WWⅡウィッチーズ   作:ロンメルマムート

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アクション回だーい!
アクション映画風カーアクション


第18話:カーチェイス・イン・パリス

 その日の7時過ぎ、日が落ちた頃にジェニファー達の車列はパリ市内に入った。

 車列は先にパリの連合軍ガリア軍行政司令部に向かう予定だった。

 

トニー「やっとパリか」

 

ホスバッハ「ああ、問題も起きずこれで終わりだな」

 

 キーラ達の乗るシトロエンの後ろを走るキューベルの助手席に座ったホスバッハと後部座席に座ったトニーはやっと仕事が終わると思い煙草を吸ったり噛んだりしていた。

 それはシトロエンの前を走るシュタイヤーも同じで兵士達は緊張感から解放されていた。

 車列はネオンが光り輝き活気に満ちた夜のパリの街を通り司令部の前で停車した。

 司令部の前では司令部の警備部隊とハイドリヒが待っていた。

 

ハイドリヒ「ホスバッハ君」

 

ホスバッハ「閣下、例の人物を連れて来ました。」

 

ハイドリヒ「わか…」

 

 返事しようとした瞬間、突如シトロエンのエンジンが吹かされると急発進した。

 

ホスバッハ「な!急げ!追いかけろ!」

 

 ホスバッハは急いでキューベルに走り飛び乗るとシトロエンを追いかけ始めた。

 更にそれに遅れて2台のシュタイヤーと司令部の警備部隊からトラックや車両が追いかけ始めた。

 

ジェニファー「うわ!」

 

キーラ「く」

 

 その頃シトロエンの車内では突然の急発進にジェニファーが驚いていた。

 運転手が車を急発進させ夜のパリの街を疾走する。

 

ジェニファー「一体何が起きたんですか!?」

 

男A「チッ、奴ら追いかけてきやがった」

 

 すると男はミラーを見て後ろからホスバッハ達が追いかけてきたことに気がつくと拳銃を取り出し窓を開け身を乗り出した。

 キューベルではホスバッハがStg44を、トニーがトミーガンを取り出していた。

 

トニー「クソ、油断した!」

 

ホスバッハ「ああ!運転手!車をあの車の横につけろ!」

 

運転手「了解!」

 

 ホスバッハが運転手に指示した直後、車から男が撃った。

 弾はキューベルのフロントライトを破壊した。

 

ホスバッハ「撃ってきやがったか」

 

 ホスバッハはStg44を構えて撃ち始めた。

 するとシトロエンは車線変更し前を走っていたトラックの陰に隠れて躱す。

 

トニー「この!」

 

 ホスバッハ達は追いかけて加速しトラックの前に出ると僅か2メートル右にシトロエンが現れた。

 後部座席では男が拳銃を構え撃った、弾はキューベルの右前輪にあたりパンクさせる。

 

ホスバッハ「うお」

 

トニー「お返しだ!」

 

 トニーはその返事にトミーガンを構え左の後部車輪を銃撃し破壊した。

 その光景はジェニファーには手に取るように見えていた。

 

ジェニファー「やめてください!誰か死んじゃいますよ!」

 

 だが男は無視していた。

 そして次の瞬間目を疑う行動にトニーが出た。

 キューベルは猛スピードでシトロエンに体当たりし車線から追い出し片側3列の車線の一番右からさらに歩道に無理やり乗り上げさせた。

 

ジェニファー「うわ!?うわわわわわわわわ!!!!!」

 

 シトロエンは歩道の椅子やテーブル、屋台、植え込みなど歩道にある全ての物を吹き飛ばしながら突っ走る。

 その間に後部座席の男と助手席の男はキューベルに撃っていた。

 弾は街路樹やそばを走る別の車、そしてキューベルに当たり跳ね飛んでいた。

 一方のキューベルはジェニファーが乗っているため撃てなかった。

 

トニー「下手に撃つなよ、ジェニファーに当たるぞ」

 

ホスバッハ「分かってる、飛び乗るか?」

 

トニー「そのつもりだ」

 

 するとトニーはトミーガンを降ろし右手に拳銃を持った。

 ホスバッハは運転手に指示した。

 

ホスバッハ「もう一回体当たりするぞ!」

 

 キューベルは猛スピードで加速すると歩道に乗り上げシトロエンにまた側面から体当たりした。

 その瞬間トニーは後部座席からジャンプしシトロエンの屋根に飛び乗った。

 

男A「クソ!上に飛び乗ったぞ!」

 

男B「分かった!」

 

 すると助手席の男が天井に向かって拳銃を撃つ。

 弾は天井を突き抜けてトニーの頭を掠る。

 

トニー「ヘタクソが」

 

 トニーはM1910の薬室に弾を込めると助手席側の天井ルーフを掴み助手席ドアに足をかけ助手席に向かって発砲し弾は天井を警戒していた助手席の男に当たり倒れる。

 

ジェニファー「トニーさん!」

 

男A「しまった!」

 

 後部座席の男、更に運転手も撃ち始めた。

 トニーは天井に戻り躱す。

 

ジェニファー「やめてください!」

 

 キーラを挟んで反対側に座っていたジェニファーが男の拳銃を掴む。

 その隙にトニーは拳銃をホルスターに戻し天井を転がり後部座席左側の窓から車内の男を背後から蹴り飛ばす。

 

トニー「どりゃ!」

 

男A「ブハ!」

 

 男はキーラの膝に押し倒された。

 だがすぐに馬乗りになるトニーをどけると蹴り飛ばし逆に車から落とそうとする。

 トニーは咄嗟にドアのフレームを左手で掴み耐えるが今にも落ちそうだった。

 男は床に落ちた拳銃を拾いトニーに向け引き金を引いた。

 

男A「クソ、弾切れだ!」

 

トニー「貰った!」

 

 トニーは拳銃を取り出し構えようとする、だが撃たずに飛び上がり天井に戻った。

 次の瞬間ドアが街路樹にぶつかり弾け飛ぶ。

 

男A「何処行った!」

 

 男は弾を再装填すると周りを見てトニーを探す。

 次の瞬間、フロントガラスが大きな音を立てて割れた。

 前を見るとトニーがいた。

 

トニー「アロー、サレンダーモンキー」

 

男A「この!」

 

ジェニファー「やめてください!」

 

 男がトニーに撃とうとした瞬間、ジェニファーが掴みかかり弾はトニーに当たらず運転手の後頭部を直撃し殺害する。

 

ジェニファー「キャー!」

 

 それに気がつきジェニファーが叫び声をあげる。

 運転手の死体はハンドルの上に落ち足はアクセルに置いたままだった。

 そのまま車は通りを疾走しあらゆるものを弾き飛ばす。

 男は運転手の死体の奥にいるトニーに向かって撃つがトニーは運転手の死体を盾にして防ぐ。

 男は立ち上がると座席の間から無理矢理前方の座席に向かおうとした。

 

男A「ぐわ!」

 

 次の瞬間、男は蹴り飛ばされキーラの膝の上に押し倒される。

 トニーは男に掴みかかると運転席に放り投げドアを開けた。

 

トニー「いい夢見ろよ!」

 

 そして外に運転手の死体ごと蹴り落そうとする。

 だが運転手の死体は落ちたが男は足をトニーの足に絡めて上半身だけ出した状態で耐えた。

 そして腹筋を使って起き上がるとトニーを殴る。

 さらに左手でハンドルを操作して車を右に左に揺らす。

 そうしているうちにシトロエンは歩道から路上に飛び出し、更には対向車線にまではみ出した。

 トニーは男のパンチをガードし隙を見て殴る。

 そして一瞬前を見るとハンドルを掴んで左に切った。

 その隙に男がナイフを取り出した。

 

男A「これで終わりだ!」

 

トニー「ああそうだ!」

 

 次の瞬間男の上半身とドアが橋の欄干に激突し吹き飛ばされた。

 トニーは男の下半身を道路に捨てると運転席に座った。

 

トニー「ジェニファー、大丈夫か?」

 

キーラ「ああ、大丈夫だとも」

 

 次の瞬間、トニーの後頭部に冷たいものがつきつけられた。

 

トニー「何をする気だ?」

 

 振り返るといつの間にかキーラが手錠を外し拳銃を握っていた。

 

キーラ「簡単だ、車を止めて降りろ。」

 

トニー「そんな事をすれば俺の仲間に捕まるぞ?」

 

キーラ「あのカーチェイスと乱闘で見失ったか撒いてしまったようだぞ」

 

 カーチェイスと乱闘で車はもはやどこを走っているのか分かっていなかった。

 後ろを見るとどこにもキューベルやシュタイヤーは見えなかった。

 

トニー「このままクラッシュさせてもいいんだぞ?」

 

キーラ「そうすれば彼女も無事では済まないことになるぞ」

 

 キーラはトニーを脅した。

 トニーはしぶしぶ車を止め、降りた。

 そしてシトロエンは夜のパリに消えて行った。

 

トニー「クソ!」

 

ホスバッハ「コルレオーネ少尉、どうした!」

 

 数分後、ホスバッハ達がやってきたが無力だった。

 既に車は消えていた。

 

 

---------

 

 

 翌日の3月19日夕方、セダンでは重苦しい空気が広がっていた。

 パリから戻ってきたトニーとホスバッハはロザリー達幹部に状況を報告していた。

 

ロザリー「それで、状況はどうなの?」

 

ホスバッハ「キーラもデ・ブランク大尉もきれいさっぱり消えた。

      幸い今の所死体が見つかったって報告はない。

      両者ともパリ市内に未だ潜伏中というのが上の見立てだ。

      だがガリア政府内に妙な動きを察知したらしい」

 

ジーナ「妙な動き?」

 

 ホスバッハが中央に妙な動きがあることを伝えた。

 この動きは連合軍が注意を惹く程不自然であった。

 

ホスバッハ「ああ。諜報部がキーラと逃亡中のデ・ブランク大尉をキーラの協力者と断定したらしい。」

 

 ホスバッハが言った瞬間後ろのドアが開き盗み聞きしていたウィッチ達が乱入した。

 

マリアン「嘘をつけお前!ジェニファーが手引きしたって言うのか!?」

 

邦佳「そうですよ!あり得ませんったら!」

 

ジーナ「お前たち…」

 

 乱入したウィッチ達は口々にその可能性は有り得ないという。

 

カーロイ「もうちょっとうまいジョークを言ったらどうだ?」

 

ジェフ「もし本当だったら俺があいつを銃殺刑に処すぞ!」

 

ハインリーケ「B部隊とはいえ仮にもブランク大尉は506の一員、あり得ぬな」

 

 全員が強い言葉で否定する。

 それほどあり得ない可能性だった。

 

ホスバッハ「落ち着け、こんな戯言を言ってるのは軍の諜報部だけだ。

      連合軍もリベリオンもそれどころか公安警察でさえあり得ないと断定している。」

 

トニー「連中の狙いは簡単だ、内部に裏切り者がいたという事実を表沙汰になる前に関係者ごと口を封じるんだよ。

    この共和制を標榜する国で今時絶対王政を主張し自由と権利を否定するような輩が政府内に巣食っているという事実はただでさえ低い現政権の支持率がさらに低くなり政権が空中分解する可能性だってある」

 

 二人は明確にその可能性を否定した。

 

トニー「噂によればこの件を調べてるのは我々だけじゃない、ガリア軍諜報部も動いてる。

    発見次第射殺なんて物騒な命令も出ているらしい」

 

 トニーの話にウィッチ達の顔が青ざめる。

 そしてロザリーが立ち上がった。

 

ロザリー「そんな事はさせないわ!」

 

 ジェニファーを射殺させるなど絶対にあってはならない事である。

 

トニー「ああ、この件で上は静観はしないつもりだそうだ。

    あらゆる手を使って二人を探し出し保護しろって命令が出た。」

 

ホスバッハ「それだけじゃない、506からも人員を抽出し探し出せだとさ。

      タイムリミットは4日後の正式発足式典までだ」

 

 ホスバッハが上の意向を伝えた。

 それは何としても4日後に控える式典までに探し出せというものだった。

 そしてその任にハインリーケが志願した。

 

ハインリーケ「ならばこの妾が…」

 

ホスバッハ「駄目だ、有名人のあんたが動けば否が応でもバレる。

      この件は水面下で行いたいんだ」

 

 即ホスバッハが拒否する。

 この連合軍の大失態を隠すためこの件は水面下で行われるためハインリーケのような有名人は目立って仕方なかった。

 

ホスバッハ「だからこの件は、君らに依頼できるかね?」

 

 そう言うとホスバッハはある人物を見た。

 その人物とは、邦佳、貫二郎、カーラ、アラン、トニー、そしてスペードだった。

 

 

---------

 

 

 時は少し戻り3月19日の昼間、パリ市内は軍による検問と厳重な警備が行われあらゆるところに兵士が展開していた。

 市内にあるリヨン駅そばの売店では二人のコートを着た人物がいた。

 

キーラ「メルシー」

 

 キーラとジェニファーだった。

 周りには兵士だけでなく怪しい動きをする人物もいた。

 

キーラ「諜報部はパリを封鎖する気で人員を配置しているようだがバレバレだな。

    監視に慣れていない者まで動員したのは間違いだ。

    軍に至ってはそもそも隠す気さえないようだ」

 

 キーラはジェニファーに言う。

 キーラから見れば怪しい人物、つまり諜報部の監視はお粗末極まりないものだった。

 するとジェニファーが訊いた。

 

ジェニファー「あなたはどうして平気なんですか?

       目の前で3人も…」

 

 それは一昨日の夜のカーチェイスと乱闘だった。

 あの中で彼女は僅か1、2メートル前で激しい乱闘と3人の人間が死ぬ様を見ていたのだ。

 しかも一人は彼女が事実上殺したも同じだった。

 

キーラ「お人よしもいいところだな。

    あの乱闘が無ければ君も私も口封じで何処かで殺されていたんだぞ?

    あの連中は軍諜報部の中でもとりわけ過激な一派でね、我々の組織とは同盟関係にあったんだ。

    まあ、あの動きからすると一方的に同盟関係は破棄されたようだが。」

 

ジェニファー「あなたは、いえ、貴方たちは一体?」

 

キーラ「我々はガリア本来の姿を守ろうとする者さ。

    高貴なる王家とそれを補佐する絶対の統治、そのためならばこの手を地に染めるのも厭わない」

 

 ジェニファーに向かいキーラが冷徹な声で言った。

 そして彼女の背中に手を回し歩き始めた。

 

キーラ「さて、先を急ぐとしよう。

    君と逃げている以上、君も共犯の扱いだ。

    君には大人しく私とブリタニアのスコットランドヤードに投降してもらう。

    リベリオンの介入を一番面白く思っていないのはブリタニアだからな。」

 

ジェニファー「結果、セダンの爆破事件はリベリオンの妨害工作と断じられリベリオンは506から手を引かざるを得なくなる…」

 

キーラ「ご名答、506は欧州貴族だけで結成するのが正しい姿なのさ。

    察しのいい君にもう一つ教えておこう、この計画は君を手に入れることだったんだよ。」

 

 キーラが衝撃的な事を言う。

 それに一瞬ジェニファーは動きを止めた。

 

ジェニファー「なんですって…」

 

キーラ「いや、正確に期そう。

    上の命令はリベリオンのウィッチを一人確保すること。

    君を選んだのはまあ、私の判断だ」

 

ジェニファー「どうして私なんです?」

 

キーラ「リベリアンでありながらしかも貴族の末裔、君の存在はAとBの両方の絆を強めることもあれば対立を深める材料にもなりうる。

    そして、何より君は優しい、操りやすいんだよお人形さん」

 

 キーラはジェニファーの耳元で囁いた。

 

キーラ「君は私の罠に嵌った。

    私はわざと君の前で怪しい振る舞いをしてみた。

    聡明で責任感の強い君は私の予想通り動向を申し出た。

    唯一コルレオーネ少尉もう同行しあのような事態になるのは予想外だったがね。」

 

 キーラの言葉を聞いてジェニファーは自分が罠に嵌められていたことに気がつき青ざめた。

 1から10まで彼女の策に嵌っていたのだ。

 

キーラ「ククッ、良い子だ。

    それでこそ君をおびき出し選んだ甲斐がある。

    最初に言った通り私に逆らわない方が良い、まだ506の基地内には組織の内通者が潜んでいる。

    君が抵抗しなければ506の他の隊員には手を出さないと約束しよう。」

 

 キーラの脅しにジェニファーは屈するしかなかった。

 だが彼女は知らなかった、彼女と彼女の組織はかつてヨーロッパで未曽有の大虐殺を行い、血も涙もない残虐な虎の尾を思いっきり踏み抜いてしまった事に、虎の全ての仲間に喧嘩を売り、そしてひいてはこの国で最も影響力と武力を持つ組織の全てを敵に回し虫けらの如く駆逐されようという事を。




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