。
   ちなみにこいつが三姉妹をチートに選んだせいで型月世界っぽい法則が組み込まれた。



華琳:魏国国王のやべーやつ。
   使命の為に自ら人格を二つに分けた二重人格者。
   王の人格である『曹操』と少女の人格である『華琳』の二つを自分の人格として作った。
   戦争中は主に曹操人格メインに活動したが、アナや一刀の前になると華琳人格が押しのけて出てくることもあった。
   戦争後は曹操人格が必須でなくなったため、決壊したダムの様に華琳人格が暴れていた。
   最近では人格の再統合が行われ原作に近い華琳に戻っているが、アナ関連になるとかつての華琳人格が現れる。
   アナ曰く、華琳人格は『天真爛漫で悪戯好きな桃香』とのこと。
   型月的キャラ付けによって二重人格になったので、大体アナのせい。
   最終決戦において、アナを始末しようとする妖術使いを劣勢ながらも削り殺した。



一刀:原作主人公のやべーやつ。
   原作の一刀というよりは某人類最後のマスターに近いコミュ力おばけ。
   つまり、『あいつなんか変だけど好感持てるよね』な男。
   作者が、『一刀の消えるタイミングとか来た原因とか、まるでレイシフトみたいじゃね?』と思ってしまったが故にそんな扱い。
   魔力の暴力によって満身創痍だった左慈に止めを刺した男。
   魅力チートとコミュ力チートが交差する時、物語は始まる(とある並感)


桂花:圧倒的ヒロイン度のやべーやつ。
   作者の一番好きなキャラなせいで、なんかヒロイン度爆上がりした女。
   当初は原作通りのツン100%だったが、アナと仲が良かったせいでコミュおばけ一刀に懐柔された哀れなヒロイン。現在はツン70%くらい。
   最終決戦では恋姫版過労死こと朱里と共に軍を指揮し、アナと一刀を左慈達のところへ送り届ける大役を果たした。



恋 :所属は蜀のはずなのになんか居る

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