WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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やっとテロ回。


第10話:テロル

 その日の夜、506のセダン基地に506の全員が集まっていた。

 ある部屋ではホスバッハとプレッツを除いた男連中がラジオをつけながら集まって酒を飲んでいた。

 

ジェフ「いやあ、昼間はすっかり嵌められたよ。

    ほら飲め、我がオレゴン・アイリッシュビールの西海岸一のエールだ」

 

カーロイ「悪いねえ、それにしてもあんた強いじゃないか」

 

トニー「全然、アレで8割ぐらいだね。

    もうちょっと数が多くて地に足がついて実弾だったら全部出すぜ」

 

 ジェフはカーロイに自分の会社のビールを渡して二人で飲み、その隣でトニーは自分で作ったエクストラ・ドライ・マティーニを飲んでいた。

 

アラン「聞いたぞ、あんた元音大生だって?」

 

貫二郎「ええ、東京音楽大学の作曲課程の学生でした。

    それが?」

 

 3人が座っていた部屋の真ん中のソファと机から少し離れた窓際に置かれたラジオが置かれた丸机ではアランと貫二郎が座っていた。

 するとアランが貫二郎の過去の事を聞いてきた。

 

アラン「いやな、俺こう見えても歌うのが好きでな、子供の頃は近くの教会の聖歌隊にもいたんだ。

    何か弾いてくれよ、できれば英語かフランス語のを」

 

貫二郎「ここにピアノはありませんよ。」

 

アラン「分かってるよ、ディナーの時な」

 

 彼らはまだディナーの前だった。

 

貫二郎「今日のデザートは邦佳が作ってくれるらしいから楽しみですよ。」

 

アラン「邦佳って黒田か?お前の彼女か?」

 

貫二郎「ええ、結婚も真剣に考えるぐらいには」

 

アラン「ハハ、お熱いね。

    フランス人ってのはイギリス人とアメリカ人以上にラブロマンスが大好きな人種だよ」

 

 二人が話しているとラジオからアメリカ人には聞きなれた曲が流れてきた。

 

ジェフ「お、ヴェラ・リンのWe'll Meet Againか」

 

『We’ll meet again~♪

 Don’t know where,don’t know when~♪

 But I know we’ll meet again, some sunny day~♪』

 

 流れてきたの大戦中の流行歌、ヴェラ・リンのWe'll Meet Againだった。

 するとトニーとジェフとアランがラジオに合わせて歌い始めた。

 

「「Keep smiling through ,

  Just like you always do,

  Till the blue skies chase those dark clouds, far away~♪」」

 

 アメリカ人とフランス人の大合唱を貫二郎とカーロイは酒を飲みながら静かに聞いていた。

 

 

---------

 

 

 その頃、ロザリーの執務室ではソファにロザリー、ジーナ、カートが座り、プレッツはロザリーの後ろに立ち、ホスバッハはロザリーの机に腰かけて集まっていた。

 

ロザリー「それで、何かあったの?」

 

 なぜ集まったか幹部を集めたカートとジーナ、そしてプレッツにロザリーが聞いた。

 

ジーナ「506の解散を目論む動きがあるようです。」

 

ロザリー「その事なら少し前にプレッツ少佐から聞いたわよ。

     連合軍の上層部は何としても506を編成するつもりだから問題ないそうよ」

 

カート「それが、この件をジーナ中佐と私とで話した記者が先日行方不明になりまして、何やら黒い話がありそうで」

 

 それは既に聞いていた506の解散の噂であった。

 この少し前、カートとジーナはある知り合いの記者にこの件をリークしたところその記者が行方不明になったのだ。

 

プレッツ「それは初耳だ。我々の情報網にはそんな話は引っかかってないぞ。」

 

ジーナ「情報網?カールスラント軍も探っていたのか?」

 

プレッツ「その先は機密情報なので口外できない。」

 

 プレッツには記者の行方不明は初耳の情報だった。

 ジーナがさらに追及するがプレッツは回答を拒否した。

 

カート「兎に角、かなり怪しいです。

    B部隊の警備を増やそうと上に問い合わせているのですがね」

 

ホスバッハ「その首謀者が誰であれ、どの組織であれ、連合軍はそいつらを叩き潰すのが最優先だな」

 

ロザリー「そう、プレッツさんは何かあったの?」

 

プレッツ「ええ、実は…」

 

 そう言うとプレッツは周りを見ながらある書類を渡そうとした、だが次の瞬間――

 

 

 

---------

 

 

 

「「We’ll meet again~♪

  Don’t know where,don’t know when.

  But I know we’ll meet again, some sunny day~♪」

 

 ラジオから流れるWe'll Meet Againのサビを大声で歌い終わった直後、突如大爆発が起きた。

 

ジェフ「伏せろ!」

 

 咄嗟にジェフが叫び全員が伏せる。

 直後爆風で窓ガラスが全部吹き飛んだ。

 

アラン「ぺ!何が起きた!」

 

カーロイ「爆発だ!どうする!?」

 

 ガラスの破片で切り傷を負ったアランが叫ぶ。

 同じく傍にいた貫二郎も負傷していた。

 

ジェフ「大丈夫か?」

 

貫二郎「ええ、何とか…」

 

 ジェフが怪我をした貫二郎に手を差し伸べる。

 一方トニーは拳銃を取り出していた。

 

トニー「どうする!」

 

アラン「全員の安否と被害状況を確認しろ!

    トニーが食堂、ジェフが控室、カーロイは司令部だ。

    俺と大野は医務室だ」

 

 アランは即座に指示を出した。

 

 

---------

 

 

カート「うわ!」

 

ホスバッハ「爆発だ!」

 

プレッツ「シャイセ!先を越された!」

 

ジーナ「危ない!」

 

 突然の爆発に執務室にいた全員が驚く、次の瞬間爆風で窓ガラスが全部割れるが咄嗟に伏せたためホスバッハとプレッツ、カート、ジーナに怪我はなかったがロザリーは頭部を負傷してしまった。

 

ジーナ「これは一体…」

 

カート「どう、なっているんだ?」

 

ホスバッハ「クソ!」

 

プレッツ「やられた!」

 

 煙が晴れるとホスバッハとプレッツは立ち上がり拳銃を取り出して窓の外を見て悪態をついた。

 窓の外からは格納庫が炎上している様が見えた。

 

ホスバッハ「最悪だ、やられた。

      テロだ」

 

 するとホスバッハはテーブルの上の電話を取り内線をかけた。

 

ホスバッハ「エーデルワイス!エーデルワイス!エーデルワイス!

      基地の全ての門、出入り口を封鎖!

      許可なく出ようとする者は捕虜としてひっ捕らえろ!

      こちらの指示を無視した場合独自判断で発砲を許可!

      各部隊は状況を報告!

      各部隊は消防班を編成、救援に向かわせろ!

      第3中隊は基地内の警備と負傷者の救出だ!」

 

 ホスバッハは内線で警備部隊に緊急出動コード“エーデルワイス”を連呼する。

 すぐに戦闘団は兵舎から武器を持って飛び出し各自配置についた。

 戦闘団への連絡を終えると次は別の司令部に電話した。

 

ホスバッハ「セダン都市司令部、こちら506!

      爆発が発生!テロの可能性あり!至急救援を!」

 

 かけたのはセダン都市司令部だった。

 

参謀『了解した、消防警察大隊“セダン”を向かわせる!』

 

ホスバッハ「ありがとうございます!」

 

 電話を受け取った参謀は軍の傘下にある警察消防大隊“セダン”の一部部隊を急行させた。

 更に別の所にホスバッハは電話をかけた。

 

ホスバッハ「こちら506、緊急事態発生、戦闘団“ロッゲ”、“ノイベアト”の出動をお願いします。

      ピコプルン大佐」

 

ピコプルン『分かった、すぐに向かわせる』

 

 かけたのはセダン演習場だった。

 こちらもすぐに戦闘団“ロッゲ”、“ノイベアト”が出動、一路506へと向かった。

 

ホスバッハ「これでいい、少佐、俺は戦闘団司令部で指揮を執る。

      ジーナ中佐とフーヴァー少佐はグリュンネ少佐を、プレッツ少佐が代行指揮を」

 

ジーナ「分かった」

 

プレッツ「了解した、これよりこの部隊を私が指揮する。

     前線指揮はホスバッハ少佐が」

 

 ホスバッハは指揮系統を維持する指示をすると拳銃を持って部屋を飛び出すとカーロイと入れ違いになった。

 

カーロイ「少佐!大丈夫ですか?」

 

カート「カーロイ!少佐が怪我をした、肩を貸せ!

    運ぶぞ!」

 

 カーロイとカート、そしてジーナの3人が手伝い怪我をしたロザリーを医務室へと運んだ。

 一人残ったプレッツは電話を取りどこかにかけた。

 

プレッツ「パリ、連合軍ガリア軍行政司令部ハイドリヒ大将執務室。」

 

 電話交換手に宛先を伝える、そして数秒後男の声が聞こえた。

 

ハイドリヒ『誰だ?』

 

プレッツ「ハイル・ヒトラー、閣下。プレッツです。」

 

 電話の相手はハイドリヒだった。

 

ハイドリヒ『なんだ珍しい、何があった』

 

プレッツ「506が攻撃を受けました。爆弾テロです。

     15分ほど前です」

 

 

 

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プレッツ『506が攻撃を受けました。爆弾テロです。

     15分ほど前です』

 

ハイドリヒ「なに?」

 

 プレッツからの報告にハイドリヒは表情を変える。

 

プレッツ『本当です、現在被害状況を精査中ですが甚大です。』

 

ハイドリヒ「分かった、今すぐ報道管制を敷く。」

 

プレッツ『分かりました、切ります』

 

 プレッツは電話を切る。

 ハイドリヒは受話器を置くとある人物に電話をかけた。

 

ハイドリヒ「閣下、ハイドリヒです。

      緊急事態です、506が攻撃を受けました。」

 

ボック『何?本当かね?』

 

 電話をかけた相手はボックだった。

 

 

---------

 

 

 

 爆破から4時間ほど経った後、ロザリーは目を覚ました。

 傍にはジーナ、アドリアーナ、そしてカートがいた。

 

ロザリー「ん…ここは…私の部屋?」

 

アドリアーナ「グリュンネ隊長!」

 

ジーナ「勝手ながら医務室が満員だったので。」

 

 ロザリーは負傷したが医務室が満員であったため自分の部屋に運ばれて処置を受けていた。

 爆破による負傷者は多数に上り医務室が足りず急遽外に臨時包帯所が設置され軽傷者はそこで応急処置を受けた後トラックに乗せられセダン市街の病院へ輸送された他、第35装甲師団と第152山岳猟兵師団からも衛生部隊が派遣されていた。

 

ロザリー「怪我人はどうなの!?」

 

 ロザリーが怪我人を聞いた。

 するとカートが重苦しそうに言った。

 

カート「甚大です、軽傷者合計69名、重傷者14名、内一人が黒田中尉です。」

 

ロザリー「え…黒田さんが…」

 

 カートが被害を伝えた。

 重軽傷者の中に邦佳がいた。

 

ロザリー「黒田さんの容体は?」

 

「無事ではないですよ」

 

 ロザリーが邦佳の容態を聞くと別の声がした。

 振り向くと506の軍医ドーセがいた。

 

ロザリー「ドーセ先生」

 

ドーセ「やれやれ、貴方も比較的軽傷とはいえ頭を打って…」

 

ロザリー「そんな事より黒田さんの状態は!?」

 

 ロザリーも軽傷を負っていたがそれよりも邦佳の容態が気になっていた。

 

ドーセ「面会謝絶、絶対安静、黒田中尉は今夜が峠でしょう」

 

 ドーセが邦佳の容態を伝えた。

 邦佳の容態は非常に悪かった。

 

ドーセ「まあ見舞うなら一人ずつ静かにという事で」

 

 ドーセが見舞う時の注意を言う。

 ロザリーはそれを聞いた後ジーナとカートとアドリアーナに付き添われ立ち上がり廊下に出た。

 廊下では貫二郎とホスバッハ、そしてハインリーケと邦佳以外のウィッチがいた。

 

カーラ「あ、隊長」

 

ロザリー「みんな、大丈夫?」

 

 カーラが気がつくと全員がロザリーを見る。

 

ジェニファー「はい、私たちは…」

 

ジェフ「黒田が重傷、アランと貫二郎がガラスの破片で切って軽傷。

    ホスバッハ少佐が臨時で今仕切ってる。」

 

 ジェフが状況を彼女に伝えた。

 周りの空気は重苦しい限りだった。

 

アドリアーナ「隊長から入ってください」

 

ロザリー「ええ…」

 

 そして最初にロザリーが見舞うことになった。

 ロザリーが部屋に入るとそこには邦佳のベッドの傍に座るハインリーケと邦佳の手を握る怪我をした貫二郎がいた。

 

ロザリー「ハインリーケさん、大野さん」

 

 ロザリーは二人に声をかけると振り返った。

 

ハインリーケ「目を覚ましたかグリュンネ隊長、良かった…」

 

貫二郎「無事でよかったです、隊長」

 

 二人共憔悴しきった様子で答えた。

 

ロザリー「私は大丈夫、貴方たちも無事でよかったわ」

 

貫二郎「無事、ですか…」

 

ハインリーケ「己の不甲斐無さに愛想が尽きるわ…」

 

 二人共ショックを受けていた。

 

ハインリーケ「4時間前の格納庫での爆発、妾達は大食堂であんみつの給仕を行っていた。

       その時、こやつは落下してきたシャンデリアから妾を守ったのじゃ。

       大喰らいの上に命令も聞かず妾がどれほど怒鳴ろうと翌日にはケロッとしておる。

       更には手当てが出る出ないのとつまらぬことで気にする癖に差し出がましい事をしよって、戦闘隊長である妾がこやつを庇う、それがあるべき姿であろう!?

       妾はどうすればよい!?」

 

 ハインリーケが絶叫する。

 

ロザリー「ハインリーケさ…」

 

アドリアーナ「姫様、交代だ。

       ここにいてもできることはない手当てを受けて少し眠るんだ、大野もだ」

 

 アドリアーナが気を遣い二人に言う。

 ハインリーケは振り返る。

 

ハインリーケ「な、妾はここに…」

 

アドリアーナ「ネウロイが来たらどうするんだ戦闘隊長?

       偶には仲間を頼れ」

 

 アドリアーナの言葉に納得するとハインリーケはロザリーに連れられて出て行った。

 だが貫二郎はまだ邦佳の手を握ったまま離れようとしなかった。

 

アドリアーナ「大野も少し離れたらどうだ?」

 

貫二郎「嫌です。目が覚めるまでここにいます。

    僕には邦佳しかないんです、だから…」

 

アドリアーナ「そうか…」

 

 貫二郎の固い決心を察するとアドリアーナが見舞う、少し話すと出て行き変わってカーロイが入ってきた。

 カーロイはベットの傍で貫二郎がずっと邦佳の手を握っているのに気がついた。

 

カーロイ「貫二郎は離れる気がないみたいだな。

     黒田、あんたいい男を手に入れたぞ、ここまで愚直な奴はなかなかいないぞ。」

 

 カーロイが言う。

 

カーロイ「あんたが逝っちまったら多分このバカはお前の後を追うぞ?

     犠牲者を増やしたくなけりゃ死ぬなよ。」

 

 するとカーロイはタンスの上に置かれた豚の貯金箱の傍に1枚の100ペンゲー札を置いた。

 

カーロイ「で、こいつは絵のモデルの先払いだ。

     確か40ペンゲーぐらいで1ドルだから2ドル50セントぐらいしか価値はないがな。

     じゃあな」

 

 カーロイはそう言うと出て行った、変わってイザベルが入り見舞うと次に見舞ったのはアランだった。

 

アラン「黒田、俺はあんたの事はよく知らんがこのバカは口を開けばお前の事しか口にしないぜ。

    だから死ぬなよ」

 

 それだけ言うとトニーと入れ違いで出て行った。

 

トニー「誰がやったかは知らないが一つ言える、お前が死ねばこの部隊の代わりに俺が復讐してやる。

    血を増やしたくなけりゃ死なない事だな」

 

 トニーは一言だけ言うとカートと変わった。

 カートは聖書を持っていた。

 聖書を開くとある一説を読み始めた。

 

カート「ルカの福音書第22章第50節から。

    そのうちのひとりが、祭司長の僕に切りつけ、その右の耳を切り落した。

    イエスはこれに対して言われた、「それだけでやめなさい」。

    そして、その僕の耳に手を触れて、おいやしになった。

    それから、自分にむかって来る祭司長、宮守がしら、長老たちに対して言われた、「あなたがたは、強盗にむかうように剣や棒を持って出てきたのか。

    毎日あなたがたと一緒に宮にいた時には、わたしに手をかけなかった。だが、今はあなたがたの時、また、やみの支配の時である」。

    次に同じくルカの福音書第7章第12節から。

    町の門に近づかれると、ちょうど、あるやもめにとってひとりむすこであった者が死んだので、葬りに出すところであった。大ぜいの町の人たちが、その母につきそっていた。

    主はこの婦人を見て深い同情を寄せられ、「泣かないでいなさい」と言われた。

    そして近寄って棺に手をかけられると、かついでいる者たちが立ち止まったので、「若者よ、さあ、起きなさい」と言われた。

    すると、死人が起き上がって物を言い出した。イエスは彼をその母にお渡しになった。

    人々はみな恐れをいだき、「大預言者がわたしたちの間に現れた」、また、「神はその民を顧みてくださった」と言って、神をほめたたえた。」

 

 それはルカの福音書の一説だった。

 読み終えると十字架を取り出し十字を切った。

 

カート「神よ、この者を死の淵より救い給え、そしてまた愛する者と語り合い笑い合う時を与え給え。

    アーメン」

 

 祈りをささげると立ち上がりカーラと交代で出て行った。

 出て行くとカートはジーナに話しかけた。

 

カート「中佐、私が黒田中尉のようになった時、どうします?」

 

ジーナ「え?」

 

 突然カートがジーナに聞いた。

 

カート「私は孤児院の生まれですから血のつながった家族なんていません。

    養母はいますがそれだけです。

    黒田中尉のように悲しんでくれる人はいませんから」

 

 するとジーナは黙ってカートの手を握った。

 

ジーナ「フーヴァー少佐、そうなったら私が傍にいよう。」

 

 そう言うと突如邦佳のいる部屋から見舞っていたマリアンが飛び出してきた。

 

 

 

---------

 

 

 

ロザリー「黒田さん」

 

貫二郎「邦佳」

 

邦佳「隊長…?貫二郎…?」

 

 数分後、意識が回復した邦佳の周りにウィッチが集まっていた。

 邦佳の意識は未だぼんやりとしていたが声をかけてきたロザリーと貫二郎をしっかりと認識した。

 

ロザリー「良かった意識が戻った」

 

貫二郎「苦しいところはない!?」

 

 邦佳に二人が話しかける。

 

邦佳「て、手当は…」

 

ロザリー「手当はもう終わってるわ」

 

邦佳「違うんです、傷病手当は出るんですか?」

 

「「は?」」

 

 邦佳が傷病手当の事を聞いて全員が呆れた。

 同時に安心もした。

 

アドリアーナ「いつもの邦佳だな…」

 

ジェフ「もうちょっと他に聞くことがあると思うんだが…」

 

 二人が感想を言う。

 この二人の感想がほぼ全員の感想と同じだった。

 

ロザリー「これでもう峠を越したのね?」

 

看護師「ドーセ先生の許可なく私見を述べることは…」

 

ロザリー「私が許可するわ、お願い」

 

 ロザリーが看護師に邦佳の容態をお願いする。

 看護師は迷いながらも伝えた。

 

看護師「折れた肋骨は銃器を使わない限り問題ありません。

    問題はお腹ですが…」

 

ロザリー「お腹?」

 

 邦佳の私見に疑問を持つ。

 肋骨の骨折は理解できるが何故腹部が出てくるか理解できない。

 

看護師「はい、黒田中尉は爆発直後残っていたあんみつ約4リットルを慌てて食べたようで」

 

ロザリー「ちょ、ちょっと待って、それじゃあ意識不明になったのって…」

 

看護師「消化不良による急性胃腸炎、それがドーセ先生の見立てです」

 

 邦佳が意識不明になったのは急性胃腸炎によるものだった。

 当たり前だが消化不良を原因とする胃腸炎で人は死なないのである。

 それを聞いて貫二郎は糸が切れたように倒れ込んだ。

 

貫二郎「はは…僕の心配は一体何だったんだろうか…」

 

ハインリーケ「この痴れ者が!」

 

 ハインリーケは完全に怒っていた。

 

看護師「兎に角2、3日は安静、明日までは絶食、その後もしばらくはポリッジだけです。」

 

邦佳「えええ!ポリッジ以外の物食べさせてー!」

 

 看護師が食事の事を伝えると邦佳が暴れる。

 その光景に全員が呆れていた。

 

トニー「かなり元気だな」

 

アラン「こいつ入院させる必要ないだろ」

 

カーロイ「俺の100ペンゲーと感動を返せ!」

 

マリアン「ジェフ、こいつを一発殴っていいか?」

 

ジェフ「俺の分も残してくれるならいいぞ」

 

マリアン「分かった、兎に角一発殴らせろ、な?」

 

ハインリーケ「その次は妾じゃな」

 

ジェフ「最後に俺だ」

 

カーロイ「俺も混ぜろ」

 

 呆れを通り越して怒ったマリアン達が邦佳に迫る。

 

邦佳「隊長!」

 

ロザリー「困ったわ…止める理由が見つからない」

 

 ロザリーは止めなかった。

 次の瞬間邦佳の顔面に特大のストレートが炸裂した。

 

貫二郎「僕の寿命を返せ…15年ぐらい縮んだんだぞ…」

 

 貫二郎はベットに顔を突っ伏していた。




そろそろ大好きな展開になりそう。
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