WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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ちょっと短いです。


第13話:演劇の訳

 1945年3月初頭、パリ

 連合軍ガリア軍行政司令部の参謀部の一室にプレッツ、ホスバッハ、そしてガリア解放後に第501猟兵大隊を拡充した駆逐戦隊群“ガリア”隊長アドリアン・フォン・フェルカーザム少佐、そしてディールガルテン集まっていた。

 

ディールガルテン「君たちがここに集まって貰ったのは他でもない。

         例の事件の犯人の逮捕の為だ。」

 

ホスバッハ「ハンス、その犯人の目星は付いているのか?」

 

 集められたのは506のテロ事件の犯人の摘発の為だった。

 

ディールガルテン「ああ。既に完璧な物証を手に入れている、片方だけだが」

 

プレッツ「片方だけ?」

 

ディールガルテン「実行犯じゃない方だ、首謀者に繋がる人物だ。

         残念ながら実行犯の目星は付いているが確定じゃない、だから先にそいつを逮捕する。

         それにフェルカーザム少佐の駆逐戦隊群“ガリア”を投入する」

 

 実行犯は見つかっていなかった。

 だが実行犯と首謀者に繋がる人物は見つかっていたのだ。

 ホスバッハは理解し隣に立つフェルカーザムを見る。

 

ホスバッハ「彼がフェルカーザム少佐か?」

 

フェルカーザム「どうも、ホスバッハ少佐」

 

ディールガルテン「そうだ。元ブランデンブルク部隊所属で例のドーバー事件でも活躍、我が軍最高の特殊部隊指揮官だ。」

 

プレッツ「ブランデンブルクですか」

 

 彼がフェルカーザムの紹介をする。

 フェルカーザムは軽く会釈した。

 

ホスバッハ「で、誰を捕まえるんだ?」

 

ディールガルテン「それなんだが…」

 

 ディールガルテンはある書類を見せた、その書類には摘発作戦「ヴィジラント・リゾルブ」(油断なき解決)と題された作戦だった。

 

 

---------

 

 

 その1週間ほど後、セダンに何故かAとBが勢揃いしロザリーが語りかけていた。

 

ロザリー「わざわざB部隊の皆にも来てもらったのは他でもない、今506は危機を迎えています。

     これを打開するために劇をします!」

 

「「はぁああああ??」」

 

アラン「寝言は寝て言ってくれ」

 

カート「それ軍人の仕事ですか?」

 

トニー「劇団をやれって?御免だね」

 

ジェフ「流石に俺もこれは無理だ。そもそも仕事が違うだろ」

 

貫二郎「いや、軍楽隊なら理解できますけど劇?」

 

カーロイ「俺達が三文芝居して笑い者になれってか?

     死んでも嫌だ」

 

ホスバッハ「グリュンネ少佐を精神異常としてこの場で指揮権を剥奪したいんだが」

 

 ロザリーの発言に男衆は全員反発、全員の言い分が「それは軍人の仕事ではない」であった。

 ホスバッハはロザリーを発狂したとして指揮権の剥奪を提案するほどだった。

 この気が狂ったような提案が生まれた訳は3日前に遡る。

 

 

---------

 

 

 3日前、ウィッチ達がキーラとこの数日前パリに召喚されて以降何故かキーラと距離を取っていたホスバッハとプレッツに集められていた。

 

キーラ「B部隊にも声は届いているかな?」

 

ジーナ『問題ない』

 

 キーラは無線を使い話がBにも聞こえるようにしていた。

 Bとの通話を確認すると本題を始めた。

 

キーラ「さて、良いニュースと悪いニュースがある、どちらから聞きたい?」

 

プレッツ「どちらからでも?どうせそちらと我々の話は同一でしょうから」

 

 キーラが聞くとプレッツがタバコをふかしながら返事をする。

 

キーラ「ではいいニュースからしよう。

    例の格納庫の爆発の原因が判明した。

    当日の午後に到着した物資の中に爆薬は仕掛けられていた。

    時限装置付きの可塑性爆薬、ノーベル808だ。」

 

 それは爆発原因の事だった。

 使用されたのは連合軍でも使われている可塑性爆薬ノーベル808だった。

 

プレッツ「それは我々の結論と同じだ。

     使用された爆薬はノーベル808約5キロを使用した爆弾。

     恐らく梱包爆薬にパッケージ化された物だろう。」

 

ロザリー「ブリタニアのSOEが使う?」

 

ホスバッハ「ノーベル808はブリタニア生まれだが既に各国に供与され使用されている。

      カールスラント軍もロマーニャ軍も扶桑軍もリベリオン軍もな」

 

マリアン『リベリオンが破壊工作なんて汚い真似をするわけないだろ!』

 

アラン『なぁ、俺が昔使ってた爆薬あそこ製だぞ』

 

カート『要らない事を言うな。面倒にしてどうする』

 

 マリアンがリベリオンの犯行を否定するがそれにアメリカのOSSの協力で破壊工作をしていたアランが首を突っ込もうとするがカートが止めた。

 

カーロイ「で、それがあんたの言う良いニュースとやらかい?」

 

キーラ「悪いニュースはその物資に外部の者が接触した可能性がない事。

    つまり整備班員とA、B両部隊のウィッチの中に犯人がいるという事だ。」

 

 キーラが犯人が彼女たちの中にいる可能性を伝えるがそれにすぐにホスバッハとプレッツが反論した。

 

プレッツ「いや、その可能性についてはウィッチに関しては排除できる。」

 

ホスバッハ「既に犯人の目星はある程度は付いている」

 

キーラ「ほう、それはどういうことかね?」

 

 キーラが彼らに聞いた。

 

プレッツ「簡単だ、例の物を持ってきてくれ」

 

 プレッツはある指示をするとドアが開き物証としてぐしゃぐしゃに潰れたストライカーユニットメッサ―シャルフBf109G-11の点検ハッチの一部を憲兵が持って来た。

 憲兵はそれを中央のテーブルに置くと退出した。

 そしてそれを示しながら彼らが説明を開始した。

 

プレッツ「これは犯行現場で発見された残骸だ。

     爆弾が仕込まれていた物資の中で爆弾のすぐそばに置かれていたメッサ―シャルフBf109の点検ハッチなのだがここを見てもらいたい。」

 

 彼は焼け焦げた点検ハッチのある部分を示した。

 ウィッチ達は近づき観察する。

 

邦佳「あれ?文字みたいなのが書いてある」

 

ホスバッハ「そうだ。モンロー効果によるものだ。」

 

 よく見ると残骸には文字のようなへこみがあった。

 邦佳はホスバッハの言ったモンロー効果という言葉に首をかしげる。

 

邦佳「モンロー効果?」

 

ホスバッハ「一般的にモンロー・ノイマン効果とも言われる現象だが爆薬にくぼみをつけ、くぼみをつけた後ろから燃焼させるとくぼみから強い衝撃波を発生させ反対側に高い穿孔力が発生する現象だ。

      その現象によってこの残骸に爆薬に刻まれていた文字が転写した。」

 

 モンロー効果を説明する。

 モンロー効果は物理化学の現象でこの現象を発展させたものが成形炸薬だった。

 

プレッツ「そしてその文字を解析したところ、こういう文字だと判明した。」

 

 プレッツは後ろの黒板にある文字を書き始めた。

 書き終わると説明した。

 

プレッツ「リベリオン フロリダ セントピーターズバーグ

     フェイス&クベック 9/26/1944

     26789‐10045‐679

     これはリベリオン南部の化学工業会社ディキシーケミカルインダストリーの傘下、フロリダ州に拠点を持つフェイス&クベック火薬製造株式会社セントピーターズバーグ工場で1944年9月26日に製造されたものだと判明した。」

 

キーラ「つまりリベリオン製という事か」

 

ハインリーケ「何じゃと!」

 

 製造された爆薬がリベリオン製だという事に全員が顔面蒼白となる。

 

マリアン『私たちがやったって言うのか!?』

 

プレッツ「これで結論ではない。」

 

 焦るマリアンにプレッツが諫めホスバッハが説明した。

 

ホスバッハ「この爆薬が製造された日にこの工場で生産された爆薬は全てカールスラント陸軍に供与された。

      カールスラント軍にもこの番号の爆薬を受領したという書類が残っている。」

 

ハインリーケ「つまりカールスラントの仕業じゃと言いたいのか!?」

 

ホスバッハ「違う、この爆薬はその後ヒスパニアでしばらく補給物資として保管された後供与された時の箱のまま第250装甲擲弾兵師団の第250装甲工兵大隊に補給物資として44年12月31日に補給、梱包を解き工兵用の梱包爆薬としてパッケージ化した後ガリアへの移動途中の45年1月に何者かに強奪されたことが確認されている。」

 

キーラ「つまり君たちはその強奪した誰かが犯人と言いたいのかね?」

 

 この爆薬は数か月前、何者かに強奪された爆薬だった。

 つまり犯人は強奪犯と同一組織であるというのだ。

 

プレッツ「その通りだ、強奪したのは恐らくガリア王党派だろう。

     数週間前、同じ爆薬が使用されUTA航空機が爆破されている。

     その犯人を取り調べたところ王党派の犯行だと“自供”した。

     また詳細は言えないが我々にはこの事件に関する情報を発生以前に関知していた」

 

ロザリー「じゃあ、上層部は知っていてわざと見逃したって言うの?」

 

ホスバッハ「少佐、上は手を打ちました。

      戦闘団“ホスバッハ”がそれです。」

 

キーラ「だがそれがウィッチ達の潔白の証拠にはならないだろう。」

 

 キーラが指摘する。

 彼女の言う通りこれは“リベリオン又はブリタニア、カールスラントなどの国家ぐるみの仕業”ではない事の証明であった。

 

プレッツ「我々は既にこの部隊のウィッチ全員の身辺調査を行い、王党派との関係のある人物を洗い出した所、彼女らの親の中には王党派と関係のある人物との関係がある人物がいたものの、彼女たちによる犯行は不可能と判断した。」

 

ホスバッハ「それにこの中で爆弾を仕掛けることが可能なほど爆薬の知識を有した者は私を含めて数人しかいない。

      よって、ウィッチによる犯行はあり得ないが結論だ」

 

プレッツ「納得したかね」

 

キーラ「ええ。だがウィッチではないという事は分かってもこの基地内の誰かがやったかというのは事実でじゃないのかね?」

 

 二人の弁にキーラは納得した。

 だが実際に誰がやったかという結論には至っていなかった。

 

プレッツ「その通りだ、結局のところこの基地内の誰かがやったというのは事実だ。」

 

ホスバッハ「現在当時勤務していた基地内の全員の身辺調査中だ。

      まあ今月末の正式発足までにはある程度は洗い出しが終わるだろう」

 

 ホスバッハとプレッツがそう結論した。

 

キーラ「そうか、だが何れにせよこの基地内に犯人がいることに変わりはない。

    犯人が見つかるそれまで皆さんが無事でいることを祈るよ」

 

 キーラが意味深な言葉を残し部屋を出て行った。

 だがこの件はウィッチ達の間に禍根を残すことになった。

 

 

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 翌日、ウィッチ達はネウロイの出現の為出撃していた。

 

ハインリーケ「目標は前方中型ネウロイ!

       再生の間を与えず一気に倒すぞ!」

 

カーロイ「確かこの辺りはBとの重複地域だ。

     誤射に注意しろ」

 

ホスバッハ「分かってる、くれぐれも昨日のあのバカの言う戯言に惑わされるなよ」

 

 ホスバッハとカーロイがウィッチ達に注意する。

 すると前方に影が見えた。

 

邦佳「あ!B部隊のみんなだ!」

 

 前方にB部隊が現れた。

 すると突如ハインリーケが叫んだ。

 

ハインリーケ「全員止まれ!ネウロイとの位置関係を保つ!」

 

ホスバッハ「は!?」

 

ハインリーケ「妾の命に従え!さもなくば罰金じゃ!」

 

 ハインリーケが突如止まるように指示した。

 彼女の命令にホスバッハが叫んだ

 

ホスバッハ「ふざけるな敗北主義者!前進!突撃しろ!

      後退する者、止まる者は俺が撃つ!進め!

      この時刻を持って一時的にウィトゲンシュタイン大尉の指揮権を剥奪する!」

 

 ホスバッハは強硬な策でハインリーケの指揮権を剥奪するとウィッチ達を前進させた。

 A部隊はそのままB部隊と共同でネウロイと交戦し始めた。

 

ホスバッハ「A部隊だ、加勢するぞ!」

 

カート「助かる!数なら上だ囲んで叩き潰す!」

 

 そのまま両部隊が合同で攻撃を始めたあっという間にネウロイは穴だらけとなり破壊された。

 だがこのハインリーケの一時的な指揮権剥奪という事態は非常な事態だった。

 

 

 

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 さらに翌日、ロザリーはパリに呼ばれホスバッハのハインリーケの指揮権の一時的剥奪の件、更に例のテロ事件の件を咎められていた。

 だが帰ってきたときにはなぜか笑顔だった。

 

ロザリー「ただいま」

 

ハインリーケ「司令部で叱責を受けたのではないかったのか?」

 

ロザリー「3時間半作り笑いしていたら固まったのよ」

 

アドリアーナ「大変でしたね」

 

 ロザリーの話しぶりから苦労が滲み出ていた。

 

ロザリー「テロ事件にホスバッハ少佐の一時的な指揮権剥奪、マスコミの506のイメージは最悪よ…

     だから至急B部隊のみんなをセダンに呼んで。

     緊急合同会議よ」

 

 これが事のあらましだった。

 この1週間後児童養護施設で慰問活動として506で劇と506空軍軍楽小隊により演奏会、ラジオ放送が行われることが決定したのだ。




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ヴィジラント・リゾルブ作戦の作戦名の由来はイラク戦争のファルージャの戦闘の作戦名オペレーション・ヴィジラント・リゾルブからです。
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