遠い道のりだった…
無理矢理8話を終わらせた
翌日早朝、ウィッチたちはブリーフィングルームに集められていた。
ミーナ「連合軍司令部によると明日にはロマーニャ地域の戦力強化のため戦艦大和を旗艦とした扶桑艦隊が到着する予定です。」
坂本「いよいよ到着するか」
宮藤「え?大和?」
明日、ターラントに扶桑海軍の第二次派遣部隊が到着する予定をミーナは伝えた。
すると宮藤は大和という単語に反応した。
リーネ「芳佳ちゃん知ってるの?」
ニコ「対艦攻撃が多かったから結構各国艦艇を知ってるけど大和なんて聞いたことないな」
だがリーネや対艦攻撃が任務で多く、実際に輸送船の撃沈で柏葉付騎士鉄十字賞を受勲したニコには聞き覚えがなかった。
宮藤「うん、扶桑の港で見たことあるんだ。
ものすごく大きいんだよ」
リーネ「へぇー」
宮藤が大和について説明する。
大和は史実では史上最大の戦艦であり排水量6万4000トン、全長263メートル、主砲は46センチ三連装砲三基9門、副砲に15.5センチ三連装砲を装備する史上最大の戦艦である。
そのサイズは横に並んだ戦艦が重巡クラスと間違えられるほどであった。
またこれ程の巨艦でありながら最高速力は27ノットでこれは日本海軍の歴代の戦艦の中では巡洋戦艦として竣工した金剛級に次ぐ速力であり旋回性が非常に高いなど見かけによらず小回りの利く艦でもあった。
続いてハインツが関連して来ていた要請について話した。
ハインツ「で、同時に我々に同日到着予定のリベリオン海軍第65任務部隊から上空直掩の要請が来ている。
その援護のために数人ウィッチを出す。
俺とミラーとニコと宮藤でいいな?」
ミラー「いいですよ」
ニコ「ええ、洋上飛行には慣れてます」
宮藤「了解!」
ハインツがキッド艦隊の支援のためミラーとニコと宮藤を向かわせることにした。
だがそれにミーナと坂本が懸念を示す。
ミーナ「ハインツさん、大丈夫なの?」
坂本「宮藤はどうなんだ?」
二人は前日の夜に原因が分かったため一応トラブルは解決していることを知らなかった。
ハインツ「一応解決はしましたよ。
それにこの中じゃ艦隊を援護できるほど足が長いユニットは俺達のMe410、ニコのJu88、シャーリーのP‐51、それに宮藤の零式だけじゃないですか」
ハインツがこの4人を選んだのは足の長さであった。
大型ユニットに属するMe410とJu88、それに航続距離の長い零式ならばターラントを基地にして十分上空直掩が可能だった。
4人はすぐに501を出発、一路ターラントを目指して南に向かった。
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501を出発して1時間後、イオニア海のターラント湾の入り口付近では第65任務部隊が航行中だった。
すでに第65任務部隊は元々の戦艦アリゾナ、重巡インディアナポリス、軽巡ジュノーに駆逐艦8隻とロマーニャ海軍のガッビアーノ級コルベットガッツェーラとマランゴーネ、アニモソ級水雷艇アルディート、チクローネの護衛を受けていたがさらにイオニア海に入るとターラント艦隊のアルフレド・オリアーニ級駆逐艦ジョスエ・カルドゥッチ、ヴィットリオ・アルフィーエリ、カルロ・ミラベロ級駆逐艦カルロ・ミラベロ、マエストラーレ級駆逐艦リベッチオ、シロッコ、水雷艇オーダチェ、スピカ級水雷艇チーニョ、ルポ、ペルセオ、アンターレス、ガッビアーノ級コルベットエゲリア、メルポメネの護衛の追加を受けていた。
その上空をハインツたちが飛んでいた。
ニコ「しかし、とんでもない大艦隊ですね…」
ハインツ「ああ、ただの艦隊にこんなたいそうな護衛をつけるか?普通」
ニコとハインツは艦隊を見下ろしながら言う。
艦隊は戦艦1、重巡1、軽巡1、駆逐艦13、水雷艇10、コルベット4隻の大艦隊になっていた。
普通の艦隊にこれ程の護衛を普通はつけるとは思えなかった。
何せ規模だけなら彼らの20カイリ南を航行中の扶桑艦隊のほうが大きいはずだ。
ミラー「何か重要な物でも運んでるんですかね?」
ハインツ「さあ?そういう話は俺達の与り知らぬところの話だ」
ハインツにはこの艦隊が何を運んでいるかなど興味はなかった。
すると突然、無線が響いた。
『こちら扶桑海軍遣欧艦隊旗艦大和、501応答願います』
ハインツ「ん?こちら501分遣隊。
何かあったのか?」
突然大和から無線が来た。
通信兵『大和で事故発生、医務室で爆発。
負傷者多数至急救援を求む!』
それは大和で事故が発生したという連絡だった。
ハインツ「医務室で事故?やぶ医者でも乗せてたのか?
まあいい、とりあえずニコと宮藤は大和に迎え。
ここからなら20カイリ南だ」
「「了解!」」
ハインツは医務室での事故に呆れるがすぐに宮藤とニコを向かわせた。
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ほぼ同時刻、マルタ島沖20キロの洋上を一隻の潜水艦が航行していた。
「艦長、見えました!マルタ島、グランドハーバーです!」
「見えたか!」
それはロマーニャ海軍のアドゥア級潜水艦シィレーだった。
シィレーはターラント艦隊所属の潜水艦でその性能からフロッグマン部隊やマイアーレ部隊の母艦として積極的に使用されていたがこの日はトリポリからターラントに向かっている最中にマルタ島に最も近いロマーニャ海軍艦艇としてマルタ島への偵察を命じられ急遽進路を変更、マルタ島のグランドハーバーに向かっていた。
艦長のブルーノ・ゼリク少佐は部下からの報告を受け双眼鏡を覗き20キロ先のマルタ島を視認する。
するとそこには信じられないものがあった。
ゼリク「嘘だろ…ネウロイだ!グランドハーバーにネウロイだ!」
グランドハーバーにネウロイがいた。
それに全乗員が張り詰める、すると上空警戒をしていた見張りが報告した。
見張り「11時方向!ネウロイ接近!」
ゼリク「何!急速潜航!100まで急げ!」
ゼリクは即座に急速潜航を指示、深度100mまで急速潜航した。
副長「まさかネウロイがマルタに…」
ゼリク「ああ、司令部に打電、マルタにネウロイあり。
早急なる対処を求む、地中海の制海権を失う可能性大」
ゼリクの報告はシィレーが一旦浮上後ローマに向け打電された。
だがこの時シィレーがニアミスしたネウロイは数百キロ離れた扶桑艦隊に向かっていた。
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大和に向かったニコと宮藤は大和につくと医務室に急行した。
宮藤「あ…」
ニコ「酷いな…」
その惨状に二人とも驚いていた。
彼らは軽症患者はその場で手当て、重傷者は僚艦に移送されていると踏んでいたがそれでも非常に多かった。
すると二人に気が付いた水兵が声をかける。
水兵「宮藤さんとハルトマン=ファルケンホルスト大尉ですか?」
宮藤「はい!」
すると水兵は重症患者を見せた。
水兵「一番の重篤患者です、ここの設備ではこれ以上は手の施しようがなくて…」
ニコ「酷い…他の艦に運べますか?」
水兵「無理です、もうすでに運べるだけ運びました。
ここにいるのは他の艦に運べなかった者だけです」
ここにいたのは僚艦に運べないほど重篤な患者ばかりだった。
宮藤「分かりました」
すると宮藤は治癒魔法を使い治療し始めた。
ニコ「凄い、出血が止まった…」
ニコが驚いていると治療を終えた宮藤がニコに指示した。
宮藤「よし、ニコさん、包帯を」
ニコ「了解」
本来なら階級が逆だがこの場では無視された。
そしてその後も次々と二人は患者の手当てをし10人以上治療した。
そしてふと周りを見ると患者が一人もおらずニコが聞いた。
ニコ「これで最後ですか?」
水兵「はい、これで最後です」
ニコ「そうですか、ふう、終わった終わった…」
最後と聞くとニコは立ち上がって伸びをするとポッケからショカコーラの缶を出して一切れ取り出すと宮藤にも缶を渡す。
ニコ「はい、疲れてるだろうから。
疲れた時には甘いものが効きますよ」
宮藤「ありがとうございます。」
宮藤はショカコーラの缶を受け取ると一切れ口に放り込んだ。
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そのころ第65任務部隊では突如シラクーザのレーダー基地から緊急連絡を受けていた。
キッド「何!?マルタからネウロイ!?
大型が一基こちらに向かっているだと!?」
キッドは受け取った無線を通信士に問い合わせていた。
すると後ろからアリゾナの副長が別の無電を持ってきた。
副長「提督、大変です。
マルタのグランドハーバーがネウロイに占拠されました」
ヴァルケンバーグ「なんだと!」
キッド「それか!全艦総員戦闘配置!対空戦闘用意!
ロマーニャの上空直掩を要請!全艦最大戦速!」
キッドはローマからもたらされた情報に合点がいった。
マルタから来たネウロイがこちらに向かっているのだ。
それに艦橋は慌ただしくなる。
キッド「ネウロイの予想進路と会敵予想時刻は?」
参謀「どうもネウロイは艦隊の南、20カイリから30カイリのあたりを一時間後に通過する可能性が高いです」
キッドが予想時刻を聞くとネウロイは一時間後に艦隊の南20カイリから30カイリを通過する可能性が高かった。
だが
キッド「その位置は扶桑艦隊の位置じゃないか!
すぐに警告を出せ!タフィ2を分離して援護に向かわせろ!
上空直掩のウィッチもだ!」
その位置は扶桑艦隊であった。
キッドは扶桑艦隊への警告と第65任務部隊第2群通称タフィ2を分遣することにした。
タフィ2は軽巡ジュノーを旗艦とする駆逐艦ドレクスラー、クーパー、マナート・L・エーベル、メレディスの4隻のアレン・M・サムナー級駆逐艦で編成されていた。
タフィ2は基本的に第65任務部隊の臨時編成的要素の強い部隊であるため指揮官にはジュノー艦長ライマン・K・スウェンドン大佐が充てられていた。
キッドの命令を受けてジュノーと駆逐艦4隻は回頭、一路南下して扶桑艦隊の救援に向かった。
さらにキッドは上空直掩のハインツとミラーもネウロイに差し向けた。
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第65任務部隊からの警告は即座に扶桑艦隊に届いた。
通信兵「報告、第65任務部隊より大型ネウロイが接近中とのことです」
杉田「バカな、ここは安全圏のはずだぞ」
イオニア海、特にレッジョカラブリアの東のターラント湾は比較的安全なはずの海域であるのに大型ネウロイが接近しているという連絡を受け大和艦長の杉田は驚く。
通信兵「マルタから来たとのことです」
杉田「マルタだと!」
更にネウロイが来たのが地中海のチョークポイント、マルタと聞いてさらに驚いた。
副長「艦長」
杉田「く、全艦戦闘準備、急げ!」
杉田はすぐに戦闘配置を命じた。
すぐに全艦の艦内にサイレンが響き渡る。
それは医務室で休憩中だったニコと宮藤にも聞こえた。
ニコ「ネウロイ?」
宮藤「行きましょう、ニコさん」
ニコ「急ごう」
サイレンを聞いた宮藤とニコは急いで格納庫に向かいユニットを履くとエンジンを回し始めた。
だが宮藤のユニットがエンジンを回した直後、爆発した。
宮藤「え?」
ニコ「何が…とりあえず脱いで!ユニットの中を開けて!
まだ時間はある!」
すぐにニコはユニットを脱ぐとストライカーユニットのエンジン部分を開けるように宮藤に言う。
宮藤は言われた通り脱ぎニコは近くに遭った工具箱からドライバーを取り出してエンジン部分のカバーを取り外し中を確認する。
ニコ「酷い、中で燃料が漏れてるぞ…燃料系のどこかに漏れが…
あった!強制停止弁付近で燃料パイプが破断してる!
宮藤さんが過剰に魔力を流し続けてたから金属疲労が早まったんだ…」
宮藤のユニットが止まったのは強制停止弁付近で燃料パイプが破断、そこから魔力が漏れエンジンに燃料がかぶりそこで爆発してしまったのだ。
ニコ「ここで修理は無理だ!エンジンを丸ごと交換しないと…」
宮藤「そんな…」
その損傷の酷さはエンジンを丸ごと交換しないとダメなほどだった。
それに宮藤は落胆する。
ニコ「シャイセ、代わりのユニットは…」
ニコは周りを見渡して代わりのユニットを探すが周りにあるのは水上機とその整備道具程度だった。
ニコ「ないか…どうすれば…」
ここでニコは昨日ハインツが言っていたことを思い出した。
ニコ「そうだ!震電だ!
宮藤さん!この艦の積荷に震電があったはず、それを探して!」
宮藤「震電?」
宮藤はニコの言う震電が分からず首をかしげる。
ニコはハインツが昨日、「大和に震電という扶桑の試作ユニットが積まれている」と言っていたことを思い出したのだ。
ニコ「この艦に積まれて輸送中のはずの試作局地戦闘脚だ!
この艦のどこかに積まれてるはず、それを探して!」
宮藤「分かりました」
すぐに二人は格納庫を隅々まで探す。
だがそのようなものは影も形もなかった。
宮藤「ニコさん、本当に積まれてるんですか?」
ニコ「ヴァレンシュタイン少佐の話では積まれてるはずなんだ。
どこかに…」
するとニコは格納庫の床のあることに気が付いた。
ニコ「宮藤さん、あれもしかしてエレベーター?」
宮藤「え?」
ユニットの発進台のそばに発進台が一つ入るサイズのエレベーターの蓋らしきものがあった。
すぐにニコは周りを見回し、エレベーターのスイッチらしきものを見つけ動かす。
するとその蓋が開き中からユニットが出てきた。
宮藤「もしかして…」
ニコ「これだ!これが多分震電だ!
宮藤さん、ぶっつけ本番だけど急ごう!もうネウロイはそこまで来てるはずだ!」
そういってニコは自分のユニットに走る、宮藤も急いで震電を履き自分の九九式を手に取る。
そして二人は無理やり離艦しようとする。
その様子は艦橋から見ていた杉田達にも見えた。
副長「あ、あの機体は試作型の…」
杉田「宮藤さん、危険だ!その機体は試験飛行も済んでない!」
だがそれでも二人は無理矢理にでも飛ぶつもりだった。
宮藤「ニコさん、大丈夫なんですか?」
ニコ「何かあったらヴァレンシュタイン少佐がどうにかしてくれます。
早く行きましょう、時間がない」
二人は杉田の注意を無視すると無理矢理発艦した。
発艦すると宮藤は鈍重なJu88を履いたニコを置いて先に行ってしまった。
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ハインツ「お、来たか宮藤」
ミラー「あれ?そのユニット…」
宮藤はニコを置いて先に上空に来たハインツ達と合流した。
そしてミラーは宮藤が見慣れないユニットを履いていることに気がついた。
宮藤「えっと、震電っていうユニットらしいです。
ユニットが壊れたので大和にあるのをもって来ちゃいました」
ハインツ「ハハ、港に着いてから書類を弄ろうと思ってたのに船の上から強奪とは…」
ハインツは宮藤の話を聞いて苦笑いする。
するとやっとこさ追いついたニコもやってきた。
ニコ「ふぅ、やっと追いつきました…
速いですよ…全然追いつけませんでしたよ…」
ニコは宮藤のあまりの速さを愚痴る。
その速さは相当なものでありニコは加速を使ってもなお追いつく事は出来なかった。
ハインツ「ふーん。まあいい。
とりあえずそろそろ頃合いだな。」
ハインツは時計を確認すると双眼鏡を覗いて周囲を捜索する。
そしてすぐに南西方向から来るのを確認した。
ハインツ「ネウロイは…いたぞ!
相当デカイ、爆弾みたいな形をしてる、戦闘用意」
ハインツは確認するとすぐに戦闘用意を指示した。
その命令のにミラーは即座にBK-5を構え宮藤とニコも武器を構える。
ハインツ「報告通り大型だな、ミラー射撃用意。
700を切ったら撃て」
ミラー「了解!」
ハインツの指示にミラーは返事をする。
ハインツ「ニコ、宮藤、ネウロイを拘束しろ」
「「了解!」」
ニコと宮藤にはネウロイの拘束を命令した。
その命令を受けるとニコと宮藤は先陣を切ってネウロイに向け突撃する。
ニコ「僕が上!君が下、いいね?」
宮藤「了解!」
ニコは飛びながら宮藤に指示する。
ニコ「よし、そろそろくるぞ、3、2、1、今、ブレイク!」
ニコは固有魔法を使いネウロイの攻撃を回避する。
回避するとニコは上に、宮藤は下に回り込むと攻撃を開始した。
ニコ「よし、これでどうだ!」
ハインツ「距離650!撃て!」
ハインツはネウロイの注意がニコと宮藤に向いた隙にミラーに発砲を命じる。
ミラーの砲撃は吸い込まれるようにネウロイを直撃し、貫通する。
ハインツ「良いぞ、連続射撃五発!」
続いてミラーはネウロイに向け連射、そして一発がコアの命中しネウロイを撃破した。
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その日の夜、ミーナと坂本、そしてハインツは格納庫の置かれた震電を見ていた。
ミーナ「これが扶桑の新型機?」
ハインツ「らしい、えっと、J7W1震電って奴だ」
坂本「一時は開発が頓挫したと聞いたが宮藤博士からの手紙によって完成したそうだ」
震電は開発が難しく一時開発が頓挫しかける事態となったが突然来た宮藤博士、即ち宮藤の父親からの手紙によって完成した。
ミーナ「博士の?
まるで宮藤さんの専用機みたいな話ね。
でも…」
ミーナは横のハインツを見る。
ハインツは気まずそうに目をそらす。
それを見てミーナは溜息をつく。
ミーナ「はぁ、まさか強奪するとはね…
とりあえずネウロイを撃破できたから良かったものを…」
ハインツ「上から文句が来たのか?」
ミーナ「形式的なのがね、まあ元々色々テストをしてからうちに送る予定だったから問題は無かったそうよ」
ハインツ「そ、んじゃあ俺はそろそろ寝る。
おやす…」
ハインツは寝ようと部屋に戻ろうとするとミーナが首根っこを掴んだ。
ミーナ「ハインツさん?言っとくけど震電の配備と強奪に関する書類は全部あなたに押し付けるつもりよ。
逃げないで仕事しなさい?
大丈夫よ、私が監視しておくからね?」
逃げようとするハインツをミーナが捕まえものすごい黒いオーラを出しながら伝える。
その恐怖にハインツは振り返ることもできずただ蛇に睨まれた蛙のように固まるだけだった。
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ほぼ同時刻、ターラントの港の一角には物々しい警備が敷かれていた。
憲兵、カラビニエリ、海兵部隊など合計数百人が守るその一角には「トップシークレット」や「許可のある者以外の開封を禁ずる」、「DO NOT OPEN」などと書かれた巨大な箱が次々と停泊中のインディアナポリスから降ろされていた。
そしてその中をアイケとバルボが護衛を連れて歩いていた。
一行はその大量の箱の中の中でももっと大きい箱の前で止まった。
アイケ「これか…中身を見せてくれ」
アイケは中身を見せるよう指示する。
すると木箱の蓋の上が丁寧に外され中から巨大な丸い球体、心なしか昼間扶桑艦隊を襲ったネウロイに似たものが覗いた。
アイケ「これが…これこそが…」
バルボ「戦争を変える兵器、人類の生み出した神の火…」
その箱の中にあったもの、それは史実において1945年8月9日日本時間午前11時2分、九州地方長崎県長崎市の上空高度503m+−10mで炸裂したプルトニウム型原子爆弾MarkⅢ、通称ファットマン。
人類史上最も恐るべき兵器の最も最初の子供であった。
これこそが彼らの切り札であった。
(解説)
・ブルーノ・ゼリク
史実イタリア海軍アドゥア級潜水艦シィレー艦長。
42年のハイファ攻撃でイギリス海軍に捕捉され撃沈されシィレーごと飛ばされる。
潜水艦シィレーはRSIでデチマ・マス海兵師団を指揮し戦後はネオファシストの重鎮としてイタリアで暗躍、ロッジP2事件にも関わったと言われた黒い侯爵ことユニオ・ヴァレリオ・ボルケーゼ候の乗艦、そしてデチマ・マス部隊、ガンマ部隊の母艦としてジブラルタル襲撃、アレクサンドリア襲撃で名を挙げた武運の誉れ高き武勲艦でハイファで撃沈されたのもガンマ部隊によるハイファ攻撃作戦中だった。
イタリアは潜水艦大国で日本海軍よりも大活躍してる。
・ライマン・K・スウェンドン
史実米海軍軽巡洋艦ジュノー艦長。
42年の第三次ソロモン海戦でジュノーが撃沈された際に戦死して飛ばされる。
ジュノーの乗員で生き残ったのは最終的に10人程度(ジュノーの全乗員は合計623名)で犠牲者の中にはサリヴァン家の5人兄弟も含まれていた。
一応予定ではシィレー以外にあとレオナルド・ダ・ヴィンチ(イタリア海軍の撃沈スコア一位)も出ます。
出てきたイタリア艦はすべて実在してますし結構有名な艦も多いです。
チーニョはチーニョ船団の戦いで有名だしルポはクレタ島の戦いで船団護衛中にイギリス艦隊に遭遇、優勢な艦隊相手に勇戦しましたし。