WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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ニコの過去回。
超絶マイナー部隊を渡り歩いた爆撃機乗りで駆逐機乗り、夜間戦闘機パイロットの戦いとは

一応この話にはOVA・劇場版編に出てくるキャラの要素が出てきます。


第27話:天才パイロットの過去

 その日の夜、マルセイユは部屋で本を読んでいたニコに話しかけた。

 

ハンナ「ニコ、昼は完敗だった」

 

ニコ「そちらこそ、手強かったですよ」

 

 互いに昼間の健闘を讃えあっていた。

 それにベッド寝転がるハルトマンは呟く。

 

ハルトマン「なんで二人とも仲いいんだよ…」

 

ニコ「まあ、仲良くするのはいい事じゃないですか」

 

 ハルトマンの愚痴にニコが笑顔で返す。

 府とマルセイユはここであることを聞いた。

 

ハンナ「ところでニコ、そのテクニックどこで手に入れた?

    お前がただのウィッチ、それも実戦経験が数か月ではないってことだけは分かるぞ」

 

 それにニコは一瞬驚くがすぐに返した。

 

ニコ「まあ、普通じゃないところから」

 

ハルトマン「異世界だもんねぇ…あ」

 

 ハルトマンが口を滑らした。

 それにマルセイユは反応しニコとハルトマンを問い詰める。

 

ハンナ「異世界?どういう意味だニコ、ハルトマン」

 

ニコ「はぁ、その言葉の通りですよ。

   ウィッチもいなけりゃネウロイもいない、人間同士でドンパチする世界ですよ」

 

 ニコは正直に話した。

 するとマルセイユはにやりと笑うとニコに言う。

 

ハンナ「なら教えてもらえるか?その異世界とやらを。

    酒のあてぐらいにはなるだろ?」

 

 マルセイユはいつの間にか酒の瓶を取り出していた。

 

ニコ「ええ、いいですけど、気持ちのいい話ではないですし多分相当ショッキングですよ。」

 

ハンナ「別に構わない」

 

 ニコはマルセイユに再度聞き直すがマルセイユは構わないといった。

 それにニコはため息をついてベッドに寝転がると話し始めた。

 

ニコ「本当にいいんだね、じゃあ話すよ。

   僕が生まれたのはドイツ、こちらで言うところのカールスラントの当時はヴェルテンベルク王国と呼ばれたヴェルテンヴェルク=ホーエンツォレルン大管区のタウバービショフスハイム、とはいってもその街の郊外の田舎町で1915年の10月16日に生まれた。

   父親は町の名士でそれなりに裕福だった。」

 

 ニコが生まれたのは当時ヴェルテンベルク王国だった現在のバーデン=ヴェルテンベルク州マイン=タウバー群タウバービショフスハイムに生まれた。

 あまり知られていないがドイツ第二帝国はプロイセン王国による中央集権国家ではなかった。

 実態はプロイセン王国を長とする大小様々な王国・公国・領邦・自由ハンザ都市などを含んだ連邦国家であった。

 その中の一つであるヴェルテンベルク王国は第一次世界大戦後崩壊、ヴァイマル共和制ではヴェルテンベルク自由国民国となりその後ナチス政権下で近隣のホーエンツォレルン県と合併しヴェルテンベルク=ホーエンツォレルン大管区となった後、戦後アメリカとフランスに占領、ヴュルテンベルク=バーデン州、ヴュルテンベルク=ホーエンツォレルン州、バーデン州に分割後西ドイツの成立時に統一されバーデン=ヴェルテンベルク州となった。

 

 タウバービショフスハイムはその中のマイン=タウバー群にある街でこの地域の中枢都市の一つで古くは836年の記録に名前が載っている歴史ある街だった。

 

ニコ「一応僕は5人兄妹の長男で下には4人の妹がいるんだ。

   全員優しくて最高の妹達だよ」

 

ハルトマン「へえ、初めて聞いた」

 

ニコ「まあね、お陰でこんな風に女の子に囲まれた生活ってのには慣れてるんだ。

   君達とどう接すればいいかもなんとなく分かるよ。」

 

 ニコは5人兄妹の長男坊であったため女性との生活には慣れていたが問題は彼の女性経験が妹だけであった上にシスコンであった。

 この話を聞いてハルトマンはサーニャからの恋愛相談に合点がいった。

 

ハルトマン「ふーん、だからサーニャンのアタックに気がつかないんだ」

 

ニコ「サーニャさんがどうかしましたか?」

 

ハルトマン「なんでもないよー」

 

 ハルトマンの呟きにニコは全く理解していなかった。

 それに一瞬気をとられるがすぐにニコはまた話し始めた。

 

ニコ「そう、で僕が子供の頃の憧れといえば世界大戦を戦ったエースパイロット達、そして世界中で冒険に挑んでいた飛行家たちだった。

   僕もそれに憧れてた。丁度その頃父親が地元にグライダークラブを開いてね、僕もそこで飛行を学んだよ。」

 

 ニコが子供の頃の1920年代、子供達の憧れとなったのは当時全盛期を迎えていた冒険飛行時代の冒険飛行家、そして第一次世界大戦のエース達だった。

 ニコもまた彼らに憧れた一人であり丁度時を同じくしてニコの父親が街でグライダークラブを始めニコもそれに参加していた。

 グライダー飛行というのは飛行機の基本を学ぶ上で重要であり多くのパイロットはまずグライダーで飛行の感覚を掴むことが多かった。

 

ニコ「で、そんな事をしながらギムナジウムから飛行学校を経て幸運にも僕は1937年にドイツ・ルフトハンザ航空に入ることが出来た。

   初めはJu52を飛ばしてたけど翌年からはFw200の航空機関士になって長距離路線を飛んでたよ。」

 

 ニコは幸運な事に飛行学校で正式な飛行を学ぶと今でもドイツを代表する航空会社であるルフトハンザ航空に入社してJu52、そしてドイツ最大の陸上旅客機だったフォッケウルフFw200コンドルを飛ばし始めた。

 Ju52はユンカース社が開発した旅客機であり輸送機、爆撃機だった。

 戦前はルフトハンザをはじめとする各国の航空会社でも使用されスペイン内戦ではゲルニカも爆撃した機だった。

 だがその設計は極めて旧式で全金属製だが外側は波型外板、構造も金属モノコックではなく鋼管フレームに外板を貼った固定脚機で性能や設計で比較すれば明らかにDC-3やSM75、それどころかエアスピードエンボイや日本のAT-2にさえ劣る機だったが終戦まで活躍した。

 そしてFw200はフォッケウルフ社がDC-3に対抗して作った機であった。

 その性能は1938年にベルリン〜ニューヨーク間を無着陸で飛行した長距離性能を誇っていた。

 戦中はドイツ軍に徴用、さらに長距離哨戒機として改設計され大西洋ではUボートを呼び寄せる大西洋の疫病神と恐れられた。

 ニコはそんな機を乗り継いで第二次世界大戦を迎えた。

 

ニコ「そして1939年の9月に戦争が始まった。

   その時は僕は丁度ベルリンにいて暫くして空軍がパイロットの募集をかけたからすぐに応募、空軍に入った。

   それから一年ほどJu88のパイロットの訓練を受けて1940年の7月に第1教導航空団に配属された。

   そしてすぐにイギリス、こちらで言うところのブリタニアへの空襲が開始され出撃した」

 

ハンナ「空襲?」

 

 するとハンナが空襲という単語に反応した。

 ニコが参加したバトルオブブリテンは当時史上最大の航空戦でありイギリス史上最大の危機であった。

 もしも王立空軍がドイツ空軍に負ければ、次の戦いは英本土。

 英本土を守る最後の戦いがバトルオブブリテン(BOB)だった。

 

ニコ「ああ、当時乗っていたJu88Aは爆撃機で目標は初めはレーダー基地や飛行場、工場とかだったけど途中から目標は都市部に代わったよ」

 

ハンナ「都市部って…まさか!」

 

 BOBは基本的に三つの段階に分かれていた、一つがドーバー海峡上空を舞台にした船舶への攻撃、次に爆撃機による各地のレーダー基地、飛行場、航空機生産工場への空爆、そして都市部への空爆だった。

 一般的にBOBの始まりとされるのは1940年7月10日に偵察機を護衛していたBf109とスピットファイアの空戦とされている。

 この空戦から7月いっぱいはドーバー海峡を舞台にした輸送船への攻撃に終始した。

 だが翌月、標的がイギリス本土の空軍に変更され本格的な戦闘が開始された。

 この段階が最も長くそして最も損害が多かった。

 だがこの段階の途中のある日に一機の爆撃機が誤ってロンドンを誤爆、その直後イギリス空軍は報復としてベルリンを爆撃した。

 これにヒトラーが激怒、後一歩で英空軍の戦闘能力を奪いかけた矢先の8月30日、突如独空軍の大編隊がロンドンを空襲した。

 ザ・ブリッツの始まりであった。

 このロンドン空襲は40年の8月から一般的にBOBが終わったとされる翌年の5月初めまで続いた。

 だがザ・ブリッツは英空軍に立ち直らせる時間を与え、大陸のジャガイモがドーバー海峡を渡ることはなかった。

 この出来事はジョンブルにとっては重要でありスピットファイアが救国の戦闘機として伝説となり、彼らの誇りとなった。

 彼らは無敵と謳われたナチスに初めて挫折を与えたのだ。

 

 マルセイユはニコの言った都市部への空襲に反応した。

 彼女達にはニコは民間人の頭の上に爆弾を落としたように聞こえるからだ。

 

ニコ「多分民間人も大勢巻き込んだね」

 

 ニコは民間人を殺したかもしれないと認めた。

 ニコはザ・ブリッツに参加していた、そして勿論ロンドンやその他の都市に爆弾を落としていた。

 それを聞いてハルトマンもマルセイユもニコを驚いた眼で見る。

 人畜無害そうなニコが実はハインツやミラーさえもしのぐ殺人者だという事実に。

 

ニコ「まあ、でもそれが戦争だから。

   それを言えばイギリス人はドイツを爆撃して何人殺した、奴らは一晩でケルンを灰にしたんだ。

   ハンブルクもベルリンもウルムもイギリス人とアメリカ人によって全部瓦礫になったよ。

   それに比べれば僕らがロンドンをいくら爆撃しても街の半分が消えたり一晩に数万人が死んだわけじゃないだけマシだよ」

 

ハルトマン「ニコ…マシとかって問題じゃないと思うよ」

 

 ニコは独本土への各種の大空襲を引き合いに出すがそれはハルトマンには受け入れがたかった。

 戦争だからと言ってニコは自分のしたことを正当化しているように聞こえたからだ。

 

ニコ「分かってる。でもこれが戦争だから、そう言って納得するしかないんだ僕たちは。

   文句があるならもっと上に言ってくれ、僕らはただ命令に従って飛んでるだけだ。

   それが、僕たちの戦争なんだ」

 

 ハルトマンの言葉にニコは暗い声で返した。

 

ニコ「で、話がそれたね。

   その間の確か40年の12月だったかな?その辺りにロンドンへの爆撃の帰りにトミーのハリケーンに追われて被弾、航空機関士と通信手が戦死、副操縦士も重傷を負って僕も足に被弾してその状態で次々と被弾してエンジンも止まって燃料も漏れ幸い護衛のBf109が追い払ったとはいえ大陸に戻れるわけでもなく最終的に真冬の北海に不時着、気絶しそうなほど冷たい海水の中を泳いで怪我をした副操縦士を連れて脱出、筏に乗って真冬の北海を時化の中一晩漂流した。

   翌日味方の飛行艇に救助されたときには二人とも低体温症で副操縦士だったロベルトは凍傷で左足を切断して現役を退いた。」

 

 ニコのBOBの最後の戦いは12月に真冬の北海に不時着して終わった。

 不時着した後荒れた北海で一晩漂流しドイツ空軍の先進的な航空救難部隊であるゼーノートディーンストに救助された。

 だが怪我は深刻であり同時に真冬の北海で一晩漂流したため低体温症になっていた。

 

ニコ「僕もそれから入院した後翌年の3月に部隊に戻ってクレタ戦と北アフリカ戦、それにマルタ戦に参加したよ。

   そこで同じ任務に参加するイタリア人パイロットと結構仲良くなったりしたね。

   戦闘機パイロットでも何人か仲良くなったりしたよ。」

 

 ニコは退院後地中海の戦い、クレタと北アフリカ、そしてマルタ島の戦いに参加した。

 マルタは地中海のちょうど真ん中、中間地点にある島でありこの島からイギリス軍は北アフリカのドイツ軍やイタリア軍の補給を潜水艦と空襲によって脅かし続けていた。

 そのためマルタにはイタリア、そしてドイツの爆撃機が殺到した。

 さらにこの島は一切の物資を船舶による輸送に頼っていたため輸送船への攻撃も集中した。

 この一連のマルタへの空襲とマルタ行き輸送船団への攻撃がマルタ島の戦い、通称第二次マルタ包囲戦だった。

 この戦いはいくつもの主要な輸送船団の戦いがあるがその中でも伝説的なのが1942年8月2日に開始されたイギリスから輸送船団WS21Sをマルタへ向かわせる大作戦「ペデスタル」であった。

 

 当時マルタはもはや風前の灯火であった。

 空ではカナダ人トップエースの一人であるスクリューボールことジョージ・F・バーリング以下イギリス空軍のパイロットたちの戦いにより凌いでいたが物資不足は限界にまで近づきつつあった。

 マルタに送った数回の輸送船団はすべて枢軸軍の潜水艦と空襲により阻まれ運べたのは僅かであった。

 その僅かな物資もなくなりつつありマルタ島の島民はもとより比較的物資に恵まれていたパイロットでさえ食事は腐りかけのコンビーフという程度であった。

 さらに深刻だったのが石油の不足、当時マルタ島では飲料水を得るのに海水淡水化装置を使用していた。

 その燃料が切れかけていたのだ。

 マルタ島が降るXデーは42年8月31日から9月4日にかけてとされた。

 

 マルタ島に鍵十字とファスケスの旗が翻るということはイギリスは生命線たる地中海を失うのと同義であった。

 彼らはマルタを救うため当時世界最大のタンカーオハイオ、そして合計14隻の輸送船、それを守るため北方船団から転用した大艦隊が用意された。

 この大艦隊の中にはかの悲劇として名高いPQ17に参加したものもあった。

 だがマルタ島を救うにはただ船団を護衛すればいいわけではなかった、鍵となるのはタンカーオハイオ、この超巨大タンカーがマルタ島につかなかった時、マルタの失陥が確定するのだ。

 マルタ島、地中海、そして戦争の行方は彼らの手にかかっていた。

 

 そして1942年8月2日、輸送船団がイギリスを出発、本格的な戦闘は8月11日の早朝から始まった。

 この日ドイツ海軍のUボートが護衛の空母イーグルを雷撃、撃沈した。

 その後この日一日を通して4回にわたる大空襲を受け商船一隻が損傷し速力低下、駆逐艦フォアサイトが航行不能になりその後駆逐艦ターターが処分、更にアルジェ沖ではフューリアスを護衛中の駆逐艦ウルヴァリンがイタリア海軍の潜水艦ダガブールを撃沈する代わりに艦首を大破、空母インドミタブルも空襲により航空機の運用が不可能になったほかヴィクトリアスも被弾した。

 

 翌12日、イタリア海軍は巡洋艦部隊を送り込んだ。だがこの部隊は独空軍との連携不足、更にドイツ側の能力への不信から翌日にはシチリア島に戻ってしまった。

 幸運にもこの日の空襲のうち午前のものは連携不足から簡単に撃退された、だが運がよかったのはこれだけだった。

 この日の日没後、イタリア海軍の潜水艦アクスムが軽巡洋艦カイロを撃沈、更に軽巡洋艦ナイジェリアと最重要目標オハイオに命中させる大戦果を挙げた。

 さらには午後の空襲でインドミタブルが大破、駆逐艦一隻と商船一隻が撃沈された。

 悪いことは続きイタリア海軍の潜水艦アラジとブロンゾはアクスムの襲撃後さらに攻撃を行い軽巡洋艦ケニアを損傷、輸送船2隻を撃沈した。

 

 13日、退避中のイタリア艦隊を英海軍の潜水艦が襲撃重巡ボルツァーノと軽巡ムツィオ・アッテンドーロが大破した。

 またこの日オハイオが空襲で深刻な損傷を受けた他軽巡マンチェスターがSボート(ドイツ海軍の魚雷艇)によって損傷、復旧を試みるも沈没した。

 だが枢軸軍の攻撃も此処までだった。

 船団はマルタのエアカバー圏に入ると戦闘機の援護を受けられるようになりその日に生き残った3隻、翌日に損傷して落後していた輸送船ブリスベン・スターが到着した。

 その中にオハイオの姿はなかった、だが二日後の15日、オハイオは駆逐艦ペン、ブラハム、レトベリー、掃海艇ライに抱えられるようにしてマルタ島グランドハーバーに到着した。

 オハイオは集中攻撃を受け竜骨が破断、30発近い直撃弾と至近弾により機関室が全壊、上部構造物は穴だらけにされブリッジには敵機が刺さっていた程であった。

 オハイオは入港後すべての石油が抜き取られたのと同時に着底、46年に沖合で撃沈処分にされた。

 この作戦で空母1隻、巡洋艦2隻、駆逐艦1隻、輸送船9隻を失った、だがこの作戦により地中海の制海・制空権はイギリスの手に戻り第二次エル・アラメインの戦いでは復活したマルタからの攻撃により物資不足にあえぐ枢軸軍を一気にチュニジアまで押し返した。

 

ニコ「その戦いでマルタに向かう輸送船を3隻撃沈して騎士鉄十字賞をロンメル閣下から直接貰ったよ。

   閣下にはその時に感銘を受けて尊敬しているよ。」

 

 ニコはこの戦いの間に輸送船三隻を撃沈、その功績から騎士鉄十字賞を受勲しその時彼に勲章を与えたのはエルヴィンだった。

 そのことに感銘を受けニコはエルヴィンを尊敬していた。

 

ニコ「アフリカはかなり環境が厳しかったし敵も強かった、でもまあいろいろ楽しかったよ。

   天才的記憶力を持ったイタリア空軍の戦闘機パイロットと仲良くなったりしてさ。

   北アフリカじゃマルタだけじゃなくて友軍支援のため敵軍も爆撃したりで西へ行ったり東へ行ったり。

   大変だったよ」

 

 北アフリカ戦はイギリス軍とドイツ軍が互いに攻め込んだり敗走したりを繰り返し戦いだった。

 初めはイタリア軍が準備不足でエジプトに侵攻するも準備不足が祟り反撃を受けると一気に瓦解、リビアのトブルク、バルディア、ベンガジを失いトリポリに追い詰められるがそこにDAKが到着、反撃により一気にエジプト国境を越え要所ハルファヤ峠を抑え英軍の機動を制限した。

 だがトブルクの要塞化された陣地にこもるオーストラリア軍に悩まされ、さらに数回に渡るエジプト国境でも英軍の大攻勢により補給が付き始めたため41年の12月には撤退を開始、放置されたハルファヤ峠の守備隊は降伏した。

 撤退によりまたもやキレナイカを失うがマルタ島への攻撃の戦果で補給が安定すると翌年から再度枢軸軍は侵攻すると今度はトブルクなどを一気に落とし気が付けばエル・アラメインにまで侵攻したがここは極めて侵攻しにくい地点だった。

 南には戦車の通行が不能なカッダーラ低地があり戦車部隊が動けるのはカッダーラ低地と海岸の間の狭い地域だけ、その地域に攻撃を仕掛けるも失敗、補給線が伸び切った上に空襲により物資不足にあえいでいた。

 そのため枢軸軍は要所ルウェイサット高地を奪えず守勢に回ったがここにドイツ軍は史上最大の地雷原、通称悪魔の園を設営しイギリス軍を迎え撃とうとしたが英軍はこれを正面突破、エル・アラメインの前線を崩壊させた。

 この大攻勢にドイツ軍は総崩れになり友軍のイタリア軍の車両を強奪してまで撤退を始めたがその間戦線を支えたのは皮肉にもイタリア軍だった。

 南部ではパヴィア歩兵師団とフォルゴーレ空挺師団が壊滅するまで抵抗するも枢軸軍はチュニジアまで撤退してしまった。

 その後増援を受けチュニジアで連合軍と相対するも43年5月に降伏、ここに北アフリカの戦いは終わりをつげた。

 

ニコ「そんな中、英軍の大攻勢の真っただ中で息もつけない中で僕に移動の命令が来た。

   行先はフランスのボルドー、KG40第Ⅴ飛行隊だった」

 

 イギリス軍の大攻勢の中、ニコに来たのは移動の命令、行先はビスケー湾のKG40だった。

 この部隊はいわゆるツェルステーラー(駆逐機)装備の部隊で任務は知られざる大西洋の航空戦、ボルドー湾上空のハンターキラーだった。

 大西洋の狼たちの頭上を守る任務であり敵は哨戒機、飛行艇、戦闘機、更にはこのころにはイギリスからアフリカに向かう連合軍機も含まれていた。

 またこの部隊は43年にリスボンからイギリスのウィットチャーチに向かっていたBOAC777便をチャーチル搭乗機と誤認され撃墜した事件を起こしていた。この事件で名優レスリー・ハワードが非業の死を遂げてしまった。

 この戦いの主役となったのはKG40のJu88Cだった。

 

ニコ「そこでしばらくの間ビスケー湾上空の哨戒飛行に参加してそこで初めて撃墜スコアを挙げたよ。

   最初のスコアは英軍のリベレーター、対潜哨戒中だったところを撃墜、続いてボーフォート、こちらはUボートからの報告を受けて向かったら攻撃中だったから撃墜した。」

 

 ニコはこの戦いでリベレーターとボーフォートを撃墜して2機のスコアを挙げた。

 

ニコ「で、43年の10月にⅤ./KG40がⅠ./ZG1になった時に第2夜間戦闘航空団NJG2に移動した」

 

 Ⅴ./KG40は43年10月にⅠ./ZG1に再編されたがその時にニコはNJG2に移動して独本土防空戦に参加することになった。

 

ニコ「NJG2で飛び始めたけどそこは大変だったよ。

   毎日昼夜逆転の生活に敵は爆撃機に護衛のモスキート、損害も多くて上司のハインリヒ・プリンツ・ツー・ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ザインも1月に戦死、僕も翌月にモスキートと相討ちになって撃墜されて入院したよ。

   まあこの時にランカスター3機とハリファックス1機、モスキート1機を一晩で撃墜してたから柏葉付騎士鉄十字賞を受勲されたね。

   一晩で5機撃墜で一気に部隊で一目置かれるようになったよ。」

 

 ニコは後にビッグ・ウィークとして知られる連合軍の大空襲作戦の真っ最中に一晩で5機を撃墜、さらにモスキートと相討ちになるという大戦果を挙げた。

 だが撃墜され重傷を負った。

 ビッグ・ウィークは連合軍の戦略爆撃の大作戦で目標はドイツの航空機生産能力と航空戦力そのもの。

 大規模な爆撃に初めて投入されるP-51を使い一気に航空戦力の消耗を強いるという大作戦だった。

 この作戦でドイツ空軍の昼間戦闘機は大打撃を負いこれ以降ドイツの空の戦いには強敵P-51が付くようになり多くのエースが撃墜され始めるようになった。

 

ニコ「それから6月まで入院、それ以降はNJG1に移動したよ。

   NJG1でもJu88を飛ばしてそれから11機を撃墜したけど45年2月にモスキートに追われて不時着、その衝撃でこうなったとさ。

   満足した?」

 

 ニコはその後NJG1に移動してそこで11機を撃墜した後撃墜され戦死した。

 その話を聞いてマルセイユもハルトマンの暗い表情をしていた。

 

ニコ「それじゃあ、おやすみ。」

 

 黙っている二人を見てニコはベッドに寝転がってそのまま寝始めた。

 それを見てマルセイユもハルトマンも同じようにベッドに入ると寝た、だがその心中は穏やかではなかった。

 




OVA・劇場版編は登場キャラは全て第一次中東戦争か朝鮮戦争出身キャラで
・天才的記憶力を持ち元RSI空軍(ANR)の元エースパイロットで第一次中東戦争でMC205ベルトロを駆るエジプト王国空軍パイロット(マッキMC205ベルトロ使用)(OVA3話に登場)
・米海兵隊員で日本にもいたことがあり朝鮮戦争に従軍するコルセアライダー(劇場版に登場)
です。
あと可能性でドイツから亡命したユダヤ人で大戦中にP-51に乗っていたが撃墜されスタラグ・ルフトⅢCの大脱走にも参加したダッハウ強制収容所の生き残り元米軍機パイロットのイスラエル空軍航空兵も可能性あり

(ニコはレスリー・ハワードを殺してません。一応言っておきます)
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