WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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ホスバッハの初陣だい。


第6話:闇夜の戦い

 その日の夜A部隊の格納庫ではホスバッハ、ハインリーケ、邦佳、貫二郎がいた。

 この日の昼過ぎには早くも二人用のBf109G‐10とFw190A-8が届き訓練が行われその後ホスバッハの初の実戦飛行と邦佳達の初任務を兼ねてハインリーケと共に夜間哨戒に行く準備をしていた。

 

ハインリーケ「一応聞くがそなたらにナイトウィッチの適正はあるか?」

 

邦佳「ないです」

 

貫二郎「これっぽっちもないです」

 

ホスバッハ「夜間戦闘の経験なら豊富だが」

 

 ハインリーケが3人に聞くとホスバッハ以外全員夜間戦闘の経験はなかった。

 

ハインリーケ「夜間戦闘の経験ってどんなのじゃ?」

 

ホスバッハ「夜襲、突破、迎撃、強襲、反撃、包囲、奇襲、急襲、防御、遭遇、空襲、色々だ。

      陸戦だと夜襲は基本的な戦術だ。

      それに訓練中に実戦に投入するのは経験済みだ。」

 

ハインリーケ「はぁ…先が思いやられる…」

 

 ホスバッハの夜間戦闘の経験は全て陸戦であった。

 それに訓練中だったが実戦に投入されるという事も経験済みだった。

 というのもSS騎兵師団の補充大隊時代にワルシャワ・ゲットー蜂起の鎮圧に投入され実戦を経験していた。

 その経験にハインリーケは頭を抱えた。

 

ハインリーケ「まあよい、任務に出る、支度せい」

 

邦佳「はーい、お手当お手当」

 

貫二郎「邦佳は変わらないね」

 

ハインリーケ「いまいち緊張感に欠けるのう…」

 

 ハインリーケは邦佳の呑気さに呆れていたが準備が終わると夜の闇に飛び立った。

 

---------

 

 それから暫くして4人はアルデンヌ地方南部の森を飛んでいた。

 

ハインリーケ「異常は?」

 

邦佳「ないような、そうでもないような…」

 

ホスバッハ「見える範囲では何もない。どうせ視覚は屁の役にもたたん。

      耳をすませた方が役に立つ」

 

 4人の周りは暗闇であり殆ど視覚は役に立たなかった。

 ホスバッハは通常の野戦用歩兵装備で双眼鏡も持っていたが全く役に立たなかった。

 

ハインリーケ「下は森、月は新月、当然じゃの。

       まあ妾の魔導針にも反応はない、となると現在の所はごく平和…」

 

貫二郎「うわ!なんか後ろ通った!」

 

 ハインリーケが話していると突然半分寝そうになりそうでうつらうつらしていた貫二郎が驚いた。

 邦佳とホスバッハはそれに反応して周囲を警戒する。

 だが周りにはネウロイの影も形もなかった。

 

貫二郎「どこ?どこ?」

 

ハインリーケ「落ち着かぬか、よく見るのじゃ」

 

 ハインリーケが3人を落ち着かせてる。

 そして眼下に見つけたのは梟だった。

 

邦佳「ええっと…ホウッって鳴く超小型ネウロイ?」

 

ハインリーケ「梟じゃ、たわけ」

 

 貫二郎が驚いたのはただの梟だった。

 するとホスバッハが貫二郎の頭を殴った。

 

貫二郎「痛!」

 

ホスバッハ「たかが梟ごときに大騒ぎするな!

      ぶっ殺すぞ」

 

ハインリーケ「そうじゃ、ネウロイであったならばそなたらの目に映る5分も前に妾の魔導針が捉えておるわ」

 

貫二郎「ごもっともです…もしかして僕達役立たずですか?」

 

ハインリーケ「別の表現をすれば足手まといじゃ」

 

 ハインリーケからすれば戦闘経験の乏しい3人は足手まといと言えた。

 

貫二郎「ハハ…そうですか…」

 

 ハインリーケがきっぱりと言うと貫二郎が溜息をついた。

 すると気晴らしに歌い始めた。

 

貫二郎「Träum ich? Wach ich? Wein ich? Lach ich?~♪」

 

邦佳「Heut'weiß ich nicht was ich tu.~♪」

 

「「Wo ich gehe, wo ich stehe, lachen die Menschen mir zu.~♪」」

 

ホスバッハ「Heut' werden alle Märchen wahr.~♪

      Heut wird mir eines klar:~♪」

 

ハインリーケ「お主ら、何をやっとるのじゃ」

 

 歌っているとホスバッハまで乱入しハインリーケが聞いた。

 

貫二郎「何って、歌ってたんですよ。

    Das gibt's nur einmal、聞いたことぐらいあるでしょ?」

 

邦佳「Das gibt's nur einmal~♪」

 

貫二郎「das kommt nicht wieder~♪」

 

ホスバッハ「das ist zu schön um wahr zu sein~♪」

 

ハインリーケ「黙らぬか!ホスバッハ!なぜお主まで歌っとるのじゃ!」

 

 ハインリーケが聞いても歌い続けたためハインリーケが怒った。

 

ホスバッハ「別に構わんだろ、姫さん。

      こっちだって懐かしい曲なんだから」

 

貫二郎「やっぱり、本場のドイツ人の歌の方が発音がきれいでいいですね~」

 

邦佳「私達もよく歌ってるけどね…」

 

貫二郎「所詮外国人だからあんまり発音は良くないし」

 

 貫二郎たちが歌っていたDas gibt's nur einmal/唯一度だけは戦前に流行した映画の曲でありこの時代最も流行った映画音楽であった。

 ホスバッハにとってもこの曲は戦前の懐かしい流行曲だった。

 

ハインリーケ「真面目にやらぬか!貴様らはもっと緊張感を…!」

 

 すると突然ハインリーケの魔導針が赤く光った。

 

ハインリーケ「ネウロイ!?2時方向!距離3500!近いぞ!」

 

ホスバッハ「何!」

 

 ネウロイが突然現れた。

 すぐに全員武器を構えその方向を見る。

 そこにはラグビーボールのような形のネウロイがあった。

 

邦佳「見つけた!あれですよね!」

 

ホスバッハ「こちらヴァンピール、ネウロイ発見…」

 

ハインリーケ「報告は無用!たかが1機事後報告でよい!」

 

ホスバッハ「事前の打ち合わせを無視するつもりか!」

 

ハインリーケ「楽勝じゃ!」

 

 ホスバッハは事前の打ち合わせの通り司令部に無線連絡しようとするがハインリーケは無視してネウロイに向かって突撃した。

 

ホスバッハ「あのバカを援護しろ!」

 

邦佳「了解!」

 

貫二郎「了解!」

 

 突撃するハインリーケに後ろからホスバッハと貫二郎と邦佳が追いかける。

 ハインリーケはネウロイに近づき一撃を食らわせるがネウロイは急降下し回避、さらに不味い事に急降下したことで視認できなくなった。

 

ホスバッハ「姫さん、何処行ったあのクソは」

 

ハインリーケ「高度を落としたようじゃ、視認できぬ」

 

 ホスバッハ達が追い付くとネウロイが下から攻撃してきた。

 ハインリーケ達は真下に撃ちまくるがほぼ見えないため当たらなかった。

 

貫二郎「く、当たらない!」

 

ホスバッハ「見えないならこうだ!」

 

邦佳「ああもう!当たんない!」

 

ハインリーケ「認めとうないがこちらもじゃ!」

 

 撃ちまくるが何処にいるかもわからずホスバッハは真下にM39手榴弾を放り投げた。

 手榴弾はネウロイから外れて爆発した。

 すると邦佳とハインリーケが喧嘩し始めた。

 

邦佳「さっき人のこと役立たずなんて言うから罰が当たったんですよ!」

 

ハインリーケ「それは大野が自分で言ったのであろう!」

 

邦佳「細かい事を!

   大尉って絶対1ペニー硬貨とか瓶にため込んでるタイプだ!」

 

ハインリーケ「それはそなたであろうが!このシャイロック!」

 

貫二郎「二人共喧嘩しないで!」

 

ホスバッハ「お前ら真面目に戦争をやれ!死にたいのか!」

 

 貫二郎が二人を諫めるとホスバッハが怒り怒鳴った。

 彼からすれば敵の真ん前で喧嘩するなど自殺行為だった。

 

ホスバッハ「はぁ、司令部に連絡するぞ、こちらヴァンピール、司令部応答せよ。

      ん?」

 

 ホスバッハは無線で司令部に連絡するが無線は不快な音を立てるだけだった。

 

ホスバッハ「故障か?そっちはどうだ?」

 

貫二郎「駄目です、こっちもです。」

 

邦佳「私のもだ…」

 

 ホスバッハが邦佳と貫二郎に聞いたがこちらも同じように不快な音しか出していなかった。

 

ハインリーケ「馬鹿者、そういうものは事前に確認して準備せぬか…

       壊れたのではない、これは…」

 

ホスバッハ「ジャミングか、一旦撤退だ」

 

 ハインリーケも確認するが同じく不快な音しか聞こえなかった。

 ジャミングだった。

 状況が不利と即座に判断したホスバッハは撤退を決めた。

 だが直後、状況が変わった。

 

邦佳「大尉!ホスバッハさん!あれ!」

 

貫二郎「え?民間機だ!」

 

ホスバッハ「なんでここにいるんだ!」

 

 それは少し離れたところを飛んでいたサベナ・ベルギカ航空のJu52だった。

 彼らが飛んでいた地域は丁度ブリュッセル~ベルン間の最短航空路のすぐ傍だった。

 未だこの地域は危険であるためガリアのアルザス地域圏・ロレーヌ地域圏・フランシュ=コンテ地域圏の北部などは連合軍によって民間機の飛行禁止命令が出され本来のルートならば一旦西に飛びパリ郊外を経由してフランシュ=コンテ地域圏の南を通りヘルウェティア領に入るのだが一部のパイロットや航空会社は経費や時間のかかるこのルートを嫌いわざとショートカットとして最短ルートを通ることがあった。

 そしてそれを軍も自己責任だとして半分黙認していた。

 

ハインリーケ「こんな時に!」

 

邦佳「ネウロイがいることを伝えないと!」

 

ホスバッハ「サベナ機!聞こえるか!」

 

貫二郎「ホスバッハ少佐!」

 

 すると突如ネウロイが上昇しまた攻撃し始めた。

 

ハインリーケ「このタイミングで!」

 

ホスバッハ「クソが!」

 

 攻撃を回避しながら銃撃していると突如ネウロイから物体が発射された。

 その物体はハインリーケの傍で爆発、榴散弾のように中から小さな弾が飛び出しハインリーケに命中、撃墜した。

 

邦佳「大尉!」

 

 

---------

 

 

 その頃、セダン

 

ロザリー「ハインリーケさん達の位置は掴めてないの?」

 

レーダー手「連絡が途絶えたと同時にレーダー上からも姿が消えたので詳しい場所までは…」

 

 セダンではロザリーがハインリーケ達を探していたがレーダーから消えてしまった。

 するとロザリーの後ろに突然プレッツが現れた。

 

プレッツ「少佐、少しお話が」

 

ロザリー「な、何かしら?プレッツ少佐」

 

プレッツ「先程、近隣を飛行中のサベナ・ベルギカ5294便からセダンの東で未確認の戦闘を確認したそうです。」

 

ロザリー「え!」

 

 プレッツが持って来たのはあのサベナ機からのセダンのロレーヌ地域圏防空司令部への報告だった。

 

 

---------

 

 

 その頃、ハインリーケ達はというと

 

邦佳「あいたたた…大丈夫ですか大尉?」

 

貫二郎「邦佳!大丈夫?」

 

ホスバッハ「大丈夫か姫さん?」

 

ハインリーケ「全く、森に突っ込んだ衝撃の方がネウロイの攻撃よりダメージが大きいわ」

 

 ハインリーケを助けようとした邦佳がハインリーケの下敷きになりそこに貫二郎とホスバッハが周囲を警戒しながら近づいてきた。

 

ホスバッハ「肩の怪我は大丈夫か?」

 

ハインリーケ「大したことないと言っておろう…」

 

 ホスバッハがハインリーケの怪我を心配すると彼女は強がるがホスバッハがそれを無視してハインリーケの服を脱がせて怪我を見た。

 

ハインリーケ「なななな何をする気じゃ!」

 

ホスバッハ「黙ってろ姫さん。」

 

 驚く彼女を無視してホスバッハは傷の周りを触り骨折や脱臼が無いと確認すると水筒を取り出し怪我の周りに水をかけた。

 

ハインリーケ「く…」

 

ホスバッハ「染みるだろうが我慢してくれ。」

 

 ホスバッハが傷を洗うと軍服のポッケから包帯の袋を取り出し包帯とガーゼを取り出し彼女の肩の傷にあてて応急処置をした。

 

ホスバッハ「これでいいだろう。骨も折れてないし脱臼もしてないから十分だ。

      姫さん、大丈夫か?」

 

 応急処置が終わると彼女はなぜか黙っていた。

 

ハインリーケ「不味いのう…魔導針がきかん…」

 

邦佳「ええ!」

 

貫二郎「そんな馬鹿な」

 

ホスバッハ「それって不味いのか?」

 

 魔導針が使えない事に邦佳達は驚くがホスバッハはよく理解していなかった。

 

貫二郎「魔導針はレーダーのアンテナみたいなものです。

    それが使えないとなると夜だと殆ど戦闘不能です」

 

ホスバッハ「成程」

 

ハインリーケ「妾の魔導針とストライカーの働きを阻害するチャフの類のようじゃが柔らかい金属出てきているようで剥がすことが出来ぬ。

       対ナイトウィッチ通信妨害に特化したネウロイという事か?

       面白い…」

 

 ハインリーケのユニットにはネウロイの弾の破片がついていた。

 それがハインリーケのユニットと魔導針の働きを阻害していた。

 

ホスバッハ「なら剥がせばいいだろう?何も素手でやれとは言ってない」

 

邦佳「え?」

 

 するとホスバッハがとんでもない事を言いだした。

 

ハインリーケ「できるのか?」

 

ホスバッハ「分からんが連中はこっちに気がついてないし時間はある。

      相手の手札はフルハウス、こっちの手札はツーペアだが山札の一番上がジョーカーだ、このゲーム降りる気か?」

 

 ホスバッハの言葉を聞いて全員がにやりとした。

 

邦佳「やろう!まだ手札はあるんだよね?勝てるチャンスも!」

 

貫二郎「戦いは最後の5分にある、って誰かが言ってましたし。」

 

ハインリーケ「黒田、大野…」

 

ホスバッハ「じゃあ早速やるぞ」

 

 早速彼らは動き始めた。

 

---------

 

 

 その頃、セダンではロザリーがカーロイとイザベルとアドリアーナを集めていた。

 

ロザリー「正式発足もまだなのに隊員4人が行方不明、もし4人に何かあったら…」

 

アドリアーナ「一応釘を刺しておきます。

       辞表だけは勘弁してほしい。」

 

 ソファーに座ったアドリアーナがロザリーに釘を刺す。

 だがロザリーは自信を喪失していた。

 

ロザリー「もう限界よ、隊長の器じゃないのよ。」

 

アドリアーナ「グリュンネ少佐、私はこの性格だから彼方此方で問題を起こして飛ばされてきた、でも今はここを自分の居場所だと思っている。

       そう思うのは少佐、貴方がいたからだ。

       部下と一緒に悩んでくれる貴方が。

       お願いだ、私の居場所を奪わないでくれ」

 

 アドリアーナが立ち上がり懇願した。

 

イザベル「僕だってここが気に入っているんです。」

 

カーロイ「少佐がいようがいまいがあんまり関係ないが、少佐みたいな善人はなかなかお目にかかれねえぞ」

 

ロザリー「3人とも…」

 

 カーロイとイザベルもアドリアーナに同調した。

 

アドリアーナ「あんたはどうなんだ?プレッツ」

 

プレッツ「ボック閣下の意向では少佐には椅子に縛り付けてでも司令官に留めるように厳命しています。

     506はただの部隊ではなくこのガリアにおける連合軍の政治的なバランスを保つという極めて重要な役割があるのです。

     軍事的価値以上に政治的な広告塔、政治戦略上の価値が極めて大であるため早急なる編成完結が求めれています。

     なので例えあなたが魔力を失おうとも実権を失おうとも貴方は我々の許可を得ない限りその椅子から動く事は絶対にできないとお考え下さい」

 

 プレッツはロザリーに強い言葉で現状を伝えた。

 

アドリアーナ「それってつまり少佐には操り人形になって貰うってことか?」

 

プレッツ「違います、貴方方全員が我々の操り人形になるんですよ。

     貴方方は現状、この国を舞台にしたチェスのクイーンだと思っておいてください。」

 

 プレッツが506の現状を断言した。

 506は連合軍にとっては大駒であり失うわけにはいかなかった。

 

ロザリー「でも、どうすれば…」

 

プレッツ「何も我々でやれとは言ってません。」

 

 ロザリーが呟くとプレッツが断言した。

 そしてプレッツは電話をかけた。

 

プレッツ「セダン、ロレーヌ地域圏防空司令部を頼む。

     グラウェルト大将閣下、プレッツです。

     至急セダン北東方面に警戒警報の発令と航空部隊の出撃をお願いします。

     506のウィッチ4名が行方不明、ネウロイとの交戦によるものと思われます。

     では」

 

 




(解説)
・ウルリヒ・グラウェルト
史実ドイツ空軍第1航空軍団長。
41年に戦死して飛ばされる。
ロレーヌ地域圏連合軍空軍司令官


出てきた歌は戦前の流行曲「ただ一度だけ」(映画会議は踊るの主題歌)です。
この歌戦中のインテリ階級では大人気で風立ちぬとかでも出てくるし変わったところだと映画小さな独裁者で印象的な使われ方してる。


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