シャーリーが怪我をします。
後マイナーイタリア機山ほど登場
シャーリー「は?嘘だろ?」
フェル「撃った…わよね?」
マルチナ「ど、どうしますかフェル隊長!?」
ヴェネチアにいたシャーリー達には沖合の艦隊が一斉に発砲した様子が見えていた。
そしてその砲弾が頭上を掠め次々市街に落下し各所で爆発が起きている様も見えていた。
だがそれに彼女たちは混乱し右往左往するばかりであった。
すると突如、彼女たちの傍にあった建物に砲弾が直撃、吹き飛ばされた。
「「キャー!」」
ウィッチ達は5人とも傍の河口に吹き飛ばされた。
吹き飛ばされたウィッチ達はすぐに水面から顔を出して状況を把握する。
ルッキーニ「ねえ!何が起きたの!?」
ルチアナ「今の、砲弾だよね?」
フェル「多分沖合の艦隊のよ。
ねえ、みんな無事?」
ずぶ濡れになったフェルが全員の安否を確認する。
マルチナ「私も無事です」
ルチアナ「僕も怪我はないよ」
ルッキーニ「シャーリーがいない!」
マルチナもルチアナもルッキーニも無事だった。
だがシャーリーがいなかった。
フェル「不味いわよ!すぐに探し…伏せて!」
フェルが号令しようとするが特徴的な風切り音が近づいてくるのを感じると伏せる。
次の瞬間、傍の岸壁に命中爆発し破片をまき散らした。
フェル「プハ!兎に角今すぐ…わ!」
シャーリー「ガハッ!ゲホッゲホッ!」
砲弾が爆発してから顔を出し探そうとするとシャーリーが突如水から出てきた。
それを見てルッキーニがシャーリーに抱き着いた。
ルッキーニ「シャーリー!大丈夫?」
シャーリー「大丈夫…痛っ…何だ…血?」
シャーリーは突如頭に痛みを感じ左手で頭を触ると手にはべったりと血がついていた。
彼女は砲弾の破片で左側頭部に大きな切り傷を負っていた。
フェル「貸して、少しくすぐったいかもしれないけど」
するとフェルはシャーリーに近寄ると魔法力を発動して傷の手当てを始めた。
そして少しして傷が塞がった。
フェル「これでたぶん大丈夫よ、急いで陸に上がりましょう」
シャーリー「ああ」
傷が塞がると5人は急いで岸壁に泳いで向かい何とか陸地に上がった。
既に砲撃は終わっていたが地上は阿鼻叫喚の渦であった。
リアルト橋は砲弾の直撃を受け崩壊し、路面には多数の砲弾のクレーターができていた。
更に建物もいくつかは完全に崩壊、半壊したものも半分近くに上り、殆どの建物の窓ガラスは破片と爆風と衝撃で割れていた。
更には吹き飛んだゴンドラ、原形を留めない程に破壊された車、そして多数の死体と吹き飛んだ人体の一部がそこら中に散らばっていた。
シャーリー「ルッキーニ、見るな!」
ルッキーニ「え?何?シャーリー?」
それを見たシャーリーは咄嗟にルッキーニの目を覆った。
無論このショッキングなシーンを見せないという配慮であった。
フェル「酷い…」
マルチナ「こんなことが…」
ルチアナ「なんでこんな事をするんだよー!」
シャーリー「これが…ハインツの言っていた戦争…嘘だろ…なんで…?」
その光景に赤ズボン隊は驚きシャーリーは放心状態だった。
目の前に広がっていたのはハインツが語っていた“戦争”だった。
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その頃上空では南と西から150を超える大編隊が接近中だった。
「こちらシピオ、ダンテ、応答せよ」
『こちらダンテ、現在パドヴァ上空を通過、これよりヴェネチア管区の防空圏に入る』
その編隊の中のSM79スパヴィエロとカントZ1018レオーネ、カントZ1007アルシオーネの大編隊がマッキMC205ベルトロの護衛の元ヴェネチアに向け一路北上していた。
指揮官はエットレ・ムーティ中佐、護衛は護衛部隊の第10航空群司令フランコ・ルッキーニ大尉、ダンテ隊は第102急降下爆撃航空群司令ジュゼッペ・チェンニ少佐であった。
編隊はシピオ(スキピオ)のコールサイン、護衛部隊はヴィットーリア、そして先行しているフィアットG55チェンタウロとレッジアーネRe2005サジッタリオの混成戦闘爆撃機隊、コールサインダンテで編成されていた。
そして編隊を編成する全機には胴体と両主翼に緑と白と赤のストライプが描かれていた。
ムーティ「了解した、先にダンテ隊がヴェネチア周辺の飛行場を攻撃、制圧。
その後我々がヴェネチアを空襲する。
全機、間違っても味方を爆撃するなよ。
攻撃開始後30分後に今度はトリエステから第二波が来る、こっちはヴェネチア軍の機体も混ざってるから同士討ちに気をつけろ。」
チェンニ『ダンテ了解』
フランコ『ヴィットーリア了解』
ムーティが無線で全機に攻撃の手筈を伝えた。
そして編隊はヴェネチア防空圏に侵入した。
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レーダー手A「方位195から国籍不明機の編隊接近、数100以上!」
レーダー手「方位263からも国籍不明機接近!数50以上!」
その頃ヴェネチア郊外の防空司令部ではロマーニャ軍の編隊が侵入したのと同時に目標を感知した。
指揮官「クソ、全機出撃させろ!
先に南から来るのを叩け!西からのは高射砲部隊に叩かせろ!」
兵士「了解!」
指揮官は即座に全戦闘機を出撃させ迎撃に向かわせた。
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パイロットA「回せ!回せ!」
パイロットB「上げられる機は全部上げろ!」
パイロットC「どうせクーデターを支援するロマーニャ人だ!
誰があいつらについていくか!」
全機出撃という命令を受けたヴェネチア周辺の飛行場や臨時飛行場ではパイロットたちが並べられたレンドリースされたP-40やP-39、スピットファイアに駆け寄り離陸準備を始めた。
だがそのすぐそばまで既にロマーニャ軍機は近づいていた。
チェンニ「目標視認!さあ!ワルツを踊れ!小人たち!」
「「アイ!」」
目標を視認するとチェンニは部下たちに指示する。
そして彼は目の前の監視塔に自機の照準を向けた。
それと同時にヴェネチア軍の見張りも気がついた。
見張り「7時の方向!敵機接近!沢山来るぞ!」
見張りが叫んだ直後、見張りのいた監視塔が機銃掃射を受け穴だらけになる。
そしてその上空をロマーニャ空軍のRe2005が通過する。
更に別のG55やRe2005もやってくると急降下爆撃やロケット弾を撃ち込んで格納庫や燃料タンク、兵舎、管制塔、高射砲を破壊していった。
また駐機場や地上走行中の機も次々と機銃掃射を浴び態勢を崩したり炎上、爆発した。
だがその攻撃をかいくぐり一部の戦闘機や攻撃を受けるのが遅れた一部の飛行場から戦闘機が離陸しチェンニ隊やムーティ率いる爆撃機隊に向かった。
パイロットA『前方11時方向敵機!数5から6!』
チェンニ「敵機も来たか、全機、対地攻撃は程々にして敵機を叩くぞ!
こちらダンテ、これよりヴェネチア軍機と交戦する、シピオ、ヴィットーリア、警戒せよ」
チェンニは無線で報告すると空戦が始まった。
迎撃に来たヴェネチア軍機はその大半がP-39だったが相対するダンテ隊はそれよりも高性能なG55やRe2005でありもはや一方的であった。
性能差があった上にパイロットの大半は史実で数多くの空戦に参加した元イタリア空軍パイロットかその教育を受けた実戦経験豊富で最も優秀な戦闘機パイロット達、対するヴェネチア軍パイロットは戦闘経験は少なく、ましてや対ネウロイではなく対戦闘機戦の訓練も不十分であったため対空砲の援護もむなしく次々と撃墜されていった。
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チェンニ『こちらダンテ、これよりヴェネチア軍機と交戦する、シピオ、ヴィットーリア、警戒せよ』
ムーティ「シピオ、了解。」
フランコ『ヴィットーリア、了解』
チェンニの無線を聞いたシピオ隊とヴィットーリア隊は警戒し始めた。
各爆撃機の機銃座に兵士達がつき防御機銃を装填、ヴィットーリア隊は上昇し編隊の上方に着いた上で太陽を背にして編隊を援護する。
そしてそれから5分ほどするとヴィットーリア隊の戦闘機の一機が眼下に何かを捉えた。
パイロットB『うん?あれは…敵機です!
斜め右下2時方向、数10以上!』
フランコ「確認した、全機、俺に続け!」
それを聞いてルッキーニが確認、彼は機体をロールさせると急降下して敵機を背後から襲い掛かった。
それに他のベルトロも続く。
ヴェネチア軍パイロットA「クソ、そろそろ敵機が見えるは…クソ!なんだ!?」
ヴェネチア軍機のパイロットが爆撃機編隊を探していると突然背中に衝撃を感じスピットファイアの右主翼の燃料タンクが燃え始めた。
その上を三色のストライプをつけたベルトロが飛び越える。
ヴェネチア軍パイロット「敵機だ!不味い!火が!火が!母さん!」
次の瞬間機体は燃料タンクが爆発し右主翼が折れ錐揉み状態になり墜落した。
奇襲を受けたヴェネチア軍機はなすすべもなく撃墜されていった。
だがこの攻撃を2機の戦闘機がかいくぐると爆撃機隊に接近した。
機銃手A「後方!敵機!」
ムーティ「了解!全機、編隊を密にせよ!繰り返す編隊を密にせよ!」
パイロットC『弾幕を張れ!近づけさせるな!』
戦闘機が近づくと爆撃機は機銃座から弾幕を張って妨害する。
ヴェネチア軍機はそれをかいくぐり編隊の左最後方にいたアルシオーネに狙いをつけると接近した。
パイロットD「後方につかれた!クソ!」
パイロットは振り払おうとするが不可能でありあっという間に銃撃を受けると木製のアルシオーネは出火、あっという間に大炎上し搭載した爆弾に引火して爆発した。
だが戦闘機の方も一機が他の爆撃機の防御機銃の火線に捉えられ被弾、撃墜された。
しかしもう一機は今度は編隊の前に回り込みヘッドオンで攻撃しようと接近する。
編隊は約350キロ、一方敵機は約400キロ以上、相対速度700キロ以上で接近する。
敵機は編隊の先頭を飛ぶムーティのスパヴィエロに銃撃を仕掛け銃弾が機体を掠め、数発は胴体を貫く。
ムーティ「この!」
ムーティは空中衝突を避けようと機体を上昇させる、だが敵機は食いついたまま離れない。
そして次の瞬間、敵機が被弾し錐揉み状態になって急降下した。
その上をルッキーニのベルトロが通過した。
ムーティ「はぁ、ルッキーニ、助かった」
フランコ『戦闘機は粗方片付けた。
そろそろヴェネチアか?』
ムーティ「どうだ?航法手」
ルッキーニに感謝を伝えるとムーティは振り向いて航法手に現在地を聞いた。
航法手「後5分です」
ムーティ「了解、残り5分だ。
全機、攻撃ポジション、同士討ちに注意!」
ムーティは全機に伝えた。
編隊は爆弾倉を開き、爆撃手は眼下の雲の間から見えるヴェネチア市街を照準する。
ヴェネチア市街に近づくと敵の高射砲弾を届き始め次々と黒い煙が編隊の周囲に発生した。
だが直後、高射砲陣地が爆発した。
それと同時に艦隊が発砲していた。
爆撃手「目標捕捉!」
ムーティ「よし、投下!投下!投下!」
ムーティの合図と共に大量の爆弾がヴェネチア市街に降り注いだ。
だが直後、突然無線が不調になり始めた。
ムーティ「ん?なんだ?こちらシピオ、応答せよ、繰り返すシピオ、聞こえるか?
故障か?」
通信手「分かりません」
副操縦士「中佐、他の機も無線が故障しているようです」
原因不明の不調は手話信号で他の機の不調も伝えられた。
すると艦隊から若干不明瞭な無線が聞こえてきた。
「「方位085よりネウロイ接近!全機警戒せよ!繰り返す警戒せよ!」」
ムーティ「ネウロイだ!全機、退避だ」
艦隊は航空機搭載型とはまるで違う極めて強い強度の電波を発信可能な無線機を全艦装備していた。
そのためレーダーで探知したネウロイを無線妨害を無視して警告することが出来た。
艦隊からの警告を聞くとムーティは機体の主翼を振り左旋回して離脱を開始した。
離脱を開始するとネウロイの迎撃に向かうヴィットーリア隊とダンテ隊とすれ違った。
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その頃地上ではシャーリー達が砲撃で無茶苦茶になった市街地で民間人を助けていた。
フェル「怪我人はこっちに!」
ルチアナ「フェル隊長、この人を!」
マルチナ「もう大丈夫だから」
シャーリー「これで…」
フェルの治癒魔法で何とか怪我人の手当てをしていると空襲警報と共に爆発音と砲撃音が聞こえ始めた。
それを聞いて空を見上げる。
フェル「あれって…」
シャーリー「高射砲だ!早く!防空壕に!」
シャーリー達は怪我人を抱え近くの防空壕に急いだ。
防空壕に入りしばらくすると頭上にいくつもの衝撃が走り地面が揺れる。
それが治まり地上に出ると地上は完全に破壊されていた。
ルッキーニ「ヴェネチアが…」
シャーリー「酷い…」
その光景に絶句するしかなかった。
その直後、上空を真っ黒い物体が猛スピードで通過した。
シャーリー「あれって…」
フェル「ネウロイ…!」
それはネウロイだった。
するとそこに主翼と胴体に白と赤と緑のストライプをつけたロマーニャ空軍の戦闘機が殺到し攻撃を開始した。
それを見るとシャーリーはルッキーニを呼んだ。
シャーリー「ルッキーニ!」
ルッキーニ「んにゃ?」
シャーリーの目を見るとルッキーニは即座にシャーリーの次の行動を理解した。
すると二人は走り出した。
それにフェルが止めようとする。
フェル「ちょ、どこに行くのよ!」
シャーリー「ユニットのところだ!戦闘機を援護する!」
シャーリーは答えるとユニットを積んでいたトラックに向かって走る。
そしてユニットを積んでいたトラックのところについた。
だがトラックは爆撃の直撃は受けなかったが至近弾で横転し、さらにキャブの上に瓦礫が落ちて完全に潰れていた。
シャーリー「ルッキーニ、発進台を出すぞ!」
ルッキーニ「うん!」
シャーリーとルッキーニは横転したトラックの荷台に潜り込むと発進台を出そうとする。
だが1トン近い発進台は少し動いただけだった。
シャーリー「もっとだ!もっと引っ張れ!」
荷台の奥で発進台を押しながら前で引っ張るルッキーニにシャーリーは叫ぶが少ししか動かない。
すると手がルッキーニの後ろから伸び発進台を掴んだ。
フェル「あんた達だけじゃ動かないわよ、ルチアナ、マルチナ、手伝って」
マルチナ「はい!フェル隊長」
ルチアナ「任せて~!」
それは赤ズボン隊だった。
フェルとルチアナはルッキーニの側で発進台を引っ張り、ルチアナは隙間を通ってシャーリーの側から発進台を押した。
そして何とか発進台を引っ張り出し立たせると二人はユニットを履いて武器を取った。
シャーリー「ルッキーニ!行くぞ!」
ルッキーニ「うん!」
二人は離陸、ストライカーの轟音を立てながらネウロイへと向かった。
(解説)
・フランコ・ルッキーニ
史実イタリア王国空軍第10航空群司令
大戦中のイタリア軍のトップエースの一人。
43年に撃墜、戦死して飛ばされる。
ルッキーニの元ネタの人
・ジュゼッペ・チェンニ
史実イタリア王国空軍第102急降下爆撃航空群司令
スキップボミングを開発したイタリア空軍の急降下爆撃機パイロットでエース。
いらん子のジュゼッピーナの元ネタの人。
43年にシチリア上空で戦死して飛ばされる。
次は対ネウロイ戦だぞー
我らがイタリア空軍キャラはまだまだ出るぞー!
ヴェネチア空軍の装備のモデルは史実イタリア共同交戦空軍の機です。