WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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ヴェネチアの戦闘終了&色々アレ


第4話:バトル・オブ・ヴェネチア

シャーリー「ルッキーニ、通信状態が悪い、あまり離れるな」

 

 離陸した二人はすぐに異常なほど無線の状態が悪い事に気がついた。

 それは他の部隊も同様であった。

 前を向くとそこにはロマーニャ空軍の戦闘機が蠅のようにたかったネウロイがいた。

 ネウロイの周りではG55やRe2005、MC205が2機編隊で一撃離脱を繰り返しながら攻撃を加えていた。

 彼らは無線が殆ど使えないため手信号で合図をし攻撃していた。

 

シャーリー「よーし、行くぞ!」

 

ルッキーニ「了解!」

 

 二人は戦闘機に交じりネウロイへ攻撃を開始した。

 その頃フランコはネウロイを追いかけながら燃料と弾薬の心配をしていた。

 

フランコ「クソ、弾薬と燃料が足りない…

     ん?なんだ?」

 

 航続距離の短いベルトロの心配をしていると突如後ろから全く別の攻撃がネウロイを攻撃し始めた事に驚き振り返る。

 するとシャーリーとルッキーニが戦闘機を追い抜いた。

 

フランコ「ウィッチだ、よし、全機、この気を逃すな!

     総攻撃だ!」

 

 するとフランコは主翼を振り急上昇した。

 急上昇を開始するとそれに他のベルトロが続いた。

 

チェンニ「ルッキーニが動いたか、後れを取るな!」

 

 それを見たチェンニも主翼を振ると急上昇、それにサジッタリオとチェンタウロが続く。

 編隊はネウロイの真上につくと急降下、ネウロイに急降下して搭載されたMG151/20とSAFATを乱射し表面を削る、更にその後ろから2機編隊で連続してベルトロ、さらにダンテ隊の各機が攻撃を繰り返す。

 するとネウロイは突如変形し加速し始めた。

 

シャーリー「変形した!?」

 

フランコ「クソ!しかも速いぞ!こっちは燃料も弾薬もジリ貧だ!」

 

 ネウロイは変形するとそれ以前よりもさらに高い機動力で戦闘機とウィッチを翻弄する。

 それに元々設計上航続距離が長くないベルトロなどを操縦するパイロットは燃料の心配をし始めた。

 

フランコ「頼みの綱は今向かってるはずの第二波か…」

 

 もはや頼みの綱はアドリア海を渡り向かってるはずの第二波攻撃隊だった。

 この部隊はクーデター派のヴェネチア軍とロマーニャ軍バルカン派遣航空軍団の連合部隊であり対地攻撃装備が多いものの戦闘機も多数いた。

 

 

---------

 

 その頼みの綱である第二波攻撃隊はこの時ヴェネチアの東約30キロの海面スレスレを飛行していた。

 

航法手「ヴェネチアまで残り30キロ」

 

「了解、高度は今のまま、全機、警戒せよ。

 第一波との通信が途絶した、何がいるか分からないぞ」

 

 その編隊のリーダー機のヴェネチア空軍にレンドリースされていたマーチンA-30ボルチモアMkⅣでは航法手がヴェネチアへの接近を伝えると機体を操縦する爆撃機隊のリーダー、カルロ・ブスカーリア少佐が機体を上昇させ始めた。

 編隊はトリエステ及びアドリア海沿岸地域各地より離陸したヴェネチア空軍の爆撃機とロマーニャ空軍の爆撃機の混成飛行隊でありその護衛も又ヴェネチア空軍機とロマーニャ空軍機の混成だった。

 ヴェネチア空軍機隊の指揮官はブスカーリア、ロマーニャ空軍機隊はカルロ・ファッジョーニ大尉が指揮していた。

 彼らの任務は第二波としてヴェネチアを空襲、第三波となるロマーニャから北上中の空挺部隊、第183空挺師団チクローネと第184空挺師団ネンボゥ、第185空挺師団フォルゴーレの大空挺部隊の空挺降下前に第一波が撃ち漏らした敵の掃討、敵飛行場の完全破壊、完全なる敵航空戦力の撃滅が狙いであった。

 そのため部隊の構成はより細かい動きが可能な軽爆撃機や攻撃機、戦闘攻撃機が中心であり全体的な機動力では上であった。

 だが彼らは第一波からの無線通信が突如途絶した事と艦隊からのネウロイとの交戦開始という連絡を受け警戒していた。

 更には予定よりもこの時点で遅れていた。

 というのもトリエステを離陸した際に一部の機が合流に手間取ったため予定より30分遅れていた。

 

ブスカーリア「こちらマメーリ、バリッラ、応答願う」

 

ファッジョーニ『こちらバリッラ、どうぞ』

 

ブスカーリア「第一波の事がある、現高度を維持して突入する」

 

ファッジョーニ『了解、現在100フィート』

 

 ブスカーリアはファッジョーニに予定とは違う低高度からの強襲を伝える。

 彼らが飛んでいたのは海面から僅か100フィート、約30メートルであった。

 そしてすぐに水平線上に多数の煙と艦影が見え始めた。

 

ブスカーリア「よし、全機突入!」

 

 煙と艦影を確認するとブスカーリアはボルチモアの主翼を振り機体を高度200フィートまで急上昇させる。

 それに後続のボルチモアも続きさらに護衛の戦闘機隊は急上昇しネウロイに向かった。

 

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見張り員『左舷より国籍不明機接近!』

 

ベルガミーニ「何!?レーダー!どうなってる!」

 

レーダー手『低空飛行だったため発見できず!

      現在敵味方識別中!』

 

 その頃艦隊では突如第二波が現れたことに混乱していた。

 

ベルガミーニ「定時連絡は!」

 

チーマ「受けていません、そもそもこの電波妨害では送られてきたところで受信不能です。」

 

 第二波からの連絡を聞いたがそもそも酷い電波妨害であったため受信不能だった。

 

ベルガミーニ「何処の機か分かるか?」

 

見張り員『ヴェネチア軍のボルチモアです!

     低空で急速接近中!』

 

チーマ「閣下、攻撃しましょう!

    第一波の戦闘機はネウロイで手一杯です、我々の身は我々で守らなければ」

 

 見張り員からの報告を聞くとチーマは攻撃を要請した。

 戦闘機の上空援護は期待できずその上動けないため頼れるのは自らの対空火器のみであった。

 

ベルガミーニ「うむ…分かった、迎撃しろ!」

 

チーマ「了解!対空戦闘用意!」

 

砲術長「目標方位048!高度200!

    速度400キロ!照準急げ!」

 

 ベルガミーニの許可を得るとチーマと砲術長は対空火器を接近するボルチモアに照準、砲撃を開始した。

 

---------

 

 突如機体の前方に多数の黒煙が発生し砲弾が機体を掠め機体が激しく揺れ始めた。

 前方を見ると艦隊から多数の砲弾が飛んできていた。

 

ブスカーリア「バカか!こっちは味方だ!ローマ!こちら第二波攻撃隊!今すぐ射撃をやめろ!」

 

 ブスカーリアは誤射を止めようと主翼を振り、更に無線で呼びかけるが無線妨害で何も聞こえなかった。

 編隊を構成したボルチモアの内の一機が被弾し煙を吐きながら海面に激突する、更に他の機も被弾し機体に穴が開いたり燃料が漏れ白い煙を吐き始める。

 それでもブスカーリアとその部下は強引に誤射を潜り抜け艦隊上空をフライパスした。

 

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ベルガミーニ「しまった!撃ち方やめ!味方だ!撃つな!」

 

 フライパスした時、やっとベルガミーニは撃っていたボルチモアが味方だと気がつき射撃をやめさせようと大声で叫んだが手遅れであった。

 誤射を受け被弾していた一機のボルチモアがよろめきながら降下しほぼ裏返りながらヴェネチア軍の復旧中の高射砲陣地があったサン・マルコ広場に墜落、激突の衝撃で搭載されていた爆弾、更に陣地の弾薬と機体の燃料が発火、大爆発を起こし100メートル以上の爆煙が立ち上った。

 

---------

 

シャーリー「な、なんだ!?」

 

ルッキーニ「サン・マルコ広場が!」

 

 墜落し爆煙が立ち上る様はネウロイとの交戦中だったウィッチや戦闘機パイロットからもよく見えていた。

 彼らがそちらに意識を向けたその間にネウロイは彼らを振り払って逃げようと急上昇する。

 だが突如ネウロイの表面で大爆発が起きた。

 それは第二波の対地攻撃用のロケット弾を装備したスピットファイアであった。

 第二波の護衛隊と戦闘爆撃機隊はブスカーリア隊とファッジョーニ隊と分離するとネウロイに殺到した。

 彼らはスピットファイアやP-39のヴェネチア軍機だけでなくMC205やRe2005、G55、カールスラントから供与されたBf109やFw190などの対地攻撃装備だった。

 彼らはその本来地上の目標に対して使う兵器をネウロイ相手に使ったのだ。

 威力では対空用の21センチロケット弾よりは劣るもののそれが数十発も直撃した。

 これまで以上に頑丈なネウロイと言えどこれ程の攻撃を受ければひとたまりもなく表面が半分以上破壊されコアが露出した。

 

シャーリー「コアだ!ルッキーニ!」

 

ルッキーニ「任せて!」

 

 コアが露出したのを確認したシャーリーが叫ぶとルッキーニが銃を構え狙撃、コアを破壊した。

 

シャーリー「やったな!ルッキーニ!」

 

ルッキーニ「凄いでしょ!シャーリー!」

 

 二人は撃破した事を喜ぶがふと周りを見ると地上で次々と爆発が起きていた。

 

ルッキーニ「え…」

 

シャーリー「そうだった…」

 

 その光景を二人は見下ろすだけだった。

 第二波は誤射を受けながらも攻撃を開始、残存ヴェネチア軍の掃討と航空戦力の完全なる殲滅を開始した。

 第二波が去ると今度は別のエンジン音が南から接近し振り向くとそこには大量の輸送機とそこから降ってきた大量のパラシュートがあった。

 そして二人の上空から別の輸送機がビラを撒いていた。

 その一枚をルッキーニが手に取り読んだ。

 

ルッキーニ「“親愛なるヴェネチアの諸君!

       民族の為武器を捨てロマーニャと共に栄光へ、繁栄へ、平和へ、勝利へと進もう!

       それが祖国の為、家族の為、故郷の為だ!

       イタリア万歳!ローマ万歳!ガリバルディ万歳!国王万歳!”

       どういう事?シャーリー」

 

シャーリー「成程な…」

 

 ルッキーニが聞くとシャーリーが呟いた。

 

 

---------

 

 

 その日の夜、ヴェネチア市内

 

シャーリー「酷いな…」

 

フェル「ええ、これが祖国の為ですって?どこがよ!?」

 

 シャーリー達は残骸で埋め尽くされたサン・マルコ広場にいた。

 広場の鐘楼にはロマーニャ国旗が掲げられヴェネチア国旗は打ち捨てられていた。

 

「爆弾と燃料が満載したボルチモアが墜落した割には被害は軽微そうですね」

 

「ええ、奇跡ですよ。

 火災も宮殿にも燃え移らず、数トンの弾薬も誘爆したのに」

 

「全くです」

 

 するとシャーリー達に聞き覚えのある声が聞こえ振り向いた。

 

シャーリー「ニコ!?」

 

フェル「ヴィスコンティ少佐!?」

 

ニコ「え?シャーリーさん?ルッキーニさんも」

 

ヴィスコンティ「マルヴェンツィ、君もいたのか」

 

 そこにいたのはニコと参謀本部のヴィスコンティだった。

 

シャーリー「なんでいるの!?」

 

フェル「少佐もどうしてここに?」

 

 二人はなぜここにニコ達がいるのか疑問であった。

 

ニコ「僕はロンメル閣下から連絡将校としてロマーニャ軍の作戦行動に随伴していたんです。

   ヴィスコンティ少佐は僕の案内役です」

 

 ニコはロンメルからロマーニャ軍の統一作戦に随伴してその詳細をロンメルに報告するため来ていた。

 そしてヴィスコンティはその案内役だった。

 

シャーリー「そうだったのか…ところでニコ、どう思う?」

 

ニコ「どうとは?」

 

シャーリー「なんでこんなことをする必要が…」

 

ニコ「イタリアの為ですよね?」

 

ヴィスコンティ「ああ、祖国イタリアの為だ。

        今日、我が民族は再び一つとなったんだ、誇らしい事ではないか」

 

 シャーリーがニコに聞いたが二人の意識はシャーリーとは正反対、このことを素晴らしい事だと捉えていた。

 彼らにとってはイタリアは一つの国家、一つの民族であった。

 

シャーリー「何処が!そのために一体何人死んだと思ってるんだ!

      ニコ!見損なったぞ!」

 

ニコ「シャーリーさん、これが僕たちの戦争なんです。

   分かってください。

   それじゃあいかないと、明日の朝一でチューリッヒに行かなきゃならないんで」

 

 ニコはそれだけを言うとヴィスコンティと共に何処かに行ってしまった。

 ラジオからは誇らしくマメーリの賛歌が流れ、統一を祝っていた。

 

---------

 

 

 翌日、チューリッヒ郊外クローテンにあるチューリッヒ空港には多数のB-29シルバープレートが並べられていた。

 

ニコ「マリエンフェルト大佐」

 

マリエンフェルト「おお、お客様の到着だ」

 

 その中でニコはこのB-29が所属する第509統合爆撃航空団司令マリエンフェルト大佐に声をかけて敬礼する。

 マリエンフェルトはニコの肩を叩きながら親しく話していた。

 

マリエンフェルト「どうだ、すごいだろう?

         これが明後日世界を変えるんだ」

 

ニコ「ええ。本来一か月前に使う予定だったものですね?」

 

マリエンフェルト「ああ、最高に素晴らしいものを運ぶんだ。」

 

 二人はB-29を眺めながら話していた。

 二人の会話の意味はこの二日後、現実となった。

 

 

---------

 

 1945年8月6日中央ヨーロッパ夏時間午前1時頃、プラハのネウロイの巣上空を数機のB-29が飛行していた。

 

マリエンフェルト「こちらビクター82、目標をレーダー照準。

         ビクター83、84は0115に機材を投下」

 

ビクター83『ビクター82、了解』

 

ビクター84『こちらビクター84、了解』

 

 3機のB-29は編隊飛行をしながら巣の上空に達するとレーダー照準で巣を捉える。

 そして2機のB-29がパラシュートを投下するとマリエンフェルトが操縦する機が丸い特徴的な爆弾を投下、3機は急上昇し180度旋回して離脱を開始した。

 直後、闇夜を閃光が切り裂き大爆発が発生しネウロイを飴のように溶かして破壊すると猛烈な爆風が機体を揺らし周囲にいたネウロイや地上の物を殆ど全て吹き飛ばした。

 翌朝、偵察に来たB-29に乗っていたニコはその光景に絶句していた。

 

ニコ「凄い…なんて破壊力だ…

   まさに神の火…人類の英知だ…」

 

 その三日後、今度はニュルンベルクも同様に吹き飛んだ。

 プラハとニュルンベルクを吹き飛ばしたもの、それは人類の英知、核兵器だった。




(解説)
・カルロ・ブスカーリア
史実イタリア共同交戦空軍第28爆撃航空団司令
44年にボルチモアのテスト飛行中の事故で事故死して飛ばされる。
イタリア空軍きっての雷撃機エースの一人でその名はイタリア空軍の対艦攻撃部隊の名誉称号に成るほど。
RSIでも戦死したと思われていたため雷撃機集団の名前に付いていた。(その後生きていることが判明するとブスカーリアからファッジョーニになった)

・カルロ・ファッジョーニ
史実イタリア社会共和国空軍雷撃機集団司令
44年にアンツィオ橋頭保の戦闘で撃墜され飛ばされる。
イタリア空軍きっての雷撃機エースの一人。
RSIの雷撃機部隊を率いアンツィオなどを攻撃した。
戦死後はRSIの雷撃機集団の名誉称号になった。

ちなみにロマーニャ軍機のコールサインはイタリア国歌マメーリの賛歌やイタリアのみ俗的英雄、ジョヴィネッツァから取ってます。
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