WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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ストパンのポスターの件に関してはフェミニストの言論弾圧に屈する事の方がキレてます


第7話:英雄的行為

宮藤「寒いね…アフリカってもっと暖かいと思ってた」

 

フランク「ああ、この辺りは吠える40度だからな。

     それに南半球だから今冬だしな」

 

 それから少しして、服部は天城の飛行甲板の端にいた。

 その隣にコートを着た宮藤とフランクがやってきた。

 だがその空気は非常に気まずい雰囲気だった。

 

宮藤「さっきはごめんね、怒鳴ったりして」

 

服部「いえ、でも宮藤さんのやった事は間違ってます」

 

 宮藤が話しかけると服部が宮藤の例の行動を非難した。

 

服部「どうして命令を守らなかったんですか?」

 

宮藤「ごめん、でもみんな助かって良かったよね」

 

服部「違います!」

 

フランク「何が違うんだ?」

 

 服部の言葉を遮るようにフランクが口を出した。

 

服部「分からないんですか!船が沈むかもしれなかったんです!

   艦長の命令は最良の物でした!」

 

フランク「確かにそれは認めよう、だが君は彼女の義務の範囲を超えた英雄的な行動を非難するのかね?

     君は命令を無視した上で行い成功した英雄的行為を命令違反だからという理由で認めないのかね?」

 

服部「宮藤さんがうまくいったのは偶々、偶然なんです!」

 

 服部がそう言うとフランクが聞いた

 

フランク「じゃあ聞くがあんたは何をした?」

 

服部「それは…」

 

 フランクの質問に服部は黙ってしまった。

 

フランク「彼女は誰もできなかった事を成し遂げた。

     そして艦とその乗組員の命を救った、なぜそれを讃えない」

 

服部「じゃあフランクさんは宮藤さんのやった事は正しいと思うのですか?」

 

 すると服部はフランクに聞き返した。

 

フランク「ああ、正しいと思う。

     彼女の行った行為は名誉勲章に推薦してもいいぐらいだ」

 

服部「どうしてですか?命令に従わなかったんですよ」

 

フランク「確かに命令にしたがなかった、だが彼女の行動は最良でありそして英雄的だからだ。」

 

服部「何が英雄的なんですか!命令は絶対なんですよ!」

 

 服部がそう言うとフランクは深呼吸をすると話し始めた。

 

フランク「服部、俺には兄がいた。

     同じ海兵隊員で名誉勲章受勲者だ。

     45年にオキナワで防衛を指示された陣地で日本軍から夜襲を受け次々と部下が戦死、負傷する中、兄は部下全員に退避を指示、自らは命令を拒否した3人の部下と共に陣地に残り撤退を援護、味方の支援が行われるまでの約3時間に渡り日本軍を撃退し続け最終的に3人で124人の日本兵を殺害した。

     陣地そのものは奪われたが3人は負傷しながらも味方陣地に辿り着いて救出され手当てを受けたが兄は手当てを受けると翌朝には無事だった部下と共に陣地の奪還に向かい前夜の戦闘で左肩を撃たれていた兄は拳銃を片手に部下に向かって叫びながら先頭に立ち突撃、陣地に辿り着くまでに3回撃たれるがその度に立ち上がると前進し続け陣地の30m手前に辿り着いたところで倒れるが最後の力を振り絞り手榴弾を投げ込み日本兵を倒すと倒れ戦死した。

     その勇敢且つ大胆で英雄的、義務の範囲を超えた英雄的行為によって兄は名誉勲章を授与された。

     彼女を英雄だと言わないのなら、君は全ての英雄と称えられるべき人々を愚弄したも同じだ」

 

 フランクの兄は英雄、それも合衆国の軍人として最高の名誉である名誉勲章受勲者だった。

 名誉勲章は議会の名において合衆国の全ての軍人に与えられる最高の名誉でありその受勲者の多く、特に第二次世界大戦以降は受勲される行為によって命を落としている。

 その割合は大戦の功績で授与された471人の内273人、朝鮮戦争での145人中107人が歿後授与、更にベトナム戦争終結からその後2010年までの37年間は歿後授与のみであった。

 

 例えば米陸軍の軍曹、シルベスター・アントラクは1944年に部下を銃撃する200ヤード先のドイツ軍の機関銃に対して銃撃しながら突撃、3度撃たれるも立ち上がり銃撃を続け機関銃を破壊し陣地を奪うがその直後、ドイツ軍の銃撃で戦死するもその行為から名誉勲章を授与。

 第442連隊戦闘団所属だった日系人のサダオ・ムネモリ上等兵は自分のいた塹壕にドイツ軍の手榴弾が投げ込まれたのに気がつくと二人の戦友を救うため手榴弾に覆いかぶさり戦死し戦友を救った行為から授与。

 アメリカ海軍の潜水艦グロウラー艦長ハワード・ウォルター・ギルモア中佐は1943年、グロウラーが日本海軍の特務艦早崎と衝突、早崎から銃撃や砲撃を浴びせられ彼と甲板に出ていた兵士全てが負傷、すぐに兵士達は艦内に退避し最後に彼が残ったが彼は艦内の乗組員に対して一言「潜航しろ」と叫びそれに艦内に退避した副長は従いグロウラーは急速潜航、危機を脱するもギルモア中佐は戦死、自らを犠牲に艦とその乗組員を救った事により潜水艦乗組員として初めて名誉勲章を授与。

 1944年駆逐艦ジョンストン艦長アーネスト・E・エヴァンズ中佐はサマール沖で味方空母部隊を護衛中に日本海軍の大艦隊と遭遇、彼は味方空母を救うため命令を受ける前に空母から反転、日本艦隊に突撃、その後約3時間に渡りジョンストンとその僚艦たる弱小艦隊は世界最大の戦艦を含んだ大艦隊相手に奮戦、味方空母の損害を1隻に抑えた、だがジョンストンは撃沈されエヴァンズ中佐も戦死、彼も又その素晴らしい敢闘精神と行動により名誉勲章を授与された。

 朝鮮戦争でも海兵隊員のジョゼフ・ビットリは中国軍の猛攻を受け戦友の撤退を援護するため二人の戦友と共に陣地に残り攻撃し続け更に破壊された味方陣地との間を動きながら援護し多数の中国兵を殺傷、撃退したが最後に負傷した戦友の撤退を援護しようとした直後撃たれて戦死、その超人的な英雄的行為に対して彼は名誉勲章を歿後授与。

 ベトナム戦争では中立国ラオスでの秘密任務中に負傷した戦友を救出したものの戦死したリチャード・エチバーガー空軍上級軍曹に歿後42年経って機密解除と同時に彼に名誉勲章が授与された。

 そして比較的知られている例として1993年モガディシュの戦闘で撃墜されたヘリの乗員を救出しようとし戦死した二人のデルタフォース隊員のゲイリー・ゴードン曹長とランディ・シュガート一等軍曹に対して授与された。

 

 名誉勲章を授与されるという事は軍人としてだけでなく合衆国市民としても最高の名誉でありその一族の誇りでもある。

 それはフランクにとっても同じであった。

 

フランク「これ以上言うつもりなら君を海に捨てるぞ」

 

 そう吐き捨てるとフランクは部屋に戻っていった。

 

 

---------

 

 時は遡りこの二日ほど前、パリの司令部では新たな作戦書類が作成、西部戦線の各部隊の司令官に送られた。

 

ボック「うむ、これで叩き潰せるのか?シュムント」

 

シュムント「はい、これで叩き潰せなければ折角優秀な参謀を集めた甲斐がないですよ」

 

 パリの司令部ではボックが連合軍西方総軍参謀部人事課長ルドルフ・シュムント中将と共にいた。

 ボックの手にはアルデンヌ地方のネウロイに対する作戦書類が握られていた。

 

ボック「強力な重砲部隊を集中投入し行動を開始した直後の全火力で以て破壊、無理な場合、又は10月までの行動を起こさなかった場合第610スコードロンを投入し破壊する。

    まあこれだけならば素人でも思いつくだろうな」

 

シュムント「ええ、しかし面白いのが次ですよ」

 

 西方総軍の対処は火力を集中し破壊するという極めてオードソックスなものだった。

 だが重要なのはこの次だった。

 

ボック「もし行動を起こした場合、砲撃で以て破壊すると同時にトリニティ作戦を発動、攻勢地点の両翼を突破し攻撃そのものの中断を強いる。

    更に敵主力を破壊し一気に戦線をエルベ川まで押し上げる。

    一石二鳥を狙ってないか?」

 

シュムント「ええ、狙ってますよ。

      欲張りですが一方向から殴るより三方向から殴った方が効率的ですよ」

 

 ネウロイの攻勢と同時に連合軍はトリニティ作戦、即ち北からベルリンに向かうカメルレンゴ作戦、南から北上し南東部カールスラントを解放するコンコルダート作戦、そして西からエルベ川に突進するコンクラーベ作戦を同時に発動し逆に敵戦力を包囲、撃滅し西部戦線に大穴を開けるつもりだった。

 欲張りにも程があった。

 

ボック「そうだと思ったよ。ところでサン・ヴィトの航空支援は?」

 

 この作戦のキーとなるのはサン・ヴィトであった。

 このアルデンヌの交通の要衝の周囲に砲兵陣地を設置する予定だった。

 だがサン・ヴィトは比較的周囲の飛行場から離れていた上に想定される状況では最も近いアーヘンの飛行場の支援は期待できない、そうなれば次に近いのはサン・トロンだった。

 

シュムント「確かマロリー中将が出張って501をウィッチ集団“サン・トロン”として臨時再編するそうだ。

      今頃命令が各地に届いてるはずだよ」

 

 彼の言う通り命令は各地の元501に届けられ集められた。

 

 

---------

 

ポー「もう行くのか?」

 

ヤン「ああ、何せ“大至急”だからな。

   それにここからだとオスロ経由でブリュッセルまで向かわないといけないからな」

 

 丁度その頃、リトアニアではポー達とヤン達が荷物とユニットが二機のリスノフLi-2に積み込まれているのを横目に会話していた。

 ヤン達はランスからの緊急命令で大至急サン・トロンに向かう途中だった。

 

ポー「そういえばそうだな。

   面倒だがな」

 

ヤン「ああ、その上オスロで機体を乗り換える予定らしいからオスロで一日かかるし色々大変なんだ」

 

サーシャ「そうでしたね、Li-2だとユニット3機と3人を同時に運べませんから」

 

 彼らはオスロ経由でしかもオスロで機材をLi-2からブリタニア軍のアブロランカストリアンに乗せ換えなければならなかった。

 というのもLi-2の貨物積載能力は2900キログラムだがユニット一組で約1トンあるため1機では全部積み込められないため2機に分ける必要がある上に安全のため北欧経由、更に限界まで積載したLi-2の航続距離では直接サン・トロンに飛べない上に北欧の空港にはオラーシャの空軍の設備が殆どないためここで載せ替えなければならなかった。

 

エイラ「本当、面倒くさいよな」

 

ヤン「本当にそれだよな。色々あるのは分かるが」

 

 この面倒な状況をエイラとヤンは愚痴る。

 

サーニャ「二人共そんなこと言わないの。

     サーシャさん、皆さん、お世話になりました」

 

 二人を諫めるとサーニャが二人に感謝の辞を述べる。

 

サーシャ「いえ、天候が悪くなってますから気を付けて」

 

ポー「てめえ行く前に俺の5000ドル返せ!」

 

サーシャ「ポーさん?全部あなたが賭けて負けたものですよね?」

 

 ポーがヤンに突っかかるとサーシャが威圧して止める。

 ヤンは賭け事好きのポーからこの一か月で5000ドルを手に入れていた。

 

ポー「そ、それはサーシャ…」

 

サーシャ「兎に角、気を付けて」

 

エイラ「じゃあな~」

 

ヤン「次来るまでにポーカーの腕上げろよな~」

 

 3人はLi-2に乗り込むと離陸しオスロ経由でサン・トロンに向かった。

 

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 それから逆に今度は10日後、サン・トロンでは元501のウィッチが集められていた。

 

シャーリー「ハインツ~聞いてくれよ!この1か月で色々あったんだよ!」

 

ハインツ「知ってるよ、後で話聞くから離れてくれ。

     で、閣下何の御用でございましょうか?」

 

 サン・トロンのハインツの執務室ではシャーリーが座って電話をかけていたハインツに抱き着いて色々話していた。

 

リュッツオウ『ああ、ヴァレンシュタイン少佐。

       501を最大限集めたかったが3名欠員だ。

       そこでサン・トロンのシュナウファー少佐を代わりに補填する、いいね?』

 

ハインツ「ええ、それに関してはこちらで既に事実上傘下に置いているも同然ですので」

 

 電話の相手はランスにいたリュッツオウ大佐であった。

 二人は臨時編成ウィッチ集団“サン・トロン”の編成に関する話し合いをしていた。

 

リュッツオウ『手際がいいな。それで次だが、現地に2名ウィッチを送り込む。』

 

ハインツ「はい?それはどういう事でしょうか?」

 

 するとリュッツオウはウィッチを現地、即ちサン・ヴィトに送り込む事を伝えそれにハインツは驚いた。

 

リュッツオウ『そのままだ。

       人員は扶桑からくる宮藤少尉一行の予定だ。

       彼女達は明々後日ロリアン、その後パ・ド・カレーで降りる予定だ。

       彼女達に武器を支給後予定を変更しサン・ヴィトに送り込む、いいね?』

 

ハインツ「分かりました、では」

 

 リュッツオウが送り込もうとした人員は宮藤と服部だった。

 彼女たちをパ・ド・カレー経由でサン・ヴィトに送り込み直接航空支援に当たらせるつもりだった。

 ハインツは電話を切ると溜息をついた。

 

ハインツ「はぁ、シャーリー、仕事が増えた。

     明後日からロリアン行くからな、俺」

 

シャーリー「ロリアンって言ったらキブロン湾の近くだよな、いいなぁ」

 

 ハインツがシャーリーにロリアンに行くことを伝えるとシャーリーは近くにある著名なリゾート地のキブロン湾の事を口にした。

 

ハインツ「シャーリー、遊びに行くんじゃないぞ。

     仕事だよ、宮藤たちに色々と事情を説明しなきゃならなくなったからな」

 

シャーリー「事情?」

 

ハインツ「まずこの事実上の501の再編、次にあいつらをサン・ヴィトに送り込む事を説明する。

     物資はパ・ド・カレーにあるらしいからそこ経由になるがな」

 

 ハインツがシャーリーに事情を説明した。

 それを聞いてシャーリーは驚いた。

 

シャーリー「なんで宮藤をサン・ヴィトに送り込むんだよ!」

 

ハインツ「知らんが恐らく無線妨害をするネウロイ対策だろうな。

     アレのせいで各司令部間の連絡に専用の電話回線と通常の電話回線、それに軍用の臨時電話回線を使う手はずになってることぐらい知ってるだろ?

     恐らく無線どころか電話回線がダウンしたときに航空支援に当たらせるつもりじゃないか?」

 

 例のネウロイによって連合軍は連絡に無線ではなく電話回線を使うようになった。

 電話回線ならば無線妨害の影響を受けずに使用可能だった。

 だが電話回線は破壊工作に弱いため簡単に途絶する上にアルデンヌのゲリラはよく電話回線を攻撃していたためウィッチを直接送り込んだ方が比較的都合がよかった。

 二日後、ハインツはサン・トロンからロリアンに飛んだ。




なんか変な切り方だし先にロリアンに行ってるけどそもそもパ・ド・カレーの港ってそんなに大きくない(英仏海峡沿いだとシェルブールが一番大きい)

キブロン湾はロリアンのすぐ南にある有名なリゾート地でイワシの缶詰の有名な産地です。

(解説)
・ルドルフ・シュムント
史実総統副官兼陸軍人事部長
7月20日事件で殺害され飛ばされる。
現在連合軍西方総軍参謀部人事課長
人事権を握り彼らが主導権を握れるように画策した。
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