木場君はリアスに拾われなかった様です   作:最初の晩酌

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目覚め

何処かにある研究施設、そこで廃棄処分されそうになるも辛くも逃げ出したイザイヤは、雪の降る森の中を歩いていた。廃棄処分される際に巻かれた毒ガスが身体を蝕む。逃げ出したと言っても、無傷というわけではないのだ。

 

「ゴホッ!」

 

口から血を吐き、そのまま倒れ込んでしまう。積もった雪が、そして身体に降り注ぐ雪の両方が体温が奪っていく。毒も身体を蝕み、もう動けそうもない。

 

「みんな…ごめん…助けて貰ったのに…僕は生きれなかった…」

 

身体に力はもうはいらず、起き上がることもできない。眠る様にイザイヤはゆっくりと目を閉じ、もう二度と目覚め眠りについた…はずだった。

 

「ハッ!」

 

数日後イザイヤは目を覚ました。記憶に残っている森ではなく、何処かの一室の様だ。キョロキョロと辺りを見渡していると突然拍手の音が響く。取り付けられたドアが開き、男が入ってくる。

 

「お目覚めかな?イザイヤ君」

「貴方は…?」

「私は鴻上。鴻上ファウンデーションの社長をしている」

「ここに僕を連れてきたのは貴方ですか?」

「もちろんだとも!君はオリジナルであり、唯一だからね!」

「なにを言ってるんですか?」

「ふふ、君も薄々感づいているのではないかな?君は死んだ。これは間違いない。だがしかし!君は蘇ったのだ!オルフェノクとして!!」

「オル…フェノク…?」

「そう。人類の進化系、それがオルフェノク!イザイヤ君!自分の身体を見てみたまえ」

 

そう言われて、イザイヤは自分の手を見る。すると映ったのは、異形の灰色の腕。しかしそれも一瞬、すぐに人間の腕へと戻った。

 

「今のが…オルフェノク」

「そう!君はホースオルフェノクに覚醒し、そして蘇った。そんな君に私からプレゼントがある!」

 

そう言って鴻上はイザイヤに携帯電話の様なものと、ベルト、そして腕時計の様なものを渡す。

 

「これは?」

「4つの試作品の末、完成したファイズギアだ。その携帯電話がファイズフォン、ベルトはファイズドライバー、そしてその腕時計がファイズアクセルだ。君というオルフェノクの誕生の誕生日プレゼントだと思ってくれていい。ハッピーバースデー!」

「こんなのを僕にくれてもいいんですか?」

「もちろんだとも!先ほども言ったが、君は唯一のオルフェノクだからね。試作品も安全装置をつけた上で、いずれ君に渡すよ。さて、君は住む場所ないだろう?ここを好きに使って貰っていい」

「え?良いんですか?」

「ああ、それにファイズギアが本当に安全かどうかは実験できなくてね。君には悪いがそれの為の実験も兼ねている。月に何回か報告書を書いてくれれば良い。なに、バイトの様なものだ。ちゃんとバイト代も払う」

 

その後、イザイヤはファイズギア等について色々聞いた。結局、このバイトを受けることにした。その後、オルフェノクについても色々と聞いた。使徒転生と言われるうまくいけばオルフェノクを増やせる方法も。そして、話はイザイヤの持つ神器の話に移っていった。神器と言うのは人間が持つことのできる力の様なものらしい。イザイヤが持っているのは『魔剣創造(ソード・バース)』といいどんな剣でも創ることが出来るらしい。今はオルフェノクである彼だが、人間であることから持っていた為、今も問題なく使うことが出来るらしい。

 

「さて、そろそろ私はお暇するよ。これから頑張りたまえ。応援しているよ。イザイヤ君」

「ありがとうございました」

「ああ、またいつか」

 

鴻上が出ていった後、彼は新しい人生を満喫しようと考え、

 

「人じゃなくなってしまったけど、それでも僕は生きてるよ。みんな」

 

窓から空を見上げそう呟いた。


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