The beginning of "Z"ero 作:気まぐれな男
ハルケギニア、トリステイン王国魔法学院から少し離れた草原
爆音と共に土煙が舞い上がる。爆発だ。
その爆発はもう何度目になるのか分からない。しかしその爆発とは裏腹に、場を漂う雰囲気は一部を除いて気だるげであった。
「また爆発かよゼロのルイズ~」「もう諦めろよ!」
周りからはそんな声が聞こえてくる。しかも嘲笑という名のスマイルサービスつきでだ。
度重なる爆発を引き起こしているのは、桃色のブロンドの髪をもつ美少女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールである。
先程から進級をかけた試験である使い魔の召喚「サモン・サーヴァント」を行っていた。周りの生徒が次々と召喚に成功し、使い魔との契約である「コントラクト・サーヴァント」を終わらせ、残すは"ゼロ"のルイズと馬鹿にされているルイズのみであった。
「ミス・ヴァリエール、貴女の努力はよくわかりました。しかしもうそのへんにしては.....」
いかがですか?と言いかけたところで、ルイズから返事が来る。
「ミスタ・コルベール!もう一度!もう一度だけチャンスをください!絶対に成功して見せますから!」
コルベールと呼ばれた引率の教師はルイズの懇願を無視できなかった。何しろ彼女は座学のみであれば成績は常にトップである。それに普段の授業もとても熱心に取り組んでおり、魔法の才能を除けばかなりの優等生なのである。まず生徒の願いを無下に出来ないのが彼、コルベールの甘さであり、優しさであった。
「では、もう一度だけですよ。それ以上は次の授業に差し支えてしまいます。」
「わかりました!」
相変わらず周りからは嘲笑や野次が飛び交っていたがルイズはそれらを発する他の生徒を睨みつけてから、最後のチャンスであるサモン・サーヴァントの詠唱を始める。
「宇宙のどこかにいる我が僕よ!神聖で、強力な使い魔よ!私は心より求めるわ!どうか私の導きに答えて!」
えいっという可愛らしい掛け声と共に先程より大きな爆発が起こる。周囲はそれを失敗と受け取ったのか、ルイズに更なる野次を飛ばす。
「やっぱり失敗じゃねぇか!」「あ~あ、もうダメだろ、帰ろうぜ。」
そう言って、背中を向け帰ろうとした彼らにルイズの歓喜の声が聞こえてきた。
「!何かいるわ!きっと成功したのよ!」
土煙のなかに確かに影が見えた。それはあまり大きくないため、ルイズはドラゴンやグリフォンなどの可能性は捨てた。しかしながら、彼女はそういったものを呼び出せず残念に思う気持ちよりも、最後の最後にサモン・サーヴァントが成功したことに対する喜びの方が大きかった。
「さて、私の使い魔はどんな奴なのかしら?」
ルイズは恐る恐る収まってきた土煙の中の影を確認した。
そこにいたのは、もちろんドラゴンやグリフォンなんかでも、ましてや犬や猫でもなく、
人であった。
「えっ.....何よ...これ....。」
この使い魔の召喚において召喚されるものといったら、大抵は人以外の動物である。
ルイズはその中でイレギュラーであるくじを引いてしまった。
しかも証といえるマントをしてないのだから魔法をつかうメイジでもない。
「ルイズが平民を召喚したぞ!」「よっ!流石ゼロのルイズ!」
周りからは召喚に成功したルイズに対する賞賛ではなく、平民を召喚したゼロに対する嘲りが送られた。
周りがガヤガヤと騒がしくしていたら、その召喚されたという平民が目を覚ました。そばにいたルイズとコルベールは慌てて声をかける。
「ちょっとアンタ!大丈夫!」
「だ、大丈夫ですか!?」
声を掛けられた平民ことA2は周りの状況に混乱していた。
何故生きている?私は死んだはずだ。あの神の塔の崩壊に巻き込まれたはずだ。なのに何故?あの鏡.....だろうかと考えを巡らせていると、
「ちょっとアンタ!平民の癖に貴族を無視してんの!?」
「やめなさい、ミス・ヴァリエール。」
生意気な子どもがこちらに顔を少し赤くしながら大きな声を出してきたが、それを禿げた頭の男が止める。
「ミス、大丈夫ですか?」
「.....あぁ、大丈夫だ。」
それを聞いた男は安心したように次の言葉を発する。
「私はコルベール、ここトリステイン魔法学院にて教師を勤めております。」
さぁ、ミス・ヴァリエールも、とコルベールと名乗った男が生意気な子どもに自己紹介を促す。
「.....私はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。あんたのご主人様よ!」
そう言ってのけたルイズとかいうやつはフフンと何故か勝ち誇ったようにない胸を張っていた。
確かに疑問は多くあった。ここはどこなのか。トリステインなどという地名など聞いたこともないし、そもそも、何故人類が存在しているのか、ここは異世界だとでもいうのだろうか。
そんな事の前にA2から出た言葉は、
「......は?」
というまったくもって腑抜けた言葉だった。
キャラ崩壊が心配......。