エストニア人兵士のキャラは1944独ソエストニア戦線からです。
30分後、オーバーコートを着た将校が入ってきてマイトラとアウグスベルガーに敬礼する。
ヴィーレス「ヴィーレス大尉です」
マイトラ「来たか、ヴィーレス」
アウグスベルガー「早速だが君に新たな命令を伝える。
君の部隊より数人抽出しアルンヘム市内に迷い込んだ少年をクロステルマン中尉他と共に探し出して救出しろ。」
ヴィーレス「は」
マイトラとアウグスベルガーはヴィーレスに命令した。
命令を受けたヴィーレスは敬礼する。
ヴィーレス「では君たち、ついて来てくれ」
ヴィーレスはペリーヌ達についてくるように言う。
ヴィーレスはペリーヌ達を連れて外に出ると聞いた。
ヴィーレス「まず、君たち武器は?」
ペリーヌ「ブレンとボーイズがあります。
それがどうかしましたか?」
ヴィーレスが武器を持っているか聞きペリーヌがさも当たり前のようにブレンとボーイズ対戦車ライフルを持って来たと答える。
だがヴィーレスは顔をしかめる。
ヴィーレス「この先は市街戦だ。
ブレンのようなデカブツを振り回す気か?」
ペリーヌ「え、ええ。ブレンは破壊力がありますから問題ないのでは?」
レート「やめておけ、ブレンは取り回しが悪い。
MP40かトンプソンサブマシンガンならいいだろう」
ヴィーレス「そうだ、彼の言う通りブレンやボーイズのようなデカブツはここでは取り回しが悪い。
短機関銃か突撃銃が丁度いい、そこに小火器の補充のトラックが来てる、そこから適当なのを拝借してこい」
ヴィーレスはリーネとペリーヌのボーイズやブレンが市街地戦では大きすぎて取り回しが悪い事を指摘し短機関銃か突撃銃を取ってくるように言う。
3人は適当なトラックの荷台を開ける、そこにはいくつかの木箱があった。
その中の一つをリーネとペリーヌは引っ張り出す。
リーネ「多分これですよね?」
ペリーヌ「ええ」
ヴィーレス「違うぞ、だがいいものを見つけたな」
その木箱がMP40であるかペリーヌとリーネには分からなかった、だがヴィーレスにはそれがMP40でもStg44でもないがいいものだった。
箱にはパンツァーファウスト60と書かれていた。
レート「パンツァーファウストだ、こいつをジープに積むぞ」
ヴィーレス「ああ、とりあえず手当たり次第にトラックの荷物を確認しろ。
パンツァーファウストと弾薬と地雷と手榴弾を乗せれるだけ乗せろ」
レートとヴィーレスはそれを見るとジープに乗せる。
ペリーヌ「え?いいですか?」
ヴィーレス「ここでは物資は早い者勝ちだ。
ぼさっと立ってないで早く弾薬と地雷と手榴弾を探せ!」
ペリーヌが困惑するがヴィーレスが怒鳴る。
その間にもレートは他のトラックの荷台を開けて物資を取り出してジープに運んでいた。
リーネ「えっと、レートさん…それいいんですか?」
レート「こういうのは兵士に持っていくと喜ぶんだよ」
するとリーネはレートの抱える物資を見て微妙な表情をする。
レートが抱えていたのはコニャックのケースだった。
レートはそれをジープに乗せるとさも当然のように答えた。
元々陸戦部隊にもいたレートは前線の兵士が何を求めるかよくわかっていた。
リーネとペリーヌも手伝いそれからしばらくするとジープ一杯に弾薬と食料と地雷、パンツァーファウスト、手榴弾が積まれた。
またペリーヌは後方警備部隊が使用していたMP41、リーネは戦場から回収されたStG44を調達し装備した。
ヴィーレス「このぐらいあればいいだろう。
それじゃあ行こうか」
ペリーヌ「はい」
物資が山積みにされたジープを見てヴィーレスが満足したように言うとペリーヌとリーネとレートと共にジープに乗り込むと出発した。
そしてジープは橋を渡り市街に向かう。
その途中突然ペリーヌは頭に何かをかぶせられた。
ペリーヌ「きゃ!なんですの!?」
レート「あ、すまん。ヘルメットだ。
この先は危険だ、ヘルメットを着けといた方がいい」
驚いたペリーヌが振り返るとヘルメットを被りMP40の弾薬ポーチをつけヘルメットを被ったレートがペリーヌにヘルメットを被せたのだ。
陸戦においてヘルメットは重要である。
史実でもソ連軍がヘルメット着用者と非着用者の死傷率を比べたところ明らかにヘルメット着用者の方が少ない事が統計的に明らかにされているほどである。
ペリーヌ「ありがとうございますわ、レートさん」
レート「どういたしまして」
ジープは二人が話している間に負傷者や戦死者が山積みにされたトラックや橋から市街地を睨むヘッツァーとすれ違い北岸へと向かった。
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その頃市街地では瓦礫の中をなにかが動いていた。
兵士A「ん?」
兵士B「どうした?」
それに近くで当直していたライフルを持った兵士が瓦礫の向こうに何かがいることに気が付く。
兵士A「何かがいるような気がする」
兵士B「気のせいじゃないか?」
兵士A「かもしれんが…」
兵士B「そんな事より早く寝よう。
そろそろ当直交代だ」
だが二人は全く気が付かなかった。
ユリウス「ふぅ、危なかったぜ…」
瓦礫の反対側にはユリウスがいた。
彼はトラックに紛れ込み、さらに隠れながら市街地に入りホルト通りの家を目指していたが瓦礫で元々の街並みはぐちゃぐちゃになりその上街灯もなく、新月で明かりといえば兵士達が持っている懐中電灯や焚火、自動車やオートバイのライト程度だった。
そのため道に迷っていた。
ユリウス「たく、ここ何処だよ。
瓦礫と兵士だらけじゃねえか」
瓦礫に隠れながら悪態をつく。
すると目の隅に破壊されたが兵士達のいる気配のない建物を見つけた。
ユリウス「ラッキー!」
その建物に向かってユリウスは走り建物の中に入った。
ユリウス「誰もいないみたいだな…今日はここで寝るか」
誰もいないことを確認するとソファの残骸に寝転がり眠り始めた。
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ヴィーレス「次の角を右に曲がってすぐ左の建物で止めてくれ。
そこが中隊本部だ」
リーネ「はい」
その頃、ペリーヌ達は橋を渡り北岸に到着した。
北岸に到着するとヴィーレスの指示を受けながら中隊本部に到着した。
中隊本部は元は病院らしき建物だった。
「ヴィーレス大尉」
ヴィーレス「ヨギ、今すぐタミク、カメンスキ、アントンとコスティア、ソーレスタ、セイナス、ラーディックを集めろ、新しい任務だ。
それと、お客様と物資も持って来た」
ヨギ「は」
到着するとすぐに機関銃手らしきヨギという兵士が現れヴィーレスに敬礼する。
ヴィーレスも返礼すると中隊を集めるように命令した。
ヴィーレス「さあ、ついたぞ。
司令部は中だ、男しかいないし碌に片付けもしてないがな」
ペリーヌ「お邪魔します…」
ヨギが中に戻るとヴィーレスに続いてペリーヌ達も司令部に入った。
中はある程度片付けられていたが至る所に戦争の跡が残り、窓ガラスはすべて割れ、瓦礫が転がり屋根にもいくつもの穴が開いていた。
ペリーヌ「気味が悪いですわね…」
リーネ「幽霊でも出そうですね…」
ペリーヌとリーネは慣れない最前線の空気を気味悪がっていた。
一方レートはこういうものに慣れていたため大して気味悪がらなかった。
ヴィーレス「何をしている、こっちだ」
3人は中隊本部の入り口で立ち尽くしていたため先に行っていたヴィーレスが付いてくるように求める。
3人はヴィーレスについて奥に行くとある部屋に入った。
その部屋には無線機や地図が並び武器が乱雑に壁に立てかけられ、弾薬が部屋の隅に置かれていた。
部屋の中には数人の兵士がいた。
「ヴィーレス大尉」
ヴィーレス「お前たち、新しい任務だ」
入ると一斉にヴィーレスに全員が敬礼する。
兵士達の中には双子や迷彩ヤッケをつけたものなどがいた。
タミク「新しい任務とは?」
代表して最初にヴィーレスに声をかけたPPSh41の弾薬ポーチをつけたタミクがヴィーレスに聞いた。
ヴィーレス「簡単だ、この街に迷い込んだユリウスとかいう少年を探し出して救出することだ」
カメンスキ「つまり迷子探しじゃねぇか」
ヴィーレス「そうだカメンスキ、要約すればこの街で迷子を捜せという事だ」
ヴィーレスの任務を聞いてSVT‐40を持った狙撃手のカメンスキが悪態をつく。
この任務はいわば迷子探しだった。
ソーレスタ「大尉、この任務は我々がすべきことではありません。
なぜそこまでする必要が?」
カメンスキ「ああソーレスタ、言う通りだ!
どうでもいいガキの為に戦う気なんてあるか!」
StG44を傍に置いたソーレスタがヴィーレスに意見するとカメンスキも同調する。
その態度にペリーヌが怒る。
ペリーヌ「その言い方は何ですの!」
カメンスキ「あぁん?ガキは黙ってろ!
いいか俺達は毎日この祖国とも何の関係もない場所で何の関係もない連中にために戦ってるんだぞ!
俺達の祖国はエストニアだ!
ここでちゃんと戦ってるだけでも有難いと思え!このクソメガネ!」
セイナス「カメンスキ、その言い方はやめろ」
カメンスキの言に衛生兵のセイナスが諫める。
彼らにとって祖国エストニアでも何でもない場所で何の義理もない人の為に戦う彼らに突然全く関係のない任務を与えられれば不満があるのは当然だった。
ヴィーレス「私だって不満はあるが501の元ウィッチの御依頼ならば引き受けないわけにはいかないだろ」
ラーディック「501?ですか」
メガネをかけてPPSh41を持ち迷彩服を着たラーディックが聞き返す。
ヴィーレス「ああ、そこにいるクロステルマン中尉とビショップ曹長は元501だ」
アントン「501って…」
コスティア「あのよくニュースに出てたエリート部隊だろ…」
ヴィーレスの言葉に双子のアントンとコスティアが反応する。
陸軍部隊の二人にも501の名はよく知られていた。
タミク「お前ら、知らないのか?
俺達は去年ドーバー事件に出動したんだぞ」
ソーレスタ「ああ、その時はまだ第113旅団第300バルチックライフル連隊エストニア大隊だったからな。
知らないのも無理はないだろう。
アントンとコスティアはあの時にはスオムスの第3エストニア義勇擲弾兵旅団所属だったからな」
元々第20義勇擲弾兵師団はガリア解放後第113旅団を解隊しその中のエストニア大隊をスオムスやバルトランド、東部戦線各地にいたエストニア人部隊と合流させて編成したエストニア人師団だった。
タミクとソーレスタ、ヴィーレスはドーバーの一件の際、第300バルチックライフル連隊エストニア大隊所属で反乱ブリタニア軍鎮圧にも出動していた。
ヴィーレス「あの時は我々の一方的な勝ちだったが。
ところで…」
するとヴィーレスがレートに目をやり話題を変える。
ヴィーレス「ところで貴様は何処の誰だ?」
レート「ユニオ・ヴァレリオ・レート、訳あってペリーヌのところでお世話になってるロマーニャ人ですが?」
ヴィーレス「嘘を言うな」
レートが答えるとヴィーレスはレートに持っていたトカレフTT-33拳銃を向けた。
ヴィーレス「普通の奴が軍用の最新型ウェブリーリボルバーとホルスター、それにロイヤルエアフォースのブーツとズボンとベルトを持っているわけがないだろう。
それにあんたからは我々と同じ匂いがプンプンするぞ」
レート「はぁ、降参だ。」
ヴィーレスが最新型のウェブリーリボルバー(単なる戦時量産型)とホルスター、ベルト、ズボンを持っている時点で只者ではないと感じていた。
その洞察力にレートは両手を上げて降参を示した。
レート「流石前線指揮官、洞察力に優れてる。
その通り、元はRSI、イタリア社会共和国空軍所属だった元エジプト王国空軍のパイロットですよ」
ヴィーレス「そうか、イタリア人か」
レートは正直に答えた。
それに対するヴィーレスの反応は薄かった。
ヴィーレス「我々としては信用できない人間を部隊に同行させたくないからな。
それじゃあ状況を説明しよう、そこに座れ」
ヴィーレスとしてはただレートの正体が知りたいだけでそれほど興味はなかった。
するとヴィーレスは部屋に置かれたテーブルに地図を広げペリーヌ達に状況を説明し始めた。
ヴィーレス「今我々がいるのがここ、広場の少し西にある官庁街のこの建物だ。
その少年は何処にいる可能性が高いんだ?」
ペリーヌ「恐らくホルト通りです」
「「ホルト通り!?」」
ヴィーレス「何とも面倒な所だなぁ…」
ヴィーレスが状況を説明しペリーヌにユリウスがいる可能性のある場所を伝えたがその答えに一同が驚き、ヴィーレスは頭を抱えたようだった。
ヴィーレス「ホルト通りはここ、鉄道線路の手前にある通りに接続する通りだ。
この通りを抑えると鉄道土手を抑える事ができる。
3回前にいた大隊はこの地区を押さえようとし、3回目で前にいた大隊が壊滅した。
場所はここから約1キロだ」
ヴィーレスがホルト通りの位置と状況を説明する。
ホルト通りは市内中心部を走る鉄道路線の傍にある通りの一つでこの通りは鉄道土手の手前にある通りの接続する通りだった。
この地区を押さえると鉄道土手をメインとした防衛線を築くことが可能だった。
だがネウロイの抵抗が激しくこの前にいた大隊は3回攻撃を行うも3回目で壊滅していた。
カメンスキ「なんで俺達がガキの為に死ななきゃならねえんだよ!」
ヴィーレス「カメンスキ、文句を言うな。
それで、我々は明日の明朝出発する。
出発後は北上、ホルト通りを目指す」
カメンスキが文句をつけるがヴィーレスが諫めペリーヌに作戦を伝えた。
だが内容にペリーヌは不安を感じた。
ペリーヌ「明日の明朝?今すぐは無理なんですの?」
ヴィーレス「無理だ、兵士達は今日も一日中戦って疲れ切っているんだ。
それに闇夜に下手に動けば同士討ちの危険性も高い、明日の朝に動くのが一番だ」
ペリーヌ「わ、分かりました…」
ヴィーレスがペリーヌに夜は動けないと伝えた。
ヴィーレス「予定は伝えたぞ。
解散、明日に備えて寝ろ」
「「了解!ヴィーレス大尉!」」
ヴィーレスが解散を伝えると兵士達が敬礼して返事する。
ヴィーレス「君たちも早く寝ろ、明日は激戦になるぞ」
ペリーヌ「分かりました」
レート「そういえば、コニャックを土産に持って来たが飲む奴はいるか?」
ヴィーレスがペリーヌ達に寝るのを勧める。
それと同時にレートは兵士たちにコニャックを飲むかどうか聞いた。
カメンスキ「コニャック?飲むぜ。どこにあるんだ?」
ラーディック「私も飲みます」
ソーレスタ「気が利くじゃないか、レート」
レート「落ち着け、今から持ってくるから」
それを聞いて兵士達が次々と集まった。
レートは部屋から出ていくとジープに戻りコニャックを持ってきた。
レート「はい、コニャックだ」
「「うぉおお!!」」
コニャックの瓶を見ると兵士達から歓声が上がった。
ソーレスタ「一人一杯だけだ、各自何でもいいからコップでも何でも持って来い」
仕切り役のソーレスタが兵士達に言うと兵士達は各自拾ったコップや支給されたコップ、中には水筒の飲み口を開けたものまで持って来た。
その光景を見てペリーヌは呆れた。
ペリーヌ「何やってるかしら、この人たちは…
たかがお酒じゃない。お酒ごときで大騒ぎするとは」
レート「いや、酒だからな。前線の兵士にとって酒と飯と睡眠は唯一の娯楽だ」
ペリーヌにレートが説明する。
前線の兵士にとってアルコールは数少ない娯楽だった。
レートはそれぞれにコニャックを注ぐとどこからか3つのワイングラスを持ってくるとその中に注ぎペリーヌとリーネに渡す。
レート「ペリーヌ、一緒に飲もう」
ペリーヌ「え、ええ。ん?どうしましたの?」
するとペリーヌはレートの手を見てあることに気がついた。
ペリーヌ「震えてますわよ。」
レート「え?ああ、何故か橋を渡ってからこうなんだ。
気のせいか?」
レートの手が激しく震えていることに気がついた。
ペリーヌはレートの手を取ると震えを抑えようとする。
ペリーヌ「大丈夫ですか?」
レート「多分、大丈夫だ」
ペリーヌ「そう…」
レートはペリーヌに答えるがペリーヌはその答えに不安を感じた。
彼らは一杯のコニャックを飲み終えると各自瓦礫の中の寝床に潜り込んだ。
レートの手が震えているのはプライベート・ライアンのミラー大尉のイメージ。
兵士達が任務に不満を示すのもプライベート・ライアンから。