ハッカーズメモリー THE Revenge of girl   作:ハナバーナ

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EP4 便利屋フーディエ

「待たせたな。」

 

エリカのVIPルームに入ってしばらく経ったころ、龍司が一人の青年を連れてエリカの部屋に入ってくる。額の空いている金髪の青年は、「よっ」と軽そうにレイラに声をかける。恐らく彼が千歳だろうとレイラは思う。レイラも「どうも」とだけ言って返す。

 

「エリカ、志賀のアカウントの解析は済んだか?」

 

「もう少し。」

 

エリカが画面に向かったまま龍司に返事する。正直レイラからしてみれば、挨拶して以降エリカはずっと今の調子だったので、龍司が来てくれたことには素直に助かっていた。そう思っている間に、エリカはアカウントの解析を終える。

 

「出たよ…アカウントがエラーを起こしてるね。その化け物、何かのバグだったのかも。」

 

「志賀はそれに巻き込まれた‥‥か。」

 

「でもよ、アカウント喰っちまうバグなんて聞いたことねえよな。」

 

「ああ。ザクソンに報告しておく必要はあるだろう。」

 

「ま、これでザクソンからの依頼完了だな。で、新人ちゃんの試験どうだったよ?」

 

「ああ、合格だ。」

 

「マジで!? やったなお前、ようこそフーディエへ! 歓迎するぜ。」

 

「あ、ありがとうございます‥‥。」

 

いまいち実感がわかないものの、やはり歓迎されるのは素直に嬉しかった。レイラは頬を赤らめて、お礼を言う。

 

「んじゃ、改めて自己紹介だな。俺は今井千歳、よろしくな。龍司とお嬢とは長い付き合いでさ、

 チームじゃ情報収集担当してんの。さっき渡したハチドリちゃんの他にも役に立つマルウェア

 あるからさ、興味あったら言ってくれよ。」

 

「リーダーの御島龍司だ…‥俺の事はもういいだろ。」

 

「…‥御島エリカ。」

 

一人だけ画面に向いて作業をしながら自己紹介するエリカを見て、レイラは頬を掻きながら苦笑する。

 

「もうわかってるだろうが、俺達フーディエは、EDENで仕事を請け負うハッカーチームだ。」

 

「依頼内容は、ハッキングから探し物まで何でもござれってな。個人からの依頼も引き受ける

 けど、お得意様はチーム【ザクソン】だ。奴らの事はわかるよな?」

 

「はい、EDENの自由と秩序を守るために生まれたチーム…でしたよね?」

 

「そそ。デジモンキャプチャーの普及と同じ時期に名を上げたリーダーのユーゴの思想に

 共感したチームがいくつか傘下に入って、爆発的に勢力を拡大させたんだよな。今じゃ

 その規模はクーロン1って言われてる。」

 

「連中は、ハッキングをあくまで『EDENを守るため』に使うべきだと考えている。だから、

 志賀のようなEDENを荒らすハッカーは許さない。」

 

「俺達がザクソンの依頼を受けるのもそれが理由。フーディエは悪事には加担しないからな。

 俺らはザクソンの元で働く正義の味方ってわけ。だからフーディエに入った以上、お前も

 悪いことはNGだぜ? ザクソンに喧嘩売るのもなしだ。」

 

「き、肝に銘じます。」

 

「ま、単身クーロンに乗り込んじまうくらいだから、心配ねーとは思ってるよ。」

 

「俺達の事はもういいだろう‥‥千歳、エリカ、どっちかこいつに【板】の説明をしてやれ。」

 

龍司はそれだけ言って、エリカの部屋を後にする。千歳はエリカの方に向く。

 

「お嬢、説明はどっちがやる?」

 

「千歳。」

 

「よっしゃ! よかったな新人ちゃん! イケメンなお兄さんが説明してくれるぜ~?」

 

明らかによかったと思ってるのは千歳の方なのだが、特に悪いと思っているわけはないため、レイラは千歳に教えてもらおうと決める。千歳と部屋を出る際、作業をしているエリカに「それじゃあね」と言い、エリカは「うん」とだけ画面を見ながら返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ログイン端末にもなっている店内のパソコンを使い、レイラは千歳から、依頼の受け方について教わっていた。ふとレイラは、あることを千歳に質問する。

 

「あの、千歳さん。龍司さんは、どこに行ったんです?」

 

「あれ、聞いてねえの? この店、あいつら兄妹の店なんだぜ?」

 

「え!?」

 

あまりに衝撃的な事実にレイラは驚き、レイラは思わず目を見開いて千歳の方を向いてしまう。

 

「生活費も稼げてアジトにもできて、一石二鳥ってな。バイトの女の子も可愛いんだぜ?

 あ、別にレイラが可愛くないってわけじゃねえからな?」

 

別にそこまで聞いているわけではないのだが、レイラはとりあえず、「へえ」っと納得してみる。

 

「お前、龍司に拾われて運がいいよ。ハッカー追跡するのに、こんなにいい環境はないぜ?

 依頼受けているだけでも、お前が追う犯人につながる可能性がないとは言えないしな。」

 

「はい…‥。そう言えば、千歳さん達はどうしてこんなことを?」

 

「理由はそれぞれだ。さっき言った生活費もそうだし、ハッカーの腕を磨くためってのもある。

 俺の理由は、世の女性たちを幸せにすること‥‥かな。何を隠そう、こうしてハッカーをして

 いるのも、ある女の頼みを断れなかったからで---------」

 

千歳の理由になった途端、レイラは半目を作り、口笛を吹きながらパソコンの操作を行っていた。

 

「えっ、何その顔? ひょっとして、右から左へ受け流してる…‥的な? じ、自分から質問して

 おいて、変顔で先輩の話をスルーするとは‥‥中々やるな、お主‥‥!」

 

と、調子よく返してくれるノリのいい千歳に、思わずレイラはクスリと笑みをこぼす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歳が龍司とともにザクソンへ依頼の報告へ行っている間、レイラは千歳から頼まれた簡単な依頼を行っていた。決められたものを買ってくるというフーディエからの依頼である。現在レイラは、中野ブロードウェイにあるハッカー御用達のジャンクショップで、パソコンの部品を購入していた。

 

「…‥はあ。」

 

依頼というよりこれは、ただのお使いなのではないか? そう思いながらレイラは、店を出て買った部品の入った袋に目をやる。そんな時、デジヴァイスから通信が入る。相手は‥‥優である。

 

『お前なあ‥‥連絡入れろって言っただろ? こっちは散々心配したんだぜ?』

 

「‥‥ごめん。」

 

すっかり優の事を忘れてしまっていたレイラは、申し訳なさを感じながら優に謝る。

 

『俺、今中野のカフェにいるんだ。今から会えないか? ちゃんと話聞かせてもらうからな。』

 

優はそれだけ言って、通信を切る。レイラにはまだ買い物が残っているのだが、ちょうど中野にいるし、最低限のことは報告しておいた方がいいだろうとレイラは思い、カフェへと足を進める。

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