「戦艦はすごい船だ。恐竜みたいなもんだ。
ガンガン殴られても平気な浮かぶパンチングマシンさ。」
――映画バトルシップより
ホランド「来たか!総員The Navy’s here!」
フッドの艦橋では敵が来たことに艦隊司令ランスロット・ホランドが反応していた。
空ではウィッチ部隊が動き始めた一方、艦隊では激しい対空砲火を撃ち上げ弾幕を作り上げていた。
キッド「どうだ!レーダーとVT信管を組み合わせた死の空間は!」
ヴァルケンバーグ「左舷!弾幕薄いぞ!」
アリゾナ艦橋ではキッドとヴァルケンバーグが叫んでいた。
艦隊には多数のネウロイが接近していたがその大半はレーダーと連動したVT信管装備の対空砲の餌食となっていた。
艦隊は全艦対空装備が強化された上に防空艦が中心となっていた。
そのためネウロイは接近すればあっという間に対空砲の餌食となった。
ミーナ「始まったわ。大和がネウロイ化するまでの間、何としても守り切るのよ」
「「了解」」
ネウロイが接近すると501は散開、それぞれネウロイを迎撃し始める。
ネウロイは艦隊中心の大和を集中攻撃するがそれを宮藤がシールドを張って防御する。
リーネ「芳佳ちゃん!」
宮藤「く…キツイ…」
リーネはネウロイを撃墜しながら宮藤を気に掛ける。
この攻撃は宮藤でさえキツイと感じるほどだった。
だが攻撃が大和に集中しているということは前方でのろのろとしか動けないドレクスラーやそれを支援するケリー、その他艦艇に対しての攻撃が薄いという事を意味した。
ネウロイは大和を拘束するがその他艦艇を自由にしてしまった。
ミーナ「攻撃が大和に集中しているわ」
坂本「奴らめ、大和が普通じゃないことに気付いたか!」
ハインツ「連中も大和が鍵だって気が付いてるな。
ミラー、射撃用意!」
それを見下ろしながらミーナと坂本、ハインツが言う。
ハインツはすぐに隣を飛ぶミラーに射撃準備を命じる。
すぐにミラーはBk-5を構えるとハインツの指示でネウロイを狙う。
ハインツ「11時方向、シャーリー、ネウロイを集めろ」
シャーリー「了解!さあ来い!」
ルッキーニ「こっこまでおいで~」
ハインツは相手が小型ばかりであったため対大型・中型に特化したBk-5ではキツイと判断。
纏めて叩くためシャーリーとルッキーニに集めさせる。
シャーリーとルッキーニはネウロイを挑発しハインツが指示したポイントに数十体纏めて誘導する。
ハインツ「いいぞ…よーい、ファイア!」
ハインツが指示するとミラーが一発だけ発射する。
発射したのはこのために特別に用意したVT信管を付けた50ミリ榴弾だった。
弾はネウロイが集まったど真ん中で爆発、一気に纏めて撃破した。
ハインツ「ヒーハー!やったぜ!」
ミラー「ええ、できる限りたくさん集めてください、弾が少ないんですから。」
ハインツ「ああ、21発しかないんだろ?分かってるよ」
Bk-5は最大21発しか運べないためミラーは継戦能力が低く問題があった。
エイラ「こっちだこっち!」
ヤン「さあ来い!」
ヤンとエイラはネウロイを挑発する。
ネウロイは二人の挑発に乗り一列に並んで二人を追いかける。
二人は攻撃を回避しながらサーニャとニコを呼ぶ。
エイラ「サーニャ!」
ヤン「ニコ!」
サーニャ「うん!」
ニコ「了解!」
サーニャはロケット弾を発射しニコがMG151/20を浴びせる。
それを食らったネウロイは次々と玉突き事故のように撃破された。
ニコ「何が起きたんだ?」
サーニャ「一発しか撃ってないのに」
その光景に二人は呆然とする。
エイラ「凄いぞ、サーニャ。」
ヤン「やったな、ニコ」
一方エイラとヤンは二人を褒めていた。
その上ではハルトマンとバルクホルンとノヴァクがものすごい勢いでネウロイを撃墜していっていた。
だがいくら撃墜しても減らないネウロイにハルトマンが愚痴る。
ハルトマン「ねえ、全然減らないよ!」
バルクホルン「黙って倒せ!勲章が向こうからくると思えばいい!」
ハルトマン「そんなんどうでもいいよぉ」
ノヴァク「一体撃墜する度に貯金してたら今頃大金持ちだな!」
ノヴァクはあまりにも敵が多いことを皮肉る。
するとそれにバルクホルンが乗った。
バルクホルン「ああ!大金持ちになったらデカい家でも買うか?」
ノヴァク「それに立派な車もだ!
折角結婚するんだ戦争が終わったらクリスと3人でヨーロッパでも巡るか?」
バルクホルン「ああ、悪くないな!」
ハルトマン「はぁ…もう私の知ってるトゥルーデじゃない…」
ハルトマンは二人のやり取りに呆れていた。
だが攻撃はやまず益々激しくなりつつあった。
リーネ「芳佳ちゃん、大丈夫?」
宮藤「うん、平気だよ」
リーネは宮藤の後ろにつくと聞いたが宮藤は平気だと答える。
一方、坂本は明らかに異常であった。
坂本「はぁ…はぁ…はぁ…」
明らかに息を切らし冷や汗をかいていた。
ミーナ「大丈夫?少佐」
坂本「何のこれしき、宮藤たちも頑張っているんだ私も負けてはいられない!」
ミーナが心配して聞くと坂本は強がった。
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ベルガミーニ「流石501だ。
凄いな」
チーマ「ええ…」
その撃墜速度に見上げていたベルガミーニとチーマは感嘆する。
直後、突然爆発音と共にインペロの船体に衝撃が走る。
参謀「なんだ!」
チーマ「被弾したか!被害報告!」
ベルガミーニ「戦艦が簡単に沈むか!」
インペロが被弾した。
すぐにチーマは被害報告を聞く。
応急員『こちら第一ダメコン班。
後部水上機甲板および後部甲板被弾。
損害は水上機甲板および後部居住区画で火災発生、操舵室電力喪失』
チーマ「至急鎮火急げ!操舵は人力に切り替え!急げ!」
損傷は後部甲板と水上機甲板を損傷、居住区画と水上機甲板で火災発生、更に損傷で操舵室の電力を喪失したというものだった。
チーマは即座にダメージコントロールを命令する。
すると通信員が後方を航行するヴィットリオ・ヴェネトからの発光信号を伝える。
通信員『ヴィットリオ・ヴェネトより発光信号、キカンノソンガイハイカニ!』
チーマ「返信、損害微小戦闘航海・指揮に支障なし」
チーマが返信を伝える。
その間にベルガミーニは次の行動を命令する。
ベルガミーニ「全艦、タイプ3装填、対空射撃用意!」
チーマ「タイプ3装填!対空戦闘用意!主砲砲撃戦用意!」
砲術長「目標!方位308!高度078!230ノットで接近!
VT信管用意!」
ベルガミーニは対空戦闘用として扶桑で開発された新型対空砲弾を用意させる。
この砲弾は対地攻撃用としても優秀とされ彼らも対空だけでなく対地攻撃にも積極的に使用していた。
彼の指示に各艦従いそれぞれ主砲をネウロイに向ける。
砲術員「発砲同調回路修正0.25秒!アラーム!」
チーマ「アラーム!甲板要員は退避!急げ!」
ベルガミーニ「ファイア!」
ベルガミーニの指示と共に轟音が轟き近づきつつあったネウロイが纏めて吹き飛んだ。
だがすぐに新手のネウロイが来た。
チーマ「対空砲要員は今すぐ配置に戻れ!レーダー連動射撃!何としても叩き落せ!」
チーマは急いで退避した甲板の対空砲要員を配置に戻す。
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だがその隙に一部のネウロイがリーネとペリーヌを包囲した。
リーネ「あ!」
ペリーヌ「囲まれた!」
宮藤「リーネちゃん!ペリーヌさん!」
ミラー「リーネ!」
気が付いたミラーと宮藤が振り向いて叫ぶ。
その二人に坂本は烈風丸を抜いて立ち向かう。
坂本「させるかぁあああ!!」
宮藤「坂本さん!」
ミーナ「少佐!」
ハインツ「あのバカ!」
それに気が付いてハインツとミーナも振り向く。
坂本「烈風斬!」
叫びながらネウロイを切ろうとするが全く切れず烈風丸が弾き飛ばされる。
それに坂本は衝撃を受け放心状態となる。
その隙にネウロイが坂本を攻撃しようとするがその前に宮藤が立ちはだかりシールドを張り攻撃を防ぎ反対側からハインツがMG151/20で撃墜する。
ハインツ「クソ!坂本!お前はさっさと退避しろ!」
宮藤「大丈夫ですか?!坂本さん!あ…」
ハインツと宮藤は坂本を心配するが坂本は茫然自失とした表情で突っ立っていた。
吹き飛んだ烈風丸はそのまま大和の甲板に突き刺さった。
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参謀「巣との距離、11000、ネウロイ化まで30秒。」
ベルガミーニ「了解、全艦退避準備。どうせ失敗する。
ターラントに連絡、509に緊急近接航空支援」
参謀「は!」
参謀が大和のネウロイ化が近いことをつげるとベルガミーニは艦隊の退避、そして509の出撃を要請した。
勿論これは失敗する事が前提で動いていたからだった。
通信兵『ターラントより返信、了解、第Ⅰ飛行隊出撃、到着予定時刻は1100!』
ベルガミーニ「早いな。501を一旦着艦させ休養と弾薬補給を急がせろ。
敵のネウロイの生産数は?」
参謀「戦闘前の3割程度、更に大半が対空砲火に食われてます」
ベルガミーニ「分かった」
ベルガミーニは501に補給と休養を命じた。
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戦闘は佳境に差し掛かっていたが既に弾薬も尽き始めミラーはとっくの昔に弾が切れMP40を取り出しニコとヤンはエイラとサーニャの退避を援護していた。
ハインツ「魔法力が消耗したのは空母に退避しろ!
休めるのは今の内だ!」
ミラー「少佐、自分も退避していいですか?」
ハインツ「そもそも弾がないだろ、補給に行ってこい。
ああ、ゆっくりで構わんぞ。」
ミラー「了解!」
ミラーはハインツの許可を得ると空母に向かった。
ハインツはミラーを退避させると坂本を見る。
坂本は棒立ちになっていた。
坂本「もう、私は戦えないのか…誰も…守れないのか…」
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参謀「ネウロイ化まで5秒前、4、3、2、1、ネウロイ化始まりました。」
ベルガミーニ「ふん、どうせ失敗するに決まってる」
参謀の報告にベルガミーニはタバコに火をつけながらそう吐き捨てる。
だが数十秒後の見張り員からの報告に驚く。
見張り員『大和!ネウロイ化始まりました!』
ベルガミーニ「はぁ?!サボタージュはどうした!」
参謀「まさか失敗したんじゃ…」
“サボタージュでネウロイ化をできなくした”筈の大和がネウロイ化を始めた。
その報告にベルガミーニは驚き戦闘艦橋から飛び出しウィングから大和を見る。
そこにはネウロイ化が始まった大和の姿があった。
ベルガミーニ「クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!
あのジャップが!あの無能なクソッタレ共が!」
参謀「提督、戻りましょう…」
ベルガミーニはウィングで手摺を叩きながら悔しがる。
その間に大和は浮上し巣へと突進し始めた。
大和は飛びながら対空砲火でネウロイを殲滅しつつ巣へと向かう。
参謀「どうやら上手く行っているようです」
ベルガミーニ「何がうまくだ!クソ共が」
参謀の報告にベルガミーニは悪態をつく。
その心境は他の提督も同じだった。
ビスマルクの艦橋ではリュッチェンスが艦長のエルンスト・リンデマンに呟く。
リュッチェンス「全くなんでうまくいったんだ」
リンデマン「さあ?しかし上手くいったはいったでそれでよろしいかと」
リュッチェンス「そうだな」
二人は完全に呆れていた。
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どういうわけかサボタージュを行ったにもかかわらずネウロイ化が成功した大和に艦隊が混乱している一方で上空ではそれを見届けたミーナとハインツがいた。
ミーナ「任務完了、全員空母天城に帰還して。
美緒、私たちの任務は成功したのよ」
全員に帰投を命じたミーナは目の前にいる坂本に声をかけた。
坂本「私にとって生きることは戦うことだった…だがもうシールドを失い烈風斬も使えない…」
ハインツ「坂本、少しは喜んだらどうだ?
俺達より一足先に戦争って地獄から抜け出せれるんだ、祖国に帰れるんだぞ」
坂本が涙を流しながら語るがそれにハインツが一服しながら返す。
ハインツからすれば戦争など地獄であった、地獄から抜け出せるならそれ以上の喜びはないと思っていた。
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その間に大和は前進を続けていた。
大和と巣との距離を参謀がベルガミーニに報告する。
参謀「残り500、300!」
ベルガミーニ「突っ込むぞ」
そして次の瞬間、大和は巣に激突した。
だがその次がなかった。
ベルガミーニ「ん?撃たないぞ、何かあったか?」
参謀「妙ですね、天城に問い合わせてみます」
大和が何故か発砲しなかった。
それに参謀はすぐにコントロールシステムが積載された天城に問い合わせた。
するとすぐに返信が来た。
参謀「閣下、どうやら発砲できないようです」
ベルガミーニ「何?連中が整備でも怠ったのか?」
参謀「いえ、予想ですが我々のサボタージュです。
どうやら間違えてコアコントロールシステムではなくコアコントロールシステム起動時の主砲射撃システムを破壊したようです。
このせいで作動させようとした結果魔導ダイナモがダウンしたようです。」
どうも原因は彼らのサボタージュだった。
サボタージュで誤ってコアコントロールシステムではなくコアコントロールシステム起動時の主砲射撃システムを破壊してしまったのだ。
そのためネウロイ化や副砲の迎撃は可能だったが主砲を動かそうとした結果魔導ダイナモがダウンしてしまった。
それを聞いたベルガミーニは満足そうに命令を下した。
ベルガミーニ「なるほど、全艦に下令、マルス作戦中止、全艦180度回頭、帰投する。
現時刻を持ってマルス作戦よりクロスロード作戦に移行する。
ウィッチ部隊は再度出撃、爆撃機部隊を掩護せよ。
これで終わりだ、さらばネウロイ、さらば愛しきヴェネチアよ。
ヴェネチアの街並みは今のうちに瞼に焼き付けておけよ」
ベルガミーニは艦隊の撤退とクロスロード作戦への移行を命令した。
だが彼らの通信に突如別の声が割り込んだ。
坂本『まだだ!まだ終わっていない!終わってなどいない!この戦いも!そして私もだ!』
ベルガミーニ「は?今のは何だ!」
参謀「ちょっとお待ちください!ヴィルケ中佐!今のは何だ!」
その声にベルガミーニは混乱し参謀はミーナを問い詰める。
ハインツ『こちら501主席参謀ヴァレンシュタイン少佐、坂本少佐です。
坂本少佐が独断専行して大和に向かってます』
ベルガミーニ「はぁ?!貴様ら!命令だ今すぐ戻れ!」
返事はハインツの坂本が大和に向かっているというものだった。
それは命令の無視、そして何よりクロスロード作戦ができないことを意味した。
ベルガミーニ「不味いぞ…クロスロード作戦は規定だと目標の周囲25キロ圏内に一切の友軍が存在しないことが前提だ…
このままじゃ…」
クロスロード作戦は安全のため最低でも周囲25キロ圏内に友軍が存在しないという前提で計画され作戦の中でも作戦前に爆撃機とその護衛を除いた全部隊を撤退させるという命令が最初に書かれていた。
坂本の軽率な行動はクロスロード作戦の破綻、その始まりを意味した。
(解説)
・エルンスト・リンデマン
史実ビスマルク艦長。
ビスマルク撃沈の際に戦死して飛ばされる。
砲術の権威でその上人格者。
ここでもビスマルク艦長
バトルシップのあの名台詞を簡単に沈んだ戦艦のことを指して使うなんて皮肉だなぁ…
ウィッチ部隊はやたら独断専行が多すぎて軍隊としては不適当すぎる組織。
軍隊において部隊ってのは戦術的にはある程度のフリーハンドは認められるけど戦略単位になると自由は許されたないんだよな。
その点ウィッチ部隊は明らかに自由すぎ、もっとガチガチに縛るべき。