このSS、過激な人しかいない
7月8日深夜、ターラント港
翌朝早朝に控えた連合軍艦隊の出航を前に港は慌ただしかった。
その中停泊している大和の艦内では数人の人影が配電盤を弄るとコードを抜き、電線を切ると船から降りていった。
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その少し後、バーリ港
この港に停泊するインペロの艦橋でベルガミーニに参謀が報告した。
参謀「閣下、サボタージュ、成功したようです」
ベルガミーニ「分かった、これで100%失敗する。
マルス作戦は適当にやっておこう」
参謀「は」
ベルガミーニは部下に命じて大和へのサボタージュを命じていた。
この目的は簡単だった、マルス作戦を100%失敗させるためだった。
彼らにはこの作戦を成功させる気など毛頭なかった。
失敗するとわかっている作戦のために犠牲を払う気などなかった。
ベルガミーニ「美しいヴェネチアの街が消えるのは悲しいがヴェネチアが消えれば我々はイタリアを統一できる。
イタリアの統一のためだ」
参謀「ええ」
彼らはヴェネチアを破壊することでヴェネチア政府の権威を崩壊させ来たるべきイタリア統一運動の最終段階ヴェネチア併合に繋げようとしていた。
このサボタージュによりマルス作戦の失敗は確実となった。
だがウィッチ達は全く知らなかった。
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作戦前日の夜、ウィッチ達は失敗が約束されていることも知らず決戦を明日に控え昂ぶる気持ちを抑えながら過ごしていた。
ノヴァクの部屋では珍しくバルクホルンとノヴァクが二人で飲んでいた。
バルクホルン「明日、明日で全部が決まるのか…」
ノヴァク「ああ」
バルクホルンはテーブルに置かれたウォッカが入ったグラスを見ながら呟く。
バルクホルン「ここが片付けば次は…」
ノヴァク「カールスラント本土…トゥルーデの祖国だ」
バルクホルン「ああ、例え故郷じゃなくても祖国だ」
ノヴァク「Jeszcze Polska nie zginęła,Kiedy my żyjemy.」
ふとノヴァクはポーランド語の文を呟いた。
意味がわからないバルクホルンはノヴァクに聞いた。
バルクホルン「アレックス?どういう意味だ?」
ノヴァク「ポーランドは滅びず、我らが生きている限り。
ポーランドは滅びない。最後のポーランド人が死ぬその時までな。」
バルクホルン「この世界にポーランドは無くてもアレックスの祖国はポーランドか…」
ノヴァク「ああ。ポーランド人として生まれ、ポーランド人として戦い、ポーランド人として生きて、ポーランド人として死ぬ。
今の目標かな?」
ノヴァクはポーランド人であるという事に誇りを持っていた。
だからこそ常にポーランド人でありたかった。
するとバルクホルンが不満そうな表情でノヴァクに言う。
バルクホルン「私を妻にするんじゃなかったのか?」
ノヴァク「もう俺の妻だろ?お前は」
バルクホルン「そうだったな」
バルクホルンが微笑むとノヴァクが近づきキスする。
数秒二人の影が重なるとノヴァクが囁いた。
ノヴァク「トゥルーデ、作戦前に渡したいものがある」
バルクホルン「なんだ?アレックス」
バルクホルンが聞くとノヴァクはポッケから小さな箱を取り出した。
その中身にバルクホルンはすぐに合点がいった。
バルクホルン「アレックス…それって…」
ノヴァク「婚約指輪。この間、休暇でローマに行った時に買った。
開けてみてくれ」
バルクホルンは箱を受け取ると蓋を開ける。
その中には銀色の飾りのついていない地味な指輪が入っていた。
バルクホルン「これって…」
ノヴァク「ごめん、勝手に買ってきて。
そんなに金もないから一番安い一番地味な…」
勝手に買ってきたことをノヴァクはバルクホルンに謝るがその続きは言えなかった。
バルクホルンがキスをして塞いだからだ。
そのまま二人は数秒キスするとバルクホルンが涙目になりながら感謝の言葉を述べる。
バルクホルン「ありがとう、アレックス。
お前からのプレゼントなら何でも嬉しい、それに私はあんまり派手なのは似合わないからな。」
ノヴァク「そうか…つけて、見てくれないか?」
バルクホルン「こういうのは王子様がお姫様につけるものだろ?」
ノヴァク「ふ、そうだった」
ノヴァクはふと笑うと指輪を持ってバルクホルンの左手を取り薬指に指輪をはめた。
それをバルクホルンはうっとりしながら眺める。
バルクホルン「これで、夫婦だな」
ノヴァク「まだ婚約だけだがな。
これで家族だ」
バルクホルン「ああ、クリスに自慢しようかな」
ノヴァク「だな、親父とかが見たら感動するだろうな…」
バルクホルン「もしかしたらアレックスの家族もこの世界にいるかもしれないな」
ノヴァク「え…それは考えたことなかった」
バルクホルンの言葉にノヴァクは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。
そんなこと一度も考えたことはなかったからだ。
バルクホルン「まあ、今は私だけを見てくれ」
ノヴァク「そうするよ、トゥルーデ」
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ミラーの部屋では
ミラー「じゃ乾杯」
リーネ「乾杯!」
ミラーの部屋でリーネとミラーはワイン、それもトカイワインを飲んでいた。
二人はワイングラスに入ったワインを一気に飲むとリーネが妖艶に呟く。
リーネ「ん…美味しい…」
ミラー「あ…リーネもワインの味が分かるようになってきたんだね」
その姿にミラーは少し驚くも話しかけて誤魔化す。
リーネ「ミラーさんがいっぱい飲ませるからじゃないですか」
ミラー「ごめんごめん」
ミラーはよくリーネとワインを飲んでいた結果リーネはすっかりワインに慣れてしまった。
リーネ「ミラーさんが買ってくるワインって全部美味しいですよね」
ミラー「そりゃあワインの王様トカイワインだからね。
今飲んでるのは1916年物だけど。」
リーネ「美味しくて幾らでも飲めちゃいそうです」
ミラー「ハハ、明日の朝までには酒は抜いておいてよ」
リーネ「はーい」
ミラーが飲みすぎないよう注意した。
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一方、リーネとミラーやノヴァクとバルクホルンが束の間の休息を楽しんでいる一方でニコは早めに寝ていた。
すると物音に気が付き目を開けるといつの間にかサーニャが布団に潜り込んでいた。
ニコ「ん…サーニャさん?」
目の前にサーニャがいることにニコは驚く。
するとサーニャが顔を少し赤らめながら聞いた。
サーニャ「ニコさん、一緒に寝てもいいですか?」
ニコ「別にいいよ。
気のせいかもしれないけどサーニャさんと寝ていると夜尿症が治まってる気がするんだよね」
ニコはすぐに快諾するとふとサーニャと一緒に寝ている間夜尿症が治まっている気がすると呟いた。
サーニャ「そうなんですか。
あの、ニコさん」
ニコ「ん?何?サーニャさん」
するとサーニャがニコを呼んだ。
サーニャ「明日、作戦が終わったら話したいことがあります。
いいですか?」
ニコ「うん、別にいいよ」
サーニャの願いをニコは快諾した。
そのまま二人は一緒に夜を過ごした。
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ウィッチ達が自室で寝ていたりしている一方、格納庫を刀を持った一つの人影が動いていた。
それは坂本のユニットを履いて離陸しようとする。
その人影は坂本だった。
坂本(今夜だ…何としても今夜中に真烈風斬を完成せねば…)
坂本はユニットを履いて離陸滑走を始めるが思うように回らない。
坂本「く…ちゃんと回れ!」
何とか回すと無理や離陸しようとする。
だが突如目の前に二人の人影と一つの明かりが現れバランスを崩し地面に激突する。
それは一人はミーナ、もう一人はPPsh41を持ってタバコを咥えたハインツだった。
坂本「く…ミーナ、ハインツ、知っていたのか?」
ハインツ「坂本少佐、飛行禁止処分は解いてないぞ。
それにその危険物も倉庫にしまったはずだ」
右手でPPsh41を持ち左手にタバコを挟みながらハインツが坂本を咎める。
するとミーナが坂本に語り掛ける。
ミーナ「いつかこうなることは分かっていたわ。」
ハインツ「ああ、だからお前を飛行禁止にしたんだ。
死なせないためにな。
戦わなければ死なない、それにな、前も言ったが兵士の命は安くない。
ましてや佐官クラスとなればな」
坂本「そうか…」
二人の言葉に坂本はどこか納得した。
ミーナ「まさに諸刃の刃ね。」
ハインツ「戦場で戦う力と引き換えに大量の魔法力を消費する化け物。
こいつはお前のウィッチとしての寿命を削り取ろうとしてる。
畜生、雨が降ってきやがった。」
すると突然雨が降り始めハインツが悪態をつく。
坂本は立ち上がると烈風丸を構える。
坂本「私はまだ戦える!」
坂本は魔法力を込めて光を放つがすぐに元に戻ってしまう。
坂本「く…」
ミーナ「もうやめて!美緒!」
坂本「まだだ!私は、必ず真烈風斬を完成させる!」
ミーナ「駄目よ!分からないの?もう無理なのよ!」
坂本「頼む!一度だけ!一撃だけでいい!私に真烈風斬を打たせてくれ!」
坂本はそう叫ぶとひざまづく。
坂本「お願いだ…私も…私も17人の中に居させてくれ!頼む…ミーナ、ハインツ…」
坂本は号泣しながら崩れ落ちミーナの胸の中で泣き始めた。
ミーナ「美緒…ハインツさん」
ハインツ「ん?何ですか?明日このバカを出撃させろと?」
ミーナはハインツを呼ぶがハインツは次にミーナが何を言うか理解していた。
ミーナ「ええ」
ハインツ「拒否します。坂本はとてもじゃないが戦える状態じゃない。」
ミーナの意に対してハインツは明確に拒否した。
ハインツは坂本には戦闘能力が無いと判断していた。
ミーナ「命令よ、私の命令が聞けないの?」
ハインツ「分かった、命令なら従うまでだ。
どうなっても知らんぞ」
ミーナが珍しく強い口調でハインツにハインツは従うしかなかった。
その様子を物陰から宮藤が聞いていた。
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翌日、アドリア海北部を大艦隊が進んでいた。
艦隊はベルガミーニが指揮する任務部隊「ベルガミーニ」であった。
艦隊の編成は
戦艦:インペロ(旗艦)、ヴィットリオ・ヴェネト(ヴェネチア艦隊)
ビスマルク、ティルピッツ、グナイゼナウ(カールスラント艦隊)
バーラム、フッド、レパルス、プリンス・オブ・ウェールズ、ロイヤルオーク(ブリタニア艦隊)
コンテ・ディ・カブール(ロマーニャ艦隊)
アリゾナ(リベリオン艦隊)
武蔵、大和、扶桑、山城(扶桑艦隊)
重巡洋艦:アドミラル・ヒッパー、アドミラル・シェーア(カールスラント艦隊)
ザラ、ポーラ、トレント、トリエステ(ロマーニャ艦隊)
コーンウォール、ドーセットシャー、エクセター(ブリタニア艦隊)
最上、那智、鳥海(扶桑艦隊)
軽巡洋艦:アルベルト・ディ・ジュッサーノ、アルマンド・ディアス(ヴェネチア艦隊)
エジンバラ、フィジー、トリニダード、ボナヴェンチャー、ハーマイオニー、カリブディス、ナイアド、スパルタン、カイロ、カルカッタ、コヴェントリー、キュラソー、クールー(ブリタニア艦隊)
アトランタ、ジュノー(リベリオン艦隊)
神通、多摩、五十鈴(扶桑艦隊)
空母:ワスプ(リベリオン艦隊)
アークロイヤル(ブリタニア艦隊)
天城、翔鶴、瑞鶴、千歳、千代田(扶桑艦隊)
の戦艦16、空母7、重巡11、軽巡21、そして多数の駆逐艦と水雷艇、フリゲート、コルベットからなる大艦隊だった。
艦隊はリベリオンからもたらされた新艦隊編成であるビッグブルーブランケットという編成を取っていた。
これは史実において対特攻機用に作られた編成で艦隊の外周にレーダーを装備したレーダーピケット艦を配し、その誘導により艦隊の空母から発進した戦闘機部隊が接近する敵機を攻撃するという戦術だった。
旗艦はインペロであり艦隊中央部には大和が天城に横付けされながら進んでいた。
ベルガミーニ「マルスは100%失敗する。
我々の今日の作戦行動は高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対処して損害を最小にする、だ」
チーマ「それは行き当たりばったりでは?」
ベルガミーニがインペロの艦橋で参謀たちに言う。
するとチーマの指摘に全員がクスリと笑う。
ベルガミーニ「そうだよ、そもそもが失敗するってわかってるんだ。
かと言って先に我々だけ逃げたら臆病者だ、丁度いい塩梅で逃げるんだよ」
ベルガミーニは笑顔で指摘に答えた。
この作戦が初めから失敗する事はベルガミーニは勿論扶桑艦隊以外の全ての司令部と扶桑艦隊の司令官と主席参謀が知っていた。
その上でこの作戦を実行するつもりだった。
参謀「閣下、先程501が出撃。高度15000フィートを維持して北上中。
10分後に上空直掩に着くようです。」
すると参謀の一人が501からの情報を伝える。
それを聞くとベルガミーニが命令した。
ベルガミーニ「全艦、総員戦闘配置。」
ベルガミーニの命令は即座に全艦に通達された。
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10分後、艦隊のレーダーが501を捉えた。
レーダー手『方位175、高度150よりウィッチ部隊接近、上空通過します。』
ベルガミーニ「来たか。」
レーダー手が接近する方位と高度を伝える。
すると艦隊の上空をウィッチ部隊が通過した。
だがそれを遮るようにして通信兵が割り込む。
通信兵『駆逐艦ドレクスラーより報告!ネウロイ接近!
時速270ノット!方位325!高度3000!数50から80!』
ベルガミーニ「来たか!全艦対空戦闘用意!各艦回避行動始め!」
ベルガミーニが即座に全艦に命令する。
それにより各艦動き始めた。
直後、前方で爆発が起きた。
ベルガミーニ「なんだ!」
通信兵『ドレクスラー被弾!被害報告!』
ドレクスラー『こちらドレクスラー!艦首被弾!一番砲塔より前を喪失!火災発生!
現在一番砲塔に注水、防水作業中!
航行可能速力最大9ノット!』
一番前方にいたレーダーピケット艦ドレクスラーが被弾した。
損害は艦首を喪失し火災発生、浸水も発生し最大で9ノットしか出せなくなった。
ベルガミーニ「501をドレクスラー救援に向かわせろ!駆逐艦ケリーにドレクスラーを護衛させろ!」
ベルガミーニはすぐにドレクスラーをブリタニア海軍の駆逐艦ケリーに護衛させて離脱させるように命じた。
こうして失敗する事が約束された作戦「マルス」が開始された。
マルス作戦、ウィッチ部隊より海軍を活躍させたい。
折角防空巡洋艦(それも有名なアトランタ級だけでなく英海軍のC級、ダイドー級、ベローナ級勢揃い)いるし何より槍衾の如き対空砲火っていいよね…
ついでにレーダー管制射撃&VT信管+ビッグブルーブランケットの敵機絶対殺す陣形を突破してみろよネウロイ。