寒さが続く真冬の気温にあてられ、心の様相は少しずつ感傷的に変わっていく。
物憂げな景色に染まるように、彼の感情もまた深い影を落としていた。
けれども。灰色の空もいつかは終わりを迎えて、また明るい空の色を描いていくだろう。
大切な彼女が教えてくれた「優しさ」を胸に、彼はこれからも歩み続ける。
厳冬が続くある日のこと。サンタクロースに扮した彼女は微笑みながら、今ここにある幸せを噛みしめるのだった。

続編「陽だまり色センチメンタル」のその後のお話です。

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千に届く贈り物よりも、きみと

 換気のためにと窓を開ければ、鼻の奥につんとした刺激が走った。しかめっ面に追い打ちをかけるように頬を叩いてきた風は肌を突き刺すような冷気を纏っていて、それは何でもない冬の訪れを感じさせている。

 

 秋色の残滓を含んだ空もいずれは灰色に染まっていくだろう。春、夏、秋と来て冬が来ないはずもなく、感傷的な空気を孕みながらも、刻々と巡る世界は四季の遷移を物憂げに語っていた。

 

 落葉散る秋から小雪の舞う冬へ。落ちていく木の葉は色褪せながら積雪に埋もれて朽ちていき、激情のように燃え滾っていた夏とは相反して、生命(いのち)終点(おわり)を描いたような儚い色彩が空を満たしていく。

 

 底冷えの続く厳冬に晒されつつも、彼らの搭乗する中型騎空艇「グランサイファー」はとある街に停泊していた。時刻は夕餉(ゆうげ)を迎える頃だろうか。忙しなく厨房に行ったり来たりを繰り返している団員たちを眺めながらも、温かな料理に舌鼓を打つ穏健な時間がそこに流れている。

 

 そんな中、場所は変わって遊戯室。団員といえども成人に達していない者も数多く加入するこの騎空団では、親睦を深める憩いの場所が存在する。流行りの遊具に興じて各々が戦いの日々から少しでも安らぎを得られるようにと、グランとジータが考案した部屋だ。実際のところ団員たちには好評だったらしく、連日その場所は食堂と同じような賑わいを見せていた。

 

 わいわいと団員たちの喜色に満ちた声が飛び交う中で、部屋の隅には落ち着いたスペースも提供されている。そこには遊戯から離れた者たちが足を伸ばして立体型暖房装置――いわゆる「こたつ」に入ってくつろいでいた。時期も時期なのでシェロカルテから紹介してもらい格安で取り寄せたものだったが、そのこたつは思いのほか人気が高く、自室にも備えてほしいと要望を出す団員までいた。

 

 もちろんそれはグランサイファーの設備費用が跳ね上がるので却下されているが、その件もあって遊戯室にはこたつ目当てで足を運ぶ者も少なくはない。実際、そこに入っているものたちは遊ぶわけでもなく、こたつから発せられる程よい熱を受けて頬を綻ばせていた。

 

 その最たる者が彼女――センだろうか。

 ぬくぬくと伝わる暖気を浴び、ついでに備えられた毛布にくるまりながらも口角を上げている。

 

「はふー……あったかいです……♪」

 

「猫はこたつで丸くなる、っていうけど。本当にセンちゃんはこたつが好きだね」

 

 向かいに座る副団長ジータがこたつの上にあるみかんを剥きながらもほほ笑む。その隣には元黒竜騎士団副団長ことパーシヴァルの姿があった。

 「理想の国を創る」という目的を掲げ、過密なハードスケジュールで世界を巡るパーシヴァルだったが、今回は久しぶりに余暇が取れたのか、炎のように燃え盛る緋色の髪を流すように下ろして、プライベートなスタイルでグランサイファーに滞在していた。そんな彼はこたつに突っ伏してゴロゴロ猫のように鳴くセンに少ししかめ面をしつつ、こう言ってきた。

 

「全く。壁を伝って走るお前とは到底思えん姿だな……ほら、姿勢を正せ。変な体勢で居続けたら身体に悪いぞ。戦闘に支障が出る」

 

「まあまあパーシヴァル。許してあげなよ。センちゃんさっきまで街を走り回って、みんなにプレゼントを配りまわってたんだしさ。……というわけで、そんなセンちゃんにご褒美だよ。ほら、あーん」

 

 さっきまで剥いていたみかんをセンの口に運んでくるジータ。そんな彼女にセンは「わぁい」と子供のように喜んでみかんを口に含んだ。そんな様子を眺めつつ、幸せそうに頬を膨らませるセンにパーシヴァルは肺腑からため息を一つ。

 そして何故か、ジータと同じように手前にあったみかんを剥いていく。

 

「その配りまわっていた奴が、こうも気の抜けたままでいるとな……休暇中とはいえど、いつ何が起こるか分からん。警戒するにこしたことはない。……セン、口を開けろ」

 

 そう言ってパーシヴァルがセンの口元にみかんを運んでくる。

 「はぁい」とセンは素直にそれを口に含んだ。

 

「まあ、確かにそれは言えるかもね。でも大丈夫でしょ。その為にグランたちが哨戒に就いてくれてるんだしさ。はい、センちゃん、あーん」

 

「んむっ……? は、はい。あーん」

 

「だとしてもな……団長にも限度はある。グランはここ最近働きづめだと聞くが、休息が必要なのは団長ではないのか? ……セン」

 

「んむむむ……あ、あーん」

 

「ああ、その点なら大丈夫。今日からグランもしばらくお休みがあるみたいだし。流石にグランばっかりに頑張ってもらうのは悪いよ。その為の副団長なんだしさ……センちゃん、はーい」

 

「んむむむむむ……!」

 

「それなら問題ないが。あいつも頑張りすぎる節が見える。たまの休みくらい、何処かでゆっくりしてはいいと思うのだがな。……セン」

 

「そうだね。どこかでゆっくりと――いちご狩りでも行ってみる? はい、センちゃ――」

 

「んむむむむむむ~! も、もうふぁいにゃらいれす~~!!」

 

「ん?」

 

「あっ」

 

 悲鳴に近いセンの声を耳にして、二人が何事かと彼女の方へ視線を向ける。

 そこにはまるでリスのように口を膨らませたセンの姿があった。嚥下することなく口腔に蓄積されたみかんを頬袋いっぱいにためたセンは涙目でジータとパーシヴァルに訴えている。

 雑談に意識を集中させていたためか、まったくもって彼女の様子を見ていなかった。その点については僅かな罪悪感に駆られてはいるものの――小動物のように慌てるセンを眺めているうちに、悲しいこと?に謝罪よりも愛しさがこみあげてくるのをジータは感じていた。

 

 パーシヴァルに至っては「すまん。見ていなかった」とさも悪気なく簡素に謝っているあたり、どこか面白がっているような節が見て取れる。

 

 そうしてようやく溜め込んでいたみかんを飲み込むと、センは「わ、わたしはリスさんじゃありませんよぅ!」と抗議の声を上げた。それを聞いて「ごめんごめん」と謝りつつ、ジータはくすくすと小さく笑った。それでもなおみかんを口に入れようとすればセンもさすがにむくれた様子で「も、もうみかんはいりません!」とふいっと視線を離してそっぽを向く。

 

 器用に動いていたエルーンの耳が彼女の今の感情を表すように――怒髪天を突くにしては聊か可愛らしい態度ではあるが――大きくぴんと立った。

 

 しばらく不貞腐れたままでいる彼女にジータは面白がっていたが「とある事実」に気付いて、センに先程とは打って変わって、真面目な声色でこう尋ねる。

 

「あれ、そういえばセンちゃん。ここでのんびりしてて大丈夫なの? そろそろグランが戻ってくる時間だと思うけれど」

 

 こうして穏やかな時間を過ごしている者もいれば、グランのように寒冷の下で艇の警邏にあたる者たちもいる。交代で行われているのでそろそろグランも哨戒を終えて、鼻頭を赤くさせながら騎空艇にもどってくる時刻だ。団長が直々にそういった任務に就くというのはなかなか異例ではあるが、この騎空団はある意味で「普通」の騎空団ではない。

 

 ここはエルステ帝国という強大な力を持つ国と戦闘を繰り広げた酔狂かつ強靭な者たちが集う艇であり、そんじょそこらのマフィアや魔物相手では到底太刀打ちできないほどの力がある。それぞれは星の島「イスタルシア」に向かうというグランの目標と人柄に惹かれ、こうして一つに集っている。

 多種多様な想いを載せたここは、ある種の結束に満ちた信頼で構成されているが故に、団長であろうと先陣を切って出陣する。その行動は背を任せられる者たちがいるからこそできる芸当であり、それはここで流れる「家族」という空気がそのような異質を常識へと変えていた。

 

 さて、そんなグランが戻ってくるということを耳にして、ふてていたはずのセンがぴくりと反応した。彼女にとってグランは特別な存在であり、それは周囲も既に認知をしている事実である。それは命のリンクを繋いでいるルリアとはまた違った――いうならば心のリンクとでも言えようか。

 

 木漏れ日が包むように大地へ差し込んでいた、麗かなあの日。いつも通りに過ぎていくはずだった日常に一時の亀裂が走り、それはセンやグランの心に深い影を落としそうになりかけていた、転機とも呼べる日だった。満天の星空の下で、二人は互いに抱いていた想いを伝えあい、そして親密な関係へと至った。そんな人がもうすぐ戻ってくる事実を告げられては、センも不貞腐れている場合ではないだろう。現に、クリスマスプレゼントと称した贈り物をその白い袋に潜ませながら、彼の帰りを今か今かと待ち望んでいたのだから。

 

「センちゃん。街の子たちにもプレゼントをいっぱい配ってたよね。グランには何をあげるつもりなの?」

 

「えっとですねー……えへへ、最近、寒いじゃないですか。グランさんも何も備えずに寒い中を歩くのは嫌だと思うんです。それでコルワさんにお願いして、まふらーの編み方を教えてもらったんです。それがここに――」

 

 あるんです。と満面の笑みで白い袋の中に手を突っ込んだのだが。ガサゴソと手探るその中に、マフラーなる編み物の存在は、なぜか見当たらなかった。「?」と首を傾げて、袋の中を覗き込む。けれども、そこにあるのは薄い生地で作られた白の布製の袋だけ。プレゼントを配り、空っぽと化した布切れだけが物言わずそこにあるだけだった。次第に彼女の顔に焦燥感が走る。裏返してもひっくり返してもそれは見つからず、暖気で温まっていたはずの彼女の顔色が、さあっと青く染まった。

 

「あ、あれ? おかしいです。あ、ありません。グランさんに用意したまふらーが。お、おかしいです。ありません……ど、どこにもありませんー!」

 

 しまいにはズボー!っと猫のように白い袋の中へ頭を突っ込むセン。その様子を見て慌ててジータが白い袋に突っ込んだセンをずるずると引っ張り出す。

 

「ちょ、ちょっとセンちゃん! そんなことしてもないものはないよ! ……どこかに落としちゃったの? というか、なんで配る用のプレゼント袋にそんな大切な物を入れたの」

 

「うう……一応わたし、さたんくろーすさんですし……最後のぷれぜんとはグランさんって決めてましたので……落としたにしても、そんな記憶は全く――あっ」

 

 そしてセンは思い出す。街並みが黄金色の夕暮れに染まりつつあった夕刻。人足も疎らになり、本格的な寒さが世界を支配しようとしていたそんな中、壁をつたって街中を颯爽と走る途中で、センは寒そうに身を震わせる子供を見つけた。

 

 聞けばその子供は戦争で親を亡くし、教会に身を寄せて少ない身銭で生計を送っているとのこと。サンタクロースからの贈り物も知らなければ、バースデープレゼントを受け取ったこともない。人々の常識から逸脱したその子に対して、今だけ幻想的な存在であるセンはにこやかな笑みで渡していたのだ。グランに渡すはずであったマフラーを。

 

 いつまでもお礼を言いながらセンの姿を見送る子供には、まるでセンが本当のサンタクロースに見えたことだろう。

 

 すっぽりと抜け落ちていた記憶を思い起こして、センは頭を抱えて「にゃあ~!」と唸った。

 それを聞いて、ジータとパーシヴァルも同じように首を捻って唸る。

 

「うーん。センちゃんの善行はまあ良しとして、どうしようかな。プレゼント」

 

「即席で考えるとしても、あのグランだ。無欲な奴への贈り物ほど難しいものはない」

 

「うぅううう~! ど、どうしましょうどうしましょう~!」

 

 やってしまったと後悔しても先立たず。あるものがなければ渡すことはできない。悲観するセンを尻目に、ジータは少しの間思慮に耽る。グランが喜びそうなもの、それは彼の幼馴染たるジータが一番知っているのではないか。そんな期待を胸に潜めて視線を送っていた炎帝だったが――名案、というか妙案を思いついたようにジータはにやりと口角を上げた。

 その横顔を眺めてパーシヴァルが嫌そうな顔をする。「良い案かと思えば……ろくでもないことを思いついたな、この副団長は」と眉根をひそめて無言の抗議を送っていたが、そんな彼の視線を無視するかのように、彼女はどん、と自分の胸元を叩き、センに向けて自信満々に言い放った。

 

「ふふふ、センちゃん。今わたしにいい案が浮かび上がったよ。

 どう、ちょっと恥ずかしいかもだけど、実践してみる?」

 

 その言葉を聞いて、凹んでいたセンがバッ!と跳ねるように起き上がった。

 そして彼女の返事を待たずにセンは物凄い勢いで首肯を返す。

 

「や、やります!! こうなってしまったのもわたしが原因ですし――ちょ、ちょっと恥ずかしくても、耐えてみせます!」

 

 そう食い気味に力強く応えるセンにジータは不敵な笑みを返した。ある種、そこまでセンに想われているグランにほんのちょっとの嫉妬を覚える彼女だが、それはそれ、これはこれ。若干の遊び心を含ませながらも顔の綻びを隠そうとしないジータに、パーシヴァルだけが言いようのない不安を覚えるのだった。

 

 

「……ふぅ、今日は本当に冷えるな」

 

 厚手のコートについた雪を手で払いのけながら、グランが連日続く寒さにそうぼやく。哨戒の任務を終えた彼は事務的に引き継ぎを交代の団員と行い、グランサイファーの甲板部で身なりを整えていた。本来ならばこういった見張り任務も適材の団員(特にグランを慕っているジャミル等)に任せておけばよいのだが、それをしないのがこの団の規律であり平等を重んじる彼の考えでもある。

 

 とはいえ流石に危険な任に不適合な人員を配置するような無謀は行わず、ある程度の団員の要望を汲んだ上で規律は取り決められていた。不平不満が出ないように考えるのはこうも難しいことなのか、と最初の頃は愚痴を漏らす彼だったが、最近はそんな影も見られず板についた様子で団長としての風格を露にしていた。

 

 髪や服についた雪を払い、装備一式を外して武具倉庫に収納し、属性力が込められた厳重な鍵を用いて施錠する。部屋に備えている護身用の武器以外はこうやって管理するようにジータと取り決めていた。何せジョブによって武器を変更しなければいけないので、習得するジョブによってはどうしても武器の種類が増え、それに伴い管理体制がおざなりになってくる。

 

 多様に増え続ける武器を各々で煩雑に管理するよりかは、とジータから提案されたそれにはグランも概ね同意だった。中には全空に名立たる貴重な武器もあり、賊からの窃盗を防ぐための巡回警備はそれなりに重要視される。

 

 そんな哨戒を終えたグランだったが、本日はさしたる異常も見られず平和そのものであり、雪の到来に浮足立ってはしゃぎまわる子供たちを微笑ましげに遠くから見つめるだけの時間に終わった。

 

 それでも外気はグランの身体を芯から冷え切らせていて、早く温まろうと思いながらも駆け足で自室へと戻る。食堂で一服してから戻ることも考えたが、今は風邪をひく前に身体を温めるのが先決、といわんばかりに自室に備えられたシャワー室を目指していた。自室の前に立ち、鍵を取り出す――が、なぜか鍵は開いている。

 

 「?」と疑問を浮かばせながらグランは恐る恐る部屋のドアノブに手を掛け、ゆっくりと開けていく。合鍵を渡している人物は二人しかいないはずなので、恐らくそのどちらかが部屋にいるんだろうけど――と疑念を抱きつつ、部屋の中に入れば。

 

 そこにはやはりというかなんというか。その二人のうちの一人である少女――センの姿がそこにあった。今は彼のベッドの上に腰をかけ、ぱたぱたと待ち遠しそうに足を動かしている。そんな彼女がグランの存在に気付いたのは数秒もせずだった。ぱっと目が合い、グランは愁眉を開いてセンに笑顔を向ける。向け――ようとしたのだが。

 

「ただいま、セン。どうしたんだ、僕の部屋に入ってき、て――」

 

 言葉を続けようとしたグランが笑顔のまま硬直する。今日は彼女も朝から街に配るクリスマスプレゼントの準備に奔走し、ホーリーナイト・スペシャルマッチの時に見せたあのサンタ服でプレゼントを配りまわっていた。それを終えて一足先にグランサイファーに戻った彼女がこうして自室で出迎えてくれていたのだが――どうにもその様子が、いや、格好がおかしかった。

 

 グランが想像していたその恰好とは違い、彼女は、なんというか――クマだった。

 否、誤解なき表現で例えると、それはクマのコスチュームとでも言うのだろうか。

 娯楽地にあるようなずんぐりむっくりのぬいぐるみではなく、彼女のそれは等身に合わせたパーカースタイルで、普段とは違う少しお洒落に気を遣った格好だ。いつも装着していた大爪はモコモコとした熊手に変わっており、自分のエルーン耳はパーカーに隠れ、その代わりにふわふわと丸いクマの耳が揺れていた。

 

 もふもふした山吹色の全身は自己を主張するようにきらきらと照明に当たって光を見せ、セクシーというよりは小熊のような可愛らしさを表現している。そんな彼女は部屋に入ってきたグランを見るなり、両手をばっ!と構えて威嚇してきた。

 

「あ、グランさん、おかえりなさ――じゃなかった。

 

 ……え、えと、えと……が、がおー! わ、わたしはくまさんですー! こ、怖いんですよー! 強いんですよー!」

 

 さながらそれは、野生のクマが行う威嚇の真似だろうか。「がおー!」と、まるで迫力のない構えで彼の前に立ちふさがるが……そんな様子を見ながらグランは、目を大きくさせるだけで全く微動だにしていなかった。

 一切の反応がないノーリアクションっぷりに、勢いづいていたセンが一気に気圧され始める。

 一言でも言葉が出るのならともかく、彼はさっきから全くの無言無表情でじっとセンの姿を見つめているだけだ。驚きのあまり絶句しているグランの前に、センは羞恥のあまり顔を林檎色に染めながらも先程の強気な様子を一転させ、今度は弱弱しく、おずおず尋ねるように言ってくる。

 

「……た、食べちゃい、ますよー……?」

 

 しかし。それでもグランは目をぱちぱち瞬かせるだけで身じろぎ一つしていない。そんな無反応の彼の様子にとうとうセンも根負けしたか。「あうぅ……」と掲げていた両手をすっと下ろし、とぼとぼとグランに歩み寄ってくる。

 

 そうして何を思ったか、センは被っていたフードを外して、その場で佇んだままのグランにぎゅっと抱き着いた。隠れていたエルーンの耳をひょっこり出して、困ったようにそれを折りながらもセンは

 

「……にゃぁ」

 

 と、こちらに覗き込んでくる瞳にうっすらと涙を溜めたまま、上目遣いでそう鳴いた。

 いや、正確には泣きついた。先程までの威勢はどこにいったのか。クマが猫になった瞬間である。

 

 彼女からほのかに伝わる体温を感じて、ようやくグランも正気に戻ったのか、遠い忘却の彼方に飛び去った意識を取り戻して――同じくセンをぎゅっと抱きしめ返す。

 

「ううう……グランさん酷いです……冷たいです……身体もひんやりです……」

 

「……と、取り敢えず訳は後で聞くから。今はシャワー浴びてもいいかな? このままだとセンも風邪をひいちゃうしさ」

 

 そうグランは自分から離れてほしいと告げる。それを承諾したセンはそっと彼から離れると「にゃ~……」と両手で顔を隠しながら、グランのベッドに寝転んでしくしくと悲しみに明け暮れ始めた。そんな彼女に何と言葉をかけたらいいのか分からぬまま――グランは部屋に備えられていたシャワー室に入っていった。

 

 

 

 シャワー室から出た後も、センはグランの布団に寝転がったままでいた。それでも格好は元に戻したのか、先程のクマのパーカーではなくクリスマス仕様のサンタ服を着ていた。いつもの服は着ないんだな、と怪訝に思いながらも髪をタオルで拭いていくグラン。未だに落ち込んでいるセンの隣にすっと座り、こう言う。

 

「……それで、どうしてあんな恰好してたんだ? サプライズにしてはその、何ていうか……確かにびっくりはしたけれども」

 

 しどろもどろに言葉を交わす彼に対して、センがすくっと起き上がる。「ええっと……」と頬を指でぽりぽりと掻きながらもその視線はあさっての方向に向いている。何か言いにくいことなのかな、と怪訝な様子でセンを見るグランだったが、観念したように彼女はぽつぽつ語り始めた。

 

「えっと……実は、グランさんにもぷれぜんとを贈ろうと思いまして。でも、グランさんのほしいもの、急には何も分からなくて……だから、その、ジータさんに聞いたら『これを着て団長を驚かしてみて』って言われて……あ、あうぅ……やってみたはいいものの、やっぱりこれ、恥ずかしいですよぅ……!」

 

 そう言ってセンは恥ずかしそうに自分の顔を手で隠した。

 最初に用意していたものは子供にあげちゃったので、渡すものがない。

 それならせめてハロウィンのように面白おかしく驚かしてあげよう、というのがジータの提案だった。

 

 それを聞いてグランは大きく噴き出した。自分の幼馴染は相変わらず奇妙なことをやろうとする。

 

 けれど――確かに驚きはしたけれども、可愛らしいサプライズだ。身体を張ったセンの一芸に面白おかしく笑っていたら、顔を隠していたセンから「も、もう笑わないでくださいよぉ!」と抗議の声が上がった。

 

 しばらくの間、からかうようなグランの声とにゃあにゃあ恥ずかしがるセンの声が飛び交っていたのだが――そんな折で、彼女がふっと恥ずかしがるのを止めて、真面目な声色でこう尋ねてくる。

 

「……あの、グランさん。グランさんは、本当にこれで、良かったんですか? 

 グランさんに聞くのもなんですが、何かほしいものは、ありませんか……?」

 

 身体を起き上がらせたセンが、隣にいたグランにずいっと迫ってくる。その赤の瞳は未だに不安に揺れていて、本当にこれで大丈夫なのか。本当はもっと別なものがいいんじゃないか。そう視線で問いかけている。そんなセンの様子にグランは一瞬だけ思考を逡巡させると

 

「うーん? そうだなぁ……」

 

 少しだけ考えたような素振りを見せて、ふっと笑顔を見せる。「?」ときょとんとした顔でグランの微笑みを眺めていたセンだったが――

 

「ひゃっ!?」

 

「いや、何もいらないよ。センが居れば、それでいい」

 

 無垢な瞳をきらきらと瞬かせていた彼女を、グランはぎゅっと抱きしめた。唐突に抱擁が交わされたのでセンはあたふたと動揺を隠せずにいたが、彼越しに伝わる心音とぽかぽかした温かさがとても心地よくて、センもそれを拒否することなくすんなりと受け入れた。シャワーを浴びた後の爽やかな石鹸の匂いが彼女の鼻腔をくすぐる。彼の肩に顎を乗せて頬ずりをすると、グランもそれに応えるように自分の頬をこすりつけてきた。それが嬉しくて、センはえへへと幸せそうに笑った。

 

「……じゃあ、グランさんは、わたしがぷれぜんとでいいんですか?」

 

「ああ。十分すぎるくらいのプレゼントだよ。ありがとね」

 

 そう伝え、すっと彼女から身体を離す。触れ合っていた心音が届かなくなったことに少しの寂しさを覚えたが、それも一時のこと。よいしょ、と体勢を変えたグランは彼女の後ろに移動すると、そのまま包み込むように後ろからぎゅっと抱きしめた。聞こえなくなった鼓動が背中越しに再び届き始めて、センの心に安堵が満ちていく。グランの大きな腕に包まれながら、嫋やかな笑みを浮かべてセンが言葉を綴る。

 

「……ちょっと考えてみたら、グランさんって結構よくばりさんですね。

 だって、さたんくろーすさんを独占しちゃうんですよ。それ、ちょっとずるいです。

 そうしたらみなさんにぷれぜんと、渡せなくなっちゃいます」

 

「そう? ……ああ、確かにそうだな。センを独り占めしちゃうもんな」

 

 それでも全く嫌そうな素振りは見せず、センはくすくすと控えめな笑いを続ける。サンタ帽子から覗いている耳はちょっとだけ恥ずかしいのか先端が赤くなっていたけれど、これでも耐性はついた方だ。

 

 以前のセンなら耳全体が真っ赤になっていたこともあったので、色恋に対しての成長がはっきりと分かる。恥ずかしさで逃げ回ることなく、借りてきた猫のように大人しく抱かれる彼女は確かな親愛をグランに寄せていて、そう思ったからこそ――彼は唐突に、こんなことを言い始めた。

 

「そうだ。センは、僕のこと好き?」

 

「ふにゃっ!?」

 

 突如飛んできたストレートな質問に、センの身体がびくりと跳ね上がる。突然何を、と慌ててグランの方に振り返るも、当の本人はニコニコ笑いながら彼女の言葉を待っている。そんなこと言わなくても、と目で訴える彼女の想いは無視され、急かすように首元を撫でられて気持ちいい反面、失いつつあった恥ずかしさが再び胸の中にこみ上げてくる。

 

 そしてセンは小さく縮こまって俯くと、ぽつりと、独り言のようにこう呟いた。

 

「……す、すき、です……」

 

「……そっか。それならよかった」

 

 ありがとう。と小さくお礼を伝えて頭を撫でるグラン。それに対してセンが感情を爆発させるかのよう、涙目になってグランに訴えてきた。せっかく落ち着いてきたのに、と抗議を仄めかしながら。

 

「……あうぅうううううう! 改めて言葉にすると恥ずかしいです~! ぐ、グランさん、どうしてそんなこといまさら聞くんですかぁ~!」

 

 いざ言葉にすればあっという間に胸の奥から言いようのない感情がこみ上げてきて。

 もちろんそれは変な感情ではない、誰しもが抱く当たり前の想いではあるのだけれど。

 あの時に確かにお互いは想いを伝えあった。好き合っているのは間違いない。

 それなのに、何で今更そんなことを訊いてくるんだろう。

 

 疑問と羞恥を胸に抱いて訴えかけても、きっとグランは笑ってお茶を濁すのだろう――と、その時のセンは思っていたのだが

 

「……そうだね。どうしてだろうかな。時々、不安になるんだ」

 

 耳に届く予想外の返事は、いつもの彼とは違う不安げな声色に満ちていた。

 まるで何かを恐れているような、自分を面白おかしくからかってくるグランとは思えないような声が、センの抱いていた恥ずかしさを一時だけ忘れさせた。グランの抱きしめる力が、ほんの少しだけ強くなる。そこにあるセンの身体をもっと強く感じようと、もっと強く触れようとする想いが伝わってきた。

 

 囁く声が、影を落としていた彼の感情を露にさせていく。

 

「言葉にしなくても分かっていることなのに、センに触れて、センに想いを告げてもらって、初めて安心が出来る。我ながら面倒くさい奴だとは思ってるのにね……怖いんだ。この幸せが、この温もりが、いつか音を立てて崩れていくような……そんな気がして」

 

「……グラン、さん?」 

 

「僕たちは平和な世界で暮らしているわけじゃなくて、途方もないくらいの戦いの、冒険の最中でこうやって毎日を過ごしてる。こうやってセンと身体を触れ合って、お互いの気持ちを伝えあえてても、いつかどこかで切り裂かれて終わるかもしれない。

 

 ……それが怖いんだよ、凄く。きみを失いたくないし、死にたくない。そんな臆病な感情が、時折襲い掛かってくるんだ。あの時――ルリアと命のリンクを繋いだ時の夢を何度も見て、何度もうなされて……そんな悪夢を、現実の物にしたくないんだ」

 

 事実、何度も危険な目にはあった。命を失うまでの激戦を潜り抜けたことだってあった。

 戦いの果てに見た景色が希望でなく絶望に染まっていたこともあった。幸せになるはずだった人たちが物言わぬ骸と化し、これから歩むであろう未来が潰えてしまっていたのを――グランは何度も見てきた。

 

 そんな事実に直面するたびにグランの心情は黒い色を落としていき、今噛みしめている幸せも、いつかは急に終わってしまうんじゃないのかと――そんなどうしようもない事実に怯えてしまっていた。

 

 かつてはグランも、エルステ帝国の手によって一度は死に、そしてルリアから命を分けてもらって、こうして生き続けることができている。もし、グランとルリアを繋ぐリンクが何の前触れもなく切れてしまったら、繋がっていた糸が、突拍子もなく切れてしまったら――この幸せもうたかたのようにあっけなく終わってしまうだろう。

 

 大丈夫、と根拠のない虚勢を張ることはできても。

 心の奥底に抱く恐怖は、いつまでもしがみついて離れない。

 落ち着いているように見えてその実、グランもまだまだ少年であり、誰かを頼らねば無茶をしてしまうような若気がある。感受性豊かな年頃である故に、一度体験した「死」の恐怖は、ほかの誰よりも強く心に根付いてしまっている。

 

 大人ぶっているわけでもない優しい少年が求めているのは、まだ見ぬ世界への挑戦と――

 

 

「千に届く贈り物よりも、きみと生きていたい。

 

 僕の中には、これしかないんだ。それくらい……センのことが好きなんだ」

 

 

 どこにでもある、ありふれた幸せだけ。

 大好きな人と道を分かたれることなく、共に歩んでいきたい。

 ただそれだけの、シンプルな想いだけだった。

 

 抱きしめていた腕は少しだけ震えていて、それが寒さのせいではないとセンは知る。

 失う怖さを知っているから、そして目の前で大切な人たちが消えていく怖さを――星晶獣アーカーシャを通じて知ってしまったから。途方もなく深い心の闇が、人知れずグランの心を浸していた。

 

 そんな弱気に転じてしまっているグランに――抱きしめていた彼の腕をきゅ、っと握って、センは大きく息をついた。落胆ではないその呼吸は、今から語る言葉の整理をつけるためのものだ。

 やがて彼女はグランを勇気づけるわけでもなく、ただ、これだけぽつりと言った。

 

「グランさんって、思ったより寂しがり屋さんなんですね」

 

 行儀正しく背筋を伸ばしていた彼女が、彼に身体を預けてくる。ぽふ、とグランの首筋にセンのさらさらした髪が触れ、そして――優しい彼女の言葉が、グランの心に触れた。

 

「でも、よかったです。グランさんのそんな一面を知ることができて。……しってますか? グランさん、ほかの団員さんの中では『優しくて強くて真面目な団長』さんで広まっているんですよ。もちろんそれも事実ですけど……それだとグランさん、疲れちゃいますよね。いつも気を張って、本当は頼りたいのに、心の中を見せないようにして、ずっと苦しいのに笑顔で頑張り続けて……」

 

 それは団長であるが故に。誰しもから頼られる大きな存在でありたいとするグランの見栄でもあったが……そんな子供っぽい背伸びは既に彼女にはお見通しのようで。心に引っかかっていた蟠りを和らげてあげるようにセンは無邪気に笑った。そして、それに含めるように自分の想いをぽつぽつと語る。

 

「だから、そんなグランさんが、わたしに本音をぶつけてくれたこと……すごく、すっごく、嬉しいんです。わたしでも、あなたの役に立てるんだなって、心の内を明かせられる、そんな存在になってたんだな、って……」

 

 恋人になって。大切な人になって。

 変わらない日常が続いていた。時折こうやって二人で会って他愛もない話をしたり、子供のように触れ合ったりすることはあったけれど。悩んでいること、辛いことを交わして心の支えとなるような場面はなかった。前とさして変化のない、ありふれた日々が雲のように流れていくだけだった。

 

 だからグランがありのままの本音を語ったのを知って、センは心の底から嬉しかった。

 グランの力になってあげたいと思っていた心優しい少女は、ようやく隣に居て彼の抱いていた想いを知った。

 

 人は誰しもが心に深い影を覆っていて。それは団長であるグランも例外ではない。

 昼行燈で穏やかな性格の彼はいつも頼られる側だったから、本音を吐き出したい気持ちをぎゅっと抑え付けて、縋りたい気持ちを押し殺していた。

 

 きっとつらかったんだろう。苦しかったんだろう。

 心を、遠慮という形で犠牲にしてきたんだろう。

 

 だから――そんな彼を支えてあげることができるならば。

 一生懸命に頑張るグランの背中を支えてあげることができるならば。

 そんな不安も薄れていくはずだ。前を向いて、しっかり地面を踏んで歩いていけるはずだ。  

 

「だから、何かあったら、わたしに言ってください。ルリアちゃんと命のリンクが繋がっているように、グランさんのつらそうな顔を見ると、わたしもつらくなっちゃうんです。わたしは、わたし、は――」

 

 そう告げ、センは少しだけ身体を傾けて――グランの唇に自分のそれを重ねた。

 柔らかな唇が、グランの心に安らぎを与えていく。求めるわけでもないそれは弱気に移ろっていた彼の心音を落ち着かせて、正常に変えていく。少しの間だけ触れ合っていた唇をそっと離して、センは小さくほほ笑んだ。慈愛に満ちて落ち着いた声音が、グランの耳朶を優しく叩いていく。

 

「わたしは、あなたの恋人です。何も言わずにいなくなったりしませんし、死んじゃったりしません。――約束してください。グランさんも、無理しないで、そして――絶対に、死なないでください」

 

 彼女の健気な言葉はいつもまっすぐで、その度にグランを鼓舞して勇気づける。

 心の情景は悪意のない憧憬で暗く淀んだ世界を描いていたけれど、それもじきに、彼本来の明るさを取り戻していくだろう。センチメンタルに浸っていた冬色の物悲しさは、穏やかな日差しに似た彼女の素直な想いによって変わっていく。

 

 腕の震えは、いつの間にか止まっていた。

 そして、気が付けばグランは――力強い言葉で、センに答えを返していた。

 

「ああ、約束するよ。絶対に無理しないことと、死なないこと」

 

 まだ行ったことのない地へ、まだ見たことのない場所へ。

 そして父の待つイスタルシアに着くまでは――何が何でも、ここで終わらせるわけにはいかない。

 旅の終わりを迎えるには、まだ早すぎる。いくつもの困難が待ち受けているなら、仲間と――そしてセンと共に立ち向かえばいい。グランは一人ではない。ここは騎空団であり、家族のようなものなのだから。

 

「……不思議だなぁ。センと一緒にいたら、なんでもできそうな気がするんだ」

 

「ふふっ。それは、いいことだと思いますよ。わたしがグランさんのやる気になってるなら、嬉しいです」

 

 そう言葉を交わして、二人は少しの間無邪気に笑いあう。

 年端もいかない少年少女たちが置かれている現実は、時に冷たく非情に圧し掛かってくるけれど。

 それでも、そんな現実に立ち向かう力が確かにある。一人じゃ難しいことかもしれないけれど、きっと二人なら、そして背中を支えてくれる仲間たちがいるのなら――どんな壁だって乗り越えられるのだと、改めてグランは感慨深く知ることができた。

 

 先程まで沈んでいた気持ちが嘘のように、しばらくセンとじゃれついていたグランだったけれど

 

「そうだ。貰ってばかりじゃ悪いし、僕からも何か贈るよ。セン、何か欲しいものはある?」

 

 そう、ふっと思い出したように告げてきた。欲しいもの、と言われて少しの間答えを窮したセンだったが――ある結論に辿り着いて、彼女はふるふると首を振った。

 

「いいえ。大丈夫です。さたんくろーすさんは贈り物をしますが、貰うことはしません。だからわたしも、ほしいものはありません。それに……」

 

 抱きしめていたグランの腕を解いて、センがひょい、とベッドから降りる。そうしてうーんと大きく伸びをすると、くるりと振り返って満面の笑みでグランに抱き着いた。「わわっ!?」と大きく仰け反った彼にセンはどこ吹く風のよう、あおむけに倒れたグランにしっかりとしがみ付き――その胸に顔を埋め、彼から伝わってくる確かな命の鼓動(ありか)を聞きながら

 

 

「わたしの欲しかったものは、ここにありますから」

 

 

 幸せそうに、そう呟くのであった。

 

 

 

 静寂な空気の中、グランサイファーが純白の色彩に染まる。

 雪化粧に身を包んだその艇の中で、ありふれた言葉たちが空に溶けて昇っていく。

 

 

 彼らの結末は未来を見通す魔女にしか知り得ないものの。

 

 それでも今は静かに、深々と降り続く淡雪だけが――彼らを静かに見守っていた。

 

 

 

 

 千に届く贈り物よりも、きみと Fin

 

 

 

 

 

 

 

 




メリークリスマス!そしてセンちゃん初CDおめでとう!
先にこちらを投稿してしまいましたが、陽だまり色センチメンタルも鋭意修正中でございます。今しばらくお待ちくださいませ。


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