WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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ホスバッハの過去の話も…


マリアンの訓練の模様を少し
ジェフがハートマン軍曹になってる…


第7話:夜明け

 少しして4人はセダン北東部の空を飛んでいた。

 

ホスバッハ「姫さん、魔導針に異常はないか?」

 

ハインリーケ「ああ。問題ない。

       まさかスコップでネウロイを引き剥がすとはな」

 

貫二郎「強引というか無茶苦茶というか…」

 

邦佳「でもこれで魔導針が使えるようになったから良かったじゃないですか」

 

 この少し前、ハインリーケのユニットに付いたネウロイをホスバッハがスコップで引き剥がしていた。

 スコップをネウロイとユニットの間に突っ込みてこの原理の要領で無理矢理剥がしていた。

 だがユニット自体は墜落の衝撃で内部機構が損傷し自力飛行はごく短時間しかできない状況だった。

 そのためハインリーケは貫二郎に背負われて飛んでいた。

 

ハインリーケ「ところで大野、重くはないか?」

 

貫二郎「一応鍛えてるので大丈夫ですよ」

 

 ハインリーケが重くないか聞くと貫二郎が答えるが横から邦佳が突っ込む。

 

邦佳「本当かな~いっつも休みの日はピアノ弾いてるかウィスキー飲んでるだけなのに?」

 

貫二郎「邦佳~」

 

邦佳「いひゃいよはんじろう(痛いよ貫二郎)」

 

 貫二郎は邦佳の頬を引っ張った。

 その光景にホスバッハもハインリーケも笑った。

 

ハインリーケ「全く、どうもそなたらは分からぬ。

       そなたらは妾を置いてゆくべき所で見捨てなかった。

       そうした高貴な振る舞いを見せながら自分は貴族、いや華族の器ではないと言い、ある者はこれが普通だと言いう。」

 

 突然ハインリーケが邦佳達の行動の理由を聞いた。

 それに貫二郎と邦佳はさも当然のように答えた。

 

貫二郎「高貴な振る舞い、ですか?別にそんなつもりはありませんよ。」

 

邦佳「戦友を助けるのってそんなに不思議な事ですか?」

 

 更にホスバッハも理由を答えた。

 

ホスバッハ「最も最善の答えがそれだっただけだ。

      言っておくが、指揮官は部下を預かる立場にある。

      国家から部下を預かる以上無碍に死人を出すわけにはいかない。

      例え49人の部下を犠牲にしても51人の部下を生き残らせるのがいい指揮官って奴だ。」

 

 ホスバッハの判断は打算的なものだった。

 地獄の東部戦線最前線とそれ以上の地獄として名高いユーゴスラビアでのパルチザン掃討戦で磨かれた計算と勘によるものだった。

 

ハインリーケ「妾が幼き頃の話じゃ」

 

 するとハインリーケが昔話を始めた。

 

ハインリーケ「故郷の村に獣が現れ作物を荒らす事件があった。

       幼い妾はたった一人でその事件を解決しようと行動した、それが高貴なる行いだと信じておったからじゃ。

       だがその獣の正体はネウロイに故郷を奪われ何もかもを失い生きるために盗みを働くしかない野党たちであった。

       それを知った妾は自分がいかに愚かであったか気づかされたのじゃ。

       事件を解決し武勲を示すころは己の為に過ぎぬ、彼らのような弱きものを守る事こそが本当の高貴なる行い、妾達貴族が背負うべき宿命なのじゃと。」

 

 それは子供の頃に故郷を襲った盗賊に関する話だった。

 だがその話にホスバッハは否定的だった。

 

ホスバッハ「守る?秩序の破壊者をか?民族を内側より滅ぼさんとする卑怯者どもを?

      何が高貴なる行いだ、国家への忠誠、国益、そして秩序の方が重要だ。」

 

ハインリーケ「な、そなたも貴族ならばわかるじゃろう!」

 

ホスバッハ「分からん。なぜ秩序を破壊する蛆虫どもを擁護する。」

 

 ホスバッハの発言にハインリーケは驚くがホスバッハはさも当然のように言うだけだった。

 

ホスバッハ「数か月前、俺の世界の45年の1月だ。

      俺は第22SS騎兵師団の参謀将校としてブダペストにいた。」

 

 すると今度はホスバッハが話し始めた。

 

ホスバッハ「ある日、俺の部下が前線で不審な集団を発見、捕縛した。

      それはハンガリー人の一家で父親は脱走したハンガリー兵だった。

      前にも言ったと思うが当時ブダペストは包囲され俺達兵士の食べるものさえ事欠く有様だ、民間人なんて殆ど食い物がなかったって言っていい。

      だがそいつらは多数の食い物を持っていた、調べたらハンガリー軍とドイツ軍から盗んだものだった。

      で、その一家への処置が俺に任されたんだ。

      どうしたと思う?」

 

 ホスバッハが聞いた。

 

ハインリーケ「見逃して無罪放免か?貴族ならそうあるべきだ」

 

ホスバッハ「ハハハハハ!姫さん、そんな御伽噺は現実にはないぞ。

      俺は即決軍事裁判を開き、一家を破壊工作・脱走・反民族的行為・非協力の容疑で死刑とした。

      死刑にするとそのまま部下が外に連れて行き父親を家族の前でロープで街頭に吊るして残りは俺が殺した。

      秩序を破壊せんとしたものへの報いだ。

      秩序を犯した者はその死で以て償わなければならない」

 

 ホスバッハはその一家を処刑した。

 このような行為は大戦中各地で行われ、44年末以降は各地で屋根や電柱や木から胸にプレートをかけられた死体が日常的な光景となっていた。

 ホスバッハはそれに何ら躊躇いを見せていなかった。

 その話に全員が絶句した。

 

ハインリーケ「な、なぜじゃ…なぜ殺す必要が…」

 

邦佳「そんな…酷い…」

 

貫二郎「そこまでやる必要は…」

 

ホスバッハ「お前らに分かる訳がないだろうな、あの極限の状況は。

      あの状況でモラルを保つのに必要なのは恐怖だ、我々を恐れさせる恐怖だ。

      我々に従わなければ殺される、そう思わせなければならないのだよ。

      そうしないと我々に銃を向けられるからね」

 

 ホスバッハの理論は恐怖という最も人間の根源的な感情に訴えかけるという戦法だった。

 そしてこの慈悲のない方法はよく適応していたのだった。

 

ホスバッハ「ところで、お前らは奴に一泡吹かせたいと思うか?」

 

貫二郎「え?」

 

 突然ホスバッハがあることを言い出した。

 それはあのネウロイを撃破するという策だった。

 

ホスバッハ「いい案を思い付いた、だがこれには連携と信頼と協力が大事な賭けだ。

      計算されたリスクを取る覚悟はできてるか?」

 

 

---------

 

 それから十数分後、ハインリーケは何とか這うような速度で一人で辛うじてホバリングしていた。

 

ハインリーケ「さあ来いネウロイよ、妾はここじゃぞ」

 

 ハインリーケはわざとネウロイに見つかるよう飛んでいた。

 ネウロイもすぐにそれに気がつき彼女に向かって突進する。

 向かってくるネウロイを見ながら彼女は呟いた。

 

ハインリーケ「妾も焼きが回ったものじゃ…

       あのような者たちに命を託すとはのう」

 

 そしてネウロイが突進しぶつかる直前、ハインリーケはわざとストライカーを脱いだ。

 その瞬間、ネウロイは動きを止めた。

 

ホスバッハ「よし!今だ!全火力を集中しろ!撃て!」

 

 動きが止まった瞬間、ハインリーケの下にいたホスバッハと貫二郎が一斉に攻撃し始めた。

 二人がネウロイに向けて乱射する間に落下したハインリーケを邦佳がキャッチ、邦佳とハインリーケも持っていたMG42とMG151で撃ち始めた。

 集中砲火を受けたネウロイは煙に包まれた。

 

ハインリーケ「やったか!?」

 

 ハインリーケが叫ぶが煙が晴れると出てきたのはコアを露出しているが未だ健在のネウロイだった。

 

ハインリーケ「く…此処までか…」

 

ホスバッハ「ハインリーケ!黒田撤退だ!援護する!」

 

 すぐに状況が不利だと判断するとハインリーケ達に撤退を命じた。

 ホスバッハはハインリーケ達に注意が向かないよう銃撃するがすぐに弾が30発しかないStG44は弾切れになった。

 そしてその瞬間を待っていたかのようにネウロイが攻撃しようとする。

 

ホスバッハ「く、クソが!これでどうだ!」

 

 するとホスバッハは時間稼ぎに持っていたスコップを投げつけた。

 するとスコップがネウロイにあたると爆発、ネウロイのコアを破壊した。

 

ハインリーケ「な!」

 

邦佳「え!?」

 

貫二郎「は?」

 

ホスバッハ「嘘だろ?今の手榴弾じゃないぞ」

 

 全員がそれに驚く。

 当たり前だが普通のスコップは爆発しないのである。

 

ハインリーケ「ホスバッハ、大丈夫か?」

 

ホスバッハ「姫さん、もしかしたら任意の物を爆発物に変えるってのが俺の固有魔法とやらなのかもしれん」

 

ハインリーケ「やたら物騒な固有魔法じゃな。

       何かと過激なそなたに向いておるがな」

 

 話していると別のエンジン音が背後から近づいてきた。

 

「おい、あんたら506の連中か?」

 

ホスバッハ「だったら何だ?誰だ?」

 

ハインツ「おっと、怪しいものじゃねえぞSSさん。サン・トロン基地のハインツ・ヴァレンシュタイン少佐だ。

     ロレーヌ地域圏防空司令部からの緊急要請であんたらを捜索してた。」

 

 背後にいたのは元501のハインツだった。

 だがハインツがSSと言ったことに気がつきホスバッハが拳銃を抜いて顔に突きつけると同じくハインツも拳銃を突きつけ、所謂メキシカン・スタンドオフの体勢になった。

 

ホスバッハ「あんた一体何者だ?正直に答えないとあんたの頭を吹き飛ばすぞ」

 

ハインツ「ドイツ空軍第26駆逐航空団“ホルスト・ヴェッセル”所属だった空軍少佐さ。

     あんたこそ、SSのフロリアン・ガイエル師団か?」

 

 ホスバッハの腕にはフロリアン・ガイエル師団のカフタイトルがついていた。

 

ホスバッハ「いや、第22SS騎兵師団だ。」

 

ハインツ「SSには変わらねえだろ。

     言っておくが俺はあんまりSSは信用してないんでね、ナチスもだが。」

 

 ハインツはホスバッハへの当てつけのように言う。

 するとハインリーケがハインツに聞いてきた。

 

ハインリーケ「ところで、シュナウファー少佐は?」

 

ハインツ「シュナウファー?あいつなら元気だぞ。」

 

貫二郎「シュナウファー少佐?」

 

 ハインリーケがハイデマリーの事を聞いたが貫二郎も邦佳もホスバッハも誰も知らなかった。

 

ハインリーケ「妾の友人じゃ、妾に友がいておかしいか?」

 

邦佳「うん」

 

 邦佳が素直に答えるとハインリーケは邦佳の首を絞める。

 

ハインツ「ハハ、あんたの事も聞いてるよ、あんたヴィトゲンシュタイン大尉だろ?

     よろしく、仲良くやろうぜ」

 

ハインリーケ「ああ、よろしく頼むぞ」

 

 ハインツとハインリーケが握手する。

 

ハインツ「そろそろ帰りたいんだがセダンまで送らなくていいか?」

 

ハインリーケ「無用じゃ、シュナウファー少佐にはよろしく伝えておいてくれ」

 

ハインツ「ああ分かったよ姫、じゃあな」

 

 ハインツは手を振りながら去って行った。

 するとふと東の空が白み始めた。

 

貫二郎「夜明けですか、ふぁああ、一晩中飛んでたのか。」

 

ハインリーケ「長い任務じゃったな」

 

 朝日を見ながら4人は感傷に浸っていた。

 ホスバッハはタバコを取り出して吸い始めていた。

 

ハインリーケ「全く…こんな姿人には見せられんな…」

 

 突然ハインリーケがそんな事を言いだした。

 

邦佳「私が見てますよ?」

 

ハインリーケ「当り前じゃ!空気を読め!馬鹿者!

       はぁ…変わり者に礼を伝えるのは苦労するのぅ…

       世話になった、感謝する」

 

 ハインリーケは慣れていないのか照れながら感謝を伝えた。

 

ハインリーケ「さあ!急ぐぞ!」

 

邦佳「飛ぶのは私なんだけど」

 

ホスバッハ「一番遅いのは姫さんと黒田だぞ」

 

貫二郎「早く帰りましょうよ…もうくたくたですよ…眠らないか見張っててください」

 

ホスバッハ「基地に帰ったら泥のように眠るんだろうな」

 

 全員くたくたに疲れていた。

 すると無線から声が聞こえてきた

 

イザベル『おーい』

 

邦佳「あ、えっと、アイザック君!とヴィスコンティ大尉!」

 

 前を見るとそこにはアドリアーナとイザベルが飛んでいた。

 

ハインリーケ「ん?むう!いかん!あやつらにこんな姿を見られては妾の威厳が…」

 

 すると突然ハインリーケが焦って暴れ始めた。

 背負っていた邦佳は振り向いて注意する。

 

邦佳「動かないでくださいよ!

   飛べっこないじゃないですか!

   大尉のストライカー完全に…

   あ」

 

 振り向いた時、邦佳はハインリーケを放してしまった。

 ハインリーケはそのまま落下し始めるがすぐに止まった。

 

ハインリーケ「?なんじゃ?」

 

ホスバッハ「お前ら何をやってるんだ…」

 

 ホスバッハがハインリーケの足首を掴んで逆さまになっていた。

 

ハインリーケ「ホスバッハ!助かった!」

 

ホスバッハ「ふぁあ、面倒だからこのまま基地に行くぞ。」

 

ハインリーケ「え?」

 

ホスバッハ「居眠りして落としたら許してくれよ」

 

ハインリーケ「ホスバッハ少佐!!!!覚えておれえええええええ!!!」

 

 ホスバッハはハインリーケを逆さまにしたまま基地へと連れて帰った。

 

 

---------

 

 

 その頃、ディジョンではマリアンの部屋にゴミ箱を叩きながらジェフが乱入した。

 

ジェフ「起きろ!起きろ!起きろ!」

 

マリアン「ふぇ?なんだジェフ?こんな朝早くから…」

 

 叩き起こされたマリアンは眠気眼をこすりながらジェフを見るが帰ってきたのは罵声だった。

 

ジェフ「貴様それでも海兵隊員か!

    いいか!今からお前の口からクソ垂れる前と後にサーとつけろ!いいな!」

 

マリアン「え?」

 

 混乱するマリアンをさらに罵倒する。

 

ジェフ「ふざけるな!クソ垂れる前と後にサーと言ったはずだぞ!お姫様!

    お前の頭の中の犬のクソで考えろ!」

 

マリアン「さ、サーイエッサー!」

 

 慌てて答えるが帰ってきたのはまた罵声だった。

 

ジェフ「なんだその喘ぎ声は!ジジイのファックの方が気合いが入ってるぞ!」

 

マリアン「サーイエッサー!!」

 

 何とかジェフを納得させる返答をして罵声は一時的にやんだ。

 

ジェフ「よろしい!お前は何処の(ピー)だ!」

 

マリアン「サー、オレゴンであります、サー!」

 

 ジェフの質問に正直に答えるがまた罵声が飛んできた。

 

ジェフ「ふざけるな!オレゴンで採れるのはビーバーとゲイの木こりだけだ!

    お前はどっちだ!ビーバーか?木こりか?」

 

マリアン「サー、どちらでもありません、サー!」

 

ジェフ「俺を馬鹿にする気か!オレゴンにはビーバーと木こりしかいないと思ってる哀れな(ピー)だと思ってるのか!?」

 

 マリアンをさらに罵倒する。

 

マリアン「サー、ノー、サー!」

 

ジェフ「ならば今日からお前はランバージャックだ!

    俺が直々に付けた名前だ!有難く思え!」

 

マリアン「サーイエッサー!」

 

 マリアンは開始からわずか5分で徹底的に人格を否定される罵倒を受けて既に恐怖を感じていた。

 

ジェフ「いいかランバージャック!

    俺の仕事は愛する海兵隊から貴様のようなこの地球上最も下層の生き物のクソを搔き集めたお前を海兵隊員にふさわしいこの地球上で最も強い生物に鍛えなおす事だ!

    それまでお前の価値は蛆虫のクソ以下だと思え!

    俺は厳しいが差別はせん!ホワイト、ニガー、ジュー、ウォップ、フロッグ、インディアン、ジャップ、フン、全て平等に、価値がない!

    俺が訓練した暁にはお前は真の海兵隊員となり海兵隊の武器となり目となり耳となり体となり祖国に仇なす全ての存在を蹴り飛ばしてファックするのだ!

    それまでは仲間の(ピー)をしゃぶるだけだ!」

 

 ジェフの機関銃のような罵倒の連続にマリアンは恐怖を感じ棒立ちするだけだった。

 そしてその二人をドアの陰から見ている人物がいた。

 

カーラ「あれ、大丈夫なの?」

 

カート「た、多分…」

 

ジーナ「不味いと思ったら私が止める。」

 

 心配してカーラとカートとジーナが見ていた。

 この訓練はそれから1週間続いたがマリアンは耐え抜きジェフによって鍛えなおされた。




民間人とユダヤ人を実際に殺してるキャラだからね、ホスバッハ


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